優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、1/14にシングル『Gravity』とLive DVD&Blue-ray『No Longer Strangers』をリリース、渋谷CLUB QUATTROでの3ヶ月連続開催イベントや各イベント出演で話題を集めているNothing's Carved In Stone。当連載は、同バンドのフロントマン村松が、2014年3月から1年に渡って人間的な進化と動物的な本能を追い求めて規格外なことに挑戦していく村松拓強化プロジェクトである。
前回の『Vol.11:船橋競馬「日本一なるぞ村松拓キングコングニー記念」の巻』にて、自腹1万円だけではなく当連載の存続をかけて勝負し、見事に撃沈したたっきゅんこと村松拓。1年に渡って人間的な進化と動物的な本能を追い求めて規格外なことに挑戦していきた村松拓強化プロジェクトは、ここで完結を迎えることとなった。最終回となる今回は、たっきゅんと共にキングコングニーでやってきた様々なチャレンジを振り返り、村松拓が本当の“漢”になったかどうかを確認していった。
以下、テキストでもご紹介
結果から先に言いますけど、この1年間で拓さんは日本一になれなかったじゃないですか。
だから最終回となる今回は、結局我々のどこが悪かったのかを検証したいなと。
そうなんですよ。この頃はまだ我々はそこまでお互いを知らなかったじゃないですか。そんな状態で、2人きりで6時間過ごすっていう。
そうそう。そもそも1合目から富士山の山頂まで行くっていうこと自体がバカじゃないですか。俺が言い出したんですけど(笑)。もっと言うと、俺はそもそも富士の樹海で野宿したかったんですよ。でもそれを相談したら、さすがにマズいでしょと。だったら樹海から富士山を登ろうということになったんです。
で、この日になぜか2人で話してて「日本一になろう」ということになったんですよね。そこから「日本一なるぞ!」が生まれたんです。
動画の最後の絡みのところも一切リハーサルもせずにやっていて。あの6時間でキングコングニーの原型みたいなものができましたよね。
いやいや、我々は5合目までしか登ってないんですよ? 大失敗です。
Vol.4:たっきゅんのアーティスト性を検証するの巻
Vol.5:ツアー開始直後のたっきゅんにインタビューをするの巻
僕とマネージャー2人、そして拓さんの4人でアルバム『Strangers In Heaven』のジャケットをイメージした画を描き、拓さんにアーティスト性があるかどうかを読者に投票してもらおうという回でした。
読者から投票をつのった結果、拓さんの画に13票、チーフマネージャー石谷さんの画に3票、マネージャー渡辺さんの画に7票、僕の画に3票入ったんです。なので、拓さんにはダントツでアーティスト性があるということが証明されました。
石谷さんって普段は陽気なプロレス好きでムードメーカーなんですよ。なのに画を描いたら…なんだこの闇を抱えている世界観は? と。でも正直に言うと、石谷さんの画がいちばんアーティスト性があると思った。
で、マネージャー渡辺さんの画は、彼は普段からおしゃれ野郎なんです。だからこの画を見たときに「このおしゃれ野郎が!」と思ったんです(笑)。
僕は渡辺さんの画を見て、ファンを意識しているなと思いました。
ね? そうでしょ? 見せていく渡辺。いい意味で優等生だし、悪い意味でも優等生というか、そつがないですよね。
で、山中さんの画ですけど…俺、初めてこの画を見たときに「なに本気出してんだよ!」ってムカついて。「いい大人がなにを本気になってるんだよ!」って。だってこれ絵画だもん(笑)。俺の予想では渡辺さんと山中さんの画が票を集めると思っていたんですよね。
Vol.6:生き急げたっきゅん! 103mからファーラウェイ! の巻
いや、楽しみで(笑)。でも正直な話、どうしても落ちるところとか想像しちゃって。
これ、アルバム『Strangers In Heaven』のツアーが始まってすぐのタイミングだったんですよね。
“飛ぶなら今だ”と思ったんです。一皮むけた姿でツアーに挑みたかったので。だから高所恐怖症だろうが何だろうが、越えられない壁を越えていこうっていう。でも怖かったっすよね。変な興奮状態だったし。最初に吊り橋が見えたときの後悔。
でもね、こないだ親父に会って話したときに初めて知ったんですけど、親父が勤めてる会社って橋を作ってて、この橋、親父の会社が作ったんです。
で、この橋ができたとき、親父とおふくろでこの橋でデートしたって(笑)。
両親のデートの想い出の橋で、息子が高所恐怖症を克服したという(笑)。なんかいい話だな。
飛ぶ前と飛んだ後では、景色が変わりましたね。なんでもいける感覚っていうか。たかがバンジーだったけど、俺にとってはされどバンジーでした。だからこれは達成したでしょ?
いや、ちょっと待ってください。我々100mからは飛びましたけど、103mからは飛んでないですよね?
高所恐怖症の拓さんからするとすごいことですけど、103mではないので日本一ではないですよね。
Vol.7:Strangers In Heaven Tour 2014/10/14@Zepp Tokyoレポートの巻
このツアーで、ライブ中に客席から「日本一なるぞ!」という声が出たんですよね。
そうそう。そのときに山中さんがニヤっとしてたという話も聞きました。
あのツアーでは、各地で「日本一なるぞ!」という声が出始めたんです。この連載の影響力みたいなものを感じましたね。“日本一”というのは曖昧だけど、「日本一なるぞ!」というメンタリズムみたいなものを、ウチのお客さんもおもしろがってくれている感じがあって。逆に言うと、みんなもちょっと期待してくれているのかなって。それが嬉しかったですね。
Vol.11:船橋競馬 「日本一なるぞ村松拓キングコングニー記念」の巻
記憶に新しい前回の、自腹1万円と連載継続をかけた船橋競馬「日本一なるぞ村松拓キングコングニー記念」ですが。
正直に言うとね、俺は競馬に対して1mmも思い入れがないんです。
でも俺のやりたいことはこれだなって思いました。バカなことに時間をかけて、構想を練って練って、遊びに行く。
そう。この企画の俺の目的としては、半年間も時間をかけて壮大な運試しをしましょうっていう。だからレース名に自分の名前や連載名が付いてるとかは、大事なことではなくて。
でも全然知らない人でもこのレースのことを知ったら「バカなことやってるな」とか「おもしろいな」と思ってくれると思うんです。それは世の中から考えたらとても小さな空気かもしれないけど、それがすごく有意義だったし、俺がやりたいことだった。
それはなによりです。でも馬券は当てられなかったので、連載の終了が決定しました。
馬券は当てられなかったけど、でも俺は持っていると思うんですよね。だってあのレース、3連単1万円買ってたら3750万円になる大荒れのレースだったんですよ。
この倍率を見たら、“嵐を呼ぶ漢”と言ってもいいのかなと。俺は持ってるなと。
いやいや、馬券当たらなかったですからね。たっきゅんは運を持っていなかったという結果ですよ。
この1年間のチャレンジを振り返ってきましたけど、散々でしたね。
やり残していることはいっぱいありますよ。だからそれが悔しいですね。
1つ言いたいことがあるんですけど……俺、最初からわかってた。「たっきゅんのキングコングニー」をやり続けても、日本一にはなれないだろうって。
富士山を1合目から登ったから日本一か? というとそうでもないし。だって日本一は富士山だもん。
竜神大吊橋でバンジーしたら日本一か? というとそうでもないし。日本一なのは竜神大吊橋の高さだもん。
うん。でもね、いろいろと確認できた。“なんでもこい!”というメンタルというか、精神的な器。それは俺にはあるよ〜。
要するにね、負けを知っている漢ほど強いんですよ。俺は負けてないけどね!
山中さん的に、俺が日本一になれたかなれなかったのかを教えてください。
うーん、最初の頃は、まだ僕は村松拓という人を深く理解できていなくて、読者から熱量の高いメールがたくさん来ているのを目の当たりにして、正直なところ“この人のどういう部分にみんな惹かれているんだろう?”と思っていたんです。
でもキングコングニーを重ねていくうちに、僕だけじゃなくてスタッフも含めて、みんなが“たっきゅん”という場所で思い切り遊んでいるような感覚になっていって。“アーティストを惹き立てる”というより、“みんなが思い切り楽しむ”という感じになっていったと思うんです。その中心にはいつも拓さんが居て。そういう、不思議な空気感を作り出す人だなと。
だから拓さんが日本一の漢かどうかはわからないですけど、いい漢ですよね。そう思います。
それ嬉しいですね。近所の兄ちゃんたちが“なんかわかんないけどおもしろいことしてるな”っていう幸福感。俺はそういうことを発信したかったんですよ。だっておもしろいじゃん。幸せになれるじゃん。だからキングコングニーが終わるのは寂しいですね。
でも漢に二言はないです。1年間、みんなで一生懸命作ってきてよかったです。またどこかで会いましょう。
FIND OUTは続きますけど、キングコングニーはこれで終了ということで。
みなさん1年間どうもありがとうございました!!
たっきゅんのキングコングニー最終回へのメッセージや感想はyamanaka@hirax.co.jpまで!!
宣伝:たっきゅんが出演するライブがあるよ!!
JUNGLE☆LIFE presents
ENJOY MUSIC, ENJOY LIFE 2015
5/17(日)大阪 堂島リバーフォーラム
優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、1/14にシングル『Gravity』とLive DVD&Blue-ray『No Longer Strangers』をリリースし、3ヶ月連続で渋谷CLUB QUATTROでのイベントを控えているNothing's Carved In Stone。当連載は、同バンドのフロントマン村松が、2014年3月から1年に渡って人間的な進化と動物的な本能を追い求めて規格外なことに挑戦していく村松拓強化プロジェクトである。
2/9(月)、船橋競馬場で「日本一なるぞ村松拓キングコングニー記念」という名前のレースが開催された。これは船橋競馬の個人協賛(個人がレースのスポンサーになってレース名を付けることができる)という制度を利用して、当連載がスポンサーになったことで実現したレース。第11回目となるたっきゅんのキングコングニーは、たっきゅんが自腹(¥10,000)で馬券を購入して勝負運を試すという、音楽誌史上前代未聞の企画。主役そっちのけでスタッフ全員が手に汗握って熱狂した今回、果たしてたっきゅんは強運を持っていたのだろうか?
以下、テキストでもご紹介
実際の出馬表(https://www.nankankeiba.com/)
当連載第11回目の企画は、なんと競馬! しかもレース名は「日本一なるぞ村松拓キングコングニー記念」! 実はこの企画、構想は半年前から練りに練ったもの。編集長山中(筆者)とたっきゅんのチーフマネージャー氏は大の競馬好き。当連載の企画会議にて筆者が「自腹1万円で馬券を買ってみてはどうか?」と、単に自分がやりたいだけの企画を提案してみたところ、チーフマネージャー氏と大いに盛り上がり、競馬の経験がほとんどないたっきゅんを説得。「どうせやるならガチでやりましょう! 日本一になるために!」と盛り上がり、船橋競馬で協賛レースを受け付けていることを発見、数々の手続きや審査を経てたっきゅんの名前を冠するレースが実現したのだ。全国のたっきゅんのキングコングニーファンたちよ見たか! これがバカな大人の本気だ!!
2人は大人
雪が舞い散る2月9日、船橋競馬場に到着したたっきゅん。競馬の経験はほとんどないという彼は、競馬場に向かう道中から「俺は3連単1点1万円で勝負します!」と豪語。「3連単」とは1着2着3着の3頭を順番通りに当てるというもの。今回は12頭立てなので、3連単の組み合わせは全部で1320通りにもなる。要するにたっきゅんは1320分の1を当てようというのだ。
一見無謀とも言えるたっきゅんのチャレンジだが、しかしこれを本当に当てれば彼は真の漢になったと言っても過言ではない。1合目からの富士登山に挫折し、103mからのファーラウェイに失敗し、占い師には日本一になれるかどうかの回答を濁されてきたたっきゅん、今日こそ日本一の漢になれるのだろうか?
出走の14時20分までかなり時間があったので(スタッフ全員テンションが上がりすぎて午前中に競馬場に到着した)、我々は競馬場内を散策した後に、数レースお試しで馬券を買うことにした。たっきゅんの連載名を冠するレースがとり行われるこの日、たっきゅん及び我々はVIP扱い。競馬場を見渡せる控室を与えられ、数レース馬券を購入しつつ競馬を楽しんだ。
VIP
たっきゅんと筆者、そしてマネージャーと撮影スタッフ、ライブ制作スタッフを含めた6人が思い思いに第4レースから第6レースまで馬券を購入するも、的中はゼロ。競馬新聞売り場のおばちゃんが「船橋は堅いよ〜」と言った通り、第4レースの勝ち馬は2番人気、第5レースの勝ち馬は1番人気、第6レースの勝ち馬は1番人気。笑顔が絶えなかったキングコングニーチームの頭上に、どんよりと暗雲が立ち込める。
パドックで馬を見る
そんな中、「日本一なるぞ村松拓キングコングニー記念」が開催される直前に「4月でこの連載終わりですけど…」とたっきゅんが口を開いた。
「馬券を当てることができたら、連載を続けませんか?」
そう言ったたっきゅんの表情は、自信に満ち溢れているアーティスト・村松拓の顔だった。「絶対に当たるわけがない!」という我々の制止を一切聞かずに3連単1点勝負をすると心に決めたたっきゅんは、我々に奇跡を予感させた。筆者は思わず「2人のうちどちらかが当たったらあと1年続けましょう」 と即答してしまった。
そして我々は、第7レース「日本一なるぞ村松拓キングコングニー記念」の時間を迎える。
スポンサーである我々はレース後に勝ち馬と記念撮影ができるとのことで、早めに馬券を購入することにした。たっきゅんは堂々と3連単1点「7-4-3」1万円を購入。
対して筆者は散々考えた上に痛恨のマークシート記入ミス。馬券売り場で慌てて再度マークシートを書き直さなくてはいけなくなり、事前の予想をまったく無駄にしてその場で行き当たりばったりの3連単9点と単勝1点の合計10点(1点1000円)を購入。ギリギリの緊張感の中、アーティストと素人の差が出てしまった。
たっきゅん購入馬券
三連単7→4→3 ¥10,000
渋谷のパパに言われたラッキーナンバー「7」、ラッキーカラー「グリーン」を信じて馬券は7番シゲルトビウオザから。漢の1万円1点買い。
山中購入馬券
三連単5→4,9,10→4,9,10,12 各¥1,000
単勝10番テクマクマヤコン ¥1,000
競馬歴22年、テンパッた42歳の弱気な買い方。
当連載「たっきゅんのキングコングニー」の連載継続と自腹1万円がかかった「日本一なるぞ村松拓キングコングニー記念」、いよいよ出走だ!!
ファンファーレが鳴り、スターターが旗を振る
「グヴァッファッ!!」(ゲートが開く音)
「ドドドドドドドドドドド!!」
さあ第四コーナーをまわって各馬広がった! クオーレフォルテ粘る! イクスクイジットとミツコも来た!
ミツコが伸びる! イクスクイジットがんばる! ミツコ伸びる!
12番ミツコ! ミツコ突き抜けた! ミツコ! ミツコ強い!
これは完全に抜けた!
ミツコ1着でゴール!!
ミツコ!!
勝ったのは12番ミツコ!!
たっきゅん購入馬券
三連単7→4→3 ¥10,000
山中購入馬券
三連単5→4,9,10→4,9,10,12 各¥1,000
単勝10番テクマクマヤコン ¥1,000
「!!」
レース結果
1着:12番ミツコ
2着:11番イクスクイジット
3着:9番クオーレフォルテ
単勝:12番 4,240円
馬番連複:11-12 12,590円
馬番単複:12-11 28,660円
三連複:9-11-12 18,730円
三連単:12-11-9 375,870円(※1万円買っていれば3758万7千円)
レースは9番クオーレフォルテが逃げ、早々と12番ミツコが追走、5番ファシネイトと7番シゲルトビウオザが続くも、11番イクスクイジットがじわじわと順位を上げる。4角をまわったところで先頭のクオーレフォルテがんばるも、直線でミツコとイクスクイジットにとらえられ、最後は更に脚を伸ばしたミツコが1着でゴール。2着にイクスクイジット、逃げたクオーレフォルテはよく粘って3着でゴールイン!!
たっきゅんの惨敗と、キングコングニー継続無しが確定した。
会話のない2人
ミツコと記念撮影したあと、たっきゅんは勝利騎手の川島騎手に対し、なんと手に持っていたハズレ馬券にサインを要求。たっきゅんの馬券にはミツコの名前が一切無かったため、川島騎手から「あ、すみません」と謝られる一幕も。
なぜかガッツポーズするたっきゅん
「日本一なるぞ村松拓キングコングニー記念」で惨敗したたっきゅんは諦めきれずに第8レースでも果敢に馬券を購入し、単勝1点買いで見事的中(単勝1.2倍で500円が600円に)させる。ちなみにこの日、我々6人の中で、的中した馬券はこの1点のみだった。
次号はいよいよたっきゅんのキングコングニー最終回!! 果たしてたっきゅんは日本一の漢になれるのか!?
今回のたっきゅんのキングコングニー 「日本一なるぞ村松拓キングコングニー記念」の巻は近日動画も公開する予定です。乞うご期待!!
当連載への感想・質問・要望・ファンレター・ぶっ壊れたい願望が強いたっきゅんにチャレンジしてほしいことはyamanaka@hirax.co.jpまで!!
JUNGLE☆LIFE presents
ENJOY MUSIC, ENJOY LIFE 2015
5/17(日)大阪 堂島リバーフォーラム
優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、1/14にシングル『Gravity』とLive DVD&Blue-ray『No Longer Strangers』をリリースし、3ヶ月連続で渋谷CLUB QUATTROでのイベント開催も発表したNothing's Carved In Stone。当連載は、同バンドのフロントマン村松が、2014年3月から1年に渡って人間的な進化と動物的な本能を追い求めて規格外なことに挑戦していく村松拓強化プロジェクトである。
1/24(土)、渋谷タワーレコードにて開催されたNothing’s Carved In Stone 村松拓と生形真一によるインストア・アコースティックライブ。そのライブは、詰めかけた多くの観客を歌と音楽と軽快なトークで魅了した素晴らしい内容だったが、そんなときもたっきゅんはハングリー精神を忘れてはいなかった。ライブ終了後、「日本一の漢になる」という目標を胸にたっきゅんが向かった先は占いの館!! 2015年、今年こそ日本一の漢になるべく、3人の占い師にたっきゅんの将来をみてもらった。
まず最初にたっきゅんが訪れたのは『占いの館ウィル』。たっきゅんを担当していただくのはYUKI先生だ。
YUKI先生
タロットカードと宿曜占星術で鑑定するYUKI先生は、カードと意識を同調してより一層深い部分までの鑑定を可能にする、特殊なオリジナル占術を扱う鑑定師とのこと。柔らかい語り口調のYUKI先生を前に、たっきゅんは恐る恐る口を開いた。
たっきゅん:えっと、バンドを今やってるんですけど、そのバンドのことをみてもらいたいんですよね。
YUKI先生:では一緒にやっていらっしゃるメンバーのみなさんの生年月日を教えてください。
YUKI先生に言われるがまま、メンバー4人の生年月日やバンドの現状、今年の大まかな予定を伝えるたっきゅん。YUKI先生は机の上にタロットカードを並べつつ、早速印象的なひとことをたっきゅんに告げた。
YUKI先生:みなさんの生年月日を伺いましたけど、村松さんがヴォーカルというのはいちばん正しい選択だと思います。
たっきゅん:おっ!
YUKI先生:いい意味でも悪い意味でも、村松さんは人の目をひく方なので。
興奮するたっきゅんを尻目に、YUKI先生はカードを10枚選ぶように促した。いよいよ鑑定スタートだ。
YUKI先生:今までの準備としてはほぼ完璧だと思いますが、「もっと話し合いなさい」というカードが出てきました。それも全員でというより、個別で話し合った方がいいと思います。
たっきゅんが選んだカードを見つつ、4人の生年月日を見つつ、スバズバと鑑定結果を告げるYUKI先生を前に、たっきゅんは思わず「うーん」と驚きの声をあげる。更にYUKI先生は今後1年を占うと言い、たっきゅんに12枚のカードを選ぶように促す。かなり具体的な内容にまで踏み込んだYUKI先生の言葉に、たっきゅんは腕を組んで「なるほど〜」と何度も頷いている。
【YUKI先生の鑑定結果まとめ】
・今までの道のりはほぼ完璧
・現在は、更に高いステージへと飛躍するタイミング
・だからもっとメンバーと話し合いなさい
・生形と日向は男女であれば結婚してもおかしくないほど相性が良い
・10月に誰かが体調を崩すかも
・KINGのカードが12月に出ているが逆位置なので、裸の王様にならないように気をつけること
・たっきゅんにお金はかなり入ってくる
・「ひとりよがり」のカードが何度も出てきた
・たっきゅんは音楽史に残るくらいの名声を得る
・鑑定結果は天気予報みたいなものなので、自分次第でどんどん変わっていく
鑑定を終えてお店を出たたっきゅんに感想を訊いたところ、彼はぽつりとつぶやいた。
たっきゅん:占いすげぇな(笑)。
取材協力
占いの館WILL渋谷店
東京都渋谷区渋谷2-22-13 東口マイアミビル 電話:03-6434-1212 http://t.d-will.jp/
電話占いウィル 電話:0120-923-856 http://d-will.jp/
次にたっきゅんが向かった先は、45年間で45万人の鑑定をしてきたという渋谷のパパ、アミン・コヒィ先生。渋谷の一等地にあるお店を訪れ、不思議な内装や装飾物がある鑑定部屋に通される。20分の鑑定では5つのことについて占ってくれるというので、たっきゅんは「職業」「ラッキーカラー」「おまじないを授かる」「性格」「金運」を選び、生年月日をパパに告げる。いよいよ鑑定スタートだ。
渋谷のパパ
オリエンタルなBGMとエアコンのスイッチをオンしたパパは、次から次へとたっきゅんの未来を占っていく。その見事さに、我々は思わず言葉を失った。
パパ:運勢はアガルサガル。みんな同じ、波の中で生活してる。例えば運が悪いときでねお店がオープンするといったらホントに赤字続きで1〜2年で終わることもある。いい時期があって1年くらい経って2年経って何か新しいことをやるときがある。あなたの運勢が全体でみたらね、2017年の7月からアガル。
たっきゅん:ん? 2017年?
パパ:2015年の7月からね、ガッとアガル。あなた商売人は向いてないけどね、すごく優しくて爽やかな人でね、好奇心が旺盛。ホロスコープでみたら生年月日から生まれたときのカレンダーみて星の位置を計算してホロスコープみたらそう。これお世辞じゃなくて、みんな違うからね。
立て続けに鑑定結果を告げるパパに、たっきゅんは「うんうん」と頷くばかり。なぜか鑑定部屋に居た2匹の猫に囲まれながら、たっきゅんは渋谷のパパをじっと見つめた。
パパ:あなたはホントは物書きが良かった。表に出る仕事が良かった。研究者もできます。自分の分野ですね。いろんなアイディア出したりもできます。
そしてパパは「次は手の平でみます」と言い、たっきゅんに両手を出すように促した。たっきゅんの手の平をみた瞬間、パパは言った。
パパ:あなたは離婚しやすいタイプだよ。女性運があまりないから気をつけて。年をとって嫌になったら生命保険に入れられて悪いことされるよ。そういう事件多いでしょ? 金運は普通ですけどね。しかしあなたは女性運がないよ。そうね、2回は離婚するかな。薬指の太陽線があるから、新しいことができるよ。健康状態は大丈夫。でも年をとったら肝臓と腎臓に気をつけて。環境がいいところがいちばんいい。空気がいいところ。将来は自然界が近いところで生活した方がいい。リーダーシップはあまり持ってないけど、自分のやりたいことができるよ。だからよーく考えてやった方がいいよ。
次にパパはタロットカードを取り出して
「過去〜、現在〜、近い将来〜、取るべき手段〜、心の中〜、妨害〜、最終結果〜」
と言いながらタロットカードを机の上に置いていく。
【渋谷のパパ、その後の鑑定結果まとめ】
・ゴールデンイヤーは「2017年」と「2021年」
・ラッキーな色は「グリーン」
・ラッキナンバーは「7」
・ゴールデンタイムは「7時〜8時(朝夜共に)」
・日本一になれるかどうかは言えない
そして最後にパパは「あなたにおまじないを授けてあげる」と告げる。たっきゅんの手の平にアフガニスタンの山から採ってきたという石(ローズクォーツ)をのせて、たっきゅんに秘密のおまじないを授けたのだ。
パパ:私の後に続いて言ってください。
たっきゅん:はい。
パパ:ハッピー、ハッピー、ハッピー。
たっきゅん:ハッピー、ハッピー、ハッピー。
パパ:ラッキー、ラッキー、ラッキー。
たっきゅん:ラッキー、ラッキー、ラッキー。
パパ:ヘルシー、ヘルシー、ヘルシー。
たっきゅん:ヘルシー、ヘルシー、ヘルシー。
パパ:ウェルシー、ウェルシー、ウェルシー。
たっきゅん:ウェルシー、ウェルシー、ウェルシー。
パパ:セフティー、セフティー、セフティー。
たっきゅん:セフティー、セフティー、セフティー。
パパ:ラブリー、ラブリー、ラブリー。
たっきゅん:ラブリー、ラブリー、ラブリー。
取材協力
渋谷のパパ
東京都渋谷区宇田川町29-7 3~4F 電話:03-3477-1333 / 090-6474-3933
http://aminkohi.sakura.ne.jp/
2人の先生にたっぷりと鑑定してもらい、カフェで休憩していた我々の脳裏にふと1つの疑問が浮かんだ。
我々はこの連載を続けるべきかどうか?
今月号で第10回目となる当連載は、4月号で最終回を迎えて終了となる。その時点でたっきゅんが日本一の漢になっているかどうかは未だわからないが、過去9回を振り返ってみると、一合目からの富士登山に失敗したり、103mからのファーラウェイができなかったり(100mからのファーラウェイは成功)、お父さんに「愛してる」と言えなかったりと、決して胸を張れる内容ではなかっただろう。というわけで最後は、たっきゅんと当連載を担当する編集長山中の相性を鑑定してもらい、当連載を続けるべきかどうか占ってもらうことにした。
ラッキーなことに、すぐに渋谷で路上占いを見つけたので2人の相性をみてもらうことにした。それぞれ名前の画数を計算し、鑑定士はすぐに言った。
鑑定士:2人とも奇人変人だね。変わってる。村松さんみたいな方は「真面目だね」「頑固だね」と言われることが多いんだけど、中身的には興味がないことはしないというか、楽しいか楽しくないかで物事を判断するタイプ。山中さんは本来は頑固でゴーイングマイウェイなタイプで、周りからは人当たりが良く見えるんだけど、実は群れない/属さない人。要領が良くて冷めてる。2人とも奇人変人タイプだけど、キャラや性格は違うんだよね。気質的には村松さんが「陽」で山中さんは「陰」。ざっくり言うと、2人とも楽しいか楽しくないかで物事を決めるタイプで、サラリーマンに向いてなくて、「なに考えているかわかんない」ってよく言われる人。だから感性的にはウマが合うし、波長も合ってるよね。
2人:僕ら、これからも一緒に続けていいんでしょうか?
鑑定士:そもそも2人は人の話を全く聞かないタイプだから、自分たちが楽しいとかやりたいと思うんだったら続ければいいんじゃないですか。私がどうこう言える話じゃないです。
当連載への感想・質問・要望・ファンレター・ぶっ壊れたい願望が強いたっきゅんにチャレンジしてほしいことはyamanaka@hirax.co.jpまで!!
結成以来、優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、1/14にはシングル『Gravity』とLive DVD&Blue-ray『No Longer Strangers』をリリースするNothing's Carved In Stone。当連載は、同バンドのフロントマン村松が、2014年3月から1年に渡って人間的な進化と動物的な本能を追い求めて規格外なことに挑戦していく村松拓強化プロジェクトである。
2015年1発目の連載「たっきゅんのキングコングニー」、なんとたっきゅんから届いたオファーは「俺が日本一を目指しているんだから、JUNGLE★LIFEにも日本一のインタビューをしてほしい」というもの。果たしてこのインタビューが日本一かどうかはわからないが、「R●CKIN'●N JAPANには絶対に負けない!」と日頃から豪語している筆者が音楽ライターの威信をかけて歯に衣着せずにたっきゅんインタビューを敢行した。
村松:えーッ! 難しいな。それめちゃくちゃ難しい質問ですね。そうだな…最近だと宇都宮しをんっていう娘がよくないですか?
●“神の乳”の持ち主ですね。改名して今は安齋らら。
村松:今まででいちばんだと夕樹舞子かな。というかこのインタビュー、なに?
●では真面目な質問をしますけど、拓さんは今なぜ音楽をやっているんですか?
村松:うわ、めちゃくちゃギャップある質問しますね。うーん…俺ね、たぶん音楽をやっていなかったら、すごくどうしようもないろくでなしだと思う。だからそれが今音楽をやっている理由なんじゃないかな。
●消去法ということですか? 他にやることがなかったから音楽をやっているということ?
村松:うーん。すごく難しいけど、色んな動機がある中で、今なんとなく思っているのは…役割かな。
●役割?
村松:そうですね。たぶん俺が今のこの世の中で、音楽をやる役回りなんだと思う。ハハハ(笑)。
●大げさに言うと使命感みたいな。
村松:別に俺は“プロミュージシャンになりたい”と思ってバンドを始めたわけじゃないけど、今たまたまそういう立場に立たせてもらっているから、そこを全うしたいっていう。そういう想いがすごくある。音楽をやっている人がメッセージを発するべきことって、突き詰めて考えたら、単純に深いことを言う必要がないと思ったんです。「その1人の人間がメッセージじゃん」って言えたら、もう俺がバンドをやって、曲を作って、ライブをするだけで強烈なメッセージに変わっていくと思うんですよね。そういうことに最近気づいたというか、“それなんだな”と思えたんです。
●はい。
村松:それは別に音楽じゃなくても、パソコン作る人でも、日本一の編集長でも(笑)、なにかクリエイティブなことをやっている人だったら、それだけでメッセージというか。まあだから生き方なんだろうけど、俺が今ここに居るっていうことは、役割っていうか、そういう役回りなんだと思えるようになったんです。
●なるほど。
村松:色んなものに揉まれると、心が擦れるじゃないですか。それですごくドライになる自分も居るし、“人のために何かをしたい”という気持ちも下手したら忘れることもある。でもやっぱり「自分がかわいい」じゃなくて、いざというときに自分を捨てて誰かのために何かができるかっていう。それは全然メルヘンなことじゃなくて、でもそういうことで世の中が動いていったらすごくいいと思うんです。そういう考え方の上での“役割”です。だから取って付けたようなメッセージを言うんじゃなくて、バンドに俺の生き方を反映していけば、それがきっと誰かのためになるのかなって思ってる。
●最近そう思うようになったんですか?
村松:そう、最近ですね。ずっとそういうことを考えてはいましたけど、言葉として言えるくらいにはまとまってきたのが今だと思います。それが今、俺が音楽をやっている理由かな。
●きっとそれは、すごくいいことですね。
村松:うん。俺にとっても、1つこういう答えが出たことはありがたいし、受け入れたい。「人のため」とかって偽善で言うような奴、居るじゃないですか。俺もそういうタイプだから。
●え? そうかな?
村松:いや、“俺って偽善くさいな”って思うこともいっぱいありますよ。
●でもこうやって毎月接するようになって思うんですけど、拓さんはすごく周りの人のことを見ているし、人を不快にさせないことを常に心がけている気がするんです。
村松:ああ〜。
●その裏返しかもしれないけど、同時にすごく嫉妬深いし、コンプレックスもたくさん持っている。そう考えると、“人に嫌われたくない”という想いが人一倍強いのかなと。
村松:あ、そうですね。嫌われたくない。俺、バンドを始めたきっかけは、人気者になりたかったからなんです。モテたいじゃなくて、人気者になりたい。だから嫌われたくないっていう想いは常にあるかな。
●それともう1つ思ったのは、拓さんという人は、考えて考えて何かを生み出すタイプというより、衝動的にひらめきで何かを生み出す方が真価を発揮するタイプなのかなと。
村松:ハハハ(笑)、まさにそうだと思う。更に、そういうことを自然にできていた自分も過去に居たんですよ。そういう自分でいたいのにっていう想いが常にあって。やっぱり、ライブに於ける瞬間のケミストリーって、曲の中でもあるし、オーディエンスとのやり取りに醍醐味があると思うんですよ。
●うんうん。
村松:そう考えるとMCも1曲だなと。だから盛り上がるようなことも言いたいし、みんなを楽しませるようなことも言いたい。みんなを感動させるための枕詞みたいな役割にもしたい。そうやっていろんなことを考えると、突発的な発言じゃあなかなか辿り着けない感じが今まであったんですよ。
●なるほど。
村松:でも自分の魅力は突発的ななにかにある、ということはわかっていて。そこがすごいジレンマで、アルバムのツアーでもそういうことをずっと考えていたんですよね。だからこの連載ではバカみたいなことをしたいし、それがだんだんバンドに繋がってきているんです。何も考えずにさらけ出すんじゃなくて、ちゃんと自分をプロデュースできるようになってきたような感じがするんです。だから………キングコングニーは続けたいんだよね。
●会社に持ち帰って検討します!
当連載への感想・質問・要望・ファンレター、2015年も更なる飛躍とぶっ壊れたい願望が相変わらず強いたっきゅんにチャレンジしてほしいことはyamanaka@hirax.co.jpまで!!
結成以来、優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、今年8月に史上最強のアルバム『Strangers In Heaven』をリリースし、同ツアーは各地大盛り上がりの大成功、来年1月にはニューシングルを控えているNothing's Carved In Stone。当連載は、同バンドのフロントマン村松が1年に渡って人間的な進化と動物的な本能を追い求めて規格外なことに挑戦していく村松拓強化プロジェクトである。
今回は、たっきゅんと鍋をつつきながら2014年を振り返るインタビュー。とは言っても、普通に1年を振り返るのではなく、たっきゅんにクジを引いてもらい、そのクジに書いてある質問に添ってトークしていく年末特別企画!! (※ちなみに、クジにはハズレも入っており、ビール片手に鍋をつつくたっきゅんに様々な罰ゲームが襲いかかります)
●では質問ですが、「2014年でいちばん楽しかった思い出」を教えてください。
たっきゅん:“たっきゅんのキングコングニー”ではおもしろいこと言わなきゃいけないかもだけど、やっぱりね、今回の“Strangers In Heaven Tour”が今年のいちばん楽しかった思い出ですね。ライブに関して1本1本忘れられないくらい、1つ1つ思い出がある。
●お。
たっきゅん:自分に飽きたし、自分もおもしろかった。
●自分に飽きた?
たっきゅん:今回のツアーは自分自身に色々と求めていたからこそ、本数を重ねるたびに「同じことをまた俺はやるのか」みたいな感情があったんですよね。曲とかセットリストの話じゃなくて、今日のライブに対してどういうアプローチを自分がするのかということに対して、インスピレーションをどれだけ沸かせることができるか? とかだったり。あと、今まではツアーで同じことをMCで言うということに抵抗があったけど、逆に、来てくれるお客さんに最高のものを観せたいとか盛り上げたいとか考えたら…。だって、それまで散々考えて考えてツアー初日に最高のものを作ったわけだから、そんなに簡単に最高のものが出るわけないんですよね。
●確かに簡単には出ないですね。
たっきゅん:ですよね。だったら、その最高の方法を思いつかなかったり考えつかなかったら、どんなに自分自身が飽きたとしても、それをやるのが正解だと思って。
●なるほど。そのときに自分が最高の方法だと思っていることをやると。
たっきゅん:そう。それを自分自身毎日更新して、本当の気持ちでお客さんと共有できるようになったというのが、今回のツアーは楽しかった。おもしろかった。
●極論ですけど、同じことを毎日するとなると“慣れ”が生じますよね? そうなると、新鮮な気持ちは薄れていって、同じ気持ちでは絶対になくなる。でも今回のツアーはずっと楽しめたというのは、結構すごいことじゃないですか?
たっきゅん:そうですね。すごいことだと思います。同じ目線で語るのは恐れ多いですけど、吉川晃司さんが「同じ曲を昔と同じ気持ちで歌えるはずないじゃん」とおっしゃっていたんです。それで俺はすごく肯定してもらった気がして、楽になったんですよね。だから…更新することが大事なんですよね。
●ああ〜。
たっきゅん:常にハングリーで居続けることができれば、求めるものが変わらなくても日常の景色はどんどん変わって見えてくると思うんです。例えば、「甘い」という言葉とか「キツい」という言葉で見えてくる景色って毎日違うじゃないですか。それは1週間では同じかもしれないけど、半年とかだと確実に違ってくる。だから更新していくという目線でアプローチしているつもりでやると、もう全然。毎日違う。ツアーは超楽しかった。“たっきゅんのキングコングニー”より全然楽しかった。
●では次いきます。次の質問は「自分以外のバンドで2014年観た中でいちばん良かったライブは?」です。
たっきゅん:2014年に観たバンドの中でいちばん良かったライブ? ああ〜、年下だから褒めるのが悔しいから言いたくないんですけど…。
●でもかっこよかった?
たっきゅん:うん。観ていて悔しくなるくらいいいライブで。大阪で対バンしたSUPER BEAVERなんですけど、いちばん最強に自分がかっこいいときのライブをやっているというか。
●おそらく、彼らにとっていちばんいいと思えるライブをその時にやっていた?
たっきゅん:うん。良かったんですよね。あまり言いたくない感じ。
●悔しかったんですか?
たっきゅん:他のバンドもすごく良かったんですよ。
●悔しかった?
たっきゅん:いや〜、悔しいっしょ(悔)。
●ハハハ(笑)。
たっきゅん:ヴォーカリストとして渋谷くんは、なんか色々あるなって。思っていたり思っていなかったりを、全部含めて色々自分のものにして時間が流れるライブを作ることができるっていうか。その時間帯だけは最強っていう感じがある。だから…。
●素直に褒めるのが悔しいという(笑)。
たっきゅん:自分が思って望んでいることも、自分が気づいていない部分も全部含めて、全部が正義で、全部が彼の思い通りになる。例え思い通りにならなくても、全部彼のエネルギーになるっていうか。そういうのがライブ中の渋谷くんにはあるんですよ。だから…………………いいなと思った(笑)。
当連載への感想・質問・要望・ファンレター、2015年も更なる飛躍とぶっ壊れたい願望が相変わらず強いたっきゅんにチャレンジしてほしいことはyamanaka@hirax.co.jpまで!!
結成以来、優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、今年8月に待望のアルバム『Strangers In Heaven』をリリースし、つい先日アルバムレコ発ツアー“Strangers In Heaven Tour”を見事大成功で終了させたNothing's Carved In Stone。当連載は、同バンドのフロントマン村松が1年に渡って人間的な進化と動物的な本能を追い求めて規格外なことに挑戦していく村松拓強化プロジェクトである。
先月号の当連載にて、“Strangers In Heaven Tour”が始まった直後の9月上旬に茨城県太田市竜神大吊橋からの日本一のバンジージャンプ(103m)を敢行した日本一の漢を目指す漢・たっきゅんことNothing's Carved In Stone Vo./G.村松拓。高所恐怖症にも関わらず、ツアー開始直後というタイミングで危険この上ない103mバンジーにチャレンジしたいと言い出したのは他ならぬたっきゅん本人だったことを、改めてこの場で読者にお伝えしたい。彼はなぜそのような大事な時に103mバンジーにチャレンジし、そして躊躇なく103mから跳んだのか? 彼はなぜ跳ぶ瞬間に名曲「Shimmer Song」の一節を口ずさんだのか? その答えを確かめるべく、今月号の“たっきゅんのキングコングニー”では、“Strangers In Heaven Tour”のセミファイナルとなるZepp Tokyoに潜入。当連載初となるライブレポートを敢行する。
会場に一歩踏み入れた瞬間に感じたのは、観客1人1人の放つ期待感がZepp Tokyoの広いフロアに充満していたということ。比類なきアンサンブルと高い音楽性、唯一無二のヴォーカリストを誇る最強のロックバンド・Nothing's Carved In Stoneが今年8月にリリースしたアルバム『Strangers In Heaven』を聴いた人ならばその理由はわかるだろうが、同アルバムの完成度と到達点の高さは、否が応でもツアーへの期待値と直結する。ぶるぶると震えるような抑えきれない興奮を体内に感じつつ、その興奮をヨシヨシと内心なだめつつ、開演を心待ちにする。おそらくみんな同じ気持ちに違いない。
そんな我々の興奮をあざ笑うかのようにSEの音量が一気に大きくなったと思ったら急に音が止み、会場を静寂が包み込む。客電は暗転し、ステージ全体を覆うように張られた白いスクリーンに大きな満月が浮かび上がる。想像もしていなかった幕開けにオーディエンスは大きな大きな歓声を上げる。まだ始まってもいないライブの最高の時間を確信しつつ、最初の音が耳に届いた。「キマイラの夜」だった。
ここで話をツアー初日に戻す。なぜならばこのZepp Tokyoワンマンは、約2ヶ月前に開催された新代田FEVERワンマンとはまったく違うライブになる予感がしたからだ。新代田FEVERは言うなれば灼熱のワンマン。真夏の熱気以上の熱と興奮と蒸気と歓声と笑顔と狂喜の声が充満したあのライブは、ステージ上のメンバーとフロアの距離の近さも相まって、強烈な一体感に終始包まれていた。ライブが終わって会場を出たときに気づいたのだが、全身が汗でぐっしょりずぶ濡れになっていた。いろんなものがぎゅっと濃縮されたような、密度と濃度の高いライブだったのだ。
そして一方、セミファイナルのZepp Tokyo。満月が投影されたスクリーンの向こう側で始まった「キマイラの夜」を聴いたとき、彼らがこのツアーで成し遂げた大きな進化を予感した。そのまま「7th Floor」が始まり、フラッシュのように照明が点滅してスクリーンが落ち、「ツバメクリムゾン」へ。興奮がZepp Tokyoの高い天井まで達した瞬間に始まったキラーチューンにオーディエンスは大歓声。Vo./G.村松が叫ぶ。観客が叫ぶ。真っ赤な照明の中でぶつかり合う無数の音と感情。アルバム『Strangers In Heaven』の大きなきっかけになったという新境地「Brotherhood」のイントロが鳴り響き、また大きな歓声が上がる。薄暗いライブハウスにも関わらず、目の前をパッと明るく照らすようなメロディに気持ちをグッとフックアップされたオーディエンスが楽しそうに踊り、Ba.日向が頭上で手を叩いて更に煽る。Nothing's Carved In Stoneの音さえあれば、他にはもう何も要らない。
村松がソールドアウトの喜びと感謝の気持ちを伝えた後、一瞬の静寂の後に牙をむいたのは「Spirit Inspiration」。多幸感に包まれて恍惚の表情を浮かべていた頬を思いっきり平手打ちするかのような同曲のアンサンブルに、喜びの歓声とサビの大合唱&乱舞で応えるオーディエンス。村松が「ただいま」と笑顔で言った後は、G.生形が宙にギターの音を1つ1つ刻み込むイントロで始まった「Crying Skull」。ボディーブローのように突き刺さるDr.大喜多のドラムにグラグラを揺さぶられながら同曲を浴び、アルバムの流れのまま荒々しい「What's My Satisfaction」へと続く。
Nothing's Carved In Stoneのライブのたびに思うことは、そのアンサンブルの暴力性と爆発力。エンジンをふかすようにグルーヴを練り上げてサビで一気に爆発させるその破壊力は他に類を見ない。ステージ中央で歌う村松の両脇で日向と生形が客席方向へと駈け出して楽器を掻きむしり、オーディエンスが爆発的な興奮を露わにする。大喜多が立ち上がってスティックを掲げ、我々の興奮を更に煽る。村松がふてぶてしいほどにキラキラと輝く笑顔を見せる。4人が一丸となって興奮の導火線に着火する。幸福なカオス。
驚いたのは、Nothing's Carved In Stoneの真骨頂とも言える独特なリズムを持つ「(as if it's)A Warning」のイントロでたくさんのクラップが沸き起こったこと。それは、彼らの音楽が隅々まで浸透していること、そして独特な楽曲であっても強烈なキャッチーさを兼ね備えていることを証明している。間奏の艶かしい生形のソロに歓喜の声が上がりつつ、曲は更に混沌の渦中に突入し、フロア全体が巨大な蛇のようにうねり始める。手がつけられない。
「最高の夜にしようぜ!」と村松が叫び、興奮が更に加速して全員で狂喜乱舞した「Out Of Control」、無数のダイバーが舞った「November 15th」、フロアで目を真っ赤にした者たちが飛び跳ねた「雪渓にて」、ダンサブルかつ重厚なリズムで意識をシャッフルした「Midnight Train」。休む間が一切無い。興奮と興奮の繋ぎ目が見えない。
ガシガシと火花を散らせながらアンサンブルが組み上がる。金属的な輝きを放つ巨大な音の塊がスピードを増して迫り、歌と手拍子が始まって「Pride」に血液が流れ込む。オーディエンスは全員が腕を上げて村松と一緒に歌い、大喜多のリズムに合わせて手を叩き、歓喜の表情で飛び跳ねる。生形がオーディエンスを煽って始まった「白昼」ではステージから放たれる熱量がぐんと上がり、フロアの興奮もヒートアップ。まるで秒読みのようなコーラスを全身で感じ、4人の体温を肌で感じ、胸を焦がしながら意識を宙に飛ばす。凶暴なグルーヴの「Idols」でダイバーがひっきりなしに打ち上がる。
メンバーも含め、興奮と感情の高まりを全身で表現する人々が飛び交うこのライブハウスの中で、村松はただ1人しっかりとステージに立ち、歌う。歌を届けることに全身全霊を捧げ、その歌が強烈な吸引力で人々の心を惹きつけるのだ。頼もしく歌う彼を中心に、大きな大きな歓声が幾度となく沸き起こる。ヴォーカリストとして、バンドマンとして、そして人間として大きく成長した村松の表情には気負いの色が一切見えない。まるでオーケストラの指揮者のごとく先頭でライブを牽引するその姿に魂が釘付けとなる。
「今回のアルバムは、聴いてくれる人たちに寄り添えるようなものにしたいと思って作りました。ライブをすることで、アルバムが完成していく実感があるんだよね。ありがとうございます」と村松は言った。その後、「俺たちはたくさんみんなにもらいました。ここからは俺たちがみんなに返します」と言った。それがこの日初めてのまとまったMCだった。その言葉通り、以降のライブは記憶に深く刻み込まれる瞬間が次から次へと連続する。「きらめきの花」ではたくさんの“笑顔”という名の花がフロアを埋め尽くした。無数の肩車が4人を煽り、讃え、興奮させた「Isolation」。その興奮が沸点に達したまま「Around the Clock」ではオーディエンスが更に暴れ、飛び跳ね、腕を振り上げ、汗を撒き散らした。
照明に浮かび上がる4人のシルエットがまぶたに焼き付けられたのは、本編最後の「Shimmer Song」。イントロのエモーショナルなギターを聴いた瞬間に鳥肌が立ち、村松が伸びやかに歌い上げる言葉とメロディに意識が吸い込まれる。日向のベースを合図にオーディエンスが人の渦に身を投げて歓喜。幾重にも折り重なった感情が一気に解きほぐれるような感触を胸に覚えつつ、本編が終了。
そしてアンコール。生形が感情豊かに哀しげなソロを奏で、それをじっと見つめる村松の姿が印象的だった「Assassin」、再びオーディエンスを狂喜させた「Moving In Slow Motion」の後、現在制作中という新曲を少しだけ披露。来年1/14にシングルで発表されるという同曲の強靭なグルーヴと瞬殺力のあるリフに触れて次への期待が大きく高まりつつ、最後は「Same Circle」。同曲の最高な一体感に包まれたまま、記憶に深く残るワンマンが幕を閉じた。
TEXT:Takeshi.Yamanaka
※今回は特別にZepp Tokyoワンマン開演直前と終演直後のたっきゅんを激写!!
闘う前のピリピリと張り詰めた表情と闘い抜いた後の緩んだ顔の対比をチェック!!
結成以来、優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、今年8月には待望のアルバム『Strangers In Heaven』をリリースし、ツアーをスタートさせたNothing's Carved In Stone。当連載は、同バンドのフロントマン村松が1年に渡って人間的な進化と動物的な本能を追い求めて規格外なことに挑戦していく村松拓強化プロジェクトである。
記憶に新しい当連載Vo.3の7月号にて、日本一の漢になるべく一合目からの富士登山に挑戦するもまさかのアクシデント(山開き前)に見舞われて志半ばに断念したたっきゅんことNothing’s Carved In Stone Vo./G.村松拓。あの挫折が心残りだったのだろう、彼が次に選んだチャレンジはなんと高さ100mからのバンジージャンプ。実は以前、読者から「たっきゅんに100mの竜神バンジーにチャレンジしてほしい!」というメールが当連載に寄せられていたのだが、たっきゅんはそのことをずっと記憶していたらしく、当連載の企画会議にて放った「次は100mバンジーにチャレンジしたい! ツアーが終わる前にやらなければ遅い気がするんです! 俺、高所恐怖症なんだけど!」という彼のひと言で今回のチャレンジが決定。アルバムツアーがスタートした直後の9/4、我々は茨城県にある日本最大級の高さ(100m)を誇る竜神バンジーへと向かった。
茨城県常陸太田市にある竜神大吊橋は、竜神川の浸食によって形成された峡谷・竜神峡にかかる全長375mの吊り橋。2006年までは日本一の長さ、そして2007年以降も本州最長規模とのこと。吊り橋下のダム湖の湖面から吊り橋までの高さは約100mで、橋の上から見る景色はまさに恐怖の絶景。そんな竜神大吊橋に2014年3月1日にオープンした竜神バンジーは、100mの竜神大吊橋からダム湖面へ向けてダイブする日本最大級のブリッジバンジージャンプ。ちなみに有名どころだと、千葉県マザー牧場のバンジーは20m、群馬県のみなかみバンジーは42m、熊本県五木村アウトドアウィークは77m。他のバンジーと比べてみても、まさに竜神バンジーは規格外、日本一を目指す漢に相応しい日本一のバンジーなのだ。
「Vol.6:生き急げたっきゅん! 103mからファーラウェイ! の巻」を余すことなく読者にお伝えするため、1合目からの富士登山に続いて今回も動画でその模様をご紹介。たっきゅんが日本一になるまでの一部始終を捉えたドキュメンタリー、15分以上ある動画ですが、是非ご覧ください。
以下、テキストでもご紹介
ツアーが始まった直後の9/4午前、茨城県の竜神バンジーへと車で出発。本人に聞いたところによると、たっきゅんの睡眠時間はなんと1時間! 「怖くて眠れなかった」という。たっきゅんのチャレンジは前日から始まっていたのだ。
道中はわきあいあいとした車内だったが、茨城県に入ったあたりからどんどん会話が少なくなり、ランチではグリーンサラダしか注文しなかったたっきゅん。編集部スタッフとどっちが先に跳ぶかで口論になりつつ、いよいよ竜神大吊橋が近くなってきた。
一行を乗せた車が山道に入り、視界が一気に開けたと思ったら眼前にそびえていたのは竜神大吊橋。100mと聞いてはいたが、実際に目にすると有り得ないほどの高さ。「これマジかよ!」と悲鳴にも近い声が車内に響く。マジでこれあかんやつ。
今回バンジーにチャレンジするのはたっきゅんと編集部スタッフの2名。マネージャーや撮影スタッフに笑顔で見守られながら装備を付け、「何かあっても文句言いません同意書」にサイン。いよいよである。
茨木から来たという大学生3人と一緒に5人1組でジャンプ台に到着。吊り橋中央部の下に設置されたジャンプ台は、いわゆる金網のカゴ。要するに我々が立っている地面も金網。怯えるたっきゅんは金網の上を歩けずに、太い鉄柱の上から動かなかった。
実は1つの疑問が我々の頭に浮かんでいた。「普通に跳んだらみんなと同じ高さじゃないか?」と。そこで我々は、日本一の漢になるためにバンジーの際に上に3mジャンプし、100mバンジーを自力で103mバンジーにしようと考えた。バンジースタッフの「人間は3mも上に跳べないと思います」というツッコミは意を決した我々の耳に入らなかった。
同じ組の大学生3人がラクラクとバンジーを終え、いよいよ我々の番がまわってきた。ジャンプを担当するバンジースタッフはなぜか2人とも外人、そしてBGMはハードロック。否が応でもテンションを上げつつ、ジャンプ台へと足を運ぶ。眼下には100m下の湖面。ロープが切れたら死亡は必至。走馬灯がよぎる暇もなく、頭の中を真っ白にして103mのファーラウェイ。
そしていよいよたっきゅんが跳ぶ順番がまわってきた。ジャンプ台に到着したときはあまりもの高さにブルブルと震えていたたっきゅんだったが、腹を括ったのかテンションが裏返ったのか、バンジー直前のたっきゅんは頼もしい笑みを浮かべて落ち着き払っていた。その横顔は、数々のステージを経験し、類まれなるタフネスを手にしてきたNothing’s Carved In Stoneのフロントマンそのもの。やはりアーティスト、我々素人とは違う。
マネージャーやバンジースタッフはもちろん、同じ組の大学生からも激励の歓声があがる中、いよいよたっきゅんがジャンプ台に足をかける。5,4,3,2,1…外人スタッフのカウントダウンに合わせ、まったく躊躇せずにたっきゅんがファーラウェイ。編集部スタッフ同様まったく上に跳んではいなかったが、その瞬間たっきゅんの背中には翼が見えた。村松拓は自由になったのだ。
103mの跳躍を終えて我々の前に戻ってきたたっきゅんの笑顔は、以前と比べて何倍も輝いていた。聞いたところによると、たっきゅんは跳ぶ瞬間に「誰だって(屈んで)…そうだろう(ジャンプ)」と歌っていたとのこと。そう、それはNothing’s Carved In Stoneの最新アルバム『Strangers In Heaven』収録曲「Shimmer Song」の歌詞の一節。高所恐怖症のたっきゅんがなぜ日本最大級のバンジーにこだわったのか、そしてツアーが始まったばかりという大事なときになぜ事務所が無謀なたっきゅんチャレンジをOKしたのか、そのエピソードで理解できた気がする。このアルバムで、そしてこのツアーで一皮も二皮も剥けて成長したい…そんなたっきゅんの貪欲な前傾姿勢に胸と足が震える(※足が震えたのはバンジー直後だったからという説もある)。一見たっきゅんがやりたいことをやっているだけに思える連載「たっきゅんのキングコングニー」だが、この企画の成果が現れるのは、そう遠くない未来だろう。
当連載への感想・質問・要望・ファンレター・ぶっ壊れたい願望が強いたっきゅんにチャレンジしてほしいことはyamanaka@hirax.co.jpまで!!
結成以来、優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、今年8月には待望のアルバム『Strangers In Heaven』をリリースし、ツアーをスタートさせたNothing's Carved In Stone。当連載は、同バンドのフロントマン村松が1年に渡って人間的な進化と動物的な本能を追い求めて規格外なことに挑戦していく村松拓強化プロジェクトである。
●昨日はお疲れ様でした! (※取材はツアー初日8/20直後の8/21に敢行)
村松:ありがとうございました。ツアー初日終わってみて思ったのは、やっぱり富士山登ったのがデカかった。
●え? どういうこと?
村松:俺の中でなんかがあった。誰かが見てるかもしれないのに、気にせずに変な格好(女子高生)して5合目まで登ったじゃないですか。そのズル剥け加減っていうか。あの経験で、俺の中でなにかが起こりましたね。
●お。
村松:コスプレ好きになりそうだなって。
●そういう話かよ!
村松:ハハハ(笑)。
●ツアー初日の拓さんを観て思ったのは、本当に自然なスタンスだったこと。前に観たライブとも全然違った。
村松:ああ〜、言われて気づきましたけど、そこの気負いはもう完全にないですね。もちろんMCとかもあるけど、それはライブの中の役割の1つという感じで、何も意識していない。逆に今は歌にすごく集中できているんです。気負い過ぎたりすると喉にダイレクトに負担がかかるから、自然に歌って、それを観てもらった方がいいんじゃないかなって。そういう意味で、もう自分のものになってる感じがある。今まではツアーの前は「よし!」と気合いを入れてたんですけど、今回はそうじゃないんですよね。自然な感じでスタートできた。
●MCも、今までのインタビューで何度も訊いてきた、拓さんのオーディエンスに対する想いの核心がスッと伝わってきたし。
村松:今俺が思っている目標として、お客さんを置いていかないステージをしたいんですよ。でも縮こまった状態で何かを作ると、それを大きくしていくことが困難になることに気づいたんです。だからもっと大きいステージを想像したときの立ち振舞いっていうか。それはすごく削ぎ落とされていて、簡潔な言葉で、かっこつけるんじゃなくて響く言葉を選ぶべきなんだろうなって。そういう意味でもひと皮剥けたくて。
●なるほど。
村松:継続的にこういうコラムがあることもデカいんですよ。
●確かに昨日のMCでも「コラム書いてる」という話をしていましたよね。というか、拓さん書いてないけどね。書いてるの僕ですけどね。
村松:アハハハ(笑)。そうだった(笑)。でもこういう場所で好きなことをやっているのが、ものすごく俺のパーソナルに影響があるんです。そういう自分を見せていくことで、気負う必要がなくなってきたし、やっぱりステージは俺の居場所なんだって気づけたし。
●それはよかったです。
村松:最近は俺、しゃべるのが辛いんです。歌う方が楽なんです。
●あら。
村松:そういった意味でもステージがいちばん安心する。人との距離感を測るのとかが苦手だけど、ステージではそこを考える必要がないし。お客さんもみんな裸だから。俺は期待以上の演奏をして、期待以上の歌を歌う。そこでしゃべるよりも楽な歌があって。だからいちばん安心する。俺、ライブですごくかっこつけてたじゃないですか。ずっと。
●はいとは言いづらいけど、はい。
村松:それがもう必要なくなってきていて。たっきゅんでいいやって。それがすごくある。だから楽なんですよ。すごく繋がってきている。自分の人間性…いちばん血になっている部分と、このバンドの芯みたいなものがすごく繋がってきている。だから気負って「このバンドではこういうこと言わなきゃいけない」とか今はまったくない。
●それはすごく感じます。いい変化ですね。ところで変化といえば、今回から髪が青くなっていますが…。
村松:これね“粟島ブルー”っていうらしいんですよ。俺の担当の美容師がやってくれて。俺は意味がわかってないんだけど(※ダイバーの間では新潟県粟島の美しい海を“粟島ブルー”と呼んでいるらしい)。
●過去には、拓さんが心境的に大きく変わったアルバム『Silver Sun』のタイミングで金髪にしたじゃないですか。だから今回も心境の変化が髪の色に表れてるのかなって。
村松:美容室で寝てて、気づいたら青色になってた(笑)。金髪は自分で決めてやったけど、いつも美容師に任せてるんですよ。俺、イメージを壊すことに快感を覚えてて。だから美容師にも「常にイメージを壊すようにやってください」ってお願いしてるんです。
●過去の俺を更新してくれと。
村松:やっぱり刺激的でいたいですからね。
●それと、昨日のライブですごく感動的だったのが、「Shimmer Song」の生形さんのギターソロ。生形さん感情を爆発させていて、もうグッときました。
村松:あれ鳥肌立ちますよね。今も言ってて俺、鳥肌立ってるし(と鳥肌だらけの腕を見せる)。
●めちゃくちゃ鳥肌立ってる!
村松:真一(生形)はギターで歌えるんですよ。あれ、隣でやっててすんごい気持ちいいんです。「Shimmer Song」は本当に大切な曲になっていく感じがあるんですよね。作って随分経つけど、日に日にこの曲に対する気持ちが強くなってます。ウチのバンドにとって意味がある曲ですね。
●色んな意味で、今後のツアーが楽しみになる初日でした。
村松:俺も楽しみです。期待して欲しいですね。
たっきゅんがアルバム『Strangers In Heaven』をイメージして描いた画は「A」(写真上)でした!!
読者からの回答内訳
A(たっきゅん):13票
B(チーフマネージャー石谷氏):3票
C(マネージャー渡辺氏):7票
D(JUNGLE☆LIFE 山中):3票
結論:たっきゅんはアーティスト性を持っている。
(素人はがんばってもやっぱり素人)
※正解者の中から抽選で1名様に、たっきゅん作の絵画と、当ページでたっきゅんが着用している『たっきゅん画伯イラストプリント&サイン入り世界で1枚のたっきゅんアーティスト性ありますTシャツ』をプレゼントします。当選者の発表は、当選者にメールにてご連絡・確認後、賞品の発送をもって代えさせていただきます。ちなみにすべての作者を当てた人は2名いらっしゃいました。恐るべし慧眼。
当連載への感想・質問・要望・ファンレター・ぶっ壊れたい願望が強いたっきゅんにチャレンジしてほしいことはyamanaka@hirax.co.jpまで!!
結成以来、優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、今年8月には待望のアルバム『Strangers In Heaven』をリリースするNothing's Carved In Stone。当連載は、同バンドのフロントマン村松が1年に渡って人間的な進化と動物的な本能を追い求めて規格外なことに挑戦していく村松拓強化プロジェクトである。前回、日本一の漢になるために1合目からの富士登山を試みるも、誰も予想していなかったアクシデント(山開き前)に見舞われてやむなく挑戦を断念したNothing’s Carved In Stone Vo./G.村松 拓。真の漢になるためのたっきゅんチャレンジ第2弾は、アーティスト・村松 拓が持つ“アーティスト性”を確かめるべく、3人の素人と1人のアーティストがニューアルバム『Strangers In Heaven』のジャケットをイメージした画を描き、アーティスト(たっきゅん)が描いたのはどの画かを読者に判断してもらおうというもの。果たして、村松 拓はアーティスト性を持っているのだろうか?
描いた4人 → Nothing’s Carved In Stone Vo./G.村松 拓、チーフマネージャー石谷氏、マネージャー渡辺氏、JUNGLE☆LIFE編集長 山中
上記の答えと、当連載への感想・質問・要望・ファンレター・ぶっ壊れたい願望が強いたっきゅんにチャレンジしてほしいことはyamanaka@hirax.co.jpお送りください。当たった方の中から抽選で1名様に、当ページに掲載したアーティスト(たっきゅん)作の絵画と、その画をプリントした特製Tシャツをプレゼントいたします。
結成以来、優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、4月には自主企画イベント“Hand In Hand”を大成功させたNothing's Carved In Stone。当連載は、そのフロントマン村松が1年に渡り、人間的な進化と動物的な本能を追い求めて規格外なことに挑戦していく村松拓強化プロジェクトである。連載3回目となる今回はいよいよ村松拓強化プロジェクトが始動。本人の強い希望により、プロジェクト第1弾に選んだのは読者からのリクエストが最も多かった富士登山。しかも漢・村松拓はただの富士登山では満足しなかった。なんと彼は、「1合目から日本一の富士山頂を目指したい」と言い出したのだ!!
1合目からの富士登山:精進口登山道
今回選んだルートは精進口登山道。標高913mの登山口から山頂までの高低差は高山病必至の2863m。スタート早々に青木ヶ原樹海に突入、ひたすら樹海を進んで富士スバルライン3合目を経て5合目へ。5合目からはメジャーな吉田ルートで吉田口山頂に行き、富士山火口のお鉢巡りを楽しんだ後に剣ヶ峰(標高3776 m)へと至る全長23km超のプロジェクト。1合目から5合目までは売店や山小屋などの補給地点が一切ないという過酷なルートなのだ。
6月某日、富士登山の朝は早かった。1合目から富士山頂までは片道約12時間かかるため、余裕をもって早朝に都内を出発。マネージャー氏が運転する機材車に乗り込み、「楽しみで2時間しか眠れなかった」と言うたっきゅんは朝からテンションが高い。
山梨県側の精進口登山口に到着。たっきゅんの装備は万全。途中のサービスエリアで朝食にそばを食べ、売店で購入した飲み物とおにぎりをリュックに詰めて、村松拓強化プロジェクト第1弾がスタートした。
精進口ルートの前半は青木ヶ原樹海。スタートしてほどなく雨がパラパラと降り始めるも、魔の樹海を陽気に歩くたっきゅんの足取りは軽く、「日本一になるぞー!」と樹海に向かって叫んだり、森の中でマイナスイオンを浴びたりしている。子供か。
他のメジャーな登山ルートとは違い、ひたすら樹海を突き進む精進口ルートはマイナーで、他の登山客は皆無。我々がスタートして初めて出会った人間はなんと重装備の自衛隊10数名。「こんにちは」と隊員に挨拶し、自衛隊のジープを背にパチリ。
黙々と山道を登っていると、前方から犬を連れた女性が走って降りてきた。「散歩ですか?」とたっきゅんが声をかけると「はい。トレーニングも兼ねて」と答える女性。そろそろ息があがってきた我々を尻目に、女性と犬は颯爽と登山道を駆け下りていった。
スタートから3時間。ストイックに登ってきた我々が最初に休憩を取ったのは3合目近くの壊れた山小屋の軒先。たっきゅんはまったく疲労がないのか、松ぼっくりを拾ったり記念写真を撮ったりニューアルバムの内容を話したりと休憩中もうるさかった。
ようやく4合目に辿り着いた頃、遅めの昼ごはんを食べることにしたたっきゅん。おにぎりを勢いよく食べてエネルギー充電。剣ヶ峰はまだまだ先だが「このまま一気に山頂まで走っていこうかな〜」という余裕のコメント。さすがたっきゅんだ。
疲労がたまってきた編集部スタッフに「休みましょうか?」と声をかけてくれる女装したたっきゅんに男気を感じつつ、5合目への道を急ぐ我々。樹海を抜け、周りには高山植物がちらほら。「この葉っぱかわいい〜」と記念撮影する女装の村松拓。
スタートから約6時間。雨は止み、登山道から5合目駐車場へと抜けて歓喜の声をあげる女装したたっきゅん。しかし中間地点に到着しただけのこと。5合目から山頂を見て「日本一の漢になる」という決意を強めたたっきゅん(女装中)は頼もしかった。
しかし山頂へ繋がる吉田口の入口で緊急事態発生!! なんと6/30まで山頂への登山は禁止とのこと!! (山開きは7/1〜)なんたる調査不足!! 読者プレゼント用に富士山の空気の缶づめを購入し、村松拓強化プロジェクト第1弾はあっけなく幕を閉じた。
たっきゅんサイン入り富士山の空気の缶詰のプレゼント応募はこちらをチェック!!
当連載への感想・質問・要望・ファンレター・ぶっ壊れたい願望が強いたっきゅんにチャレンジしてほしいことはyamanaka@hirax.co.jpまで!!
リリースやライブ情報など、NCIS最新情報はhttp://www.ncis.jp/をチェック!!