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CULTURES’ BackPacker vol.10「音楽稼業七変化〜大会指導編〜」

 前回ディレクション業についての紹介の中で、人と何かをやることにものすごく喜びややり甲斐を感じるタイプだということを書きましたが、今回はそれと似たようなところで、指導業について触れていきます。やはりこちらも、誰かと共に達成するという点では同じなのです。

 

 先月末、滋賀県で行われた津軽三味線・津軽民謡全国大会inびわ湖が開催され、出場する弟子たちの引率に行ってきました。

◆大会HP:https://npo-japan-traditional-art.com/?page_id=461

 そもそも津軽三味線の世界には地区大会というものが存在せず全国各地からその大会に出場するということで、誰もがいきなり”全国大会”に出場することになります。ただしプロアマ様々な方が出場するので、レベルや性別、年齢などで部門が区分されています。

 

 今回うちの門弟は、

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初級の部:初めて、あるいはまだ出場回数が少ない方におすすめの部門。年齢性別問わず、師事年数なども問いません。とにかく”大会”というものにあまり出たことがない人向けの部門になります。課題曲は津軽じょんから節曲弾き(または津軽五大民謡の中から得意なもの)で2分以内。

★野田涼平/準優勝(各地大会含む※以下同じ 出場2度目)、有賀大晃/入賞(初出場)

 

一般男子の部:高校生以上の男性なら誰でも出場できる部門。大会出場自体が初めての場合でも、初級の部を飛び級して出場も可能です。出場者はアマチュアからプロまでと経歴も幅広いです。課題曲は津軽じょんから節曲弾き(または津軽五大民謡の中から得意なもの)で2分30秒以内。

★榎本空也/第3位(出場5度目)、日吉泰佑/12位入賞(出場3度目、夏の名古屋全国大会初級部門で優勝)

 

津軽三味線甲子園:現在学生である方は年齢性別問わず誰でも出場できる部門。少年少女(=小中学生)の部や一般の部との併願も可能です。年齢による体格差などを均等にする狙いか、高年者はハンデ減点ありで審査スタートとなります。課題曲は津軽じょんから節曲弾き(または津軽五大民謡の中から得意なもの)で2分30秒以内。

 

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 このように様々な部門に出場するにあたって、全員もちろん優勝〜10位以内を狙っていきたいという気持ちは、あたしも弟子たちも同じ方向を向いているのですが、いくらスパルタとはいえ(笑)、短期間で改善していくにはなかなか難しい部分もあります。

 

 やはり弟子たちの多くは社会人であり学生であり、プロでない限り三味線に全ての時間を捧げることは難しいのです。だからこそ的確に苦手なポイントを押さえつつ、得意なところをより伸ばし、だらだらと丸々1曲を弾くばかりにならないように、効率重視で指導をしています。

 

 それは今の各位のレベルで、出場部門の中でより印象に残るためには満遍なく上手いのは大前提として、苦手を減らし自分らしさや得意な部分をより伸ばしていくことで、曲全体にメリハリを出していくのが素敵だと思うからです。

 

 それにどんな音楽ジャンルでもそうですが、やはり毎日同じ曲ばかりを一生懸命練習するだけでは飽きてしまうのは仕方のないことですよね。(あたしもそう…笑)

 

 うちではフル尺で稽古するのは1、2度だけにキメ撃ちして、このように指導しています。

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・苦手あるいは得意なセクションやフレーズは練習を何度も音を出して精度を上げていく

 

・課題曲以外の曲を弾いたり唄ったりして知識経験を増やし、自分の肥やしにしていくことで課題曲に昇華していく(津軽民謡以外ももちろんやります!)

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 これは謂わば、ファンクギターにおけるカッティングを反復練習して体にグルーヴを染み込ませてより精度、そして柔軟さを上げていくのと似ています。そして課題曲で沼にハマることなんてしょっちゅうですから、他の曲で楽しく肥やしをつけていくのは、あたしとしては最も大事なポイントとも思います。

 

 やはり優勝クラスの方の演奏を見ると、「あ、おそらく唄付けが得意なんだろうな。曲弾きだけの知識量ではないぞ」と、曲を聴いただけでその為人がよく見えるのです。今回優勝者を出せなかったのは、そこが大きいことを全員で反省しました。

 

 効率重視は体力面も考慮しています。

 メリハリがしっかり存在する丸々一曲を全力で心をこめて演奏練習するともなると、案の定体力を消耗してしまいます。肩の力を抜いてショートフレーズの反復練習をする方が長く三味線と向き合う時間が取れるとも思うのです。

 

 そうして門弟がライバル、そして自分自身との闘いで結果を出してきたのは、指導者としてとても誇らしいのです。

 

 どこかでお話ししたかもしれませんが、競技音楽とパフォーマンス音楽は全く異なります。今回は競技音楽です。されどもどちらも音楽なのです。

 

 弟子たちが自分らしく演奏するための指導でありディレクションは、よりかっこいい魅力的な音楽を作るのと同義です。これからもこのお仕事も心を込めて務め上げていくつもりです。

 

 弟子たちが勝つためには指導者もなんらかで勝ち続けて、弟子より先の世界を知り指導をする必要があると思います。なのであたしは、弟子の先導を常に走り続けるために自分自身と闘い続けているのです。

 

 大学2年で大会出場を引退し、プロ奏者として振り切ることにしました。それは先にも言った競技音楽とパフォーマンス音楽とを両立するのでは、津軽三味線の域を超えてミクストしていく自分らしい音楽づくりには合わないと思ったからです。とはいえ自己紹介していくのに胸を張れるだけの経歴は、師匠である宗家佐々木光儀の指導ありきです。

 

 弟子たちの未来や展望を広げていくためのキャリアを間違いなく掴むために、あたし自身も変わらず精進して、「光櫻会は優勝入賞常連!」という会としての実績も間違いないものにしていきたいのです。

 

 あたしたちの、それぞれの夢に向かって。

 

◆BIG NEWS◆

12月15日にデジタルニューリリース「strawberry chocolate night feat. MPC GIRL USAGI」

 

12月16〜17日シンガポールセントーサ島ジャズフェス「JAZZ BY THE COVE」CHiLi GiRL feat. MPC GIRL USAGI出演決定!日本からはソエジマトシキ&nahokimama、TokyoGrooveJyoshiも出演!

2023.12.10

Shinobu Kawashima著

 

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LIVE INFOMATION

・2023年12月8日〜12月11日 桜花浪漫堂主催/株式会社ブシロード協力「朗読劇 人間失格・紅」全公演生演奏劇伴

 

・2023年12月5日〜12月25日 新作歌舞伎 #流白浪燦星 津軽三味線収録/一部編曲

 

CHiLi GiRL pre. LOVE SPiCEシリーズ番外編

2024年1月13日(土)「川嶋志乃舞新春民謡コンサート」

10/9~10/10 先行予約受付  10/12~一般予約受付開始

https://clg-tokyo.bitfan.id/schedules/29846

 

 

 

 



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