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怒の百二十一 「嗚呼、とんでもドラマ「赤い糸の女」!」

凄いドラマが誕生した。それも、月9や大河ではなく、月曜から金曜まで毎日放映の連続昼ドラの時間帯に。ほんと凄いよ。マジでとんでもないよ。何が凄く何がとんでもないのかは、これから述べていくとして、百聞は一見にしかず、とりあえずは作品を見てもらいたい。
タイトルは、「赤い糸の女」。ホラ、このタイトルからして匂うでしょ、怪しげな匂いが。昔から「赤い」ってつくドラマは要注意なのである。俳優陣も香ばしい。主演は、あのマナカナの、三倉マナ。そう、ピンでの出演なのだ。常にニコイチだった彼女たちだったのに、あえてピン。そこにスタッフや本人の本気が感じられると僕は思う。最近は、バラエティでの活躍が目立ったマナカナだったが、彼女たちは、もともと女優が本業。今回マナは、そんなマナカナの原点回帰の思いもあってこのスキャンダラスな役柄に挑戦したのではないか。
で、その結果はどうだったろう……?
成功――だったと、思う。僕は、ここ数回しか見ていないが、よくも悪くもマナが女優としての「何か」に開眼したことだけは確かだったと思うのだ。
「赤い糸の女」は、視聴者の共感を無視したキャラクター設定、昼の時間帯とは思えない下世話なセリフの数々、そして「般若の面」、「落とし穴」、「全身整形」等のまがまがしい小道具から成り立っているドラマだ。そういう意味では、かつての大映テレビを彷彿とさせる造りになっている。いや、とんでもなさで言えば、もはや大映テレビを超えたといっても過言ではないだろう。少なくとも、僕のようなこだわり人間のマニア心をくすぐる作品であることは確かなのだった。
ルームシェアする3人の仲よし女子大生、マナ(役名は唯美)と芹亜と麻衣子。麻衣子には婚約者である麟平がいる。で、だ。マナと芹亜は、あろうことかこの麟平と肉体関係があるのだった。つまりこの3人、部屋もシェアしながら男もシェアしているというわけなのである。ああ、なんという設定! もちろんそのことは、麻衣子だけは知られないのだけども。
さて、マナと芹亜がどういう過程で麟平と体の関係になったかというと。もともと発端は、芹亜だった。芹亜は個室コスプレの風俗店に勤めていて、そこにたまたま麟平が来たのである、客として。彼は立派なイチモツを持つ絶倫で、そんな彼に求められるまま本番に至ってしまう。芹亜は、そのまま麟平との肉体関係を続けるが、どういうわけかマナと麻衣子にも麟平を紹介する。ことをややこしくするためである。芹亜は高校時代、ブスで、綺麗だったマナと較べられていたトラウマがあり、そのため何かとマナを巻き込みトラブルに絡みたがるのだった。
「麟平さんは、立派な男性よ」と二人に紹介する芹亜だが、立派というのは彼の人間性ではなく股間の「イチモツ」のことである。マナは、そのイチモツに溺れ、すでに婚約している麻衣子に悪いと思いながら関係を続ける。麟平が、麻衣子と婚約したのは、彼女の実家が金持ちだという理由。養子に入る魂胆なのだった。ほんとに麟平が好きなのは、マナ。マナも麟平を愛している。麻衣子たちと部屋にいるマナをホテルに呼び出し、ひとときのセックスを楽しむ麟平。二人はホテルで会うと、すぐに体を求め合う。
「すぐにして」
「毎日して」
マナの口から生々しいフレーズが漏れる。
「ショートだったら、毎日」
軽い口調で返す麟平。ベッドでは全裸のマナが麟平の上で腰を振る。昼間とは思えない会話と映像である。
「芹亜とのセックスはどう?」
「彼女は、バイオリン。君は、ビオラかな」
「私がビオラ? じゃあ、鳴らして鳴らして!」
同じ頃、マナの彼氏のメガネくんはエロ本片手に股間をしごいていた。昼間からオナニーシーン。これはある意味セックスシーンより強烈だった。このメガネくんに連絡を入れ、マナと麟平の関係を麻衣子にちくらせる芹亜。
「ひどい、友達と思っていたのに。いつから麟平さんと関係があったの?」
と抗議する麻衣子に、
「何言ってるの、私たちの友情は変わらないわ」
と論点をずらすマナ。
「麟平さん、最低。私の友達とセックスするなんて」
と抗議する麻衣子に、
「君の友達だから大事にしないといけないと思い、したんじゃないか」
と論点をずらす麟平。
麻衣子は、今後二度と二人とセックスしない、サプライズの婚約パーティをしきるという約束で3人を許す。そんな状況でも懲りずに芹亜とマナにセックスを迫る麟平。それやこれやあって、婚約パーティへとなだれこむ。マナが出したサプライズのアイディアは、「落とし穴」だった。花嫁衣装の麻衣子を落とし穴に落とし、ビックリさせて祝福するというもの。マナと芹亜と麟平は海岸にしゃれにならないくらい深い落とし穴を掘る。
そして当日、マナとかに誘われるまま落とし穴に落ちる麻衣子。笑って穴を覗き込む3人。穴の中では、砂に埋もれ死にかけている麻衣子の姿が……! 結局、麻衣子は死んでしまいドラマは急展開を迎える。一人罪をかぶろうとする麟平。麻衣子の死の真相を探ろうとする麻衣子の姉。突然現れるマナの実の母。芹亜の罠でマスコミのスキャンダルのターゲットとなるマナ。そこに刑事やメガネくんやマナの父役の石田純一らが加わって「赤い糸の女」は、波乱万丈の展開を見せていく。この原稿が目に触れた時は、おそらくドラマもクライマックスを迎えているはず。果たしてマナの運命は? 芹亜の行く末は? 麟平の未来は? あなたのその目で確認してほしい。

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