私は胃腸が弱い癖に、激辛な食べ物が好きだ。そして必ずお腹を壊す。お腹を壊す事は分かっているのに、いざメニューを開くと、「激辛」と書かれたメニューを頼んでしまう自分がいる。わざわざカレー屋で、店員の忠告を聞かずに「激辛でお願いします」と頼むマゾヒズムな自分が登場してしまう。ちなみに昨夜は、新宿でホテル宿泊だったので、ふと一人立ち寄った先は激辛四川麻婆豆腐屋。これ罰ゲームに近しいやろと思う程、超激辛な麻婆豆腐を食し、現在朝の電車でお腹を押さえている私がいる。これはもう本能的なもので、同様に恋愛に対しても、人間関係にしても、少し危険なものに触れてみたくなる。そして火傷しても、その刺激を求めてどこまでも逝ってしまう。私の日常の少し隣には、様々な危険な愛が蔓延っている。そんな様々な“危険な愛”をテーマに、今作書かせて頂きました。
この作品を聴いて、何も感じなかったり、他人事だと思う方も、一年後、二年後に聴いた時に、急に自分の事のように感じるかもしれない。そんな作品が作りたいと思い、実現したのがこの『愛の包丁』です。リード曲の「狂い咲き」は、大島渚監督作品映画「愛のコリーダ」からインスパイアされて作った作品で、ジャケットもその映画のパロディです。廃盤になったアルバムの中から、皆様からずっと要望を頂いていた「カラスと目玉」も再録しまして、聴き応えのある6曲になったと思います。
覗いてみてください、様々な愛の形を。そして感じてみてください。皆様の日常に、少し刺激を与えるアルバムになれば、とても嬉しく思います。
Ba./Vo.シブヤマサコ