ここ数年、環境問題などに関わってみて、音楽の世界で培った経験や人脈が思わぬ所で繋がったり、逆に環境問題を通じていろんな出会いや学習が音楽の新たな一面を知るキッカケになる事もあって面白い。それだけに限らずだが、どの場面でも常々思う事は、「その小さな始まりこそ偉大」「失ってから気付いても遅い」「模索し続けて終わることはない」ということだ。
久々にFacebookで見た「mF247」の文字、しかも「サービス終了のお知らせ」。エピックソニー創始者、ソニー・コンピュータエンタテインメント取締役会長、ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役社長など数々の大役を歴任した丸山茂雄氏(通称:丸さん)が2005年に立ち上げた音楽配信サイト。当時、着うたがようやく浸透し始めた頃で、日本のMyspaceも2006年末から始動とあるからまさに日本の音楽配信の先駆けとも言えよう。「音楽で飯を食いたいという人」を引き上げる事を理念に掲げ進化し続けた後、2008年に「設立の使命は果たしたと考えていいと思います」と「第1期」に幕を引いた。その後、「第2期」は2009年に2チャンネルやニコ動で有名な(株)ニワンゴと提携、取締役「ひろゆき」氏との対談の内容にも、常に模索し続ける丸さんの柔軟な姿勢を見て取れる。(インタビュワーは津田大介!)その7年間の変遷の内容は、FBからリンク先となっていたkomtarrさんのブログ『靴を買い替えようかと思います』2013/2/18日のエントリー「mf247がクローズする〜メジャーレーベルが夢見た音楽配信というビジネス」(http://d.hatena.ne.jp/komtarr/20130218#p1)に詳しく書いてあるので割愛して、個人レベルの話をしたい。
私はかなり幸運な事に、当時、沖縄にも拠点を置いていた丸さん邸で、音楽業界や放送業界、レーベル関係者向けに開講された「音楽と権利と配信」「音楽という商品の取り扱い」などを幅広く学べる少人数の講座に自主レーベル「クラップハンズ」代表として参加させて頂いた。同世代では私と知花竜海(赤瓦レーベル)のみ、他はCDショップのオーナーや放送業界の大先輩方が揃っており、私にとってはかなりレベルの高い話を聞く事ができた。また、私も竜海もミュージシャンとしても楽曲登録しており、全国からレベルもジャンルも様々な音楽や情報が紹介されている、当時ではかなり斬新で濃厚なサイトだった。更には私のユニット「すべりだい」が、mF247とPOKKA「aromax」のコラボ企画で全国から投票で15組中に選ばれ、コンピCD『Coffee Groove』にも参加させて頂いた。実は私も様々なアーティストに関わってきて、「メジャー」「インディーズ」の曖昧な境目や、権利やお金の問題で辟易した時代を経て、一時期メジャー嫌いとなり、しかしメジャーでも音楽に対する情熱で仕事している人達に出会えて今があるので、丸さんのような「業界の大物」が親身になって実際の事例や具体的な対処法などをちっぽけな私にも丁寧に話してくれる事は頼もしかったし分かりやすかった。そしてその情報や信頼関係は後輩達の為にも役立った。今後目指す所やプロセスやレベルが違ったとしても、そこに少しでも触れられた事は貴重な経験だと思う。そして、これまた奇しくも縁あって、私のソロ名義の新曲2曲を2012年6月にはテイチクエンタテインメントのインディーズレーベルから「配信」という、何とも不思議な環境にいる事も、常に自らを実験台のサンプルとしながら、日々面白く観察しつつ、未来の音楽の形も想像の範囲に置きつつ、「mF247」が切り開いてくれた世界にも感謝と愛を込めて、常に模索し前進し続ける頼もしい先輩方の背中を見て、私も悩みながらも探りながら更に前へ進みたい。音楽にはゴールも答もないはずだから。