CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 92回
今回ご紹介する電源ケーブルは OYAIDE BLACK MAMBA-α V2です。
前回紹介したBLACK MAMBA-Σ V2の廉価版にあたりますが、実力はなかなかのものです。
特に押し出し感が強いので、ギターアンプ、ベースアンプ、キーボードなどにも向いています。
価格も比較的リーズナブルなので、最初に持つ電源ケーブルにおすすめします。
【大学生バンドのセルフREC】
前回は、テンポチェンジ用に「2種類のプレートリバーブをAux2回線使用してかける」ところまで作業を進めた。
次に考えるべき点は「リバーブのRETURN(合流点)をステレオ、モノラルのどちらにするか」である。
キックとベース以外のほとんどのパートに、ステレオで2種類のプレートリバーブを別々にかけることにした。注意する点は、そのままある程度の量をかけると「いかにも」な感じになるので、EQで500Hz以上と2KHz以上をシェルビングでゆったりカットして生音と混ぜつつも、よりリバーブ感が自然に感じられる質感に追い込むことである。
【今月のMV】YAPOOL 「90.5」
https://www.youtube.com/watch?v=SD7BjH2wNwQ
R&R全開のアッパーチューン。全メンバーの振り切り感が潔すぎて好印象だ。YAPOOLというバンドの本音が伝わる本気のMV。
【今月のちょいレア】WAVES MAXX BCL
ダイナミクス系プラグインが有名なWAVESが、20年以上前にL2(マキシマイザー)のアウトボードをリリースした当時「かかりかたがプラグインとあまりにも違いすぎる」ことが話題を呼びました。
このMAXX BCLは、そのL2アウトボードにMAXX BASEとルネッサンスコンプを搭載し、ADコンバーター部分も強化された、真の「スーパーアウトボード」な逸品です。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
wrongvacation 「Change」
ソウル、ファンクにリスペクトを感じる、宮城在住チル系バンドの作品。60年代後半から70年代中期のアメリカンルーツミュージックが身体に染み込んでいる印象を受ける。当スタジオではマスタリングを担当。
カカシカシカカ「はじまる」
リードギターのエスニック風リフが特徴的な、カカシカシカカ満を持しての新曲。メンバーそれぞれが多種多様な活動をしているためか、アレンジのみならず演奏スキルも格段にアップしている。
ZERo「胡蝶の森」
古典風ダンスビートにLOW VOICEが刹那的に絡む、レトロフューチャーポップとでも呼べそうなトラック。古いとか新しいとかではない、不思議な魅力がある。
CHiARiN 「玉響、恋情乱落す」
CHiARiNのきらびやかな声質に深いリバーブがかかると、妖艶さが増しながらバックトラックにも自然に溶け込み、不思議な魅力を放つ。クラシカルニューウエーブ風ポップ、とでも名付けるべきか。
NØlla 「 HELLO」
ギターロックを軸に、エモ、オルタナ、ミクスチャー的エッセンスが微量感じられるNØllaのシングル。普遍的なアレンジや音作りが、逆に個性的とも言えそう。