CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の
セルフRECはプロRECを越えられるか? 第83回
今回ご紹介するのは「ACスタビライザー」です。
一見するところ電源ケーブル?高級な延長ケーブル?のようですが、実はかなりハイパーな代物なのです。
代表的な製品にはAcoustic ReviveのRAS-14 Triple C(写真)などが挙げられます。
通常のACケーブルにスタビライザーを接続し、壁のコンセントにつなぐのが一般的な使い方です。
ACスタビライザーを接続することにより、グラウンドループを断ち切ることが出来、いわゆるアースノイズをはじめとした大抵の電源ノイズを除去した、ピュアでワイドレンジな音像が体験出来ます。普通のご家庭の電源で作業している方には、効果絶大といえましょう。
【大学生バンドのセルフREC】
スローバラード系のRECもいよいよ最終段階。
残っているハモりは「2B下ハモ」「1B、2B下ハモダブリング」のみとなった。
モニターバランスは前回と同じ。
練習テイクで2B下ハモを歌ってみる。モニターバランスはすでに出来上がっているが、1Bの時と同様につられてしまう。ガイドメロディーを確認し再チャレンジするも、やはりつられる。
1B収録時に使った作戦「主メロ、上ハモ、上ハモダブリングをミュート」して歌ってみる。つられてはいないがリズムが甘い。再々チャレンジで雰囲気含め良くなった。
2B後半はパーフェクトなので、前半のみパンチインし、ほんの少しリズムを修正してOKとした。
次回はいよいよ1B2B下ハモダブリングだ。
【今月のちょいレア】 KS Digital
同軸のハイエンドパワードモニタースピーカー。手っ取り早くリッチなサウンドスケープが体験できる実力機だ。低音がやや強めなので、リアパネルのスイッチで音域を調整しながら使用すると、良いバランスになりやすいかも。
【今月のMV】 Slingshot Million2「アスミライ」
結成当時から「ハッピーパンク」というキーワードを掲げ続けている彼らの最新MV。楽曲バリエーションの幅広さ、ツインボーカルの絡みのセンスなど、どこを取ってもレベルアップしている作品。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!
Radiolady 「Sweet Soul」
Novembers、People In The Boxなどに代表されるJオルタナバンドの系譜ともいえる「Radiolady」のデジタルシングル。随所に欧州シューゲイザーバンドのエッセンスも感じられ、好印象だ。
脳ジャズfeaturing Michel Kaneko 「Heaven」
70年代から現在に至るまでのソウル、ファンクの「原点と発展形」の要素を感じられる名曲。一般受けと玄人受けの丁度中間になるような音楽性が素晴らしい。
nikiie 「Lazy day」
ゲス極のBa.休日課長も在籍するバンドDADALAYや、音楽クリエイティブユニット (K)Now_NAMEのメンバーとしても活動するnikiieのデジタルシングル。気だるさとエキセントリックさが醸し出す快適な雰囲気がたまらなく伝わってくる秀作。
モノクロミライ 「カラフル」
彩りのバリエーションがリッチな気分にさせる、小洒落たギターロックバンドのミニアルバム。色合い豊かなこの作品は、どの曲から聴いてもストーリー性を感じさせる。
Alice Tea Party 「リズミック・プリズム」
アリス・ティー・パーティーの総結集ともいえるフルアルバム。ギターロックがベースにありつつ、オルタナ、ディスコパンク、NewWave、ポストロックチューンが満載の作品。