人の面倒を見るのも好きなのですが、人の面倒を見れば見るほど自分のステップアップの糧になっていくのもまた然りなのです。
CHiLi GiRLとして先月12月、シンガポールはセントーサ島という素晴らしい場所で行われた国営音楽フェス「JAZZ BY THE COVE(以下JBTC)」へ出演してきました。才能巻き込み型プロジェクトことCHiLi GiRLとして、今回パートナーに迎えたMPC GIRL USAGIと旅をしてきました。素晴らしい女です、彼女は。
さて、今回は海外公演編です。津軽三味線というスペシャルな楽器をやっている線の上では、海外文化交流、日本文化伝承という役目を負うのはしばしば。
その役目を果たすべくこれまで行った国は、イタリア、オーストラリア、スペイン、スリランカ、台湾、ロシア、アメリカ、そして今回のシンガポール。
各国一度きりではなく、数度訪れたこともある国もあり、その場合は現地のファンが駆けつけてくれたりと嬉しいことも重なりました。
ただ、いくら自分らしい活動が元で選ばれたと言っても、自分の力で海外公演を掴んだわけではなく、やはりいずれも"日本文化を伝承するタレント"というカテゴリありきで恵まれた公演だとも思っています。
その場合、たとえば30分の出演時間のうち、運営のオーダーとしては「ポップス×民謡=7:3」であるとか、完全に自分の好きなように構成することは難しいのです。
民謡を挟むために、そして津軽じょんがら節を挟むために、前後の自作ポップスを流れ良く検討しなければなりません。そんなとき、せっかくリリースした例えばスウィートな曲を、披露したくても流れが悪くて披露すら諦めなければならないとか、流れを良くするために、自分らしさよりも利便性に傾いた新曲を作らなければならないとか、それなりに葛藤がありました。それを大胆ながらもお利口に請け負ったのは"川嶋志乃舞"名義でした。
どの公演も本当に本当に楽しかった。それは間違いないのです。ただ、どこかで必ず使命感というものはついて回っていたのだと思います。
ここまで読んでいただければCHiLi GiRLを創った理由もちょっぴりお察しいただけるはず。スパイシーでチャーミングで、無責任で大胆で、和風ではない自分の好きな衣裳が着られて、思い付きだらけの自由で、どうしようもなく友達が大好きで、そんな才能あるおバカでかっこいい仲間たちと演奏して、そんでもっていくつになっても新しい発見をして、また思い付きを体現していく。
そんなものに憧れた、あたしの夢そのものなのです。
夢を持てば必ず叶うわけではないと、酸いも甘いも生きてきた人は思うかもしれません。あたしもそうです。
しかし、夢を持たなければ動くことすら出来ないのです。夢を語れば人に伝わり、"実現"させようという見栄ではなく、"実行"せねばという感覚を持てる人が、夢を叶えるのではないでしょうか。
今回旅を共にしたソエジマくんと本連載vol.2で、世界にどう出て行くかを、記事では簡素ながらも芯を持って対談したのを振り返ります。
▶︎連載vol.2 ソエジマトシキと語る https://www.jungle.ne.jp/serial_post/cultures-backpacker_2/
そして自分たちのフィールドは世界であると、早々ターゲットを明確にして業を磨いてきたTOKYO GROOVE JYOSHIとの台湾フェスも忘れてはいけません。彼女らも今回再びシンガポールを共演しました。
▶︎連載vol.3 自分らしく、海を越えるには
https://www.jungle.ne.jp/serial_post/cultures-backpacker_3/
このJBTCでは、川嶋志乃舞ではなく、ソエジマバンドやTGJのゲストミュージシャンでもなく、CHiLi GiRLとして呼んでいただきました。そして一番聴きたかった言葉が。
「あなたらしいライヴパフォーマンスを」
本当に本当に、懲りずに続けてきて良かったと心が満たされ、愛いっぱいのパフォーマンスに全力を尽くすことができました。
そして、寂しがりな私にパワーと勇気をくれて、いっしょにステージで音の会話やバトルを楽しんでくれた最高の仲間、USAGIがいたからこそ、新曲strawberry chocolate nightや世界を踊らせるパフォーマンスが叶いました。
彼女は一生の友達です。
もうひとつ気がついたこと。それは、CHiLi GiRLは音楽だけを届けていたのではないということです。シンガポールの国営無料フェスということで、連日CHiLi GiRLを観に通ってくれた女の子が、最終日に似顔絵をプレゼントしてくれました。
このプレゼントがなければ、あたしはまた迷う日が増えていたかもしれません。
このイラストはいま、iPadの後ろに挟めて毎日持ち歩いています。彼女はあたしの、もっと素直な部分を見てくれていたんだということを忘れたくないから。
本当の意味で、自分らしい自由でスペシャルな海外公演を成功させることができました。
さあ、次はどこへ行けるのだろう。それもこれも、日々のあたしの歩幅次第なのかも。みなさん、楽しみにしていてくださいね。
本年も謹んで大胆に、宜しくお願い申し上げます。
2024.1.10
Shinobu Kawashima著
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