今回より「シューゲイザーのMIX」について取り上げていきます。
シューゲイザーの元を辿ると、80年代中盤のイギリスを中心に、サーフ・ガレージ、New Wave、ネオアコ、エレポップなどが変型した音楽ジャンルであると言われています。当時はまだシューゲイザーという呼び名はありませんでした。
その頃ギターを何十本も重ね録りするバンドは多くなく、ボーカルのリバーブも全開とまではいかず、ダブリングやハモリも多いにせよ、歌詞は何とか聴きとれる曲が程々あったと思います。
その時期のシューゲイザーの、代表的な音響配置図です。
全体の配置に対して、アーリーリフレクションとホールリバーブの使いこなしがポイントでした。
1988年発売のYAMAHA SPX900、SPX1000のプログラムがモロにハマったパターンです。
90年代に入り、オルタナ、グランジ、ミクスチャー、ニューメタル、デジロック、ポストパンクなどの要素が加わり、バリエーションを増やしながらシューゲイザーも進化していきます。音響的な変化も様々になっていきました。
【今月のMV】COLLAPSE「PATH」
https://www.youtube.com/watch?v=izaFGpN1uTU
国内を代表するシューゲイザーバンドの一つであるCOLLAPSE。スローからミディアムテンポの楽曲が多い彼らにしては珍しい、アッパーな一曲。例えるならMy Bloody Valentineの1stアルバム「Isn’t anything」の後半曲に、4AD色が追加されたとでも言うべきか。当スタジオではマスタリングを担当。
【今月のちょいレア】Better maker Mastering Equalizer
アナログのマスタリング用アウトボードでありながら、質感は意外にクール。内部Mixをプラグインでマスタリングするプロセスでは成し得ない、正確なリッチさが堪能できる逸品。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
【告知】コミュニティFM「ラジオ川越」にてラジオ番組始動
10月分の放送は10月11日(水)と25日(水)23:30~24:00より(第2・第4水曜日に放送)
番組タイトルは「Music Translation」
出演者はチャプターハウス代表 樫村と、サイエンスライター荒舩良孝氏、フリーアナウンサー荒舩裕子氏です。
番組は「Listen Now(JCBAインターネットサイマルラジオ配信)」でリアルタイム聴取できます。
https://www.jcbasimul.com/radiokawagoe
(コミュニティFMなのでRadikoでは聞けません、ご了承ください)
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
cruyff in the bedroom 「lazy sugar doll E.P.」
ジャパニーズ・キング・オブ・シューゲイザーと称されるクライフの、数年ぶりとなる新曲。ポストグラム、R&R、ニューゲイザーがバランスよく融合した、存在感ある作品。当スタジオではマスタリングを担当。
RISKY MELODY「Reflection」
CLUB CITTA' 川崎でのワンマンライブを大成功させ、2024年2月にメジャーデビューが決定しているRISKY MELODYのフルアルバム。前作よりもラウド路線にシフトし、自らの本質を見出した意欲作となっている。
KamaShow 「Soul Love」
テレ朝系特撮ドラマ『獣電戦隊キョウリュウジャー』主題歌で歌手・鎌田章吾としてメジャーデビューし、2020年改名、再デビューしたKamaShowのフルアルバム。洋楽をこよなく愛する彼の本音が詰まった自信作。当スタジオでは、ほぼすべての楽器隊のレコーディングを担当。
DEAD STOCK 「Changing Scenery」
従来のフューチャーレトロパンク路線から、ポストパワーポップ的要素を加味した挑戦作。攻守のバランスが素晴らしくコントロールされている点に注目。
MONSTER Gann 「MONSTER Gann其ノ壱」
ロックの様々な要素を取り込み、メンバーそれぞれのフィルターを通して、こだわりを出しながら構築されているGoodTune。何々風、とカテゴライズしにくい点に好感が持てる。