DUTCH DADDYは、絶妙な立ち位置にあるバンドだと思う。the pillowsのように「ルーツミュージックを有機的に昇華させているJロック的要素」が土台にあり、「ブリットポップやUSオルタナ、ハードロックのテイスト」もふんだんに盛り込まれ、バランスよく溶け合っている。そしてそれらのサウンドに、ややコケティッシュなVo.マユの歌声が、半歩前にいながらもナチュラルな一体感を醸し出しながら交わっている。これこそが彼らの個性ではないだろうか。レコーディングエンジニアとして彼らと関わるのは三回目になるが、今作は初のフルアルバムおよび全国発売でもあり記念碑的事項も多い。新曲に加え過去の曲も最強の新体制でリメイクし、密度の濃いストーリー性が加えられた。演奏力や作曲のスキルの向上も相まって、特別なギミックなしでも気軽に何度でも聴ける意欲作に仕上がり、サンプル盤を聴いた人たちからも良い反応が返ってきているのも嬉しい限りだ。