音楽メディア・フリーマガジン

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第82回

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の

セルフRECはプロRECを越えられるか? 第82回


1~3万円クラスのパワーケーブルとは一線を画するクオリティーを誇るOKUTSU DENKOの製品を、今回もご紹介します。

<写真は前回ご紹介したUniverse AIR4-UV-1.5>


実は、これより更に上位のモデルが存在します。

その1つがOKUTSU DENKO Prestage Customというケーブル。

下の写真はそのPrestage Customの上位にあたる、メーカーの中では最上位のフラッグシップケーブル、Extremeです。


他社のフラッグシップケーブルと比較しても一段階ワイドレンジで、芳醇な立体感がたやすく演出出来る実力を持ちます。ウイークポイントが見当たらず、ストロングポイントのみ目立ちます。

定価で20万超のこの製品、現在は生産完了らしいのですが、ごくたまに中古市場で10万前後で見かけることがあります。

ケーブル一本に10万円となると本職の方でも勇気のいる価格だと思いますが、ハイエンドなコンデンサーマイクやアウトボードの中古よりは安いと思います。システム全体のグレードアップ、と捉えれば決して高い買い物ではないと、個人的には思います。


【大学生バンドのセルフREC】

Bメロ下ハモからの予定だったが、上ハモの感覚が残っているうちに「Bメロ上ハモダブリング」を録ることにした。

上ハモOKテイクをガイド代わりに使えるので非常にやりやすく、1B、2B共にほぼ一発で決まった。

ピッチ、リズムの微調整後、1B、2Bの上ハモ下ハモダブリングはOK。

次はBメロ下ハモ。

多少モニターバランスを変えてみる。

<マイクBlue Dragonfly>

ガイドメロディーで下ハモのコーラスラインを再確認。

試しに一回チャレンジすると、3声になる下ハモがやはりハードルが高く、2声の時よりもすぐつられてしまう。再度ガイドメロディーを確認、Cueboxのバランスを調整しながら歌ってみた。モニターバランスは徐々に良くなってきたが、3声のハードルは高く、やはりつられてしまう。

強行策として、「主メロ、上ハモ、上ハモダブリング」の3パートをミュートして、下ハモのみにして録ってみた。つられなくはなったが、リズム含めまだ甘い。数回チャレンジし、ピッチ、リズムの修正をした。次回は2Bだ。


【今月のちょいレア】 PMC TWO TWO6

英国を代表するハイエンドスピーカーブランドの傑作。どこの周波帯を見ても全くいびつな成分がなく、音楽的に見てもスーパーフラットと呼べる逸品だ。


【今月のMV】 前田和花「DREss」

https://www.youtube.com/watch?v=3wGkwtYO9Hc

初期の椎名林檎と大森靖子を足して2で割ったような、パンチ力と疾走感がストロングポイントの一曲。メジャーデビューを果たした記念碑的作品。


【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】

STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。

全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。

スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

 

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。

エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!


Sayonara Tokyo 「the sun and the moon」

エモーショナルとクール、洋楽と邦楽、といった相反しそうな世界観を全体から感じることが出来る。一貫していえるのは、ロックとかポップとかいうカテゴライズを超越した、圧倒的ワン&オンリーな作品であるということである。


woebegone 「GOLD」

仙台在住モダンポップバンドのミニアルバム。70~80年代のファンクと、現在進行形のシティーポップをナチュラルに融合させ、定番リフを多少変化させてアレンジしている点にオリジナリティーを感じる。当スタジオではマスタリングを担当。


ホロトニア 「ひと-ごと」

新潟在住ギターロックバンドのフルアルバム。一聴してU2のようなヨーロピアンテイストと、ロキノン系がバランスよく融合された作品。掘り下げて聴くと、細かいリフや音色に深いこだわりを感じる。2021年11月メジャーリリース。当スタジオではマスタリングを担当。


SlingshotMillion2 「アスミライ」

メロコアというジャンル枠に収まりそうで収まらない、男女ツインボーカルロックバンドのマキシシングル。定番を押さえつつ、真正面ではなく少々斜めからのアプローチがユニーク。


COLLAPSE 「GARDEN」

ミドルテンポのメロディアスなシューゲイザーチューン。個人的にはPale Saintsの「Kinky Love」が轟音になったような印象を受けた。Slowdive好きにもおすすめの一曲。


 

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj