ヒップホップとジャズーーそれぞれのフィールドで異彩を放つMC・志人とフリージャズピアニスト・スガダイロー。なんて、“異彩を放つ”とか“孤高”とか、なんだか近寄り難い言葉で形容されがちな両者のコラボレーションは、めちゃくちゃポップ。NHKの子供番組かなんかで歌われてもおかしくない楽曲もあるし、実際に子供たちの合唱が(ワンフレーズだが)挿入されていたりする。他方で、暴力的だったりシリアスだったりアバンギャルドだったり、アルバム1枚を通してときにゆったり、ときに目まぐるしく“物語”(←ここ重要)は展開していく。
志人の鬼気迫るフロウに合わせスガダイローが掌や肘で鍵盤をごりごり弾き倒すさまは濁流とか雪崩とかそういった人が抗いようのない脅威を連想させる。かと思えば凪いだ湖面に波紋が広がるみたいな緊張感にぞくぞくしたり。でも、そういういろんなイメージを伴う音がすっと耳に入ってくる。そういう意味でポップ!