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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第93回

CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 93


今回ご紹介するパワーケーブルはOKUTSU DENKO Destiny AIR-3-DS-1.5です。

81回でご紹介したエアケーブルシリーズstrike AIR-3-ST-1.5と、82回のUniverse AIR4-UV-1.5との間に位置するケーブルです。

Destiny AIR-3-DS-1.5の特徴を一言で表すなら「タイト」。

レンジの広さはなかなかのもので、やや天然コンプ的質感と言えそうです。

ベースアンプ、ギターアンプ、アウトボードのマイクプリ、チャンネルストリップ、そしてワークステーション系シンセなどとの相性は抜群です。

新品定価で6万円弱、中古で3万円弱ほどで手に入るので、興味のある方は是非チェックしてください。


【大学生バンドのセルフREC

全体の空間の在り方をリバーブ中心で構築し終えたので、次は歌の立ち位置をどこにするか、を考える。

この曲は、コンプやボリュームカーブで歌の立ち位置を前に出すと、なぜか楽器隊との距離が出やすく、ボーカルだけが浮いてしまいがちになる。

そこで、プリディレイとリバーブタイムを細かく調整し、リバーブ(ホールまたはプレート)をやや深めにかけてみると、なじみすぎてしまった。

EQをいろいろ試してみるという案も出る中、「エキスパンダー」を使用してはどうかという意見が出た。

エキスパンダーやノイズゲートなどのエフェクターは、コンプと真逆で「小さい音をより小さくする」効果が一般的に知られている。

つまり、ホワイトノイズやピンクノイズなどが入ってしまったトラックにエキスパンダーをかまして、ノイズの音量を少しでも目立たなくしたり、ドラムのタム系トラックにさして被りを減らし、分離をよくするなどといった使用法が定番である。

なぜ今回、その「エキスパンダー」を使おうとするのか。

詳しい検証は次回で。


【今月のMV

例えばあなたと私の関係について「reject

https://www.youtube.com/watch?v=tK60W5UMVJM&t=1s

クールでグルーヴィーな楽曲に、セピア色の映像をまとわせたアーバンな作品。シティーポップやファンクといった一言では片づけたくない、有機的な魅力が細部にまで浸透している。


【今月のちょいレア】

Vintech Audio 609CA

Neveの名機であるコンプレッサー33609のレプリカ的な製品。

本家と比べると、ややワイドレンジで圧縮された感じがする。


【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】

STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表

レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター

Whirlpool Records/brittford主宰

専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動

全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける

スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します


ひっとみぃ「何者にもなれない。だから何者にもなれる。」

幾何学的エレクトロニカとでも呼べそうな独自のジャンルを確立、音数を最小限に抑えて隙間を楽しむサウンド。パズルワークポップとも解釈できる、アート性あふれる作品。


D-VaTrigger

ソウル、ファンク、クロスオーバーをベースに、現在進行形のポップミュージックをセンシティブに付加して、玄人にも受けそうな本物のサウンドが楽しめる作品。ポップス製造職人のさりげないこだわりが堪能できる。


 

日々かりめろ「紀行録」

今年も東京ビッグサイトでのワンマンライブを決行する、日々かりめろの6thフルアルバム。従来の王道弾き語り路線に加えて、バンドアレンジやデジタル系トラックとの融合が素晴らしい。2022年10月全国発売。


wrongvacationHow Your Love Makes Me Feel

東北を拠点として活動する、ブラックミュージックを核とした洋楽系バンドのシングル。とにかく歌がうまいだけでなく、英語の発音や雰囲気も素晴らしい。楽器隊の演奏スキル、アレンジなど、どこをとってもお見事としかいいようがない。


ZERoMESSY SHOOTING STAR

ボトムは、90年代から2010年くらいのオルタナティブロックとクラブミュージックの融合から始まり、上モノは、古典的な楽器を彩り多く奏でているようだ。その上にZERo氏のMid-Lowボイスが乗るとき、新しい何かが生み出されるような感じを抱く作品。

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