まさかのメジャーデビューを果たした今年5月の1stミニアルバム『慟哭』からわずか半年足らず、宇宙人が2ndミニアルバム『珊瑚』を11/7にリリースする。レコ発ライブでは赤坂BLITZでN’夙川BOYSと私立恵比寿中学を迎えて3マンを行い話題を呼んだものの、その後はライブもあまりなく未だその実態は謎に包まれたままだ。その正体に迫るべくJUNGLE☆LIFEではメジャーデビュー後初となる、しのさきあさこ(Vo.)へのインタビューを敢行! 彼女の日常から幼少期に至るまで話を訊くことで、とことんポップでいびつな音世界の原点を探ってみた。
●地元の高知から上京してきたんですよね?
あさこ:去年の9月からですね。理由は…移動がめんどくさいから。
●ハハハ(笑)。東京の印象は?
あさこ:暮らしやすいですー。楽しい!
●色んなところに行ったりしました?
あさこ:うろうろ散歩をしました。
●観光地とか?
あさこ:観光地は今のところ行ってないです。ディープな居酒屋とか…あ、でも武道館は行きました! あと、原宿のいいにおいのするビルとか…。
●いいにおいのするビル…?
あさこ:女のにおいがする感じ…。
●女のにおいって(笑)。ディズニーランドとかは?
あさこ:今後行くことはないです! 絶対に行かないって決めてます。
●それはなぜ?
あさこ:生まれつきです。これは親の育て方ですね…フフフ。「キャラクターものでみんなで喜ぶ感じはダメだ」って言われて、小さい頃から育ちました!
●じゃあ、子供の頃はどんな遊びを?
あさこ:ザリガニ! …を1人で捕まえたりとかしていました。あとは道にチョークで落書きをしたり、道路に爆竹をまいて子どもがその上を通ってパパパパパーン! みたいな(笑)。いたずら大好きです。
●(笑)。家ではよくテレビを見ているそうですね。
あさこ:今は『赤い糸の女』を毎日見ています。昼ドラが大好きです! 特に中島さん(中島丈博/脚本家)のやつは、『ボタバラ(『牡丹と薔薇』)』とか全部見ていて。
●昼ドラのどこが好きなんですか?
あさこ:すごくバカバカしいところと、ドロドロした感じと…。今やっている『赤い糸の女』では(登場人物が)急に歌い始めたりするのが大好きです。
●そういうブッ飛んだ感じが好き?
あさこ:きっとそうです…フフフ。
●今回のM-1「ものすごい関係」に出てくる“男と女のヘアサロン”というフレーズも昼ドラっぽいような…。
あさこ:たぶん普段そればっかり見ているので、知らない内に影響された気がします(笑)。これはすごく古い商店街の宣伝文句みたいなものを意識しました。
●この歌詞は物語になっている?
あさこ:これは詐欺師とかの話で、善と悪みたいな感じです。“振り込め詐欺”(という歌詞)で詐欺師を表現しつつ、“男と女のヘアサロン”では男女間のグチャグチャした関係みたいなものを…。
●内容的にも昼ドラっぽい要素がある(笑)。「ものすごい関係」というタイトル自体も昼ドラっぽいですよね。
あさこ:やったね! これは3つめのタイトルなんです。
●タイトルが何度か変わっていると。ちなみに元々は?
あさこ:「人面豚」です。
●ハハハハハ(爆笑)。内容に関係なさすぎでしょ!
あさこ:だからこっちのほうが内容に合っていて、よかったと思います。
●今回はスタッフと相談しながら作っていった?
あさこ:今までそういう相談をしたことがなかったので、今回やれてよかったです! これまでは自分たちだけで作ったものがいつの間にかCDに…みたいなのがずっと続いていたんですけど、今回は宮本BOYと一緒にトークをしました。
●あの…宮本BOYって、誰ですか?
あさこ:宮本BOYっていう人がいます。
スタッフ:ディレクターです。
●そういう名前の人なんですか?
スタッフ:違います! あさこちゃんが勝手に“BOY”を付けて呼んでいるだけです(笑)。
●(笑)。その宮本BOYと相談しながら作ったと。
あさこ:話し合いをしながら、キングレコードで全曲作りました。宮本BOYに「いいね!」とか言ってもらいながら(笑)。「歌詞はもうちょっと意味をにおわせるようにしたらいいんじゃないかな」とかも言ってくれました。
●そうやって、人の意見が入るのは平気だった?
あさこ:全然OKです。人の意見を聞いたほうがふくらむ感じもしました。
●今回そういう作り方にした理由は?
あさこ:んっと…、メジャー感をプンプンさせたかったからです。
●ハハハハハ(爆笑)。一応、前作でメジャーデビューしたわけですが…。
あさこ:前作の時はインディーズの流れできた感じだったので、今回はやり方をガラッと変えました! ずっと一緒のことはやりたくないので、違うことをやってみたかったんです。
●他のメンバーはまだ高知在住だそうですが、今作はどうやって制作したんですか?
あさこ:今回は宮本BOYと2人で構成まできちんと考えてから高知に1人で帰ってメンバーとリハーサルみたいなのをして、東京で録音して完成! みたいな感じです。
●以前はメンバーにイメージを伝える時に変な絵を描いたりしていたそうですけど、今回は…?
あさこ:変な絵はなくても大丈夫でした! 構成をきちんと考えていたので、最初に弾き語りで聴かせてから「ここにギターソロを入れてほしい」とか伝えて。
●自分の頭の中にあるイメージを言葉で伝える方法を学んだ?
あさこ:たぶん…ちょっとなら(笑)。宮本BOYが伝え方を教えてくれたんです。
●ギターソロと言えば、M-5「ヤノコージ」の渋いギターソロが印象的でした。
あさこ:あのギターソロについては触れちゃダメらしいです…。
●触れちゃダメなんだ! (笑)。
あさこ:でもすごくいいギターソロなので、聴いてほしいです。ブルースをやりたくて、弾いてもらったんですよ。
●宇宙人の音楽にはブルース以外にもジャズっぽい要素もあったりしますが、そういう音楽を普段から聴いているんですか?
あさこ:いつの間にか聴いていることが多いです。映画とかを観ていて、流れてくるのはだいたいそういう音楽だから。
●映画をよく観ている?
あさこ:映画は大好きです。東京に来てからも、よく観に行っています。
●M-7「アウトレイジ」の曲名は、北野武監督の同名映画から?
あさこ:イメージはヤクザなんですけど、『アウトレイジ』の映画を観て作ったわけではなくて。元々、ヤクザ映画が好きなので、「アウトレイジ」をタイトルにしたら面白いかなと思って付けました。
●この曲はなぜか途中でお祭りっぽいフレーズが出てきますが…。
あさこ:“銃口つきつけて”とかいう歌詞だけだと怖いイメージだけど、お祭りっていう楽しいものにつなげることによって、よりバカバカしさが出るから。
●曲のアレンジでもバカバカしい感じの仕掛けが入っていますよね。
あさこ:いたずらをちょこちょこ入れたいんです。いたずら大好きなので(笑)。
●「アウトレイジ」には、スーパーマリオのジャンプ音みたいなのが入っていますよね。
あさこ:あれは自分で入れましたー。鼻であの音を出しているんです。古いファミコンのチープな感じが出したくて入れたので、気付いてもらえてよかったです!
●あと、M-4「楽日」はTV番組『若大将のゆうゆう散歩』のエンディングテーマになっているんですよね。これはどんなイメージで書いた曲なんですか?
あさこ:これは死後の世界と死後の世界じゃない世界とその間…みたいな曲です。
●歌詞の“虫合(むしあわせ)”というのは何?
あさこ:これは昔の遊びで、虫同士を戦わせて裏返ったほうが負けみたいなのがあるらしくて。
●平安時代とかにやっていそうな感じですね。
あさこ:そう! 平安時代は天国感があるかなと思って、入れてみましたー。穏やかでフワっとしている感じが天国っぽいんです。
●天国っぽいんだ(笑)。タイアップも付いているので、色んな人に聴いてもらえそうですね。
あさこ:宮本BOYとかと話し合って作ったし、いい曲なので色んな人に聴いてほしいです。
●たくさんの人に聴いてもらいたい気持ちがあるんですね。
あさこ:いい作品を作ったので、聴いてほしいです!
●今までの作品とは違う感覚もある?
あさこ:全然違います。達成感みたいなのがすごかったです。今までの作品の時は“無”みたいな…何も考えてない感じでした(笑)。
●(笑)。今回は初めてアーティスト写真に姿が写っているんですよね。今までは絵だったり、虫寿司だったりしたわけですが…。
あさこ:今までも別に顔を出さないでいようと思っていたわけではなくて、いつの間にかそうなっていたんです。だから今回は別に普通でいいんじゃないかということで撮りました。
●普通ではないですけどね(笑)。
あさこ:すごくいい写真ですよね。キングレコードの1階受付で撮りました。制服も受付の人に借りたんですよー。OLっぽい格好をしてみたくて。
●今日のお話を踏まえて今回のアー写を見ると、色んな人に聴いてもらいたい作品ということで「ここが宇宙人の受付ですよ」みたいな意味もあるのかなと。
あさこ:なるほどー! 今度から、それにしようっと(笑)。次はエレベーターの中で撮って、最後は8階にします。
●どんどん上がっていくんだ(笑)。ちなみにタイトルを『珊瑚』にした理由は?
あさこ:珊瑚はきれいなイメージがあるのと、“終わった感”と“始まる感”を両方とも感じたので付けました。
●“終わった感”と“始まる感”が今作のテーマ?
あさこ:全体のテーマですね。最初からそれがあって作りました。そういうのを全部まとめたような、2文字の漢字を宮本BOYと出しあった中から選んだんです。
●ここからまた新しい宇宙人が始まっていくというか。今後はライブも増やしていくんでしょうか?
あさこ:ライブは観たいという人たちが増えてきた時に、全力で見せたいです。自分たちから「観に来いや!」っていう感じのことはやりたくないんですよ。でも観たい人がいてくれるなら、素晴らしいものを全力で見せたいです!
Interview:IMAI
映像監督 丹羽貴幸
「宇宙人」の中毒性をもった音楽を聴いたとき、得体の知れない新種のドラッグだと思った。宇宙人をもって宇宙人を制す。志茂田景樹氏、マメ山田氏、、、、ミュージックビデオでは現存する宇宙人たちを起用して掴みどころのないポップな世界観を表現した。今後、宇宙人とのコンタクトを経験し、ドープなトリップ中毒者が蔓延していくと思う。
Recording Engineer 近藤圭司(SIGN SOUND)
わだ君は力強さの中に優しさがあり、にいや君は繊細かつ大胆、こまつ君は変態、あさこちゃんは天才。そんなお茶目な宇宙人の世界をうまく録音できたと思います。どの曲にも一度聴いたら忘れないキラーフレーズがあって一度聴いたら頭の中をグルグル! 地球人の音楽に飽きた方に是非聴いて頂きたいです。
パーフェクトミュージック代表 内大介
情報に薄められた時間にも、どこかで密かに存在する異形の卵。進化は突然に。
世に出すのが良いのか悪いのか。きっと面白いから見てもらいたい。無駄もまた良し。
キングレコード スターチャイルドレコード
チーフディレクター 宮本純乃介(宮本BOY)
POP且つ歪、早くも完成度の高いアルバム『珊瑚』が発売します。
ヴォーカルの女の子は宇宙人というより座敷童子に近いです。
パーフェクトミュージック 清水利晃
(宇宙人・マネージャー)
宇宙人は謎でも不思議でもありません。思い込みと勘違いです。その楽曲達は強大な偉力を持つジャパニーズポップスなんです。バンドという範疇は越えています。早くその事実に皆さんが気づくと人生が豊になります。この意味を2年後に理解できても遅いですよ。ぜひ先入観無しで聴いてみてください。