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2025年4月13日 @日比谷公園 野外大音楽堂 Tempalay ワンマンライブ「yyyyyyyyy」ライブレポート

4月13日、Tempalayが日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ『yyyyyyyyy』を開催した。Tempalayがライブを行うのは昨年10月に日本武道館で開催された『惑星X』以来、約半年ぶり。武道館の時点で妊娠が発表されていたAAAMYYYが無事に第2子を出産し、Tempalayでのライブ活動を再開するとともに、この日は新たなサポートメンバーも迎えられ、結成10周年を経て、バンドのネクストシーズンの始まりを告げる1日となった。

 

小雨混じりで4月でも夕方になると肌寒さが感じられる天候ながら、野音に入るとしっかり防雨・防寒対策をしたオーディエンスが場内を埋め、ひさびさのライブに対する期待値の高さが感じられる。SFチックなSEが流れ、小原綾斗(ボーカル、ギター)、藤本夏樹(ドラム)、AAAMYYY(シンセサイザー)の3人にサポートを加えた計6人のメンバーがステージに登場すると、綾斗がブルージーなギターを弾く「誕生」から「素晴らしき世界」でライブがスタート。まずは会場の空気を確かめるように、じっくりと、しかしジワジワと高揚していく立ち上がりから、「TIME MACHINE」では綾斗のシャウトとともに強烈なストロボが焚かれ、Tempalayらしいサイケデリックな空間を作り出していく。彼らのワンマンは映像も特徴的だが、この日のライブ前半は照明での演出が軸で、カラフルなライティングがバンドの演奏を彩っていった。

 

曲間をジャムっぽい演奏でシームレスに繋げていったのも特徴で、一旦は弛緩した空気から、「SONIC WAVE」でギターがうなりを上げる瞬間のダイナミズムも印象的。合唱パートでオーディエンスの熱量がさらに上がると、ベースとパーカッションを軸にした「未知との遭遇」から「my name is GREENMAN」へ。グリーンのバックライトが点滅して野音を緑色に染める中、この曲で一気にスタジアムロックのような盛り上がりに変わり、サポートの榎元駿(ベース/ODD Foot Works)、松井泉(パーカッション)、高田風(ギター、サンプラー)を紹介しつつ、それぞれがソロを回していく。ヒップホップビートとスクラッチを用いた「Booorn!!」ではAAAMYYYのボーカルがフィーチャーされ、改めて出産を祝うかのような雰囲気もあった。

 

MCではこの日がTempalayのサポート初参加となる高田が紹介され、「風が大活躍する曲」として「ZOMBIE-SONG」へ。音源ではヒューマンビートボクサーのREATMOが参加していたが、この日はイントロでサンプラーを用いた高田のビートをフィーチャーし、楽曲に別種の魅力を付け加えていた。高田はエキゾチックな「ああ迷路」でギターソロを担当したりと演奏面でも魅せ、もともとロックバンドのメンバーであり、近年はビートメーカーとしても活躍する両面性を上手くTempalayの楽曲に落とし込んで、文字通りの新たな風を吹き込んでいたと言えるだろう。

 

「どうしよう」の演奏を終えると、「春山淡治にして笑うが如く」からは大きなステージ全体をキャンパスにしてマーブル模様が投影され、日の暮れた野音が異空間へと変わり、続く「憑依さん」でも映像がよりドープに変化。藤本のイーヴンキックと松井のパーカッションがダンサブルな「NEHAN」では、ピンクと水色のネオンカラーが場内を鮮やかに彩ったかと思えば、「新世代」では一転してメンバーの演奏している様子が野音のステージに投影されたりと、こうした映像的な演出とTempalayの楽曲の相性のよさ・相乗効果はやはり抜群だ。さらには昨年発表されたアルバム『((ika))』に収録の「Superman」をライブで初披露。この後のMCで綾斗が「むずすぎる」と話したように、Tempalayの楽曲の中でもとりわけプログレッシヴで、多彩な展開とリズムパターンが詰め込まれた難曲を見事再現し、オーディエンスからは盛大な拍手が送られた。

改めてAAAMYYYの第2子出産を報告したMCに続いて、ライブ後半戦はオリエンタルな雰囲気のピアノバラード「月見うどん」から。ここまで小雨程度で耐えていた雨がいよいよ本降りになってきたが、勢いを増す雨と照明が混ざって楽曲のドラマ性を高めていたのは野音ならではのスペシャルな瞬間だった。そのまま「あびばのんのん」、「預言者」と雨が降りしきる中での熱演が続くと、再びステージに映し出されたマーブル模様とともに演奏されたのは「大東京万博」。奇しくも大阪・関西万博が開幕したこの日、東京のど真ん中でこの曲が披露されたこともまた特別な瞬間であり、お馴染みの「らっせーら!らっせーら!」の掛け声もいつも以上に熱が入っていたようにも。ラストは「そなちね」でエモーショナルなソロと絶叫を聴かせた綾斗がアウトロで高々とギターを掲げて、新たな始まりの日を堂々と締め括った。

 

 

 

 

▼公演情報

2025年4月13日(日)
Tempalay ワンマンライブ「yyyyyyyyy」
会場:日比谷公園 野外大音楽堂

 

▼クレジット

文:金子厚武

撮影:鳥居洋介

 

  1. ▼セットリスト
    誕生〜素晴らしき世界
  2. TIME MACHINE
  3. SONIC WAVE
  4. 未知との遭遇~my name is GREENMAN
  5. Booorn!!
  6. ZOMBIE-SONG
  7. ああ迷路
  8. どうしよう
  9. 春山淡冶にして笑うが如く
  10. 憑依さん
  11. NEHAN
  12. 新世代
  13. Superman
  14. 月見うどん
  15. あびばのんのん
  16. 預言者
  17. 大東京万博
  18. そなちね

セットリストプレイリスト:https://Tempalay.lnk.to/yyyyyyyyy

 

 

【プロフィール】

小原綾斗(Gt.Vo.)、 藤本夏樹(Dr)、 AAAMYYY(Syn. Cho.)からなるバンド”Tempalay”。

3人の才気が絶妙なバランスで融合あるいは攪拌され、唯一無二の音楽像を創り出す。

海外シーンと同時代的ながらもさまざまなジャンルやシーンを自由奔放に飛び越えたそのサウンドは、サイケデリックかつノスタルジックで、どこか日本古来の情景を想起させる。

2015年9月にリリースした限定デビューEP「Instant Hawaii」は瞬く間に完売。2020年12月にはワーナーミュージック/unBORDEより、メジャーリリース第一弾となる配信シングル「EDEN」をリリース。結成10周年を迎えた2024年、5枚目となるフルアルバム「((ika))」をリリース。10月3日に日本武道館にてワンマンライブ「惑星X」を開催した。

 

Official Site:https://tempalay.jp/

X(Twitter):https://twitter.com/tempalay

Instagram:https://www.instagram.com/tempalay_from_japan/

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