CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の
セルフRECはプロRECを越えられるか? 第81回
今回も、OKUTSU DENKOUのプレミアムな電源ケーブルをご紹介します。
OKUTSU DENKOUの開発したAir Cableシリーズ。
下の写真は前回ご紹介したエントリーモデル、strike AIR3-ST-1.5です。
AIR3には、この他に2つの上位機種Alchemy AIR3-AL-1.5とDestiny AIR3-DS-1.5があります。
そしてAIR3シリーズよりもう一段階以上の高級な音像を楽しめる、Universe AIR4-UV-1.5をご紹介します。
ワイドレンジで非常に位相が良く、きらびやかなフラットさが魅力で、どのような機材と組み合わせても全く死角がありません。
発売当時、定価で10万円ちょっとでしたが、ごくまれに中古市場で4~5万円で出ていることもあります。
既に1~3万円くらいのエントリーから中堅クラスのケーブルを所有していて、もっとステップアップを狙っている方には打ってつけの逸品と言えそうです。
【大学生バンドのセルフREC】
前回に続き、バラード曲のコーラス録り
Bメロ上ハモ、下ハモ、上ハモ下ハモのダブリングにチャレンジ。
Bメロの主メロは比較的中低域寄りなので、上ハモから録る。
その前に主メロのピッチ、リズムを直す。
Bメロは、Aメロと比べ楽器のアレンジが大きく変わる。
そこを見据えて、マイクはBLUE Dragonflyをチョイスした。
練習とバランスチェックを兼ねて数回試し録りをし、本番へ。
3rdテイクをOKとして、一部ピッチとリズムを修正。
2Bは主メロが少し変わる。1Bのつもりで歌ってみるとずれが出たので、ガイドメロディーを確認して数回テイクを重ねる。ようやくOKテイク、ピッチとリズムを修正した。
次はBメロの下ハモだ。
【今月のちょいレア】 TASCAM VL-X5
TASCAM VL-5シリーズ3種類のうちの一つ。大きさ、形、サウンドキャラクターはVL-A5に近いが、VL-X5はそれよりややシックでよりフラット。10年以上前の製品だが、中古市場で2万円台で見かけることも。3~5倍くらい価格が高い、欧米のスピーカーともいい勝負の実力を持つ名機なので、小型スピーカーから卒業したい方に是非おすすめしたい。
【今月のMV】 two pack milk 「わかりやすい癖」
https://www.youtube.com/watch?v=Q4QeIE9vAKE
例えるなら「オルタナ系メロディアスロック」とでも言うべきだろうか。独自の路線をまい進するtwo pack milkの意欲作。シューゲイザー系ギターサウンドとクールな映像とのコントラストが新鮮だ。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!
PEI 「夢を見る島 / 瓦礫の上に立つ女」
福島県いわき市在住ギターロックバンドのシングル。王道サウンドの中にも、多少の亜流的要素が見受けられる点が個性になっている。声質と歌詞の絡み、楽器陣とのクロスオーバーも好印象。
前田和花 「月はおもしろいほど輝く」
高知出身18歳シンガーソングライターのメジャーデビューアルバム。椎名林檎や大森靖子に通ずるハスキーな声質や独特な世界観に、中毒性を感じる人が続出する予感。2021年10月全国発売。当スタジオではマスタリングを担当。
Talk Never Talk 「Flow」
カナダ、オーストラリア、日本の多国籍グローバル3ピースロックバンドのシングル。最新ビルボードチャート的な要素と、ヨーロッパインディーサウンドがハイクラスに混合しているのが聴きどころ。当スタジオではRECを担当。
Weather Forecast 「SLOUCY」
福島県会津若松市在住ロックバンドのシングル。80~90’sのJ-POP、J-ROCKド直球サウンドだが、20数年前に制作した楽曲を、少しずつアレンジを変えながら完成させたプロセスに、いわゆるオマージュではないものを感じ取ることが出来る。すべての世代におすすめ。
Risky Melody 「ESPERANZA」
Vo.アリスを中心とするガールズロックバンドのフルアルバム。各曲ごとのコンセプトの違いが音楽性の幅を広げつつも、根底では全曲通して一本の連続したストーリー性が完成している。スキャンダラスな雰囲気が見え隠れする楽曲にも着目したい。