音楽メディア・フリーマガジン

リリーギャング

和歌山から繊細なハートを合わせ持つ3人のギャングが解き放たれた

2010年4月に和歌山で結成された3ピースギターロックバンド、リリーギャング。

年間120本にも及ぶライブ活動を全国で続けていた前身バンド Jungle Man解散後、Ba.ゆういちの加入によりバンド名も新たに走り出した彼らは、リリー(百合)のようなポップで繊細な楽曲と、ギャングのようなトゲのある 力強い楽曲を見事に昇華させたミニアルバム『YOU』を2012年1月にリリースする。

Interview

●『YOU』は熱い想いがすごく伝わるし、妙に説得力があるアルバムだと感じました。"これがリリーギャングだ!"という想いが音に表れているなと。

かっちゃん:難しいこと云々じゃなく、ただ筋の通ったというか、聴いたときに"ビビッ"とくるアルバムにしたかったんです。『YOU』を聴いて、改めて本当に大切な存在を思い出してほしいなと思います。友達だったり家族だったり、みんなバラバラやと思うんですが、相手を思い浮かべて聴いてほしい。

●ちなみにみんなにとっての"YOU"とは?

かっちゃん:僕は"この人!"と絞って答えられないですね。彼女もいないですし(笑)。周りの友達も大事やし、オカンも応援してくれているし、メンバーあってのバンドやからメンバーも大事。

つばさ:かっちゃんと一緒ですけど、家族や友達、ライブハウスに来てくれるお客さん、このアルバムを聴いてくれる人、俺らに関わってくれる周りの人みんなになっちゃいますね。

ゆういち:僕が歌詞を担当しているんですけど、書いているとき、曲によって思い浮かべた相手は違うんですよ。

●なるほど。『YOU』はM-1「リリーギャング~沈黙と銃声~」というSEから、M-2「ロックンロールベイビー」と続きリリーギャングの持つ"ギャングな側面"からスタートしますよね。

かっちゃん:ロックンロールな曲を作りたかったんですよ。ロックンロール=酒と煙草と女みたいなニュアンスを出したくて、ちょっと悪そうな歌詞にしつつ(笑)。

●でも、"これから自分たちはやってやるぞ!"という希望のようなものも感じました。

かっちゃん:歌詞に関しては、ゆういちに書いてきてもらったものに対して、いつもなら口出しをするんですが、この曲はほぼ変えていないんです。それだけ説得力のある歌詞だし気に入っています。

●M-3「サヨナラブソング」はサビがすごくキャッチー。

かっちゃん:踊れるしメロディックな感じですね。いろんな雰囲気の曲をやりたかったんです。最初はバシッと男気のある楽曲から入り、暗闇からだんだん明るみに出るようなアルバムにしてみました。

●M-4「君への唄」はリリーギャングとして初めて出来た曲ということですが、アコギの導入も効果的だし、サビ裏のギターのフレーズも印象的でした。何も分からないままギターをやっていたと言っていたのに、こんなこともできるのかと(笑)。

かっちゃん:サビの部分のギターは本当に思い付きで(笑)。フレーズがパッと降りてきて、メンバーに伝えてデモ音源を作ってみたら凄く良かった。みんなで「ええやんええやん!」と。

つばさ:僕は「君への唄」みたいな聴かせる曲がめっちゃ好きなんですよ! これはまさに"こういう曲をやりたい"と思っていたドンピシャの楽曲だったので、すごくノリノリでしたね。かっちゃんからドラムフレーズに対して注文があったんですが、この曲は俺にもやりたいことがあってそれを伝えるとイメージが近かったみたいで、スムーズに曲ができて気持ちよかったですね。

●この曲が出来たことで、リリーギャングとしての方向性が見えた?

かっちゃん:"こんな曲も作れたんだ"という発見にはなりました。でも、こういうポップな曲ばかりをやりたいわけではなくて、次にできたのが「ロックンロールベイビー」だし、やっぱりロックンロールのビートが好きなんでしょうね。

ゆういち:本当に大事な曲だし、ライブでも欠かせません。

●M-5「都会に咲く花」は、四つ打ちのリズムが気持ちいいし、続くM-6「光」は、イントロはサンバのようなリズムなのに、Aメロは昭和歌謡チックで変化が面白い。

かっちゃん:僕、演歌とかも好きなんですよ。コブシの効いた感じとかね(笑)。

つばさ:この曲のリズムもいい具合でハマったし、ライブでは凄く盛り上がる曲です。メロディーもそうですけど、勝手に体が動きだすリズムですね。

●リズムで言うと、続くM-7「Together night」の跳ねたシャッフルビートも踊れる感じで。ロックンロールでは絶対に欠かせないリズムパターンのひとつでもあるし。

かっちゃん:やっぱりロックンロールのリズムが好きなんでしょうね。

●ロックンロールなのに、歌詞はラブソングというところも面白い。

かっちゃん:そこもロックンロール=女っていう(笑)。

つばさ:作詞担当のゆういちは見た目に似合わず、ロマンチストなんですよ。

●ゆういち君は見た目はギャングなのに、中身はリリーなんだ。

ゆういち:一人リリーギャングじゃないですか!

一同:(笑)。

●最後はM-8「星屑の街」。

かっちゃん:1年前の11月頃に僕が失恋したんですよ。"これは曲にしてやろう! 書かなあかん!"と思って作りました。ゆういちに「テーマは失恋で!」とだけ伝えて(笑)。この曲の"YOU"は、僕にとってはたった1人ですね。

ゆういち:個人的に一番大切な人のことを書いた歌詞なので、僕としてはこの曲の思い入れは強いです。リリーギャングとしては、本当に全曲聴いてほしいです!

●このアルバムをどういう人に届けたい?

かっちゃん:特定の人ではなくみんなに聴いてほしいと思っています。人間、生きていたら必ず1人は大切な人(YOU)がいると思うので。

●2月5日には、ツアーファイナルもありますね。

かっちゃん:絶対遊びに来てほしいですね! 全国から和歌山に集合してください!

Interview:上田雄一朗

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