noah(G./Vo.)、the k(Ba./Prog.)、Sally(Dr.)。フジロック出演、5回の海外公演を経て更なる成長を続ける3人組バンド。毎年10/1を“101Aの日”としてワンマンライブを行っています。10/1(土)渋谷O-nestにて、レコ発企画[鉄の子供]101Aワンマン。ゲスト:想(emmuree)。
『4』。このタイトルに正しい読み方は特にない。
“4”は本来直線的で美しいが、これを裏文字にした時、不思議な力強さがそこにあった。自分には運命と限界に抗っていく意思があるようにしか見えず、だから、この年に作るアルバムとして完全なタイトルだとすぐに確信した。
この作品では、the kがミックスダウンまでの殆どの作業を彼の自作個人スタジオで本人がエンジニアとなって行った。だが、その閉塞感と対照的に、今までの作品よりも遥かに深く鮮やかな広がりがある。
MV化したのはM-1「luminous」。爽やかな印象故に数年間発売されずにいたこの曲がやっと日の目を見る事となった。テーマは“死別”(死への率直な戸惑い)だが、真直ぐに対峙する無垢の勇気と、見出された希望の輝きが理想に近く表現できたと思う。また、井上強監督が手がけたMVに於いても、非常に巧みで美しい映像の中にこの詩想の世界観はそのまま生きている。
M-7「鉄」のグルーヴは独特だ。ラフなアレンジが出来たときの感動は忘れない。そして、その瞬間には青木裕氏が浮かんでいた。この冷徹さに最も合うギタリストとして。青木氏の音源は中間部以降に現れるストリングスを思わせる冷たい音のフレーズ。アウトロの複雑なコードの上昇に、あのストイックな美しさと深さ、痛々しい程の高揚感を与え、原曲の良さを原曲よりも引き出している。
M-8「5334」は、3コードが繰り返される極めて単純な曲だ。その単純さ故に出来る表現を極限まで探す旅。この曲でのSallyの演奏は特に好きだ。鉄壁の安定性を持ちながら見事に鋭くドラマティックに展開していく。アルバムVer.ではthe kが朗読を乗せているが、微妙な読み間違いや訛りも含めて最高に良い味だと思う。曲の終わりへ向かう展開の、その先の世界の遠さに、メンバーの自分さえ泣きたくなってしまうくらい素敵だ。
どうか沢山の人に聴いて欲しい。
G./Vo.noah