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ワタナベフラワー

円広志×クマガイタツロウ(ワタナベフラワー)緊急対談

前号に引き続き、ワタナベフラワーの“ROAD TO 紅白企画”を大特集します。

ミュージシャンとして活動するかたわら、タレント業やスタジオ経営でも才気煥発な円広志氏。
そしてリポーターやラジオ番組な ど、枠にとらわれず活躍の場を広げるクマガイタツロウ(ワタナベフラワー)。
ボリュームは違えど、いずれも“音楽”という共通の目的を持って活動する、2 人の緊急特別対談を決行!

#Interview

大事なのは"どうやって音楽を支えていくか"とか、"どういう風にミュージシャンと関わりを持っていくか"なんですよね(円広志)

僕の最終目標は"甲子園球場でライブをすること"。そのために、紅白出場というのは通過しなきゃいけない地点なんです。(クマガイ)

PJ:さて、今回は"ワタナベフラワーROAD TO 紅白企画特別対談"ということですが…紅白への道が現実に見えてきたことで、今まで以上に調子をこいているワタナベフラワーに対し、同じようにタレント活動をしながら音楽に心血を注いでいる円さんからコメントを頂けますでしょうか。

円:今はなかなかCDが売れないじゃないですか。そんな中で、あなたたちは上手いことCDを売ろうと模索してやっているのはすごいね。

クマガイ:ありがとうございます。神戸を中心に11年バンドをやっているんですけど、正直僕はもう"CDが売れない"という言葉を聞き飽きたんですよ。僕はずっとおばあちゃんから「暗いと不平を言うよりもすすんで灯をつけましょう」と言われて育ってきたので、CDが売れないと嘆いているよりも"どうすれば多くの人にCDを届けられるのか"を考えたんです。その結果が『マヨおかき(Yahoo!お土産ランキング第3位の人気商品。全国各地で販売されている)』とのコラボです。おみやげにCDを付けたらいろんな人が買ってくれて、全国に配ってくれるじゃないですか。

円:なるほど、まずは歌を聴いてもらおう、ということやね。

クマガイ:そうですね。そこでお金を稼ごうというわけではなくて、テレビやラジオと同じようにひとつのメディアとして組み込もうと考えたんです。

円:ミュージシャンというよりは商売人やな。

クマガイ:いえいえ、ホンマに全然儲かってないですからね。まずは聴いてもらって、知名度を上げたいんです。自分の歌は聴いてくれる人がおってナンボやと思ってるので、そこに届けるには知ってもらうことから始めないといけないな、と。

円:へぇ。お菓子のおまけにCDを入れて、それを聴いてもらうっていうのは面白いなぁ。俺もマネしようかな。社長に直接企画案を出したの?

クマガイ:そうです。僕らの所属しているグループ会社がお菓子を製造しているんですが、前々からずっと応援してくれていて。僕が「こんな企画はどうですか?」ってアイディアを出すと、「ぜひ応援します」と言ってくださったんです。仙台だったら牛タンマヨおかき、博多やったら明太マヨおかきという風に、マヨおかきは全国で販売しているんですよ。だから各地のマヨおかきと少しずつコラボして、どんどんCDを聴いてもらおうと思っているんです。

円:ということは、仙台でも出そうとしてるんや。

クマガイ:後々はそうしたいなと思っています。まずは大阪で5万ピース売れたので、次は地元神戸で出すんです。全国的に賑わってくれば、みんなも僕らのことを放っておかなくなるかなと。そのうえ、公募はしていなかったんですけどNHK『みんなのうた』に僕らの曲を使って頂けるよう、CDを送り続けたんですよ。

円:それもすごいなあ。紅白に出るためには、ちゃんと実績がないとあかんと思ったんや。

クマガイ:そうです! どうしても紅白の舞台でやりたくて。

円:なんというか、考え方がやらしいな。

クマガイ:いやいやいや!(笑)。 自分の夢を叶えるための執念です。僕は、夢を叶えるためには熱意だけではダメやと思っていて。ちゃんと考えを持ってないといけない。

円:偉い、そういうことや。夢を持つのは良いんだけど、達成しないと意味がないよね。"スターになりたい"とか"音楽家として有名になりたい"という抽象的なイメージじゃなくて、もっと具体的に"こんなミュージシャンになって、こんな場所で唄いたい"っていう目的意識がはっきりすればするほど、それに向かって行きやすいし。だから紅白に出たいという目標があるのはすごく良いことだと思う。

クマガイ:実は以前、円さんがタレント活動をされているのもスタジオを作りはったのも、全部音楽をやるためというお話を伺って。ボリュームこそまったく違うんですけど、それは僕のやっていることと同じで、ある種勇気をもらったというか。

円:もちろんスタジオも商売だからお金を儲けなきゃいけないんだけど、俺にとって大事なのは"どうやって音楽を支えていくか"とか、"どういう風にしてミュージシャンと関わりを持っていくか"なんですよね。

クマガイ:僕らは練習の時はいつも三宮の『スタジオ246』さんを利用させて頂いてますが、スタジオ246さんには、ミュージシャンが欲しいと思うものが全て完備されていて。ホワイトボードやピアノ用のクロスを設置したりと、"細かい部分まで行き届いてるなぁ!"と思ったんです。まさにミュージシャンの視点というか、ミュージシャンに寄り添った造りになっていますよね。

円:ありがとう。自分自身が音楽家だから、そういうことは気を遣ってるな。でも何でそんなに紅白に出たいの?

クマガイ:僕って赤いジャケットで赤メガネと赤いネクタイをして、全身真っ赤っかな衣装なんですよ。僕みたいな真っ赤なやつが白組で出てきたら、すごい面白いんちゃうかなと思って。

円:そこまで具体的に考えてるんや。それは絶対に実現するわ。

クマガイ:あとは、ホンマに音楽が売れなくなって、たくさんのミュージシャンがバンドが辞めちゃったんですね。僕は32歳なんですけど、昔一緒にやっていた人たちがどんどんいなくなって。最初は"辞めたいやつは辞めたらええやん"って、ちょっとふてくされている部分があったんですけど…その反面、自分と同年代のバンドマンで、メンバーが全員抜けちゃったにもかかわらず、それでもバンドを続けている人もいて。そのバンドにすごく勇気をもらったんですよ。そんな勇気をもらえる存在というか、続けたいと思えるだけの目標が今の音楽業界に必要なんちゃうかなと思うんです。僕らみたいなバンドが紅白に出たり、大きな目標を叶えたり、新しいものを作ったりしたら、みんなも続けたいと思ってくれるのかなって。やっぱり見知った人たちが次々と辞めていくのは寂しいですからね。

円:なるほど。

クマガイ:もちろんそれは2次的なもので、まずは自分が出たいという目標ありきです。そして"紅白出場したら終わり"じゃなくて、その後に見たい景色があるというか。僕は西宮生まれの西宮育ちで、家の近くに甲子園球場があるんですよ。でもライブを観るにも中に入るお金がないから、いつも潮風に乗ってくる音を聴きながらライブを想像していたんです。だから最終目標として、甲子園球場でライブをしたくて。そこに行くためにも、僕の中で"紅白出場"というのは通過しなきゃ行けない地点なんです。

円:まず紅白を通過しないと、甲子園球場での動員が大変やと。せやけど自分も上手いこと考えてやってるな。策士やね。

クマガイ:いやいや!(笑)。 でも考えることはすごく大事やと思います。

円:絶対にそう。何も考えず一生懸命努力だけしたってダメで、要は具体的に繋がりが見えていないといけないんだよね。真っ暗な砂漠を"取りあえず歩いてみよう"って彷徨っていてもらちがあかないでしょ? "こっちに北斗七星があるから、それを目標にして歩こう"って感じで、方向性をきちっとして歩かないと無駄だもんな。そういう意味でも、あなたの考え方は素晴らしいと思います。俺にも若い頃そういう気持ちがあったら、もうちょっとまともな人生をおくれていたんやけどなぁ。

クマガイ:アハハハ(笑)。でも、円さんのライブを初めて観させて頂いた時、良い意味で"おっちゃんパワー"をすごく感じて。めちゃめちゃパワフルやし、"座ってギターを弾きながら唄って、こんなにパワフルになるの!?"って感動したんです。「俺だ」という曲のジャイアニズム的な部分も痛快というか。

円:はっきりいって俺らの場合は"メジャーになる"とか"こうすれば紅白に出れる"とかいう欲はないし、ただ純粋に好きな音楽をしているというか。"音楽は自分を表現するもの"としてやっているから、なかなかそういう目的を掲げたりしないんだけど…あなた方のように"これからこういう風にやっていきたい"という大きな夢を叶えていくには、そういう風なことを考えていかないとダメだろうね。

クマガイ:でも、ライブの姿は本当にカッコ良いと思いました。円さんの世代の人っていうのは"どうぞどうぞ"っていう人が多い中で、ああいう"俺のもんや!"って言っているのがええなと思って。普通の人なら"アホちゃうか"って思ってやらないことを、良い意味でとことん突き詰めてると思うんですよね。そういうのって、僕らミュージシャンにとってすごく勇気を貰えることで。"僕もまだまだアホなことやろう"って思うし、負けたくないっていうのもあるんですよね。まだ32歳のヒヨっ子なのに、先輩がこういう風にやってくれるんだから、まだ諦めんとこうと思うんです。

円:紅白に出た人とテレビでよくご一緒するんですけどね、出場前と後ではたいがい態度が変わってるんで、それだけ気をつけて。
一同:(大爆笑)。

円:それが悪いわけではないんだけど、天狗になることと調子に乗ることは違うからね。でも。このまま行けば来年あたりには必ず行けるんちゃう? たぶん、足がかりはもう掴んでるんやろ?

クマガイ:NHKの『みんなのうた』を唄わせて頂いてます。

円:そういうコネクションももう掴んでるわけや。

クマガイ:コネクションって! それも執念で掴みとったものです。

円:執念か。素晴らしい言葉やね。どうしても欲しいものを手にした時の感覚っていうのは極上のもんやからな。

クマガイ:本当におっしゃる通りですね。『みんなのうた』のお話を頂いた時に、思わず本町のパーキングのど真ん中で「よっしぁあー!!」って叫びましたもん。あれは初めて事務所から給料を貰った時と同じ感覚でした。ついでに言うと、初めて貰ったお小遣いでうまい棒を100本買った時も同じ吠え方したんですけど。

円:(マヨおかきを見て)そうか、子供の頃からこういうお菓子が好きやったんやな。

クマガイ:はい、好きでしたね。

円:もう間違いないね。今年にでも紅白にイケるんちゃうかな。紅白に出場したらきっと『快傑えみちゃんねる』(関西テレビで放送されている大人気トークバラエティ番組で、上沼恵美子の冠番組)からも出演オファーが来ると思うよ。

クマガイ:僕、上沼恵美子さんの大ファンなんです!

円:その時には態度も変わってるんちゃうの? もし出ることになったらミュージシャン繋がりで俺も出ると思うから、ちょっとでも俺を侮辱したようなことを言ったら、潰しにかかるからね。

クマガイ:大人げ無っ! でもその大人げの無さが良いです。

円:俺も現役のミュージシャンやからね、負けられへん。まずは紅白出場目指して頑張ってください。また1年後に対談できるように、あんたらの名前はしっかり覚えとくわ。その時に「紅白出場おめでとう」と言えるかはまだわからないけれど、夢はいつまでも持ち続けてね。

Interview:PJ
Edit:森下恭子

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