【空前の陽水ブームとなった74年!!】井上陽水は、今でも日本のトップを走るシンガーソングライターである。この年は、なんと『氷の世界』『陽水ライヴもどり道』『断絶』『陽水IIセンチメンタル』と4枚ものLPが年間トップ10にランクインすると言う快挙を成し遂げている。その他には、かぐや姫、小椋佳などまさに日本のフォークを代表するアーティストが台頭した年でもあった。洋楽では、カーペンターズとグラシェラ・スサーナが入っている。また、8月には、史上初となる日本のスタジアムコンサートを西城秀樹が大阪球場で開催している。一方、海外に目を向けてみると、ドラッグ中毒から復活してマイアミで録音された、エリック・クラプトンの『461Ocean Boulevard』は、リラックスしたクラプトンスタイルの音楽の始まりだとも感じる。また、キラー・クイーンの大ヒットを受け、クイーンが大きく羽ばたき、酒とドラッグ漬けのジョー・コッカーが復活。早々たるメンツのミュージシャンを従えて名作アルバムを発表するのもこの年の大きなニュースと言える。そして、アルバムチャートの上位は、Genesis、Roxy Music、Brian Eno、Kraftwerk、Bob Marley&The Wailersなどが顔を揃える。そこで、読者にお勧めのアルバムはと言えば、ボブ・ディラン『プラネット・ウェイヴズ』ビリー・ジョエル『ストリートライフ・セレナーデ』サンタナ『ロータスの伝説』ジョン・レノン『心の壁、愛の橋』キャロル・キング『喜びにつつまれて』ライ・クーダー『パラダイス・アンド・ランチ』は是非とも一度は聴いてほしい名作です。最後に、この年のトピックスを、フィリピンのルバング島で小野田元少尉を発見、帰還を果たす。8時だよ!全員集合で、ドリフターズのリーダーいかりや長介が荒井注のドリフターズ脱退と志村けんの正式加入を発表。永谷園の「あさげ」が発売された。インスタント味噌汁は画期的ですよね(笑) 編集者:野口健作
【70年代、洋楽の名盤アルバムが数多くリリースされた黄金期】1973年(昭和48年)の日本と海外の音楽動向は非常に興味深いものがある。三人娘の活躍、花の中三トリオ、郷ひろみ、野口五郎、西城秀樹が新御三家と呼ばれるようになり、日本レコード大賞は、五木ひろし。これが、日本の現状。1月の下旬から予定されていたローリング・ストーンズ初の来日公演が直前になって中止。過去の大麻所持に外務省がNOを出したためだった。この年、1月にはブルース・スプリングスティーン、エアロスミス、7月にはクイーンが、日本では、石川さゆり、山口百恵、キャンディーズなどがデビューを果たしている。同年、産声をあげた日本のアーティストは、細美武士、BONNIE PINK、GACKTなど。海外アーティストは、マネジメントなども含めて、自己主張のスタンスが確立され、契約事項をハッキリ示した活動に入っていく時代に、日本ではやっと音楽事務所が形をなし、テレビ主導の時代に突入した時でもある。セールスが、国内だけなのか、全世界がターゲットなのかによって、当然アプローチは違うと思うが、ここに来て、日本のアーティストもマーケットが世界レベルになった事は誇らしくもあり、自然な流れでもあるように感じる。世界のロックアーティスト、今でも現役で活躍するバンドが光輝く代表的なアルバムをリリースしたのも73年。T・レックス、ボブ・ディラン、エルトン・ジョン、スティーヴィー・ワンダーなどの名作にもう一度ゆったりと浸ってみるのもいいかも。やっぱ70年代は、凄いですね!! 編集者:野口健作
今でも、色褪せないバンド・アーティスト達のデビュー年!! 井上陽水が『人生が二度あれば』で再デビューをはたし、谷村新司のアリス、パンタの頭脳警察、RCサクセション・仲井戸麗市の前身バンドである古井戸、矢沢永吉の伝説のバンド、キャロルがデビューを果たしている。海外では、イーグルスが『テイク・イット・イージー』で鮮烈デビュー。ニール・ヤングの『ハーベスト』、ジョン・レノンの『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』、ローリング・ストーンズの『メイン・ストリートのならず者』、T・レックスの『スライダー』、デヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』、イエスの『危機』など、名作と謳われるロックアルバムが数多く輩出された記念すべき年でもある。日本のヒットチャートも演歌、歌謡曲、アイドル、フォーク、ポップスが入り乱れ、音楽の玉手箱状態。基本となるジャンル構成が出来上がってきた時代だとも言える。また、TOKIOのベーシスト山口達也、平井堅、UA、小島麻由美、SMAPの木村拓哉、中居正広なども誕生した年でもある。インターネットの無い時代、好きなバンド、アーティストの情報源は、主にラジオ、雑誌、テレビが少し。当時、大阪梅田には、ビデオ喫茶キューピットがあって、ビデオ映像をリクエスト出来るシステムなのだが、順番待ちが3時間は当たり前、お目当てのビデオを見るには、半日仕事。しかも、長くいると追加注文をしないといけない。お金の無い子供には、高額なアトラクションだった。その分、好きなアーティストの映像を目に焼き付けてお店を後にしたのを鮮明に憶えている。こんな便利な時代になったからこそ、積極的に過去の音楽シーンに触れてみて、感じてほしいと思う。きっと、リアルな“今”、音楽のルーツが見えてきますよ!!
編集者:野口健作
日本も世界もまさに音楽黄金期に突入!! グループサウンズのトップを極めた、沢田研二率いるザ・タイガースの解散後すぐに結成されたスーパーロックバンド「PYG」を経て沢田研二がソロとなった年。洋楽では、シカゴ、ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリン、グランド・ファンク・レイルロードと錚々たるバンドが初来日を果たしている。また、国内ではアイドル歌手全盛の先駆けとして、後に「三人娘」と称される南沙織、小柳ルミ子、天地真理が揃ってデビューした年でもある。今、聴いても色褪せない名作と言われる洋楽アルバムは、是非ともチェックして欲しいので、筆者の勝手なリストアップを列挙しておきます。出来るなら、アナログ盤で聴いてほしい!!中古レコード店ではかなり安価に手に入るはずです。ほとんどCDにもなってますのでご安心あれ。あ、全て配信サイトにありますよね(笑)○キャロル・キング「つづれおり」○オールマン・ブラザーズ・バンド「フィルモア・イースト・ライブ」○エマーソン・レイク・アンド・パーマー「展覧会の絵」○イエス「こわれもの」○ジャニス・ジョプリン「パール」○レッド・ツェッペリン「レッド・ツェッペリン」○デープ・パープル「ファイアボール」○ピンク・フロイド「おせっかい」。やっぱりこの時代の音楽を聴いてしまうよな!!
ロック、フォーク全盛、魅力満載の70年代に突入しました。現在活躍するベテラン・レジェンドアーティストのほとんどが1970年代にデビューを飾っていると言っても過言では無いくらいに様々な音楽ジャンルで影響を与えた才能やバンドが輩出されています。1970年を切り取ってみてもよしだたくろう、泉谷しげる(アルバムデビュー)さんなどはまさにフォーク界の牽引役として現在でも多岐に渡り活躍されています。演歌の天童よしみさん、一世を風靡した尾崎紀世彦さんなどもこの年なんですね。海外を見てみても、レッド・ツェッペリン、クイーン、デープパープル、シカゴ、イーグルスとロック界の重鎮オンパレードです。現在のロック、現代ポップスの原点である1970年代は音楽ファン、バンドマンにとっても重要な時代だと実感します。さて次号にはどんなアーティストが登場してくるのか・・・・。次回のミュー〜〜〜〜ジック、ヒ〜〜〜〜ロ〜〜〜〜ズ!!お楽しみに!!
このミュージックヒーローズも3回目となりました。1968年のアーティストがあまりにも多く、1回では伝えきれないほどのボリューム。現在第一線で活躍する20代の人達からすれば、おじいちゃん、おばあちゃんの年齢の方々が、日本で一番最初にエレキギターを弾き、バンドを組んだのです。イギリスのロック、ポップス、そして、アメリカのヒット曲、様々な音楽ジャンルを吸収しながら、器用な日本人はオリジナリティを模索する時代の入り口に立ったと言えるでしょう。ロック・フォークの黄金期の幕開け、1970年代は、ミュージシャンは元よりミュージック・フリークにとっても大切な年代なんです。 編集者:野口健作
連載2回目です。前回はなぜ私がこんなアーカイブを制作するのかというストーリーを書きました。日本の歌謡、フォーク、ロックの草創期に育ったために海外からの洋楽旋風は私にとって衝撃的なものでした。特に、ビートルズ、ボブ・ディランには人生を変えるくらいの影響をうけたのです。現代を象徴するようなアーティストは、その見えない影響を受けて今に至るのです。その素晴らしい歴史をさかのぼり原点を見つめ直していくことが、これからのクリエイティブを更に確かなものにしてくれると信じています。
編集者:野口健作
大瀧詠一(はっぴいえんど、SSW、プロデューサー)に「フォークの火を消すな」と指名をうけ、日本のフォーク・ロックをはじめとする日本の音楽文化を後世に残すべく明治維新以降の日本の音楽史をデータベース化。膨大なデータを託されたジャングル・ライフ編集部…“あんたならどうする”?
野口健作の音楽人生:学生運動華やかし時代を経て、CBSソニー入社。吉田拓郎、矢沢永吉、浜田省吾、山口百恵を担当。ソニー退職後、大瀧詠一と合流。ミディレコード設立。坂本龍一、矢野顕子、大貫妙子などと時代を創る。アップフロントではロック部門を担当。面白いところをわたり歩いた、まさにロック人生。
この「ミュージック・ヒーローズ」は、坂本龍馬が暗殺された、慶応3年(1867年)の翌年から始まった、明治維新から2005年位までの約150年間を、音楽を中心に見たものです。僕は制作するにあたって、ただ史実を並べて表現するだけでなく、その時代の色はどんなイメージでどんな空気(雰囲気)や風が吹いていたのかをとらえてみたいと思いました。水色の青空の中に、その時代の出来事などを表現し空気、風、時代の色を感じさせました。川は…「行く川の流れは絶えずして、また元の水にあらず。淀みの浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しく留りたる試しなし。「方丈記」 このように書かれているように、時の流れの中で購う人間と生み出された様々な音楽、流行などを川の中で表現してみました。1950年代以降、プレスリー、ビートルズ、ボブ・ディランらが次々に登場して日本の音楽に大きな影響をあてえてきました。ラッキーにも彼らと同じ時代に生きてきた僕たちが何を次の世代に残し、伝えていくべきか考える事の最期のチャンスだと思っています。水色で表現した、空の下では、どんな時代の色をして、そしてどんな音楽のような風が吹いていたのでしょのうか。川の中にはどれだけの歌が、曲が、誰にも聴いてもらえず、すてられ流されてしまったのでしょうか。ディランの「風に吹かれて」を聴いていると、自分が何をしてきたのか、これから先なにをすればいいのか考えてしまいます。あっもう僕にはそんなに先はないか。まあいいか、面白い人生だったから。とりあえず良しとしておこう。
野口健作