カイモクジショウは原点型のミクスチャーバンドである。いうなれば、感性のミクスチャーに長けているバンドである。
彼等の作る音楽のアレンジ構成、サウンド構成は極めて緻密。そして、素晴らしいのは緻密さの構築を、目一杯の満タン状態に"しない"ことだ。持ち前の技術力からしての腹八分目の味があるというのは、サウンドの拡がり、空間度の増幅につながって多彩な快感を得させてくれる。グルーヴ、ビート感、音量のかけひきは巧妙に時代の尖兵となっていて、そこに個人的とも、客観的とも、ポエムとも表すべきではない歌詞とヴォーカルがのって、その表現は、時としてミスマッチで、時として自然定着して投げかけてくる。
自然体の証しが感性で、意図的な力の証しが緻密さであるなら、彼等の出来上がりは非常にイヤミなくそれらが合わさり固まっていて、ある意味で洗練された排他力を感じる。ハッキリした色合いを打ち出しつつ、今後の変形ぶりを期待させてくれる音楽だ。