CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の
セルフRECはプロRECを越えられるか? 第75回
今回紹介するマスターレコーダーはTASCAM DV-RA1000HDです。
前回取り上げたDV-RA1000と比較すると
加えてDV-RA1000HDはハイレゾ、DSDフォーマットも扱いやすくなっています。
内蔵EQ、コンプ系エフェクターも変わらず優秀で、現在の同系統プラグインと比較しても良い勝負が出来る実力を備えています。
残念ながらディスコンとなってしまった機材ですが、2021年3月現在、中古市場での相場は6~8万円ぐらいです。気になる方はチェックしてみてください。
【大学生バンドのセルフREC】
「ミスチル風バラード」のコーラス録り本番に取り掛かる。
コーラス録りに使用するマイクは、NEUMANN U87AiにKIKUTANIのポップガード、エンハンスド・オーディオ(サスペンション)をセットアップしたもの。
モニターバランスは以下の通り。
サビ1コーラス録り【Cho1:上ハモり】
1stテイク→モニターバランスを調整
2ndテイク→主メロのピッチが怪しい箇所があり、プラグインで直す。
3rdテイク→ずいぶん良くはなったが詰めが甘い。
4,5テイク→5テイク目を採用し、一部直し。
歌詞の1,2,3番がすべて違うので、コーラス録りもコピペが出来ず全て歌っていくしかない。
【今月のちょいレア】MACKIE HDR24/96
約20年前にリリースされた、プロユースの24トラックハードディスクレコーダー。音質がとにかくファット。かつ「本体にマウスとディスプレイを直接接続できる」仕様が、当時としては大変斬新だった。
【今月のMV】Slingshot Million2「じぶんDiscovery」
https://www.youtube.com/watch?v=V_Ke4hyqFnc
最新アルバム「広がれ!HAPPY PUNK」からのMV。スピードとダイナミック感が絡み合う、キレキレなソリッドパンクチューン。YOUTUBE再生数も既に6桁をマークし注目を集めている。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
The Mega Kipple 「Like a Maracas」
ガレージ、グランジ、ハードコア、R&Rなどの男臭いエッセンスが独自の世界観をアウトプットするロックバンドのミニアルバム。曲によってはメロディアスな部分もあったりして、意表を突くポイントが随所に見られ楽しめる。
a little swelling. 「I haven't regret」
エモ、オルタナ要素が多少混じるギターロックバンドのデジタルシングル。予定調和になりそうでならないアイデアがユニークで、好感が持てる。これからの活躍に期待大の自信作。
Cuicks 「Chinese Disko」
シングル3か月連続リリース第2弾。今作は、80~90年代UK NewWaveと現在進行形チルウエーブがオルタナティブに引き寄せられた、ボリューム満点の1曲。音楽ニュースサイトindiegrabにも取り上げられた。
THE ECHO DEK 「Nite Ride Home」
5か月連続シングルリリース第4弾。パリの街中を散策しているようなクロスオーバー的楽曲。前回に引き続きSpotify公式プレイリストEdge!に選曲され、音楽ニュースサイトindiegrabにも取り上げられた。国内在住欧米人からの評価も高い。
みるきーはぼくの味「缶コーヒーの味のよう」
Indigo la end、ゲスの極み乙女。などに影響を受ける、ギターロックバンドのデジタルシングル。単なるものまねではなく、ストライクゾーンのツボを押さえた「オマージュ」といった方が聴き手に伝わりやすいだろう。