有給、正式に言うところの『年次有給休暇』についてどれくらいご存知だろうか?
まあ会社勤めの方々にとっては身近な言葉やろうけど、僕みたいな社会生活不適合者やアルバイターにとってはあんまり馴染みがなかったりするんじゃないだろうか?先日ぶらぶらしてたらアルバイトの求人が目に入り、「有給アリ」と書かれてたのね。たまーにそんなんを目にする。これって変な話で、有給ってのは雇う側が「有給アリだよ!有給ナシだよ!」というような性質のものじゃないんよね。
“使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。”(労働基準法39条1項)
アルバイトで例え週1日だけの勤務でも有給の権利は当然に発生するわけ。最近…に限らず、昔から日本はこの有給の取得率が先進諸国と比べて極めて低いと問題にされてたりするんよね。今回はそんな有給の話から。冒頭からイキナリね(笑)
そうそう、先日吉祥寺でライブやったんやけど、連載読んだよ!って言ってきてくれる人が結構多くてちょっぴり嬉しい反面、こんな出オチみたいなテーマでいいんだろうか? ってゆう迷いが出てきた。
一応タメになるらしいから、「コイツは音楽情報誌で一体何を書いてるんだ??」って声がどこかにあったとしても無視だ無視。
さて、有給の基礎知識をざっくり。
・当たり前だが有給を使った日は働かなくていいし、ざっくりと1日働いた分くらいのお金がもらえる。
・労働者が有給を使う日を指定することができる。
・出勤義務のない元々休みの日には使えない。
・会社は有給を希望通りに使えるように務めなければならない。
つまり有給は基本的に好きな時に使っていし、(上に書いたように元々休みの日はNG)会社は頑張って従業員の希望通りに有給を取らせてあげてね、ということになる。こんなにも働く人にいい事ずくめの有給の取得率が低いのが日本の特徴なのよね。みんな取ろうぜ! 有給。
と言っても有給が希望通りに使えない場合もある。さて、どんな場合だろう?
“~ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。”(労基法39条4項但し書)
これね。ただし、これでも「(替わりに)他の時季に与えることができる」ってなっていて、会社側はあくまでも日時を変更することができるだけで取得を拒否することは出来ない。「え! 有給!? 今ほんまに抜けられたら無理やから来月にして?ね?」って感じ。この、労働者が希望した有給の時期を会社側(使用者)が変更するってのは実は相当ハードルの高い話で、ちょっと忙しいとかそんなレベルじゃ全然ダメなんよね。
例えばチェーン店なら、他店から応援を呼んでもそのエリアの人数がギリギリすぎてどうしても無理! とかそんな場合に限って認められる話。
ね、労働者って実は結構保護されてるでしょ? どうしても立場が、“雇う側>雇われる側”になりがちよね。弱い立場の側を保護する為に『労働基本法』のような様々な法律が設けられていると捉えればいい。例えば、“家を貸す側>借りる側”みたいな状況もあるので、『借地借家法』という法律で借りる側を保護していたりもする。
ちょろっと典型的な違法パターンを紹介したい。
店長「有給を取りたいだあ!? 有給取りたいなら、代わりにシフトに入ってくれる人探してくれ!」
テスト期間中の学生とかがよく言われるパターンね。有給の基礎知識にも書いたけれど探さないといけないのはあくまで「雇う側」であって、言っちゃえば「いや、お前が探せよ」ってことになる。
だから正解例は、
店長「有給を取りたいだあ!? 有給取りたいなら、代わりにシフトに入ってくれる人探してくれ!」
学生「はあコラ!? 労働基本法によると、お前が探せよ! 違法だ違法!」
となる。言ってることは正しいのだが、くれぐれも言葉遣いには気をつけよう。
ほかにも、退職までまだ日があるにも関わらず、残りの有給を使い切って辞めたいっていう希望が通らない話も聞くけれど、雇う側に認められているのは上にも書いたが「時季を変更する権利」であって、拒否権じゃないので希望をしっかり伝えればいい。
まとめると、要は、有給を使う権利は法律で手厚く保護されているので、遠慮せずもっとジャンジャン使っちゃっていいんだぜ! ってこと。意外と有給を使えない一番の要因って職場の「使っちゃダメ」っていう空気だったりするみたいだけど、保障されてる権利なので空気読みつつ使ったり、時には空気読まずに使ったり、自由に行こう。
有給に限らず労基法関係は労働者も会社(使用者)も詳しく知らないってのが現状やから、間違った運用がバンバンまかり通っているのよね。
法律上このようになってるから守らなければならないけれど、雇う側も様々な事情があり大変だろうからしっかり相談し合うのがベストやね。
「法律上あーなんだ! こーなんだ!」って暴れるのカッコ悪いし。
ま、こんな感じ。“第1プチ”“第2プチ”と民法を主体にしてたから、今回は労働基準法にしてみた。
蛇足やけど、どこかに就職して働いてる人たちって立派やと思う。
ほとんどの人がそうやろうけど、例えば僕なんて法務事務所はやったけど、どっかに就職したこととか無いから、立派な大人になんて全くなれてない自覚がある。行政書士やってみたりもしたけれど、僕はミュージシャンなので「体は大人、頭は子供!」って状態でもちょっとは許されてる気がする。。いや、許されて無いかもしれない。。
頑張れ社会人。
こないだ干してるバスタオルが風で飛んで行った。もう3枚目だ。どうすればいいんだ。
■プロフィール
吉田健児
ロックを基調にシンプルかつ印象的なメロディーを紡ぐシンガーソングライター。ふてぶてしくも古き良きロック魂を漂わせる佇まいがライブハウスシーンやレーベル等業界の重鎮達からも注目を集める中で西原誠(ex.GRAPEVINE)に見初められ、2016年7月にG.西川弘剛(GRAPEVINE)参加曲含む、初の公式音源となる1st Album『forthemorningafter』をリリース。
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