この作品に出会ってから何回も繰り返し聴いてきたが飽きがこない。ギター・ベース・ドラム・ボーカルの4人で、ギターを重ね録りしているくらいのシンプルな編成だが、長尺ながらもよく練られた楽曲はオリエンタルなフレーズも織り交ぜて視覚的なイメージを喚起させるし、積み重ねた経験を感じさせる演奏はテクをひけらかすわけでもなく渋さもありつつ、淡々とエモーショナルな熱を持っている。当時でも少数派な英語詞のロックだが単なる洋楽の影響下ではなく和物特有の情緒と、何よりバンド独特の筆舌にし難いサムシングがある。
地元福島県郡山市で74年に開催された日本最大のロックフェス・ワンステップフェスティバルにも出演した当バンドはその実力から他県や都内のフェス等にも多数出演。しかし後世の今、ネット上にもその記録がほぼ残っていないのはあまりにも不遇。77年に自主制作した唯一のLPをこのたびCD再発。今、再び聴かれるべき名盤だ。