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東京酒吐座 / crystallize

元PlasticTreeのササブチ ヒロシ(Dr.)を中心に、殻/acid androidの渡辺清美(G.)、Presence of soulのYuki(Vo./G.)、Yoshi(G.)、101Aのthe K(Ba.)で結成。一夜限りの結成のはずが、バンドの可能性が無限に存在する事や、各方面から出演オファーが相次いだ事を理由に活動を継続する。

東京酒吐座(トウキョウシューゲイザー)。この名前から分かるように、代名詞ともいえる幻想的で浮遊感のあるサウンドを構築しているのが、轟音でありながらも心地よい、まるで深海に浮かんでいるような感覚にさえなるようなギターノイズの洪水、そしてそこに乗せて流れるフワリとした耽美なメロディ。
しかし、メンバー各人が元から活動しているバンドの音が必ずしもどっぷりとしたシューゲイザーバンドだった訳ではなく、そんな個性あるメンバーが作る楽曲は“東京酒吐座”という集合体にした時に生まれるホワイトノイズ、又はビートの効いたノリのあるナンバー、そしてフィードバックノイズを用いられた耽美なスローナンバーなど、その時代の代表My Bloody Valentineを始めとしたRide、Swervedriver、SlowdiveやLushなど…短時期で終わったこのムーブメントを拾い上げた様に形成される。そして更にSaxon Shoreや、astrobriteなどのネオシューゲイザーバンドも加味してきた上で、東京酒吐座が奏でる音は、現代の日本のシューゲイザーシーンに改めて良き時代の回顧性をもたらすと同時にジャンルの認識の有無でなく、音自身が持つ気持ち良さをこのジャンルを知らない人々にも広げていきたいという願いを抱きながらあえてシューゲサウンドを生み出す。
1stアルバム『crystallize』は、アナログレコーディング、全曲が1発録りという環境で、出来るだけそのものの持つ力を表現したいという所から確固たるダイナミクスの元に作られている。1st EP-DEMO(2曲入り)の時と同様に、それは全て1日で行われているという、通常では異例の短時間レコーディングであり、集中力との勝負の中で本作が出来ている事を思いながら聴いてみるとより臨場感と高揚感が味わえるかもしれない。

Vo.Yuki

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