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薄れる記憶の為に記録する。伝え続ける為に想い続ける。忘れない為に必要なのは、想い続けること。
自分は福島県のいわき市生まれ、在住のギター弾きとして色んなバンドや人達と音を鳴らしています。そして、いわき市の沿岸部を約20年間モータパラグライダーで空撮で記録し続けている酒井英治さんとともに、映像作品「かもめの視線」シリーズを作っていてその音楽を担当しています。この地で暮らして伝えられることは。
元々「かもめの視線」はいわきの人でも知らない、空からしか見れないいわきの美しい海や風景を映像と音楽で伝えるのが目的でした。
2010年の2月にDVD作品としてシリーズ第1弾を発表し地元以外でも好評を得て、2011年3月には第2弾を発表するつもりでした。
2011年3月11日。
あの大きな地震が起きました。
津波、そして、原発事故。
伝えたいと思っていたものが猛威となり、景色を一変させ、目に見えない恐怖が覆いました。
この土地にいて当時はやはり家族や、音楽仲間達の安否、そして、生活や原発に関しての様々な情報を調べては一喜一憂を繰り返す日々で楽器を弾いている余裕などありませんでした。
同時に自分達の作品があまりにも直接的な題材の作品なため発売は出来ないなと思っていました。
海を見るのも辛い人達がいるのは想像に難くなかったですし、実際そういう声も直接頂きました。
そんな時に背中を押してくれたのは、被害の大きかった海沿いの人達でした。ギター弾きの先輩、このコラムにも以前寄稿しているバンド仲間、そこに住んでいる方達、住んでいた方達。
「伝えてくれ」って。
いわきに自慢できる海や自然、町並があったこと。
それを伝える許しをもらい、それを伝える役割があるんだと気づかされました。
再開できたclub SONIC iwakiでの11年4月のライブから、再び震災前の楽曲と映像とともにライブを続け、時間が経つにつれ映像を編集していき、震災当時の様子も、復活していく様子も、なかなか変わらない様子も映し、過去も現状も伝えてきました(全国のニュースなどでも取り上げて頂きました)。
猛威を見せた、けれども、やはり美しい自然も。
制作している自分達、だけじゃない、想いものせて。
シリーズ最新作では、津波被害で天国に旅立ったある女の子の話から作った曲があります。生き残ったお父さんがデザイナーになりたかった娘さんの夢をハンカチ にして叶え、そして、あの震災の経験を伝えたいという「想い」から繋がった出会いです。その曲は過去と今と未来を繋げる為の大事な一曲になっています。
3年が過ぎ記憶も関心も薄れていくのは感じます。人間ですから。逆にそうしないと進めない方もいるのも知っています。もういいんじゃないかとも言われます。
でも、まだ、終わってないのです。
3年が過ぎても伝えられること、知る事もまだまだあります。県外に行っても、同じ県内でも、この地元いわき市でも。
だから、伝えていきます、これからも。