音楽メディア・フリーマガジン

ペンシルズが八年ぶりに新曲を発表したことに関して知って欲しい二、三の事柄。

ペンシルズといえば、しゃれたお揃いのスーツに身を纏い、モッズシーンからバンドシーンと大活躍の四人組のバンドとして記憶している方もいるだろう。
だが、実はペンシルズはシンガーソングライター松山和司とミュージッククリエイター佐伯晋一郎(モービーディック ex. Movin' On The Groove)のバンドプロジェクトなのだ。
ここ数年中心人物である二人の心境や環境の変化により四人でのライブ活動は減り、ついにバンドとしては停滞状態に陥いることになった。
とはいえ停滞状態の間、二人は何もしてなかったのではなく松山は拠点を関東に構え、心機一転”安藤模亜”と改名。
ソロシンガーやDJとして活動の場を広げ、
佐伯は関西拠点に様々なレコーディングに参加、サポートミュージシャン、エンジニアとしてめきめきと実力を伸ばし、
それぞれの活動に忙しい中もペンシルズのことを常にお互いの心の中心に据え、連絡をとりあい、試行錯誤を重ね、関東、関西のリモートで今後のペンシルズサウンドを模索し続けていたのだ。
その中で二人が出した答えはバンドプロジェクトではなく制作プロジェクトとして新しく生まれ変わることだった。
つまり、これまでの「バンド演奏で昇華するスタイル」から「自由な音楽的発想を最大限に発揮できるスタイル」に舵を切ったのだ。
その自由な発想はリードボーカルが安藤という概念も捨て去り、ゲスト女性ボーカルにシュクレットのshihoやCrispy Camera Clubのミサトを迎える。
遂にこれまで主流だったギターサウンドを可能なまで最小限度に落とし込み、シンセウェイヴなアプローチが刺激的なオリジナル曲、
「四月の雪」を完成させる。
荒々しくエモーショナルな安藤のボーカルにクールなshihoのウィスパーボイスが可憐な花を添えている。
一方、無類の音楽好きの二人からのお土産ともとれるスタイルカウンシルの「ロジャース」のカバーは一筋縄ではいかないポップマニアなアレンジにイントロから、スタイルカウンシル ファンのみならずポップスファンはうなるはずである。
安藤の漢気(おとこぎ)のある歌唱からはポールウェラー愛が滲み出ているし、
Crispy Camera ClubのミサトもD.C.Lee役を好演している。
彼女の歌声は一度聴いたら忘れられない魅力がある。
彼女の所属するCrispy Camera Clubも期待のバンドであることは一言添えておきたい。
そして、配信全盛期の現在に究極のフィジカルとしてのアナログレコードでの音源発表に目を向け、アナログレコードでの音楽制作を続けている盟友グルーヴあんちゃんをレーベルプロデューサーを迎え、新生ペンシルズはさらに深化のスピードは上げていく。
兎にも角にも、新しいファン、古いファンもまずはアナログ7インチレコード「四月の雪」を手に取っていただき、
今後のペンシルズに期待していただきたい。
文: グルーヴあんちゃん(unchantable records)
【リリース情報】
ペンシルズ New 7inch Single Record
「四月の雪 feat. Shiho(Sucrette) / The Lodgers feat. ミサト(Crispy Camera Club)」
(UCT-039) 1,980円(税込み)
好評発売中
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