2011年3月11日。あの日からわずか3カ月後の6月に産声をあげた「大作戦」。ライブハウスに生きづく人たちの、“真実と志”を伝えるために…。
細美武士(the HIATUS)
ELLEGARDEN活動休止後、the HIATUSのボーカルとして活動中。オルタナティブ、アートロック、エレクトロニカへ傾倒しつつも、ジャンル不問の新しい音楽を追究し続けている。また、2011年以降はソロアーティストとしての活動も活発になり、クラブDJやループサンプラーを用いた弾き語りライブも行っている。
OFFICIAL WEBSITE
細美武士です。Raccoちゃんからの電話で、このコラムの4人目を担当することになりました。自分が「東北ライブハウス大作戦」とはじめて繋がったのは、2012年3月11日、いわきClub Sonicで開催されていたアサイラムというイベントの打ち上げ会場でのこと。もともと友達が多くない事もあって、それまでは震災後に何かするにしても、 一人行動が基本でした。その方がフットワークも軽くなるし、正直に言えば、被災地を目の前にしてカメラ写りばかりを気にするような連中を見てるのが、ただめんどくさくなってたっていうのもあります。だから「東北ライブハウス大作戦」は、ようやく見つけた自分の居場所でした。ここにはいつも自分より先を走ってる男たちがたくさんいます。そして算数のできるやつはいない(笑)。俺はこの居場所を守りたい。FREAKS、COUNTER ACTION、BLUE RESISTANCE、そして出来れば、せーじの健康も守りたい(笑)。ここには見ているだけで、どうしたって涙が出そうになる男がたくさんいます。
さて、どうしてライブハウスなのか。俺にとってライブハウスってのは、反吐が出そうになる現実とそうじゃない現実の真ん中に存在してきました。人は生まれながらにしてなにかしら特別なものを持ってるとか、誰だって無限の可能性を秘めてるとか、さんざん聞かされたけど嘘じゃねえかよ、俺は誰にもなれねえんだって教えてくれたのも、ずーっと夢見させてくれたのもライブハウス。家族とうまくいかない、友達とうまくいかない、社会とうまくいかないのは自分に嘘つかずに生きてれば普通のこと。漫画や映画の中みたいにはいかねー。そして、ライブハウスにはそういう連中を受け入れる懐の深さがあった。雑居ビルの暗がりで、いつかこの世界をひっくり返してやろうとギラギラしてるようなスネた連中でも、きったねえ作り笑いじゃなくて、ガキの頃の笑顔で肚から笑える場所だったわけです。
どんなに成績が悪くたって良くたって、どんなに問題を抱えていたっていなくたって、自分の頭でものごとを考えようとするやつを、ライブハウスはどんどん繋げてくれる。俺は自分の目で見て、実際に触れたものしか信じない。パソコンの前に座って画面を眺めているだけじゃ誰とも繋がれない。どんな経緯でこのJUNGLE LIFEを読んでもらえたのかは分からないけれど、バンドマンもネットの住人も、どうしようもない寂しさを埋める方法が分からなければ、ライブハウスに足を運んでください。出会えたその日に、酒を酌み交わしましょう。
次回はBRAHMANから鬼です!!