5年前、地元神戸で活動していた若干20歳のバンドがいきなりメジャーデビュー。
東京へと旅立って行った。数え切れない未知の経験と葛藤を経て自分を見つめなおし、信頼できるメンバーと紡いだ、素直に喜び合える作品が生まれた。
リアルかつファンタジーが融合した、愛情溢れる言霊を贈ります。
「自分たちの楽曲を客観的に見た時、僕にしか書けない詩があるし、僕にしか書けないメロディがある。3人にしか出来ない音楽があると思ったんです」
●サクラメリーメンに会うのは久しぶりやね。メジャーデビューしてからなかなか絡んでくれないやん。調子こいてたんじゃないの!? 今日も1時間前から待ってるのに、JUNGLE☆LIFEのインタビューだと思って余裕こいてゆっくり来るし。(プンプン)
イッペイ:すいません(笑)。
●君たちと初めて会ったのは約5年前だけど、神戸にいた時はインディーだったから、今とはずいぶん印象が違うね。
透太:環境に恵まれてパッと東京に行ったんで、ちょっと調子に乗っちゃったというか。"自分らイケるんちゃう?"みたいな錯覚がありました。
一同:(大爆笑)。
●アー写でも小西くんはシュッとしてるけど、あとの2人は無理にカッコつけてるのが見え見えだし。どう見てもお笑いコンビやもんな。
亮太:誰が芸人組ですか!
透太:でも、いざ東京に行ってみたものの"作品"を求められる責任感に押しつぶされそうになって。今まではライブに来てくれたお客さんの顔を見てCDを売っていたけど、まったく知らない人に向けて発信していくわけじゃないですか。実態がつかめない得体の知れなさから、最初は"自分は何を信じてやればいいのか"ってもがきながら生活していましたね。
●そうなんや。でも久しぶりに顔を見て変わってないから安心した。調子こいた痕跡がなかったから。
イッペイ:良かったー!
●だけどあっという間にデビューしたから、それを快く思わない地元のバンドも多かったんじゃないかな。
透太:それも間接的に感じてはいたんですよね。もちろん神戸を捨てたつもりはないけど、そう見えてしまう部分はあったと思うし。だからこの4年間は東京にも馴染めず、神戸にも帰って来れずっていう中間地点でさまよっていたかもしれないですね。
●そこで今回、原点回帰的なこのアルバムに繋がるわけやね。詞の世界観からも、自分たちが納得がいくまで出来たんだろうなって感じるし。
透太:その通りなんです。もう何もしゃべることがないくらいその通りです。
●じゃ、これでインタビューは終わりということで。おつかれさまでした。
3人:いやいやいや、早いですって!
透太:でも、本当にその通りなんです。ふわふわした"どちらにも付けない時期"がありながらもメジャー5周年を記念して、昨年9月にシングルコレクションをリリースしたんですよ。この機会で"僕たちがこの5年間何をしていたのか"っていう再確認ができたんです。自分たちの楽曲を客観的に見た時に、僕にしか書けない詩があるし、僕にしか書けないメロディがあるし、3人にしか出来ない音楽があると思ったんです。だから次のアルバムはあれもこれもと手を出すのは止めて、自分らの得意技をやってやろうと。
●「得意技」というと、例えば?
透太:キラキラしたメロディとファンタジーな歌詞世界ですね。想像力がかき立てられるような、リアル過ぎないファンタジー世界。想像力と妄想力を働かせて、自分たちの好きな世界観を徹底的にやり通しました。
●美しい"気持ち"と"愛"の世界だよね。まさに俺の世界みたいな。
亮太:あ、そうなんですか(笑)。
●みんなの理想とする"愛"の世界観ってどんなもの?
イッペイ:すごく純粋な話かもしれないですけど、"嘘のない世界"ですね。信じることに理由はいらないじゃないですか。"こういう理由があるから信じれる"というよりは"信じたい"気持ちから起きるものだと思うんです。だからそういう信じる気持ちや想いが溢れている世界には、きっと嘘はないんだろうなって。そういう世界が好きです。
透太:「ずっと想ってるよ…。ずっと信じてるよ…。」っていうキャッチコピーがあるみたいに、それは今回のアルバムで僕が言っていることのひとつで。信じることって自分から始めないと無理だし、"愛という不透明なものの何を信じるのか"っていうのを自分たちなりに考えた音楽を作ったので。
イッペイ:信じる想いとか願いって目には見えないし、音楽もそうでしょ? 僕たちは目に見えない不確かなものを信じて生きているんです。
●なるほど。亮太はどう?
亮太:僕の理想の世界は、笑顔の溢れている世界です。やっぱりお笑い担当なんで。
イッペイ:お笑い担当って認めちゃった(笑)。
亮太:僕自身、音楽を聴いていて自然とウキウキして歩いてしまったり、気付いたら笑顔になったりしていることがあって。音楽は心を癒してくれたり楽しくさせてくれたりする力があると思うんです。そこに"理想の愛情の世界"があるかなって。
●話を聞いていると、小西くんが書いた詞に対して、3人が感覚的に同じようなものを自然に感じているような気がするな。
イッペイ:それはたぶん"透太の曲が好きだから一緒にやりたい"っていうところから始まっているからだと思います。僕と透太は高校の時にバンドを組んでいたんですけど、それが解散して別々のバンドをやっていた時期があるんです。でもやっぱり透太の曲や歌が心から好きだから一緒にやりたいと思ったし、その感覚は今でもずっと信じているものですね。
●ホンマに好きなんや。"もしかして君たち付き合ってるんちゃうかな?"って思うくらいやな。
透太:うんうん。
イッペイ:お前は何をうなずいとんねん!
透太:(笑)。でもそうやって見てもらえるのは嬉しいです。音楽感が一致するとかいう以前に、僕らは"友達"っていう関係性があると思うんですよね。ボケたらツッコむし、誰かがスベッたらフォローせなアカンっていうのが血として流れているというか。
イッペイ:キャッキャしてる感じ(笑)。
透太:だから、例え音楽がなかったとしても繋がっていれるだろうし、今は音楽がより結びつけてくれているんだろうなって感じます。
●どこまでも自然体だもんね。本当に小西くんの世界観が好きで、ちゃんと理解してるんだろうなっていうのはすごく感じるね。
亮太:そうですね。
●『QUCARIUM』は今までと雰囲気が違うアルバムだけど、この作品で初めてサクラメリーメンに出会う人もいるわけじゃない。それを踏まえた上で、自分たちが一番大事にしていることは何ですか。
透太:初めて聴く方は、バンド名から可愛らしいポップな印象を持っていると思うんです。でも今作は、どんな方にでも届けられる等身大なものを作れたと思っていて。可愛らしさを飛び越えて、徐々に大人になっていった部分を見て欲しいです。正直、どこに出しても恥ずかしくないものが出来たから、もしこのアルバムが伝わらない人がいるのであれば、それはもう縁がなかったと言い切れるくらい。
●ということは、今までのプロデューサーは必要なかったんやね(笑)。
イッペイ:いやいやいや! その方たちがいたからこそ、今ここにたどり着けたんです。
亮太:今までは、いろんなプロデューサーさんに育ててもらいながら自分たちの世界観を表現していたんですけど、今回は全面的に透太のこだわりがすごく出ていますね。だから僕らもすごく好きなアルバムになったし、やりたかったことが表現できたと思います。
●悩んだ時期があったからこそ今の喜びがあると。小西くんの世界観ってわかりやすく言うとどんな感じ?
亮太:ファンタジーっていう言葉が本当にピッタリと当てはまると思います。その上でメロディに乗ってリアルな歌詞が飛び込んでくる瞬間があって"あ、そうだよな"って共感できる。その感覚が僕はすごく好きなんです。
透太:ある意味、絵本みたいなものかも。絵本ってたいてい子ども向けに作られているけど、大人が読むとグッとくるお話だったりするじゃないですか。子どもがふと核心をつくみたいに、少年の心は忘れないまま、不意に心に響く言葉を言うような感じの人間でいたいなと思うんですよね。
イッペイ:大人と子どもでは突かれる部分は違うけど、どちらにとってもグッとくるところがあるというか。
●君らは"自分はもう大人になった"って感覚なの?
イッペイ:僕はなってないと思います。
●だろうね。そういえばみんないくつなんだっけ?
イッペイ&
透太:25歳です。
亮太:僕は31歳です。
●え!? 亮太はそんなに上なんや。ジェネレーションギャップを感じたりしなかった?
亮太:まったくないわけではないですけど、初めてスタジオに入った時のフィーリングがピッタリだったんですよ。自分が「たぶんこういうこと?」って言ったら「そうそう!」って返ってきて、その感覚が今でもずっと続いていますね。ケンカをしても音を出せば"やっぱこれやな"って思うし。
●なるほど。やっぱりお前ら付き合うてるやろ(笑)。
透太:そうっすね。
イッペイ:何が「そうっすね」やねん! 帰ってこい(笑)。
●ホンマに神戸のやつは面白いな(笑)。サクラメリーメンは神戸バンドの中でも"見え方"が違うように思うわ。
透太:地元は明石の方だからかな? でも僕らの音楽性には、神戸っていう街が大きく関係しているような気がします。神戸は都会とも言われるけれど、山も海もあって、いろんな要素がある街だと思うんですね。
亮太:手を伸ばせば何でもあるよな。
透太:3人ともが好きなJ-POPというストレートな音楽を、神戸のわちゃわちゃした世界観で表現した結果、今のような音楽性になったのかも。やっぱり神戸でのライブはすごく楽しいし、"楽しい"という部分をいろんな形で表現できればいいなと思っていたんですよ。それを東京で右往左往しながら、やっとここにたどり着いた。
●その経験を経て初のセルフプロデュースに挑戦した今作は、ある意味1stアルバムみたいなもんじゃない? サクラメリーメンらしい"リアルかつファンタジーな世界"が全面に出ているし。
亮太:そう、そこなんです! リアルって実はファンタジーなんだよっていうことが言いたいんです。
●ファンの子は女性が多いと思うんだけど、男子も共感できる世界感だよね。
透太:僕は絶対的にそうだと思うんですよ。自分が高校の時に感動した世界観だから、男の子にこそ聴いて欲しい気持ちもある。
イッペイ:"自分もそうなんじゃないか"って思わせてくれる曲の力があると思います。
●というと?
イッペイ:例えば、僕自身がキャッチコピーの通り「ずっと想ってる」わけではないのかもしれないけど、演奏していると自分が曲に出てくる主人公になったような感覚があって。
●演奏しながら曲の世界に自分を投影できるということ? どんだけサクラメリーメン好きやねん。
イッペイ:(笑)。でもそれだけ曲にパワーがあるっていうことですよね。
●それほど楽曲もサウンドも信頼しているってことだよな。これは名言やで。『サクラメリーメン辞典』に載せなアカン。
3人:あははは(笑)。
●最後に、4年経ってやっとJUNGLE☆LIFEに帰ってきてくれた3人から読者へ向けてメッセージをお願いします。
亮太:本当に良いアルバムで、本当に自信作です。ライブも見て欲しいし、CDとライブとで表現の仕方が全然違うので、ぜひツアーに遊びにきて"こんなこともやってるんだ"っていうのを見て欲しいと思います。
●リーダーのコメントは普通だったから(笑)、次はイッペイがどうぞ。
イッペイ:このアルバムには僕らの世界観が詰まっているんで、みんなで一緒にこの世界を見たいなと思います。CDで"なるほどな"って感じで世界観を味わってもらって、ライブではみんなでその世界を作り上げたいですね。
●イッペイも普通だったから、小西くんが上手くまとめて。
透太:4年の間が開いて、ようやくJUNGLE☆LIFEに戻って来れました。ふわふわしていたサクラメリーメンが、地に足をつけたという証明のアルバムが出来たと思いますので、ぜひみなさんに聴いて欲しいと思います。
●さすがリードボーカルは締め方が違うな。"ラジオもインタビューも慣れてます"的なメジャー感を出しやがったね。
3人:あはははは!
Interview:PJ
Edit:森下恭子
※ファンの方達へ "4年ぶりに帰ってきた"のくだりですが、前回のリリース時にもインタビューを行っています。あくまでもPJとの絡みが4年ぶりと言うことを明記します。それくらいPJは寂しかったと言うことでっす。
「自分たちの楽曲を客観的に見た時、僕にしか書けない詩があるし、僕にしか書けないメロディがある。3人にしか出来ない音楽があると思ったんです」
●サクラメリーメンに会うのは久しぶりやね。メジャーデビューしてからなかなか絡んでくれないやん。調子こいてたんじゃないの!? 今日も1時間前から待ってるのに、JUNGLE☆LIFEのインタビューだと思って余裕こいてゆっくり来るし。(プンプン)
イッペイ:すいません(笑)。
●君たちと初めて会ったのは約5年前だけど、神戸にいた時はインディーだったから、今とはずいぶん印象が違うね。
透太:環境に恵まれてパッと東京に行ったんで、ちょっと調子に乗っちゃったというか。“自分らイケるんちゃう?”みたいな錯覚がありました。
一同:(大爆笑)。
●アー写でも小西くんはシュッとしてるけど、あとの2人は無理にカッコつけてるのが見え見えだし。どう見てもお笑いコンビやもんな。
亮太:誰が芸人組ですか!
透太:でも、いざ東京に行ってみたものの“作品”を求められる責任感に押しつぶされそうになって。今まではライブに来てくれたお客さんの顔を見てCDを 売っていたけど、まったく知らない人に向けて発信していくわけじゃないですか。実態がつかめない得体の知れなさから、最初は“自分は何を信じてやればいい のか”ってもがきながら生活していましたね。
●そうなんや。でも久しぶりに顔を見て変わってないから安心した。調子こいた痕跡がなかったから。
イッペイ:良かったー!
●だけどあっという間にデビューしたから、それを快く思わない地元のバンドも多かったんじゃないかな。
透太:それも間接的に感じてはいたんですよね。もちろん神戸を捨てたつもりはないけど、そう見えてしまう部分はあったと思うし。だからこの4年間は東京にも馴染めず、神戸にも帰って来れずっていう中間地点でさまよっていたかもしれないですね。
●そこで今回、原点回帰的なこのアルバムに繋がるわけやね。詞の世界観からも、自分たちが納得がいくまで出来たんだろうなって感じるし。
透太:その通りなんです。もう何もしゃべることがないくらいその通りです。
●じゃ、これでインタビューは終わりということで。おつかれさまでした。
3人:いやいやいや、早いですって!
透太:でも、本当にその通りなんです。ふわふわした“どちらにも付けない時期”がありながらもメジャー5周年を記念して、昨年9月にシングルコレクション をリリースしたんですよ。この機会で“僕たちがこの5年間何をしていたのか”っていう再確認ができたんです。自分たちの楽曲を客観的に見た時に、僕にしか 書けない詩があるし、僕にしか書けないメロディがあるし、3人にしか出来ない音楽があると思ったんです。だから次のアルバムはあれもこれもと手を出すのは 止めて、自分らの得意技をやってやろうと。
●「得意技」というと、例えば?
透太:キラキラしたメロディとファンタジーな歌詞世界ですね。想像力がかき立てられるような、リアル過ぎないファンタジー世界。想像力と妄想力を働かせて、自分たちの好きな世界観を徹底的にやり通しました。
●美しい“気持ち”と“愛”の世界だよね。まさに俺の世界みたいな。
亮太:あ、そうなんですか(笑)。
●みんなの理想とする“愛”の世界観ってどんなもの?
イッペイ:すごく純粋な話かもしれないですけど、“嘘のない世界”ですね。信じることに理由はいらないじゃないですか。“こういう理由があるから信じれ る”というよりは“信じたい”気持ちから起きるものだと思うんです。だからそういう信じる気持ちや想いが溢れている世界には、きっと嘘はないんだろうなっ て。そういう世界が好きです。
透太:「ずっと想ってるよ…。ずっと信じてるよ…。」っていうキャッチコピーがあるみたいに、それは今回のアルバムで僕が言っていることのひとつで。信じ ることって自分から始めないと無理だし、“愛という不透明なものの何を信じるのか”っていうのを自分たちなりに考えた音楽を作ったので。
イッペイ:信じる想いとか願いって目には見えないし、音楽もそうでしょ? 僕たちは目に見えない不確かなものを信じて生きているんです。
●なるほど。亮太はどう?
亮太:僕の理想の世界は、笑顔の溢れている世界です。やっぱりお笑い担当なんで。
イッペイ:お笑い担当って認めちゃった(笑)。
亮太:僕自身、音楽を聴いていて自然とウキウキして歩いてしまったり、気付いたら笑顔になったりしていることがあって。音楽は心を癒してくれたり楽しくさせてくれたりする力があると思うんです。そこに“理想の愛情の世界”があるかなって。
●話を聞いていると、小西くんが書いた詞に対して、3人が感覚的に同じようなものを自然に感じているような気がするな。
イッペイ:それはたぶん“透太の曲が好きだから一緒にやりたい”っていうところから始まっているからだと思います。僕と透太は高校の時にバンドを組んでい たんですけど、それが解散して別々のバンドをやっていた時期があるんです。でもやっぱり透太の曲や歌が心から好きだから一緒にやりたいと思ったし、その感 覚は今でもずっと信じているものですね。
●ホンマに好きなんや。“もしかして君たち付き合ってるんちゃうかな?”って思うくらいやな。
透太:うんうん。
イッペイ:お前は何をうなずいとんねん!
透太:(笑)。でもそうやって見てもらえるのは嬉しいです。音楽感が一致するとかいう以前に、僕らは“友達”っていう関係性があると思うんですよね。ボケたらツッコむし、誰かがスベッたらフォローせなアカンっていうのが血として流れているというか。
イッペイ:キャッキャしてる感じ(笑)。
透太:だから、例え音楽がなかったとしても繋がっていれるだろうし、今は音楽がより結びつけてくれているんだろうなって感じます。
●どこまでも自然体だもんね。本当に小西くんの世界観が好きで、ちゃんと理解してるんだろうなっていうのはすごく感じるね。
亮太:そうですね。
●『QUCARIUM』は今までと雰囲気が違うアルバムだけど、この作品で初めてサクラメリーメンに出会う人もいるわけじゃない。それを踏まえた上で、自分たちが一番大事にしていることは何ですか。
透太:初めて聴く方は、バンド名から可愛らしいポップな印象を持っていると思うんです。でも今作は、どんな方にでも届けられる等身大なものを作れたと思っ ていて。可愛らしさを飛び越えて、徐々に大人になっていった部分を見て欲しいです。正直、どこに出しても恥ずかしくないものが出来たから、もしこのアルバ ムが伝わらない人がいるのであれば、それはもう縁がなかったと言い切れるくらい。
●ということは、今までのプロデューサーは必要なかったんやね(笑)。
イッペイ:いやいやいや! その方たちがいたからこそ、今ここにたどり着けたんです。
亮太:今までは、いろんなプロデューサーさんに育ててもらいながら自分たちの世界観を表現していたんですけど、今回は全面的に透太のこだわりがすごく出ていますね。だから僕らもすごく好きなアルバムになったし、やりたかったことが表現できたと思います。
●悩んだ時期があったからこそ今の喜びがあると。小西くんの世界観ってわかりやすく言うとどんな感じ?
亮太:ファンタジーっていう言葉が本当にピッタリと当てはまると思います。その上でメロディに乗ってリアルな歌詞が飛び込んでくる瞬間があって“あ、そうだよな”って共感できる。その感覚が僕はすごく好きなんです。
透太:ある意味、絵本みたいなものかも。絵本ってたいてい子ども向けに作られているけど、大人が読むとグッとくるお話だったりするじゃないですか。子ども がふと核心をつくみたいに、少年の心は忘れないまま、不意に心に響く言葉を言うような感じの人間でいたいなと思うんですよね。
イッペイ:大人と子どもでは突かれる部分は違うけど、どちらにとってもグッとくるところがあるというか。
●君らは“自分はもう大人になった”って感覚なの?
イッペイ:僕はなってないと思います。
●だろうね。そういえばみんないくつなんだっけ?
イッペイ&透太:25歳です。
亮太:僕は31歳です。
●え!? 亮太はそんなに上なんや。ジェネレーションギャップを感じたりしなかった?
亮太:まったくないわけではないですけど、初めてスタジオに入った時のフィーリングがピッタリだったんですよ。自分が「たぶんこういうこと?」って言った ら「そうそう!」って返ってきて、その感覚が今でもずっと続いていますね。ケンカをしても音を出せば“やっぱこれやな”って思うし。
●なるほど。やっぱりお前ら付き合うてるやろ(笑)。
透太:そうっすね。
イッペイ:何が「そうっすね」やねん! 帰ってこい(笑)。
●ホンマに神戸のやつは面白いな(笑)。サクラメリーメンは神戸バンドの中でも“見え方”が違うように思うわ。
透太:地元は明石の方だからかな? でも僕らの音楽性には、神戸っていう街が大きく関係しているような気がします。神戸は都会とも言われるけれど、山も海もあって、いろんな要素がある街だと思うんですね。
亮太:手を伸ばせば何でもあるよな。
透太:3人ともが好きなJ-POPというストレートな音楽を、神戸のわちゃわちゃした世界観で表現した結果、今のような音楽性になったのかも。やっぱり神 戸でのライブはすごく楽しいし、“楽しい”という部分をいろんな形で表現できればいいなと思っていたんですよ。それを東京で右往左往しながら、やっとここ にたどり着いた。
●その経験を経て初のセルフプロデュースに挑戦した今作は、ある意味1stアルバムみたいなもんじゃない? サクラメリーメンらしい“リアルかつファンタジーな世界”が全面に出ているし。
亮太:そう、そこなんです! リアルって実はファンタジーなんだよっていうことが言いたいんです。
●ファンの子は女性が多いと思うんだけど、男子も共感できる世界感だよね。
透太:僕は絶対的にそうだと思うんですよ。自分が高校の時に感動した世界観だから、男の子にこそ聴いて欲しい気持ちもある。
イッペイ:“自分もそうなんじゃないか”って思わせてくれる曲の力があると思います。
●というと?
イッペイ:例えば、僕自身がキャッチコピーの通り「ずっと想ってる」わけではないのかもしれないけど、演奏していると自分が曲に出てくる主人公になったような感覚があって。
●演奏しながら曲の世界に自分を投影できるということ? どんだけサクラメリーメン好きやねん。
イッペイ:(笑)。でもそれだけ曲にパワーがあるっていうことですよね。
●それほど楽曲もサウンドも信頼しているってことだよな。これは名言やで。『サクラメリーメン辞典』に載せなアカン。
3人:あははは(笑)。
●最後に、4年経ってやっとJUNGLE☆LIFEに帰ってきてくれた3人から読者へ向けてメッセージをお願いします。
亮太:本当に良いアルバムで、本当に自信作です。ライブも見て欲しいし、CDとライブとで表現の仕方が全然違うので、ぜひツアーに遊びにきて“こんなこともやってるんだ”っていうのを見て欲しいと思います。
●リーダーのコメントは普通だったから(笑)、次はイッペイがどうぞ。
イッペイ:このアルバムには僕らの世界観が詰まっているんで、みんなで一緒にこの世界を見たいなと思います。CDで“なるほどな”って感じで世界観を味わってもらって、ライブではみんなでその世界を作り上げたいですね。
●イッペイも普通だったから、小西くんが上手くまとめて。
透太:4年の間が開いて、ようやくJUNGLE☆LIFEに戻って来れました。ふわふわしていたサクラメリーメンが、地に足をつけたという証明のアルバムが出来たと思いますので、ぜひみなさんに聴いて欲しいと思います。
●さすがリードボーカルは締め方が違うな。“ラジオもインタビューも慣れてます”的なメジャー感を出しやがったね。
3人:あはははは!
Interview:PJ
Edit:森下恭子
※ファンの方達へ “4年ぶりに帰ってきた”のくだりですが、前回のリリース時にもインタビューを行っています。あくまでもPJとの絡みが4年ぶりと言うことを明記します。それくらいPJは寂しかったと言うことでっす。