CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の
セルフRECはプロRECを越えられるか? 第79回
今回もACOUSTIC REVIVE のパワーケーブルを取り上げます。
【POWER SENSUAL MD】
最近まで、ACOUSTIC REVIVE社国内販売用パワーケーブルのフラッグシップモデルだった製品です。(現在のトップモデルはPOWER SENSUAL MD K)
一際目を引く鉄の筒のようなパーツは「出川式MDユニット」と呼ばれ、電源ケーブルから発生する磁界を打ち消し、電源供給能力の劣化を抑える効果があり、電源ノイズ、グラウンドノイズを強力に消滅させ、S/N比が大幅に向上するそうです。
価格は、これまで紹介してきた同社製品と比較して一桁違いますが、実力は一桁どころか二桁以上違うと思います。
【大学生バンドのセルフREC】
今までに録った上ハモと上ハモダブリングのピッチをプラグインで修正、リズムのずれも少しずつ修正して、違和感がなくなった。
いよいよ下ハモ録り本番に突入。
上ハモ録りのマイクは中高音域がびしっときまるSHUREを使用したが、下ハモ用には中低域がリッチなCAD E300Sを使うことにした。
マイクのキャラクターが変わったので、モニターバランス、音色を念入りにチェック。練習がてら数回試し録音をした。
サビ1下ハモ録り 本番1回目。
全パート再生すると悪くない印象だったが、ボーカル各パートと今録った下ハモを部分的に聴くと、下ハモのピッチ、リズム共にずれており、ニュアンスもイマイチだったので、1回目テイクは没。
2回目を録り、先程と同じようにボーカル各パートと下ハモだけ取り出して聴いてみる。2回目はリズム、ピッチともにギリギリ大丈夫、雰囲気も良かったので修正してOKとする。
サビ2下ハモ録り 本番1回目。
慣れてきたようで全体的に良い感じ。修正してOKになった。
サビ3下ハモ録り 本番1回目。
サビ3の下ハモラインは他と少々違うので、まずハモリラインを単独で鳴らしてチェック。
1回目録ってみたが、先程までの癖が抜けずつられてしまう。
2回目でだいたいOK。ピッチ、リズムを修正。
続けて下ハモダブリングを録る予定だったが、お腹一杯な感じになってしまったので、次はAメロ上ハモを録る予定。
【今月のちょいレア】 TASCAM ニアフィールド・モニタースピーカー VL-A5
価格の1ランク上のクオリティーを保つ音響製品を提供し続ける老舗ブランドTASCAMの、ニアフィールド・モニタースピーカー。「真面目で素直な音」というブランドイメージとは少々異なり、「最近の海外ブランドスピーカーの派手さ」に通じる音像が印象的だ。ただし、色付けがあるというよりは「全体的にきらびやかなフラットさ」がある感じだ。
【今月のMV】 Andare 「希望のうた」
https://www.youtube.com/watch?v=Ms2ohepJmTo
Andare定番のヒーリング系バラードのMV。歌詞、歌声の存在感が、聞き手の感性にストレートに響く。一度聴いたら脳裏に焼き付く名曲。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!
GLOCK406 「20」
「ソフトなエモーショナルギターロック」というキーワードが思い浮かぶ、空想力全開の一曲。歌詞の1ワードごとのニュアンスにこだわっており、街で流れていても耳を捉えるであろう存在感がみなぎっている。
ボトルメール 「なつぞめ」
いわゆるロキノン系枠、といえるスタンダードな一曲。ただ繰り返し聴くと、細部にわたり一筋縄ではない工夫が施されているのがわかる。リスナーを選ばない間口の広さが、次世代につながっていく作品。
ボトルメール 「また、ここで」
前出の曲と少々パターンが違う点は、歌詞、メロディーライン、声質、そして全体のアレンジの一体感が、かなり深いところで混然一体となっていることだ。おそらく5年、10年経っても色あせない魅力にあふれている。
ハレひらく 「赤 / 渡月橋」
ド直球J-POPかと思いきや、楽曲の細部にわずかに変化球的な要素が含まれている。それ故に不思議な世界観が構築されているのが個性であり、魅力となっている。当スタジオではミックスとマスタリングを担当。
THE SKA JUNCTIONS 「Feel the Beat」
スカに加え様々な音楽要素がクロスオーバーし、練りあがった「ハイブリットスカ」をキーワードに掲げる彼ら。この曲もスカ+αが絶妙にブレンドされている。スカに馴染みのないリスナーでも、自然に聴ける要素が十二分に感じられる。