“HAPPY TIME”というイベントを知っているだろうか? 2002年から2008年までの間に関東近郊の各地で開催されていたシリーズで、今も活躍する数々のバンドが出演。良質なメンツでバンド同士の交流も広げるなど、ライブハウスシーンを草の根的に支えてきたイベントだ。一時活動を休止していた本イベントが、2013年3月に5年ぶりの復活を果たす。そこで、かつてよく出演していたタテヅカ2000(ナイトインタテヅカ)とTAKU(STUDS)をゲストに迎え、主催者のみのるさんとの対談を敢行。バンド愛に満ちたユニークなイベントの魅力に迫った。
●みなさんの出会いはいつ頃?
タテヅカ:俺は2005年頃だったから、もう知り合って8年くらいかな。TAKUちゃんもそのくらいだっけ?
TAKU:同じくらいのタイミングでしたね。
みのる:STUDSとは、僕が下北沢へイベントを観に行った時に出会ったんですよ。その頃、僕はものすごくライブハウスに行っていて。どこの会場に行ってもいるっていうくらいの感じだったんです。
TAKU:その時は別のバンドを観に来ていて、そこで俺らのライブも観たんだよね。急に声をかけてきたんですけど、自分のことを「みのるさん」って言うし、この人は何なんだと…(笑)。最初はうさん臭いなと思ったけど、パンチもあるし…。
タテヅカ:今でもうさん臭いよ。
一同:(笑)。
●どんな感じで話しかけてきたんですか?
TAKU:うさん臭いんだけど、勢いがハンパなかったんですよ。俺はそういう勢いが結構好きなんで…ダメな人はダメだと思うけど(笑)。
みのる:ダメだと思います…(笑)。
TAKU:でも一生懸命なのが伝わってきたんですよね。その時に「自分もイベントをやっているので出てくださいよ」って誘われたんです。タテヅカさんもそういう感じだったんじゃないですか?
タテヅカ:そうだね。俺はみのるさんに結構タカっていて、別にお金がないわけじゃないんだけど「みのるさん、コーヒー買ってよ」とかよく言ってたね(笑)。
みのる:ハハハハハ(笑)。そうでしたね。
●どういう関係ですか(笑)。
タテヅカ:みのるさんは完全に“いじられキャラ”なんですよ。愛されキャラ…かどうかはわからないけど(笑)。あと、“HAPPY TIME”のイベントでは、メシが出るんです。おでんだったり、カニチャーハンだったり、ハムだったりとか、とにかくフードが充実していて。
TAKU:渋谷CHELSEA HOTELでやった時は、近所のサイゼリアで大量に料理を買ってきてましたね。
みのる:これまでに惣菜食べ放題とか、バンド対抗カレーライス選手権とかもやりましたね(笑)。
●何のイベントかわからない(笑)。そもそも“HAPPY TIME”はどんなコンセプトで始めたんですか?
みのる:僕のすごく好きなバンドが当時いたんですけど、ライブ本数が少なかったので観る機会が全然なかったんですよ。だったら自分で企画を組もうっていうのが最初でした。それが2002年ですね。最初は当時住んでいた地元を盛り上げようと、町田The Play Houseから始めて。
タテヅカ:八王子でもやってたよね。
TAKU:とにかくいっぱいやってましたよ(笑)。
●町田からどんどん広げていった。
みのる:そこから横浜に行って、埼玉、高円寺、八王子、吉祥寺、四谷、渋谷…と色んな場所でやりましたね。最初は2ヶ月に1回くらいだったんですけど、2デイズを毎月やっていた時期もありました。
TAKU:その時に俺とタテヅカさんがつながって。
タテヅカ:登戸のSTARGIC ROOMだよね。
●過去の出演バンドを見ると、ジャンル的にはバラバラですが。
みのる:そこは意識していますね。ジャンルがバラバラのイベントにしたいなというのは、最初からのコンセプトとしてありました。
TAKU:ジャンルに限らず、“HAPPY TIME”では出会いが多くて。今も仲良くしている中にも、そこで知り合ったバンドは結構いるんです。なんだかんだで出会いを遡って行くと「みのるか…」っていうのが多くて、それは感謝していますね。
タテヅカ:俺もだね。
●そこでバンド同士のつながりも広がって、イベント自体も盛り上がっていったわけですね。
みのる:途中から企画がどんどん自分でまわり始めちゃったので、僕はそれに一生懸命ついていく感じだったんですよ。今も再びまわり始めているので、これから良い企画が組んでいけるかなと思っています。
タテヅカ:“HAPPY TIME”は2008年に1回終わったんだけど、そこからこうやって復活して居場所にきっちり戻ってきたというのがヤバいと思うんですよ。久しぶりに本人から話を聞いてみると、休んでいる間に大怪我をしたりとか壮絶な経験をしていて。バンドマンもそうなんですけど、ライブハウスっていう自分が一番キラキラ輝ける場所にちゃんと戻ってきた。だから俺らも、みのるのイベントだったら即答で出演OKするわけで。
●“HAPPY TIME”は久々の開催になるんですよね。
みのる:5年くらい休んでいました。
タテヅカ:やっぱりきつかったんだと思うんですよ。俺も活動をやりすぎていた時はきつくなって、「もうこんなのやめた!」となっちゃった時もあって。でもやっぱり楽しくて、今またやってるんです。みのるもそうだと思うから、こうやって記事になったものを見ている人にも「楽しそうだな。自分もやってみればいいんだな」と思ってもらえたらいいなと思います。
●見た人の背中を押す感じというか。
タテヅカ:今回の誌面を見て、「あ〜、みのるがまたイベント復活したんだ」って思う人が各地にいると思うんですよ。僕も今は地元の富山に戻ってるんですけど、そういう人は他にもたくさんいるはずで。全国各地に散っていったバンドマンたちがこれを見て、少しでも「またやろうかな」っていう勇気が出たらいいなと思いますね。
●再びライブハウスに戻るキッカケになって欲しい。
タテヅカ:僕らバンドマンって変な人種で、普段はきつい仕事をやりながら「ライブの30分が良ければ、他は何でもいい」っていう愛すべきヤツらなんですよ。僕はこれから、そういうバンドマンのヤバさっていうものを伝えていきたいなと思っていて。TAKUちゃんなんかも本当にハンパないから。スケジュールを見たら毎週のようにライブが入っていて、もうクレイジーすぎる(笑)。僕らの共通点はライブが好きすぎるっていうことですね。「好きすぎてヤバいな」っていう(笑)。
●“HAPPY TIME”の復活は、タテヅカさんにとっても刺激になっているのでは?
タテヅカ:なっていますね。大変だったと思うけど、みのるの人生で一番輝いていた時期がかつて“HAPPY TIME”をやっていた頃だと思うんですよ。1回区切りを付けてやめたわけだけど、「またやろう」と本人が思って。でも普通はみんな思うだけでやらないところをちゃんとfixして、さらにJUNGLE☆LIFEの誌面にまで載っちゃうというのは本気でヤバいなって思います。
●ライブが本気で好きだから、こうやって復活するわけですよね。
タテヅカ:僕らにとっては、ライブハウスが本当に居場所という感じで。自分らしくいられる場所というか、自分が散々チョーシをこける場所なんですよ。普通は途中でやめていったりするところを、バンドを始めた初期衝動のままで30代や40代になってもやってるっていうのがすごいんじゃないかなと。見てる人には「地方でもいいからとにかくやればいいじゃん」と言いたいですね。
●“HAPPY TIME”自体に楽しい思い出があるというのも大きいのでは?
TAKU:やっぱり楽しかったですね。集客の多い少ないはあったけど、そこじゃなくて。俺も誘われたらソッコーで出ていましたからね。
タテヅカ:動員とかじゃないんだよね。“HAPPY TIME”は、みのるっていう存在が大きい。
TAKU:あと、地味にメンツが良いんですよ(笑)。出演バンドのメンツを見て、ハズレだなっていうものは一度もなかったですね。そこで出続けたから、俺らも仲の良いバンドが増えていったわけで。
みのる:別に狙ったりはしていないんですけど、メンツに関してはすごく悩んだり考えたりしましたね。僕の中では、法則みたいなものがあって。一度ライブを観たバンドを偶然もう1回観る機会があったら、必ず声をかけるようにしていました。
●2回も観ることがあれば、もう運命だと。
みのる:運命だと思っていましたね。それで声をかけて、出演OKをもらったりしていました。
●過去には同名の『HAPPY TIME』というオムニバス盤を2枚リリースしていたりもするんですよね。
みのる:出しましたね。タテヅカくんに流通を手伝ってもらったりして。
TAKU:またやればいいじゃん? コンピを出すなら、俺らも新曲で参加するよ。
タテヅカ:俺もやるよ。
みのる:え!? え!? どうしようかな…?
一同:(笑)。
●過去のコンピも実は良いメンツが入っている。
TAKU:過去に参加しているバンドの中で今も残っているバンドを入れたら、相当クオリティが高くなると思いますよ。最初のオムニバスに参加した時なんて、俺らはまだ結成当初ですからね。
みのる:その時のSTUDSはデモテープの音質を意識したらしくて、1組だけ音が全然違うんですよ。
TAKU:それはいいから、また出そうぜ。
みのる:ハハハ(笑)。でもあと1年くらいイベントやれば、またメンツが集まりそうですよね。
●実現に傾いてきた(笑)。当時収録していたのも、イベントによく出ていたバンドということですか?
みのる:基本的にはよく出てくれていたバンドを集めています。あとはよく出ていたバンドが解散した後に、新たに結成したバンドの音源とかも入れていて。
●コンピもイベントも営利目的では全くなくて、単純にみのるさんが好きなバンドを応援したくてやっているというのが伝わってきます。
タテヅカ:そこだけなんでしょうね。
TAKU:メシ代とか全部の費用を合わせたら、ほとんど赤字だと思うんですよ。普通の人にそんなことは絶対にできない。
タテヅカ:そこがカッコ良いんだよね。圧倒的に損をしてるヤツだから、こっちも助けたくなるというか。いつもニコニコしてるけど本当は悩んだりもしてるんだろうなって思うから、俺らも何とかしてやりたくなる。必死さが伝わってきて、心を打たれちゃった部分はあるよね。
みのる:1回イベントをやめた時に、毎月お金がどんどん貯まっていくことにビックリしました(笑)。
一同:(笑)。
●そこからまたこうやって戻ってきたわけですが。
みのる:イベントをやめると、自分の中で急に曲が降ってきたんですよ。そしたらどうしてもライブハウスに足を運びたくなって。やめた時はある日突然スイッチが切れちゃった感じだったんですけど、そのスイッチが去年また急に入ったんですよね。
タテヅカ:そこでまたやっちゃうというのがすごいと思うんですよ。そしたら「コンピもやっちゃえよ」みたいな話になって、またチョーシこけるわけで(笑)。月曜から金曜まで仕事を一生懸命やって、週末でブッ飛ばせばいいわけだから。
TAKU:お金もあるわけだからね。タテヅカさんも昔みたいにタカっちゃうんじゃない? (笑)。
●(笑)。ちなみに復活するキッカケは、何かあったんですか?
みのる:久々にライブが観たくてライブハウスに行ったら、そこで昔よく企画に出てくれていたバンドのメンバーと偶然出会ったんですよ。それが今回も出演してくれるLAST PANICとGREEN HANDSのメンバーなんですけど。そのまま居酒屋に直行して、「またやろう!」っていう話で盛り上がって。実は一昨年に1回復活してるんです…。
●え、今回が5年ぶりの復活じゃないんですか!?
みのる:実は一昨年に1回イベント自体はやったんですけど、その直前に僕が怪我をして入院してしまって。史上初の主催者不在だったんです(笑)。
TAKU:ここは使わないほうがいいんじゃない?
●「5年ぶりの復活」っていうキャッチが台なしですよ。
一同:(爆笑)。
Interview:IMAI
“HAPPY TIME vol.41 〜STACKERS復活祭〜”
3/09(土) 中野MOON STEP
-ACT-
THE ELEPHANT OF MUSIC
JACKPOT BELL
ナイトインタテヅカ
THE LONGISLAND LxLxP
LIFEMUSIC
LAST PANIC
美湖♡Shingo (from all O.K. / 桔梗) ※Shingoのあとにピースマーク
おおしたしんご
GREEN HANDS
「Eextreme fast spin wood horse!?」
TAKU(STUDS)
OPEN 15:30 / START 16:00
ADV ¥2,000 / DOOR ¥2,300
info:http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=fuchinobeh