音楽メディア・フリーマガジン

矢沢永吉

「永久保存版」矢沢永吉・デビュー40周年記念大特集

日本の音楽業界で、これほど独創性を持ち、音楽ビジネスにおいても自立した思考・行動力を兼ね備えたアーティストはいただろうか?

矢沢永吉は、人に頼らず、誤解を恐れず、己の信念と志だけでこの40年を戦ってきたんだろうと思う。
ヴォーカリスト、音楽家としての魅力は言うに及ばず、どんな仕事をやらせてもきっと大成功を成し遂げる人物だと確信している。

矢沢永吉の音楽に興味がなくても、知らない人でも、この特集を読めば、きっと勇気と感動を覚えるものになっている。
今の、これからの日本には、矢沢永吉の精神性と唄に織り込まれた愛情が必要なんです。

目の前の矢沢さんは、嘘のない、上品で、男として、とてもチャーミングだった。

CAROLをリアルタイムで見た。九州の九電記念体育館。僕は17歳の高校生だった。

CAROLが登場するなり、僕は最前列にいた。矢沢さんは僕の目の前でベースを弾きながら渋い顔して歌っていた。38年前の出来事である。そう言えば、あれから一度も最前列でライブを見た記憶がない。
そしてバンドマンにあこがれた僕は23歳の時にレコードデビューをする。1981年の事だ。
矢沢さんはすでにソロでスーパースター。話題の著書『成りあがり』が社会現象となっていた時期だ。
そんな時、矢沢永吉ファンクラブの会報誌に、『成りあがり』について原稿を書く機会を頂いた。僕はその時に書いている。“いつかきっと永ちゃんに面と向かって会う事ができる、その時には人として恥ずかしくない、男として恥ずかしくない状況で会いたい”と。
今回のインタビューが決まったときも、「僕でいいのか?」「僕にできるのか?」自問自答し、ずいぶん悩んで、やっと結論を出すに至った。

JUNGLE☆LIFEは20年前に創刊。動機は当時インディーズの音楽を取り扱う雑誌がなかった事。
これからはDIYの精神で、自分のことは自分でやる! 新しい形態の音楽産業が形成されるだろうと予感したからなのだ。

今回インタビューするにあたり、著書を読み返し、年代ごとに音源もチェックしてみた。
矢沢さんは、あらゆる事情に対して真面目で、音楽にまっすぐな人だと痛感した。過去のインタビューや発言からずいぶん誤解も多いし、周りの妬みや、やっかみも半端じゃない。そんな中での40年現役は、簡単に真似のできることではない。

インタビュー中に矢沢さんは、「誤解を恐れていてはいけない」と何度も繰り返されたが、僕は少し反論した。こんなにピュアな考え。嘘のない眼差し。こんな人をどうして誤解するのだろう?
僕の目の前にいる矢沢永吉という人物は、“人”として魅力があり。“男”として、とてつもなくチャーミングなのに。
ただ、彼の幼い頃からの、そして、青年期の経験は人とは違うものなのかもしれない。僕が矢沢さんの言っていること、感覚が手に取るようにわかるのは、僕も彼と同じような少年期を送った経験者だからなのか。
もっと多くの人に伝えたい、誤解されたままのイメージを変えたい。矢沢永吉の音楽に興味がなくても、その生き様には触れてほしいと思う。特に音楽で成功を夢みる人、音楽業界の人たちには。
異論や反論もあると思うが、志がブレることもなく、40年間現役を維持している事実は厳然とあるのだから。

矢沢さんの著書は“人生の指南書”であり、楽曲は“その時の心象風景”。
日本の歴史に哲人として名を残す、中村天風。GHQとも対等に渡り合った唯一の日本人、白洲次郎。
この2人の歴史的人物と矢沢さんがダブって映るのは、僕だけなのだろうか?
40年もの歳月を常に第一線で走り続け、誰にも頼ることなく、周りを愛し、タフに生き抜く。まさにインディペンデントとはこういう事だと思う。

インタビューを終えて、僕は勝手に推理してみた。41年目からの彼の目標は、現存する2人のビートルズ。
ポールとリンゴを引っ張り出し、彼のルーツであるビートルズに捧げる曲を世界に問う。
この実現こそ矢沢永吉にふさわしい目標だと考えている。
くしくも、矢沢永吉40周年。JUNGLE☆LIFE20周年。
この因縁めいた今年に、インタビューできたこと、何より真実の矢沢さんと目を見て会話できたことに誇りを感じる。

JUNGLE☆LIFEは、21年目に向かって矢沢さんに恥ずかしくない誌面作りと、音楽を愛する、楽しむ人が人生を謳歌する機会を創造し、真のインディペンデント・ミュージックシーンを確立するために歩み続けると心に誓って。

2012年6月13日(水) 事務所にて
JUNGLE☆LIFE 発行人 平井孝明

>>EIKICHI YAZAWA 40th ANNIVERSARY SPECIAL LONG INTERVIEW

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