だけど、
「私には、歌にしたいことが有るんです」
なんて、そんな美しいことじゃあなかった。
有ろうが無かろうが、俺には自分の歌が必要だった。
だから、
俺は歌を作って、それを作品にする。
その事実が先に決まっていた。
じゃあ、
なぜ俺は歌うのか? なぜ歌でなければならないのか?
なんて、自問する必要も無い。その答えに興味は無い。そうか、どうやら理由も無いのか。
俺は天才じゃないんだなあ。
そう気付いたのはいつだったろう。
ただ、ただ自分のことを。言葉も選ばずに、置き換える工夫もせず、そのまんまテキトーなメロディーに乗せてれば。
それを聴いてくれさえすれば。
分かってもらえると思っていた。
あの頃の俺は、
「自分のやっていることは音楽じゃない」
なんて、一丁前に吹聴していた。
24時間。毎日。
メロディーに乗る言葉を探した。改めて日本語の意味を調べた。誰かを想った。好意と悪意を育てた。
そうして象った7曲は。疑う余地も無く、どこまでも音楽だった。
どんなつもりか知らないが。そんなつもりもないくせに、全て最後のつもりで描いた。
最期のゲージュツです。
最終少女ひかさ
ボーカルギター担当
但野正和
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