2005年、大阪で結成し地味に活動していた彼等が2009年、自他ともに認めるライブバンドへと変貌を遂げる。
現在ツアー真っ最中でもある彼等のツアータイトルは“ツアーバンドみたいなツアー2011”と題され、2ヶ月で40カ所以上という超過密スケジュール。昨年からリリースされている『Hi!』、『Fi!』、『co』という3枚のミニアルバムと、『ffee』というライブDVDに続き、ミニアルバム『'S』がタワーレコード限定で9月にリリースされた。
セルフタイトル5部作のラストを飾る今作は、ライブで叩き上げられたセンスと中毒性の高い摩訶不思議な世界観が交錯したハイファイワールド全開の名盤!
●なかなかぶっ飛んでる音源の話の前に、結成の経緯を聴かせてください。
サトウマリ:オレが高校入学して2ヶ月の時に、名古屋の同じ高校の2コ上の先輩だったひーくん(G.カンダヒザシ)と恋仲になって、ひーくんが大阪の専門学校へ行くことになって、そこから紆余曲折あってオレも大阪に行く事になって…。
●えっと、突っ込みどころが満載なんだけど、恋仲の話は記事にしても平気?(笑)。
サトウマリ:全然平気っすよ!
●あと、マリさん女性ですよね? 一人称を"オレ"って呼ぶ女の人、親戚のおばあちゃん以来なんですけど(笑)。
サトウマリ:幼稚園までは"マリちゃん"、小学3年までは"オラ"、5年生までは"ミー"、中3までは"ウチ"、高校に入って"私"って言うようになったんですけど、卒業してからは"オレ"になっちゃいましたね。自分の中の流行りだけなんスけど、もう"オレ"で固定されちゃいましたね。
●そうですか(笑)。で、大阪にやってきてバンドを結成したと。
サトウマリ:オレは最初メンバーじゃなかったんすよ。音楽は好きだったし、歌う事も好きだったから音楽がある環境で働きたいなとは思ってたんです。ひーくんが大阪にやって来た段階で前身バンドが結成されたんですけど、そのバンドが酷くて(笑)。ドラムが抜けちゃって、当時ギターを弾いていたDr.ナカムラショウヘイが全くの素人なのにドラムに転向したんですけど、8ビートもまともに叩けないままの初ライブは、ある意味凄かったっ(笑)。
●その時点でまだマリさんはメンバーじゃないんですよね?
マリ:ですです。ちゃんとしたボーカルが決まるまで、スタジオでオレが歌ってあげるよって言ってたら、知らない間にメンバーになってたっす。
●なるほど。こうして結成されたハイファイコーヒーズも、3rd mini album『'S』がリリースされましたね。6曲入りなんですが、楽曲はもちろん、タイトルも歌詞もいろいろぶっ飛んでるなと。曲はどうやって作ってるんですか?
サトウマリ:作詞に関してはほぼギターのひーくんが書いていて、曲に関してはみんなでアイディアを出しながら作っていく感じっすね。
●例えばM-4「天狗」なんて天狗視点の歌詞じゃないですか。この世界観は凄いなと。
サトウマリ:ひーくんが作った歌詞とメロディを受け取る作業のことを、オレは"ダウンロード"って呼んでるんですが、ダウンロードをした瞬間に、涙して歌えなくなったりすることがあるんです。
●それは内容に共感して?
サトウマリ:10年間恋仲だってのもあるし、ひーくんの考えていることはオレが一番解ってるつもりなんです。例えばひーくんが作った歌詞は比喩が使われていて、普通に読んだだけじゃ直接的な意味が解らないかもしれない。でもオレは解っちゃったりするから、その時にやっぱ凄いなって気付かされる。
●どうして今日ひーくんを呼んでくれなかったんですか(笑)。
サトウマリ:ひーくんが来ても、マジメだから面白く無いと思いますよ(笑)。今日オレがインタビュー受けるって決まった時、オレが間違った曲の意味を喋ったりしないかって、ひーくんが心配してたんですよ。オレとは違って音楽に対してマジメですね。
●そのバランスが絶妙なのかもしれませんね。今までに、『Hi!』、『Fi!』、『co』、『ffee』と音源、DVDをリリースしてきての『'S』リリースじゃないですか。凄いスピードで駆け抜けてきたと思うんですけど、自分たちの成長も感じたりしますか?
サトウマリ:それはバッチバチ感じます! そもそも演奏技術は確実に上がったし、ライブも相当やってきたので肉体的にも精神的にも全てにおいて成長はしていますよ。最初が酷過ぎたんで(笑)。
●やっぱりライブで鍛えられた感じはするんですよ。ツアータイトルも面白いし。いやいや、ツアーバンドやん! って(笑)。
サトウマリ:だから超ラッキーバンドだと思いますよ。8ビートも叩けなかったバンドがツアーに出てリリースまでしてるんですからね! オレらは変に貪欲なんで、今もツアー真っ最中なんですけどいろいろ刺激受けまくってます。やっぱり万人に受け入れてもらいたいし、今までのツアーで得たものちゃんと形にして届けられたらいいっスね!
Interview:上田雄一朗