佐賀県唐津市在住の現役女子高生5人組バンド、たんこぶちんが遂にメジャーデビュー! 結成は何と小学6年生にまで遡るという彼女たちは、数々のイベントやコンテストでバンドとしての実力を磨いてきた。まだあどけなさの残るピュアで可愛らしいルックスとは対照的に、ライブでのパワフルな演奏とパフォーマンスは高完成度を見せる。YouTubeでの動画再生回数が30万回を超えるなど、話題・実力ともに兼ね備えた彼女たちから目が離せない! 笑顔と元気をモットーに今、たんこぶちんが大きな舞台へと飛び出していく。
●メンバー5人は幼なじみだそうですね。
MADOKA:保育園からずっと一緒です。
●バンドを初めて組んだのは小学生の頃だそうですが、何がキッカケだったんですか?
MADOKA:小学5年生の時に、学校で6年生の人たちがバンドの発表会をしているのを観たんです。私たちと同じガールズバンドだったんですけど、明るくキラキラしている姿がカッコ良いなと思って。そこで、今でも私たちをずっと指導して下さっている先生に「自分たちもやりたいです」と言って始めました。
●元々、特に音楽が好きだったというわけではない?
MADOKA:テレビの音楽番組とかは見ていましたけど、特にバンドが好きなわけではなかったです。
YURI:自分たちでバンドをやるようになって、初めて意識的に観たり聴いたりするようになりましたね。
●パートはどうやって決めたんでしょうか?
MADOKA:自分がやりたい楽器をそれぞれ、紙に書いていって…。
YURI:そしたら、スルッと決まりました。「何かカッコ良いから」というくらいの理由でしたね(笑)。NODOKAは「他人と違うものがやりたい」という理由で、ベースを選んだりして。
●元々、ベース自体は知っていたんですか?
NODOKA:…知らなかったです。
一同:ハハハ(笑)。
●どんなバンドがやりたいというイメージはあった?
MADOKA:全くなかったです。とりあえず先輩たちみたいに曲を演奏してみたかったというだけで。
YURI:だから、最初は先生から「こういう曲をやってみたら?」と教えてもらったものをやっていました。
●それはたとえば?
MADOKA:最初にやったのは、チャットモンチーの「バスロマンス」でした。そこから、他にも色んなバンドを聴くようになりましたね。
●メンバーが好きな音楽はバラバラだったりする?
YURI:バラバラですね。時が経つにつれて、みんなの好きなものが分かれてきて。洋楽を聴く人もいれば、RADWIMPSとか男のバンドが好きな人もいます。
HONOKA:私はバンドだと、ONE OK ROCKとチャットモンチーが好きです。友だちに薦められて、テレビでONE OK ROCKのライブ映像を観たんですよ。そしたら音もカッコ良いし、パフォーマンスもすごくて、「こんなバンドがいたんだ…」と思って一目惚れしました。
●CHIHARUさんは?
CHIHARU:私はSCANDALが好きです。初めて観たのがMステ(ミュージックステーション)で、演奏前のインタビューでは「かわいらしい女の子だな」と思っていたんですよ。でも演奏が始まったら髪を振り乱してガンガン演奏していて、そのギャップにすごく惹かれました。
●たんこぶちんも演奏面だけじゃなく、パフォーマンスにもこだわりがあるんですよね。
MADOKA:パフォーマンスを今まで大事にしてきました。お客さん目線に立って演奏するというのが、私たちのポイントなんです。最初に先生から「楽器ばかり見ていないで、笑顔で演奏するように」と言ってもらったので、そこはずっと意識しています。
YURI:自分たちの中だけで楽しんでいても、お客さんには伝わるものがないから。それではダメだと先生に教えてもらったので、そこから気にするようになりました。
●ライブでは、息の合った動きが印象的でした。
MADOKA:フリが決まっているわけじゃないんですけど、ただ突っ立って演奏していたら観ている方も楽しくないだろうから。
YURI:1人がこう動いたら、自分たちもそう動こうという感じでみんなに伝わるので、自然とまとまりが出るんですよね。
●自然な一体感が生まれている。
MADOKA:子どもの頃からずっと一緒にいるので、そこの一体感みたいなものはあると思います。
YURI:(勢いを)止めたりするところとか、止めたところから一気に“バーン!”といったり、曲のキメ的な部分は前よりも揃うようになってきたと思います。止める時も、みんなで目を合わせたりするようになって。前は自分だけでやっていたところを、今はみんなと一緒に「よし、いくよ!」っていう感じでやれるようになりました。
●保育園からずっと一緒にいるからこそ出せるグルーヴもあるのでは?
YURI:あると思います。
MADOKA:しかもリズム隊は双子なので、特に息が合っているんじゃないかな。
●本人たちとしても実感がある?
NODOKA:う〜ん…、よくわからないです。
HONOKA:わからないよね(笑)。
一同:ハハハ(笑)。
●でもメンバー的には感じていると。
MADOKA:リズムはあんまりズレないと思います。人からも「双子だからリズムがしっかりしていて良いね」とよく言ってもらえるので、そこで実感していますね。
YURI:周りは実感しています(笑)。
●これまで数々のコンテストに参加したりと経験を重ねてきたことで、バンドの一体感も増してきたのでは?
MADOKA:元々、自分たちはコンテストというものがあることも知らなくて。先生から教えてもらって、「そんなものがあるんだ」と思ったくらいなんです。最初は「どこまで行けるかな?」という力試しみたいなところがありましたね。そこから「今回は予選で落ちちゃったから、次はもう1つ上まで行けるようになりたいね」といった感じでどんどん出るようになっていきました。
●初めてコンテストに出たのはいつ頃?
MADOKA:小6です。
YURI:初めて出たのが、ミューレボ(ヤマハグループが展開する日本最大規模のアマチュア音楽コンテスト“Music Revolution”)でした。
●最初にコンテストに出た時の印象は?
MADOKA:最初に出た時は気持ち良かったというか、すごく楽しかったですね。
YURI:私は逆にイヤでした。あんまり目立ちたくなかったので…。今は(ステージ上で)笑えるんですけど、その時はたぶん全然笑っていなかったと思います。への字口でムスッとしていましたね(笑)。でも今は「目立ちたい」という気持ちに変わったんです。
●それは大きな変化ですね!
MADOKA:バンドを始める前は、今よりもずっと暗かったんですよ。あんまり目立たないタイプというか。でもバンドを始めて…、こんな感じになりました(笑)。
YURI:良い意味で変わったんです(笑)。
●ちなみに、その頃からもう“たんこぶちん”というバンド名だったんですか?
YURI:ミューレボに初めて出た時も、“たんこぶちん”として出ましたね。
●バンド名はMADOKAさんが考えたそうですね。
YURI:最初はそれぞれに色んな名前を考えてきたんですけど、フルーツの名前とかで(笑)。どれも納得いかなくて、みんなが黙りこんでいたら…。
MADOKA:その時に私がひらめいて、「たんこぶちん!」って叫んじゃったんです(笑)。
●何か意味はあるんですか?
MADOKA:本当に、意味はないんです(笑)。もう“たんこぶちん”という言葉の響きだけで。
YURI:辞書を引いても、意味は出てこないです。
MADOKA:そりゃそうだよ(笑)。
●ハハハ(笑)。でもインパクトはあります。
CHIHARU:やっぱり珍しい名前だし、ライブの出演者覧に“たんこぶちん”と書いてあるだけでも目立つので、そういう点でも良いかなと思います。
HONOKA:最初にMADOKAが言った時は、「ふざけてるのかな?」と思いましたけどね(笑)。変わった名前だから逆にすぐ覚えてもらえるし、今では好きです。…ありがとう、MADOKA。
MADOKA:感謝された!
一同:ハハハ(笑)。
●一発で覚えてもらえる名前だし、多くの人に自分たちを知ってもらいたいという思いもあるのでは?
MADOKA:だんだん人前でやるのが楽しくなってきて、もっとたくさんの人の前で演奏したいなと思うようになりました。
YURI:そういう気持ちが出てきたのは、わりと最近ですね。中学生くらいの時に、やっと自分たちのバンドとしての形ができてからだと思います。
●たんこぶちんとしてのスタイルができてきた?
YURI:私たちのモットーである“笑顔”と“元気”をちゃんと表現できるようになってから、バンドとしての形ができてきたんです。
MADOKA:笑顔と元気というモットーは、小学校の時に夏祭りで演奏した頃からずっとあるんですよ。
●そのモットーの下に活動を続けてきて、遂に7/17にはシングル『ドレミFUN LIFE』でメジャーデビューを果たすわけですが、プレッシャーは感じていない?
YURI:プレッシャーがないことはないですけど、今は何でも楽しもうと思っています。
MADOKA:私も楽しんでやろうと思っていますね。周りの人や環境も変わったので少し戸惑ったところはあったけど、初めて出会う人もたくさんいたりして自分の中ですごく新鮮でした。
●今作のレコーディングも楽しめましたか?
YURI:大変なこともあったんですけど、楽しかったですね。レコーディングをすると反省点や自分の直さなきゃいけないところが見えてくるので新しい発見もあるし、自分の技術が上がるのも楽しいんです。
●タイトル曲はすごく明るくてポジティブで、自分たちの心境に重なるところもあるんじゃないですか?
MADOKA:歌詞は、今の心境とすごく重なるところがありますね。たとえば“ソロの途中で 君と目が合う”ことは、実際の演奏中にもあって。明るくてポップな曲調も、自分たちのイメージに合っていると思います。
YURI:今まで自分たちがやってきた曲の中にも明るい曲はあったんですけど、その上をいく明るさだったから「どう表現しよう?」と思った部分はあって。しかもテンポが速いので、ライブの動きもどうしようかと悩みましたね。歌詞の意味も考えて、ここはライブでどう動くかというのもちゃんと考えて演奏しました。
●HONOKAさんは「ドレミFUN LIFE」のクリックを聴きながら、車で寝ていたんですよね?
HONOKA:えっ、何で知っているんですか…!?
MADOKA:昨日、ライブのMCで言ってたじゃん(笑)。
HONOKA:そうだっけ…? ビックリした(笑)。
●ハハハ(笑)。ドラムは苦戦した?
HONOKA:そうですね。「ドレミFUN LIFE」はテンポが速いのでノリでも何とかできるんですけど、逆にM-3「バビロン」はゆっくりなのでリズムをずっとキープするのが難しかったです。
NODOKA:この曲はベースもピック弾きだったので、ちょっと戸惑いましたね。私は今まで指弾きばかりだったんですけど、ピック弾きのほうがカッコ良い音が出るので今回はそっちにしようとなって。大きな課題がポンと来た感じで、頑張りました。
●「バビロン」は曲調的に、今までない感じだった?
HONOKA:ロックっぽくてカッコ良いなと最初は思ったんですけど、そういう曲調は初めてだったので私たちに上手く表現できるのかなと不安な部分はあって。
MADOKA:初めてやるタイプの曲調だったので、いっぱい練習しましたね。
●逆にM-2「コイゴコロ」は以前からライブでやっている曲なので、やりやすかったのでは?
YURI:この曲は私たちが2番目に作ったオリジナル曲で、中3〜高1くらいの頃からあります。
MADOKA:アレンジはその時から少し変わっているんですけど、みんなで意見を出し合って作りましたね。
●歌詞もみんなで書いているんですよね。
YURI:今振り返ると、歌詞は大人っぽいなと思います。
MADOKA:「中3って、こんなことを思うんだ」って(笑)。
●ハハハ(笑)。今作全体を振り返ってみて、どんな作品になったと思いますか?
MADOKA:1曲ずつ言うと、まず「ドレミFUN LIFE」はみんなで一緒に口ずさんで歌える感じがします。「コイゴコロ」は自分で聴いたり演奏していても、切なくなる感じがあって。「バビロン」は強気なんだけど可愛げのある女の子が主人公というイメージが自分の中ではありますね。
●曲それぞれに違うキャラクターがある。
NODOKA:明るい曲もあればカッコ良い曲もあって、たんこぶちんが持つギャップみたいなものを見せられている作品かな。
CHIHARU:3曲とも曲調が違うから、たんこぶちんの色んな表情が見せられるかなと思います。
HONOKA:音楽とか技術の面だけじゃなくて、歌詞もちゃんと読みながら聴いてほしいんです。それで「たんこぶちんって、こんな人たちなんだな」と思ってもらえたら、うれしいですね。
YURI:作品全体として、私たちらしさを出せた気がします。ギターソロも入れられたし、1人1人にちゃんと見せ場があるんですよ。みんなの良いところが出て、バンドとしての良さも出せている作品になったと思いますね。
●では最後に今後の目標を聞かせて下さい。
MADOKA:大きいステージで、たくさんのお客さんの前でライブがしたいです。自分たちを好きで観に来てくれているファンの前で楽しく演奏したいですね。
●大きいフェスに出ても、緊張しない?
MADOKA:何かもう…ウキウキします。
NODOKA:緊張はするけど、演奏が始まったら「あ、楽しい!」っていう感じになるんです。
YURI:もしそこで思いつめているメンバーがいたとしても、みんなで「大丈夫だから。なるようになる!」って言います(笑)。そういう場所で、自分たちの曲を一緒に歌ってもらえるようになりたいですね。
Interview:IMAI