「ファイナルミックスやマスタリング時にバウンスすると、良くない方に音が変わってしまう」
周りのバンドマンからこういった話を聞く機会が増えてきました。
バウンスは、いわゆる「データの書き換え」なので常に副作用が伴います。
よくあるケースとしては
「立体感が減り、平面的になった」
「きらびやかな成分がかなり減って、パサパサした音像に(例えるなら賞味期限切れのような)なった」
など。
このコラムの第五回でも細かく触れましたが、こういった現象を解決するには
「プロユースのマスターレコーダーを導入する事」です。
マスターレコーダーというと「高価な機材」という印象が付きまといますが、現在(2020年9月)、
【KORG MR-2000S】
【TASCAM DA-3000】
といった現行品が存在します。
また、中古品であれば
【FOSTEX UR-2】
【FOSTEX CR500】
【TASCAM DV-RA1000】
【TASCAM DV-RA1000HD】
などを、中古品2~10万円ぐらいで見かけます。
次回はマスターレコーダーの接続方法を含め検証したいと思います。
【大学生バンドのセルフREC】
前回では、各楽器のダブつきをある程度抑えて、明瞭感を増やしてみました。
今回では、いよいよメインボーカルを中心とした総合的なミックスに取り掛かります。
ボーカルとスネアは近い音域にあることが多く、PANも双方ともにセンターに位置することが多いので、これをどう処理するかが1つのポイントになります。
例えば「ハイトーン女性ボーカル」と「ローピッチスネア」の組み合わせであれば、自然に音域の棲み分けが出来てすんなりといくこともありますが、今回の素材は「ノーマルな中域男性ボーカル」と「ほどほどに抜けるファットなスネア」なので、音域の被りが多いケースです。
それゆえに、スネアとボーカルの被りを「左右」よりも「前後」を巧みにコントロールし、程よく共存させてみましょう。
スネア音域の中でボーカルと被る部分をEQで少しカット
ボトム側トラックはとりあえずそのまま
↓
コンプKnee→ボーカル最速、スネアTOPややゆるめ、スネアボトムさらにゆるめ
↓
リバーブ(プレートもしくはホール系)1.5mmsec~2.0mmsecで、ボーカル、スネアにかける
↓
プリディレイ(リバーブのかかるタイミングを調整するパラメータ)をいじる
ボーカルにはプリディレイを長めにかけ、スネアトップはやや短めに、ボトムは更に短くかけると前後の距離が更に調整され良い感じになることが多いです。
注)プリディレイ、リバーブタイムは楽曲のテンポに左右されます。
【今月のちょいレア】TK AUDIO DP1 mkⅡ
スウェーデンの高級アウトボードブランド。黄金期のSSL Eシリーズ、Gシリーズの良いところをとった優れもの。本物を超えたレプリカと言えそう。
【今月のMV】ANNIE DROPS 「RobberGirl」
https://www.youtube.com/watch?v=kRvZGj6e6gQ&feature=youtu.be
古きを温めすぎて逆に今っぽくなった、R&RバンドANNIE DROPS。筋金入りのステージングはもちろんのこと、個性の強いキャラクターにも一気に引っ張られる。
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【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
putit petit 「pupe rhythm」
バンド名を「眠らない兎」から改名し、内容もより充実。ギターロックを中心に、楽曲ごとにツインボーカル、ツインキーボードが彩りを変えていく。さりげなく変拍子を取り入れたリズムアレンジも冴えわたる。
NEXT STORY 「Nexus Scenery」
80~90年代のアメリカンハードロック的要素の中に、ジャパメタフレーバーがちらっと見え隠れする。定番的リフやフレーズが大半を占めるが、不思議とオリジナリティーを感じる。
OH MY GOD, YOU’VE GONE 「TACIET」
オルタナティブを端から端まで掘り下げた、とにかく濃密な3曲入りマキシシングル。セミツインボーカル的なコンセプトも非常にバランスが良い。
FIRST STEPS 「watch your step」
70~80年代アメリカンソウルだけでなく、90年代以降のUKソウルやアシッドジャズの流れも汲んだ良盤。2010年代の国内シティーポップとは、良い意味で一線を画す一枚。
みならいモンスター「終わりのない青春を」
もはや説明無用の3姉妹ガールズトリオロックバンドのシングル。リード曲は転調を巧みに使い、キャッチーさと玄人さがバランスよく同居している。
今回もライブ用ボーカルマイクのおすすめをご紹介します。
【AKG P5】
オーストリアの名門ブランドAKG社製のダイナミックマイク。
コンデンサーマイクにおいてドイツのNEUMANN(ノイマン)と双璧を成すAKGですが、このダイナミックマイクにおいても「耳に痛くないハイの抜け具合」と「タイトな太さ」が際立っています。守備範囲の広い秀逸なマイク。
【SENNHEISER E835】
ドイツのブランドSENNHEISER(ゼンハイザー)は中音域のリッチさがトレードマーク。ミドルランクに位置するこのE835は上位モデルのキャラクターに50%相似、残り50%で独自のキャラクターに仕上がっています。男性ボーカル、女性ボーカルどちらにもすんなり使えます。
【大学生バンドのセルフREC】
(前回の続き)バッキングギター低音域とベースの中音域のダブつきを解消していきましょう。
上図のバッキングギターの赤い部分(低音域)を思い切って削ります。
出来れば「パラメトリックEQ、4バンド以上」あるプラグインを使うといいでしょう。
ハードウエア、プラグインを問わずEQについて注意すべきは、シェルビングタイプ(ある周波数以上、または以下をごっそり増減させる)をいきなり使わずに、ピーキングタイプ(ピンポイントで上下できる)から使ってみることです。
【シェルビング】
【ピーキング】
ピーキングタイプのプラグインでQ(振り幅)を狭くして動かしていき、自分のイメージに近いところで一旦止めます。その後Qを細めに設定し、ダブつくポイントを大胆にカットします。
もしカットしすぎてギターの音が細くなってしまったら、少しずつカットした成分を戻しましょう。
自分のイメージに近いポイントが見つかったら、この作業は一旦OKです。
【今月のちょいレア】Antelope Audio 10MX(ルビシウムマスタークロック)
デジタル機器同士のピントを合わせ、音質のクオリティーを引き上げるワードクロックの最高峰といえる製品。前後左右の位相がビシッと揃うだけでなく、音像の奥行き感の明瞭感がリアルに増幅する。本来のサウンドスケープが手に取るように分かりやすくなる逸品。
【今月のMV】フトイーズ「地団駄フェスティバル」
ミドルエイジのサラリーマンの本質、悲哀を端的かつユニークに表現するバンドのMV。振り切ったエモーションが実に潔く、サラリーマン諸兄の共感を呼んでいる。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
NEIGHBOURHOOD 「 Good Behaviour 」
オルタナティブというジャンルを広い範囲で再解釈し、ニューウエーブ、サイケ、ネオアコ的エッセンスが至る所ににじみ出ている。この新作はあらゆる意味で彼らの最高傑作と言えよう。
maruiro 「 強くない人。 」
「心の角をまあるく染める」をキャッチフレーズに、リスナーに優しく寄り添うような世界観を築く3人組バンドのフルアルバム。磨きのかかったオリジナリティーに包まれた自信作となった。全国発売中。
菜の葉。「 存在理由 」
ギターロック、エモロック、パワーポップのいいとこ取りしたトリオバンドのシングル。Vo.サヤカの倍音豊かな声質をとりまくビビッドなロックサウンドが、彩りと力強さを着実に届けてくれる。
星野由美子 「 All The Way 」
ジャズボーカリスト、ピアニスト星野由美子5年ぶりのフルアルバム。ジャズスタンダードを中心とした楽曲のセレクトと、インテリジェンスなリハーモナイズ、リズムアレンジとのコントラストが素晴らしい。2020年9月全国発売。
marbh 「 Aptitude 」
グランジロックの中枢をえぐるようなパンチのあるサウンドが轟くデジタルシングル。作品を発表するたびに、シアトル系グランジとの距離感が「良い意味で」離れてきている点に、オリジナリティーを十二分に感じる。
コロナ禍の中、定番になりつつある「ライブ配信」ですが、配信に対してのハードルが低くなってきている分、音質や演奏クオリティー、パフォーマンスなどがより重要になってきているのは言うまでもありません。
前々回からご紹介しているライブ用ハンドマイクも、今回は「音質」プラス「ルックス」も、より重視してご紹介します。
【LEWITT MTP250DM】
オーストリア発の新興ブランドLEWITTのダイナミックハンドマイク。
中音域もさることながら高音部の軽やかな伸びが特徴的で、バンドサウンドにも埋もれにくいパワフルな一体感が構築できます。他のマイクに比べるとマイクケーブルに左右されやすいので、マイクケーブルはベルデンクラスを推奨します。スタイリッシュなデザインが大人気で、様々なMVでこのマイクを使用しているのを目にするようになりました。
【SE Electronics V3】
値段はかなりリーズナブルですが、音質は同価格帯のものより1ランク上のクオリティーであり、さすが英国名門マイクブランドSE Electronicsの製品と言えます。ルックスも、トレンドを押さえたアウトラインと色合いでライブ映え間違いなし。上位機種のV7もおすすめです。
【大学生バンドのセルフREC】
前回は「生バスドラとトリガーしたエレクトロ系バスドラをダブルで出し、無機質な中にも有機的音像を作り出す」過程と、51回連載でも触れた「サイドチェーンコンプの技を使い、キックとベースの整合性を細かく調整する」過程を取り上げました。
今回は「低音パート(キック、ベース)と中高音パート(ギター、キーボード系などのコード楽器)
の音楽的、音響的な絡み」について検証します。
ギター、キーボード系パートが多数入っている場合は、まず優先するパートを決めてボリュームやパンをラフに設定します。
次に全パートを走らせ、狙ったイメージのバランスに近づいたら「コード楽器の中低音部を削る」か「低音パートの中音域を押さえる」かを、EQ等で試します。
質感が整ってきたら、ボーカルとスネアのような「音域の近いパート」を少しずつ調整し、更にコーラス、同期、パーカッションなども追い込みます。
ここまで進んだら、一旦データをバックアップして耳を休めましょう。
【イメージ図】
【解説1】
バッキングギター低音部(赤で塗りつぶした部分)とベース中低音域が重複します。どう処理するのかをいろいろ試して、自分の好みとセンスに近づけましょう。
【解説2】
キーボードや同期パートとリードギターの重複処理も、EQなどで少しずつ削りながら試します。
【今月のちょいレア】TL AUDIO 5021
2000年頃発売の際、10万円を切る価格のプロフェッショナルコンプとして一部で話題になった、真空管ステレオコンプレッサー。TUBE TECHやMANLAYのようなハイエンド機と比較しても大差を感じない、秀逸なアウトボードだ。
【今月のMV】maruiro 「カセットテープ」
SILENT SIRENのライブオープニングアクトを務めたHelloMusicが、バンド名をmaruiroと改めリスタートした第一弾のMV。ポップかつアンニュイな雰囲気が全体に漂う、良質な空気感が充満している。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
フラスコテーション 「呼吸の景色」
神戸在住ギターロックバンドのフルアルバム。パワーポップ&オルタナロックのエッセンスを感じる従来の路線に、ポストロックやシューゲイザー的要素も自然に加味されて、より深い世界観が確立されてきた。大手インディーレーベルHIGH BEAM RECORDSより、2020年7月全国発売。当スタジオではアルバム中4曲を収録。
THE BLUE SCREAM 「 BLUE DREAM 」
80’s LAハードロックメタルをこよなく愛し、極限までアナライズしているTHE BLUE SCREAMのフルアルバム。彼らがリスペクトしているUSAの本家バンド以上に、オリジナリティーを感じる演奏力と、作編曲、音色が絡みまくっている。ボーカルの骨太ハイトーンも冴えわたる作品。
Baby Ever Rain 「Ever Rain小曲集」
国内を代表するシューゲイザーバンドPlant cellのボーカルErikoの別プロジェクト作品。曲中で見え隠れするリフやフレーズは、90年代洋楽、邦楽を問わない幅広いバックグラウンドと深いオリジナリティーを感じさせる。
LIMITICA 「one slow step」
懐かしさを感じさせるポストパンク、オルタナロックバンドのシングル。90‘s洋・邦楽フレーバーがバックグラウンドにありながらも、彼ら特有のオリジナルストラクチャーもしっかり確立されている。
marbh 「without saying anything(only me)」
ネオグランジシーンを語るには絶対に外せない最重要バンドのデジタルシングル。アメリカ・シアトル系とカナダ・トロント系、そして北欧オルタナ系が見事に融合した作品。
【おすすめライブ用ハンドマイク:その2】
前回と同じく、マイクの中堅ブランドCADのハンドマイクをご紹介します。
CAD 22A(ダイナミックマイク)
前回ご紹介のD32、D38と同様に、中音域がややファットなキャラクターが似ています。
耐久性もなかなかの物で、値段もリーズナブル。
CAD C195(コンデンサーマイク)
他メーカーのハンドベルドコンデンサーマイクと比較すると、中音域がリッチでガッツな感じです。また、他の同ランクマイクよりハウリングが起きにくい利点があります。
【大学生バンドのセルフREC】
前回は「キックトラックをコピー → 片方のトラックにトリガーを差して、生キックとサンプルのキックをレイヤー」するところまで触れました。
元々キックは、全曲に渡り通常の低音マイクとサブキックの2本で収録しています。
その2本の内の1本をコピーしてトリガーを差しているので、バスドラトラックは合計3トラックになります。
上記3本のキックトラックのバランスを好みでブレンドします。
ただし、波形の山と谷がずれていると音像がブレて違和感が生じます。
なるべく波形を合わせてから次の作業に進みます。
次はベースとキックのコンビネーションです。
当連載51回で取り上げた「サイドチェーンコンプ」を巧みに併用すると効果絶大です。
この曲はベースはラインのみですが、「生音」と「エフェクター、アンプを通って加工された音」の2トラックを収録しています。
【今月のちょいレア】AudioTechnica AT-HA60
1つのステレオオーディオ信号を5系統に分配。あまり音ヤセせずに分配できる優れものだ。
【今月のMV】putit petit 「今宵もランデブー」
華やかさの中にも、少しの切なさが感じられるキラーチューン。等身大のおしゃれ感が刺激的だ。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
JUICE&LOVE 「ホテルニュー福島」
30年近くのキャリアを誇る、東北を代表するベテランロックバンド5年ぶりのフルアルバム。前作よりガレージ色が前面に出ているが、バンドの本質は全く変わっていない。2020年下半期に全国発売予定。
フトイーズ 「馬鹿フェスティバル」
シニカルな歌詞をバラエティー色に彩る才能に長けた、ニュータイプロックバンドのシングル。振り切ったイロモノ路線が新鮮で好印象だ。時代に流されない独自の存在感は、まさにOne&Only。
The echo dek 「Feynman」
(ジャケット画像は同時発売曲と共通)
アブストラクト色をまとったオルタナポップの新機軸とも呼べそうな、ハイソな作品。バンドのネクストフェーズが垣間見られるだけでなく、彼らのフォロワーバンドが増えていきそうな予感がする。音楽ニュースサイトIndieGrabにも掲載。
Vampire Bats 「GO A HEAD A GO!GO!」
(コンピレーションアルバム)
ガールズR&RバンドVampire Bats参加のコンピレーションアルバム。バンドの中心的存在であるYu氏は大御所ガールズバンドPinkmoonBabiesのメンバーでもある。はじけた大人のポップな緊張感が堪能できる。全国発売中。
eighteen’s gone 「18」
ギターロック、エモロックのど真ん中をあえて外した、ちょいインテリジェンスなアレンジがさりげなく光る。やりたいサウンドと、表現されているサウンドのギャップがないバンド。今後の活躍にも期待だ。
このコラムを読んでくださる方々から、機材についての質問をいただくことが多くなりました。
中でも最近多いのが「ライブ用ハンドマイク」についてです。
敢えて「定番ではないもの」に絞り、今回ご紹介するのは「CAD D32とD38」です。
どちらも3本セットで7~8千円と、リーズナブルに購入できます。
【CAD D32(3本セット)】
D32はスイッチ付きのダイナミックマイクです。
【CAD D38(3本セット)】
D38はD32の上位モデルにあたり、音質も少しリッチな感じがします。
どちらもスタイリッシュなルックスで、ライブ映えすること間違いなしと言えそうです。
【大学生バンドのセルフREC】
今回は「MIXはどこからとりかかれば良いのか?」「EQはどこをどのようにかけると良いのか?」というテーマについて考えます。
もう一度REC時に立ち戻って、全体を鑑みてみましょう。
今までに何度も申し上げていますが「録り音が自分の中のイメージに限りなく近い素材になっているか?」ここが第一関門です。
これがクリアできている前提で、次の段階になります。
MIXとEQは相当密接なものであり「ここからやらねばならない」といった決まり事は特にありません。
無難なところで言えば、低音処理から手をつけて
低音→中低音→中音→中高音→高音
といった「下から固める」方法を試してみるとよいでしょう。
まず、キックとベースをコンプである程度整え、ダブついている成分をEQカット。
その後、必要・目的に応じてブーストします。
大学生バンドのセルフRECで現在題材になっている「四つ打ちダンスロック」はクラブテイストのロックチューンなので、このような曲には「生キックにトリガーでエレクトロ系キックをレイヤーして出す」のが一般的になっています。
【トリガーとは?】
生ドラムのキックに使用されるパターンが定番。
例えば画面のように
元々の生ドラムキックのトラックをコピー
↓
コピートラックにトリガーソフトを挿入し、エレクトロ系キックに差し替え
↓
生ドラムキックとエレクトロ系キックの分量を調整しながら出力
ダンスミュージックやUSAラウド系のような音色が自由に演出できるようになります。
(画面は代表的な一例です)
生ドラムキック+エレクトロ系キックをレイヤーすると、50Hz以下のローエンド成分のコントロールも必要になりますので、モニタースピーカーは最低でも中クラス以上(YAMAHA MSP7 STUDIOやFOSTEX NF-1Aなど)を使用したいところです。
【YAMAHA MSP7 STUDIO】
理想を言えば、プラス「サブウーファー」があればかなり良いと思います。ただし、きちんとしたモニタースピーカーのセッティングにはかなりの熟練技が必要です。
【今月のちょいレア】 YAMAHA QY700
1996年発売、ハードウエアシーケンサーの名機中の名機。編集力、互換性などは現在のDAWに及ばないが、ステップ入力の扱いやすさは今でも群を抜いている。
【今月のMV】 The Blue Scream 「 Fire And Fire 」
80年代LAメタル、ハードロックを極限まで追求した、Very Niceなロックチューン。音楽性に対して全くブレの無い彼らの姿勢には、最大限のエールを送りたい。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
SNEAKIN’ NUTS 「 夜明け前に / センチメンタル・ブルー 」
バンドの根底にR&Rがあるのは言うまでもないが、各メンバーの精神性もロックの一番奥深くまで掘り下げられている点に好感が持てる。形から入らない潔さ、を是非この音源で体感してほしい。
さよならグッピー 「 ネオンテトラ 」
王道ギターロックの中に、メロディーや歌詞、リフに細かい独自性を垣間見せるバンドの新作。各パートの音色、リズムのフィルインにも新たな発見が少しずつ伺える点も、聴きどころの一つであろう。
The echo dek 「 LOVE LIKE AN EMPTY ROOM 」
最新のトロピカルハウスと、現在のニューヨーカーが奏でるEDM複合混在サウンドの極致。メジャーとインディーズ、もしくはアンダーグラウンドとオーバーグラウンド、といった区分が意味を成さなくなるような魅力にあふれている。
美元智衣 「 SMILE 」
大手レーベルBeingから独立後2枚目のフルアルバム。歌声の音域やキャラクターを存分に引き出すハイソなアレンジにも注目。当スタジオではアルバム収録曲「LIFE」のリマスタリングを担当。
marbh 「 shame 」
ネオグランジのニューカマーバンドのデジタルシングル。例えるならば、90‘sグランジロック名門レーベルSUB POPに在籍していそうな雰囲気。2020年代ニューシューゲイザー的要素も散りばめられている点にも注目してほしい。
イコライザー検証その②【EQの基本は引き算?】
エフェクターの中でもイコライザーは、特に楽器をやっていない人にも馴染み深いものではないでしょうか。例えばパソコンやスマホ、CDコンポ、スマートスピーカー、カーステレオなどで普段耳にする音楽を、イコライザーの設定を変えて自分好みの音にするなど。
好みの設定にする=各帯域をブーストして好みに近づける、と思っている人が多いかと思います。
レコーディングにおいては、その考え方は一変します。
レコーディングでは「録りにはなるべくイコライザーを使用せず」「MIXの時にカットして使う」のが基本だからです。
例えばMIX時に「ブーストしたいパートが全トラックの半分以上」あったとします。
それは録り音が不十分=フルレンジで録れていない、ということになります。
特に低音部(キック、ベース、ギターやスネアの低音部分など)がスカスカのままMIXに突入してしまい、プラグインをいくつも駆使して無理やり低音をブーストし太くしようとしている例を多く見かけます。
ひと昔前よりはプラグインの種類やクオリティーが上がっていますから、何とか理想形に近づける場合もありますが、出来ればレコーディング時に「最終形のイメージの音」をフルレンジで録っておきたいところです。
今まで文中に登場している「大学生バンドのセルフREC」では、素材が実際のイメージより10%ほど情報量多めで収録されているので、MIX時は2~3割ブースト、7~8割カットでいけそうです。
カットすると音の分離は良くなりますがパンチがなくなることもあるので、不必要な成分のみをカットすることが近道と言えそうです。
低音部分のキックとベースのカットは、素材が良く録れていればベース:EQを使用せずボリュームで調整→コンプ・EQを使用また、キック、ベース両者の低音部のダブつくポイントをカットしてから、アタック音を出すためにブーストします。
【今月のMV】Bonnet Monkey「ボンネットに乗って」
楽曲だけでなく、映像からも軽快な疾走感が楽しめる作品。
【今月のちょいレア】Forcusrite TRACK MASTER Pro
アウトボードブランドの雄Forcusriteが約20年前に放ったチャンネルストリップ。
プリアンプ、EQ、コンプ、どれをとっても上位機種に引けをとらない実力機。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
例えばあなたと私の関係について 「 City Funk 」
90年代R&Bをベースに、現在進行形ブラックミュージックが華麗にクロスオーバーしているバンドのシングル。
洋楽好きにもおススメの作品。
COLLAPSE 「 DROWN 」
4AD色を随所から感じ取れるシューゲイザーバンドのデジタルシングル。不思議な透明感が心地よい。
Cruiff in the bedroomが主催するレーベル、Only Feedbackからリリース。
ASUCA 「 SuperStar 」
ブライトな歌声と、ストロングポイントをやんわり伝えるリリック、定番の中にも偶発的なアイデアがまん延する楽曲。どこから聴いてもブリリアントなポップミュージックだ。
各自の宿題 「 PINK 」
80‘sハードロックを基調に、メロディアスな展開が響くロックバンドのシングル。欧米、特にアメリカ色が強く、聴き手を選ばない守備範囲の広さが魅力だ。
Opus.0 「 PRIMA 」
クラシックと定番ポップスがすんなり融合したニューエイジミュージック、とも呼べそうな作風が連なる、ボーカルとピアノの女性デュオの作品。音楽大学出身という技術の確かさもあり、表現力が最大限に発揮されている。
今回取り上げるのは「イコライザー」です。数あるエフェクターの中でも一番身近で奥の深いものではないでしょうか。
ベーシックのルーティングは「コンプ→EQ」の順番につなぐのが定番です。コンプで音の粒を揃えてからEQをかけるパターンが、狙っている質感に一番近づけることが多いのです。
(もちろん場合により、逆パターンもあり)
イコライザーと言ってもかなり幅広く、大きく分けると
①パラメトリック・イコライザー
②グラフィック・イコライザー
の二つに分けられます。
レコーディングで多く使用されるのは、圧倒的に①のパラメトリック・イコライザー(通称パライコ)です。
<パラメトリック・イコライザー>
各バンド周波数が3~10バンドあるのが一般的で、周波数をいろいろいじる事が出来るのが特徴です。
*GAIN…各周波数ごとに、どれくらいブースト(加える)か、カット(抑える)かを調整する
イコライザーは音色をいろいろといじる事が出来ますが、本来はブーストよりもカットを中心に使用した方が、ナチュラルになる傾向があります。
次回からは実例を元に検証していきたいと思います。
<今月のちょいレア> CAD E100・2
ビンテージ感が漂いながらも、音のディテールをはっきりと捉える秀逸な機材。ハイエンドブランドのコンデンサーマイクとも良い勝負をする名マイク。現在はディスコンだが、後継機種としてE100・Sが発売されている。
<今月のMV> twopack milk 「沈黙」
DUTCHDADDYのG.ネイ氏が率いる、ポストエモ・ロックバンドの自信作。鮮やかな静と動の対比が魅力であり、リスナーを独自の世界観に引きずり込む。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
Bonnet Monkey 「ボンネットに乗って」
陽気でハイテンションなギターロックバンドのシングル。海辺のハイウエイをオープンカーで疾走する情景がありありと浮かぶ、ハッピー感あふれる作品。
ASUCA 「WOMAN」
存在感の強い女性をテーマにした、アコースティックロックのシングル。アジア人離れしたASUCAの、耳に残るハイトーンボイスが特徴的だ。
Lily’s Lyric 「Who’s Lily」
洋楽ヘビーリスナーの高校生で結成されたロックバンドの1stフルアルバム。王道の中にも、少しひねくれたエッセンスがさりげなく飛び交うアレンジ力に注目したい。日本語詞でありながらも、洋楽の質感が感じられる点も高評価。
smily 「SMILY」
バンドのネーミングと実際のサウンドに多少のギャップが感じられる、エモ・ロックバンドのアルバム。楽曲バリエーションの豊富さと、ディテールへのこだわりを堪能してほしい。
Nervous Cat Flow 「Day Break」
女性Vo.でありながらポップではなくロックフィールドに長く滞在している、エモ・ロックバンドの新譜。メンバーの年齢構成が広いおかげで、様々な時代のロック要素が自然に溶け合い相乗効果を生み出している。
<お知らせ>
*ジャングルライフ本誌268号に連載を掲載していただきました。
*サウンドデザイナー2020年4月号の特集「コンプ&EQが上達する26の格言」コーナーを執筆させていただきました。(P31・32)
【ペンシル型コンデンサーマイク考:TASCAM TM-50C】
このマイクは単体での販売はなく、Kick用TM50 DB、Snare用TM-50 DSと4本セットで価格は一万円台後半、現行商品として販売されています。
TM-50C(クラッシュシンバルにおすすめ)
TM-50Cは、この価格帯にありがちな「高音がシャリシャリして低音が薄い」といった印象はほとんどなく、フラットでタイトな感じがします。
特に、クラッシュシンバルを録るにはうってつけのマイクと言えるでしょう。
クラッシュシンバルの録りにありがちな「きらびやか過ぎ、エッジが立ち過ぎ」てしまうこともなく、本当に必要な成分だけをチョイスしてくれる音楽的な名マイクです。
【大学生バンドのセルフREC:コンプ編】
<ボーカル・コーラス>
ほとんどのジャンルでボーカルは主役であり、コンプのかけ方のバリエーションも多種多様です。
まず「男性ボーカル・女性ボーカル」と大きく区別するだけではなく、声質も多々あるので、1つのコンプで一気にかけるのではなく「2段3段といった多段がけ」から様子をみて「スレッショルド、レシオ、アウトプットゲインを少しずついじる」のがコツです。
音量の落差がありずぎるときには、ボリュームカーブを細かく書くと良いでしょう。
コーラスも、注意すべき点はボーカル同様ですが、メインボーカルよりは前に出さないことが多いので、音量が決まれば後は「パンをどのくらい振るか」が重要になってきます。
コーラスにリバーブをかける時は、ボーカルと同じ種類のリバーブを使い、リバーブをかける量を調整していきたいところです。
<キーボード・同期系>
キーボードや同期はライン系の音なので、他のパートより音量が既に決まっていることが多いと思います。まずは無難なコンプを選んで程々にかけ、必要に応じてかける量を増やしましょう。
<トラック全体のトータルコンプ>
最後に、トラック全体にかけるトータルコンプですが、マキシマイザー系ではなく本当にフラットなコンプを、ゆるくかけるのがポイントです。
【今月のちょいレア】 STUDIO PROJECTS B1
フラットかつ線も太いコンデンサーマイク。ボーカル録りならどんなジャンルでも対応できるであろう、守備範囲の広い名マイクです。現在はメーカーごとディスコンとなってしまい、手に入れるには中古を探すのみとなっています。
【今月のMV】日々かりめろ「あなたのうた」Short Version
フォークソングとパワーポップに蜜月的コンビネーションが、彩りと力強さを与えてくれる曲。圧倒的な存在感が全方向から感じられる。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
magenta「 precious 」
ギターレス3ピースポストロックバンドの最新シングル。日本語詞でありながら、サウンドは回を重ねるごとに洋楽テイストが占有してきている。少しずつ変化を続けているオルタナティブさが心地よい。
CHIERI SUZUKI 「 -TONE 003- 」
SAX、ピアノの講師として活動しながら作編曲もマルチにこなす鈴木 千絵里の新作。今回はジブリ系だけでなく、アシッドジャズ風インストも取り入れ、楽曲のバリエーションが一気に広がった。
カカシカシカカ 「 ひとりぼっちのスノーマン 」
一聴すると今風のクリスマスソングと思われがちだが、じっくり分析するとセミスタンダードなポップスであることに気づく。常にタイプの違う、良質なポップスを着実に制作している点に才能を感じる。
美元 智衣 「 7th Avenue 」
ソニーミュージックエンタテインメント、ビーイングといった大手に長年所属してきた美元 智衣の最新作。当スタジオではマスタリングを担当。アルバムバージョンとは一味違った仕上がりとなった。
脳ジャズ 「 LOVELY LADY FEAT. NICK KUROSAWA 」
1977年に『SPI』というマイナーレーベルからリリースされたRobert Johnson「Lovely Lady」をカバー、ボーカルにハワイ出身のNick Kurosawa(Aloha Got Soul)を迎えた7インチアナログ盤。トランス的なドーパミンが全身から発動しそうなインパクト大、の秀作。
【ペンシル型コンデンサーマイク考】
Joemeek JM27
ボディーカラーはシルバーとグリーンの二色展開、色は違っても中身の音質は全く同じです。
10年くらい前に発売されており、当時は15,000円くらいだったでしょうか。
Joemeekはアウトボードメーカーとしてのイメージが強く、マイクのキャラクターはどうなのか?と疑問はありました。Joemeek JM27をペンシル型コンデンサーマイク定番のAKG451と比較すると、サスティンはやや短く少し荒い音といった印象。AKG451があればあまり必要ないのかな?とも思いましたが、JoemeekのアウトボードTWIN Q2’などとセットで使用すると、音がリッチになり高級感が出ました。
現在は生産完了となったJM27ですが、中古品でごくたまに見かけることもあります。(5~6千円台)
このマイクとの組み合わせとして、Joemeekのハーフラックチャンネルストリップ Three Qや、VC3Qとセットで使用することをおすすめします。(一万円台後半~)
おまけ情報:以前ご紹介したこともあるJM47(Vo.Pf.Ag録りにおすすめ)と、JM37(日本未発売品、オールマイティー)も、ごくたまにですが中古市場に出回っているようです。(一万円前後)興味のある方は是非チェックしてみてください。
【大学生バンドのセルフREC:コンプ編】
今回はベースとギターのコンプについて。
ベースは、コンプをREC時に「ライントラックとマイクトラックの両方に弱く2段がけ」してあるので、ある程度音量が揃っている。
MIX時にダメ押しで、さらにコンプをうっすらとかけて「勢いを残したまま平均化」したかったのだが、ベースの4弦部分の演奏だけ低音がダブついてしまう。
コンプをがっつりかけるとノリがなくなるので、ボリュームカーブで4弦を演奏している部分の大きな波形部分だけ抑えてみた結果、グルーヴを残しつつボリュームが平均化され、かなり良い感じになった。
クリーンギターはフレーズのバリエーションが豊富なので、
*スレッショルド → -2bから-3bぐらい
*レシオ → 2:1もしくは2.5:1ぐらい
*Knee → 中間
*アタック → 35msecから55msecぐらい
*リリース → 80msecから150msecぐらい
と、オーソドックスにかけておく。
歪みギターは、歪ませることにより原理的に音粒がそろうので、コンプはごくうっすらとかけるか、場合によってはかけなくて良いこともある。
【今月のMV】THE FREE MAN 「ピアニッシモのサラリーマン」
R&B、ロックンロールを土台に、サイケフォーク、ブルーアイドソウル、NewYorkパンクなどの世界観が縦横無尽に交差するハイテンションロックバンドの代表作。
【今月のちょいレア】MindPrint EN-VOICE
前回で紹介したEN-VOICE MKⅡの弟分にあたるチャンネルストリップ。この機種も、NEVE、DRAWMERといった上位機種と比較しても全く遜色のない逸品だ。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
THE FREE MAN 「ピアニッシモのサラリーマン」
ローリングストーンズ、レイナード・スキナード、グレイトフルデッドあたりにルーツを感じるロックバンドの新作。Vo.のLITTLE KING TAKUYAが発するリアルなロック感はOne&Onlyで、聴くものをいつの間にか引き込んでしまう。
THE JIVES 「Audrey」
R&Rを奥深くまで掘り下げ、本質を追求したフルアルバム。オールドスクールのロックが好きな人、欧米の若手が奏でるネオヴィンテージロックに興味のある人におすすめの一枚。
OVER RAZE 「Reach The Sky」
90年代から現在に至るまでのメロディックパンクのエッセンスをいいとこどりしたような、ロックバンドの最新作。パワーポップ、グランジ、ヘビーオルタナ好きにも聴いてほしい力作。
maruiro 「バッドエンドは手をつないで」
SILENT SIREN主催「サイサイフェス」でオープニングアクトを務めたバンドHelloMusicが、バンド名を「maruiro」と改名し記念すべき最初の作品をリリース。Vo.ちい太のスウィートボイスがさらに冴えわたる。
GENSEKI 「Polish up change」
様々な要素が音楽的にクロスオーバーし、確立されたComplicated Rockの立役者、GENSEKI。彼らの新作は、複雑とシンプルが心地よく同居し、2020年代ロックの新たな方向性を導きそうだ。
前回から取り上げている「ペンシル型コンデンサーマイク」について、今回は実践的な事例に触れてみます。
【AKG C480】
ペンシル型マイクの定番、AKG C451の上位モデルに位置する製品です。
C451と比較するとワイドレンジで、シンバルなどのサスティンも余すことなく収録することが出来る高品位なマイクです。
ギラギラしたシンバルを録音しようとすると倍音が録れすぎてしまうこともありますが、ビンテージなシンバルを録音するには打ってつけです。
同価格帯のマイクに比べて、マイクケーブルやプリアンプとの組み合わせで音質の変化も楽しめるのもポイントです。
【CAD GLX1200】
CADといえば「リーズナブルな価格帯でありながら、1ランク2ランク上のクオリティーを提供してくれるブランド」だと思います。このGLX1200は「等身大」という言葉がぴったりのマイクです。マイクケーブルはKLOTZまたはWhirlwindあたりが良く、プリアンプはTUBE式のものがベストでしょう。価格もお手頃なので是非ペアでの購入をおすすめします。
【大学生バンドのセルフREC:コンプ実践編】
前回ではキック、スネアのコンプ設定を検証しました。
今回はタム、シンバル系です。
【タム、フロアタム】
「4つ打ちダンスロック」はワンタム、ワンフロアなので、タイト&ファットなキャラクターを狙っていきます。
『スレッショルド』
-2dBから-4dBくらいをさまようくらいにしておく
『レシオ』
2:1から3:1でとりあえずステイ
『Knee』
最小と最大の中間に設定
『アタック』
ある程度アタックを残しておきたいので、35m sec~55m secで様子を見る
『リリース』
アタックタイムより30m sec~50m sec分多めにかける
【シンバル:オーバートップL 、オーバートップR】
『スレッショルド』
-2dB~-3dBくらいで軽く揺れる程度
『レシオ』
2:1から2.5:1くらいで様子を見る
『Knee』
中間~最大値の間からスタート、状況に応じて少しずつ変える
『アタック』
比較的遅め~だんだん早くしていき、イメージに近いところで止めておく
『リリース』
比較的長め~少しずつ短くする
もちろんこれらの設定はあくまでも目安の一例に過ぎませんのでご了承ください。
【今月のちょいレア】MindPrint EN-Voice MKⅡ
2000年初頭から5~6年販売されていた、ドイツ製のチューブ式チャンネルストリップ。MANLEYやTUBE-TECHクラスのハイエンドアウトボードともいい勝負の、隠れた名機だ。
【今月のMV】WORSTRASH 「Draw up my emotions」
90年代ウエストコーストラウド系を彷彿とさせる意欲作。トリプルギターサウンドを前面に出していて、頼もしさ全開である。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
日々かりめろ 「バラエティ大作戦」
年間平均300本ものライブをこなす、ロッキンフォークデュオの最新作。バックトラックの精度もこれまで以上に上がり、楽曲のストーリー性も充実している。東京国際フォーラムでのワンマンライブも、短期間のうちにソールドアウトするなど話題に事欠かない。
DEAD STOCK 「Workout,Hangout」
青森から東京に活動拠点を移し数年の彼ら。前作で築き上げた「レトロフューチャーパンク」ともいうべき独自のジャンルを掘り下げて、濃密な世界観が形成されつつある。
セブンマイルズ「幽霊船」
洋楽に影響を受けながらも、あえてダイレクトに反映しないところに彼らの音楽性の原点が垣間見える。初期の細野晴臣にも通じる精神性が、玄人受けしそうだ。
毒島小百合「HA・DA・KAの大将」 (悲観レーベルオムニバスVol.2.収録)
掟ポルシェ氏(ロマンポルシェ。)が曲を提供した、NewWave80年代オルタナポップの再構築曲。なつかしさの中にもヒリヒリした緊張感がまん延している。
カカシカシカカ 「マイロード」
かのジョン・デンバーの名曲を、ななめ45度からオマージュしたような作品。スタンダードな性質をスタンダードに感じさせない、ハイソなセンスを十二分に評価したい。
ジャングルライフ本誌にて、隔月で半ページの連載をさせていただくことになりました。「PAST & POST MASTERS」
今月号(265号)からスタートです。