tofubeatsが11月26日に東京・恵比寿ガーデンホールで「tofubeats メジャーデビュー10周年記念ライブ@恵比寿The Garden Hall」を開催した。彼のデビュー作は2013年11月13日にワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル・unBORDEからリリースされたEP「Don't Stop The Music」。以降、3作のミニアルバムと5作のフルアルバムに加え、さまざまなアーティストの作品に客演や楽曲提供してきた。そんな彼の33歳の誕生日でもあるこの日、ヴァラエティ豊かなゲストとともに盛大なパーティーを開催した。
オープニングDJは盟友・okadada。最高の選曲と超絶テクニックで良い空間を作り出す達人が、たっぷりと1時間かけて“これからライブを楽しむのにちょうどいいポジティブな空気感”を作り出した。okadadaはDJ中に会場アナウンスも担当。開演前からユーモアと信頼で結ばれた2人の関係性を垣間見せた。
tofubeatsが登場すると「今日は10周年ということで、みなさんから“祝いのかつあげ”をしていこうと思います」と笑いながら話して「それでは、行ってみよう!」の声から、「ふめつのこころ」の未発表バージョンでライブがスタートした。こちらは現場でしか聴けないtofubeatsの名曲ということもあっていきなり合唱が起こった。さらに今回は、代表曲の声ネタを散りばめたビートレスのリアレンジバージョン。約10分に及ぶ壮大なサウンドスケープを披露して「PEAK TIME」へ。収録アルバム『REFLECTION』と同じように曲間なく「Let Me Be」に流れ、「STAKEHOLDER」までノンストップで歌った。ギュッと胸を熱くさせたのはRed Bullのサイファー企画「RASEN」に提供したtofubeatsのビートにECDのラップをブレンドしたところ。そこから「One」へ。ここで本日初のゲストとなるSTUTSが登場。しかもラッパーとして。歌い終えた後、STUTSは「マイクだけで客演するのはtofubeatsさんの現場だけ」と笑った。また「あと今日、お誕生日ですよね? おめでとうございます」と話すと拍手と声援があがった。
tofubeatsは「おじさんの誕生日を祝っても仕方ないので、33という数字を忘れるために次は神戸の若手を呼んでます」と「don't like u feat. Neibiss」をプレイ。続いてあまりライブで歌わないというレアな「Keep On Lovin' You」、コロナ禍によく見かけた熱で顔認証するAI技術を利用したVJ映像とあいまった「SMILE」、最近のライブでよくプレイしているという「SHOPPINGMALL」のリミックスバージョンをノンストップで歌い繋いでいった。「VIBRATION」では3番目のゲスト・小鉄昇一郎が登場。ユーモアたっぷりのマイクパフォーマンスで会場を盛り上げる。曲中の「音楽ってもうダメなのかなー?/そんなことないって言ってくれよー」のラインは合唱がおきた。
そしてtofubeatsの作詞センスが光るパーティーソング「WHAT YOU GOT」から、2013年にSoundCloudで発表したdancinthruthenights名義の「マジ勉NOW!」をプレイ。この曲のメインヴォーカル・新井ひとみ(東京女子流)とdancinthruthenightsのメンバーであるokadadaがステージに登場する。曲の最後には3人で楽しい寸劇も披露した。新井はステージに残って2014年リリースの『First Album』から「Come On Honey!」も歌う。スクリーンでは歌詞の字幕付きMVも流れた。tofubeatsは「最近僕を知った人は急にアイドルライブが始まってびっくりしたかもしれない」と話しつつ、新井と一緒に回ってた当時のツアーの最後にやっていた、新井とその場にいる人たち全員で「POSITIVE」を一緒に歌うくだりを今日久しぶりにやってみたいと提案。新井はtofubeatsが持参した歌詞カードを見ながらみんなと「POSITIVE」を歌った。
その後、tofubeatsは「POSITIVE」のオリジナルヴォーカリストであるDream Amiの声をサンプラーで鳴らす。「DTMerとしてはね……」とAmiの声にその場でエフェクトをかけて、音素材に加工し、メロディを弾き始める。それが徐々に「RUN(REMIX)」のイントロに変わっていくと観客はとても大きな声をあげた。tofubeatsは自身の「緩急あるセットリスト」を自画自賛して1ヴァース目を歌い、2ヴァース目にはゲストのVaVaが出てくる。もちろん観客の声はもっともっと大きくなった。KREVAのパートはtofubeats&VaVaと観客で歌った。ここでシークレットゲスト・NOAがダンサーの2人を連れてステージイン。意外だがなんの違和感もなくセクシーなR&Bを2人で歌った。「祝いにかこつけて人の曲も歌っていく」と話すと場内から笑い声が。「続いても豪華なゲストなんで心してかかってください」と言った後、印象的なバスドラの音を鳴らすとKEIJUがやって来て名曲「LONEYLY NIGHTS」になだれ込んだ。
「10周年ということでこういうイベントをやらしてもらってるんですけど、実は去年の今頃にもこのガーデンホールを押さえてまして。でもコロナとかあって延期になり。(会場側から)『来年(tofubeatsの)誕生日(の会場スケジュールが)空いてますよ』と言われて、『いいすね、それ』となってやることになったんですけど、意外とチケットがすぐ売れてしまって。今日も来られなかった人がいたっぽいので、今後はもっとみなさんが遊びやすくできるようにがんばります」と話すと大きな拍手が送られ、「大きいところ借りるのって心がシクシクするんですよね」と笑って付け加えた。
シークレットゲスト2人目はBONNIE PINK。『First Album』収録曲「衣替え」をしっとりと歌い上げた。tofubeats自身も「僕も気に入ってる曲なので、リハで聴けて改めて感動しました」と語るほどレアな共演が実現した。「RIVER」、「ふめつのこころ(SLOWDOWN)」、「クラブ」とメロウなナンバーを続けて歌うと、「CITY2CITY」からクライマックスに突入する。「SOMEBODY TORE MY P」、「I BELIEVE IN YOU」、「I CAN FEEL IT」というダイナミックでスタイリッシュなダンストラックをド派手な照明演出の中で演奏していく。そしてこれからもあらゆるダンスフロアでかかり続けるであろうクラシック「朝が来るまで終わることの無いダンスを」を歌った。アウトロの流れで違うメロディが混ざってくると、そこに中村佳穂が「お誕生日おめでとう!」とステージに走り込んで来て「REFLECTION」がスタート。中村の透き通る歌声のエネルギーとtofubeatsのパフォーマンスは、このパーティーのもっともエモーショナルな瞬間だった。本編最後の曲は今年5月に正式リリースされた「自由」。「勇気を持って走る」というリリックはまさにこれまでとこれからの彼にぴったりな1曲と言えるかもしれない。
すぐにアンコールの拍手が起こり、「どもー」とtofubeatsが帰ってきた。「あんまりアンコールがあるイベントに出ないので本当に嬉しいです!」と話し、「メジャーデビュー10周年ということでこの曲を歌わないわけにはいかないでしょう」とメジャーデビュー作「Don't Stop The Music」を熱唱した。
歌い終えたあと、突然okadadaがオノマトメぺ大臣とともにステージに現れた。「あれ? 大臣はサプライズでしょ?」と本気で戸惑うtofubeats。okadadaは「サプライズ映像を見てもらいたくて、僕らは今ここに駆り出されてます」と淡々と話す。tofubeatsは「大臣というサプライズを先に出してまで僕に見てほしいサプライズ映像ということですか……」と映像を見ると、なんと「Don't Stop The Music」のヴォーカリスト・森高千里が登場。一緒にサマソニに出演した思い出や誕生日のお祝いコメントを話してくれた。サプライズ映像が終わるとokadadaとオノマトメぺ大臣がバースデーソングを歌いながらケーキを持って来た。それを見たtofubeatsは「(森高千里と)華の落差がすごい」と笑う。okadadaは「最後まで誰が(ケーキを)持ってくるか迷ったけど結局闇の瀬戸内軍団になりました。『これがお前だろう』と」と盟友らしい毒でtofubeatsのメジャーデビュー10周年と33歳の誕生日を祝った。観客も笑顔になって、ユーモアもあって、最高の雰囲気になった。本当に最後の曲はこちらもクラシック中のクラシック「水星」。tofubeatsの最初期に活動をともにし、現在はビジネスマンとして活躍してるオノマトメぺ大臣との共演は祝いの最後にふさわしい。全出演者、観客と一緒に記念写真を撮って「tofubeats メジャーデビュー10周年記念ライブ」は幕を下ろした。
このライブを見て、tofubeatsとは常にディープなダンスミュージックとメジャーな日本のポップスががっちりと握手できる最適解を探し続けてきたアーティストなのだなと改めて感じた。また曲間が少ないためか、彼のライブは情報量が非常に多い。約2時間の公演だったが、異常に濃密な体験だった。そしていわゆる時代を超えて愛される“クラシック”も想像以上に多かった。リスナー側は彼を勝手に大ベテランのように感じてしまうが、実際はまだほんの33歳なのだ。彼はこれからどんな音楽を私たちに聴かせてくれるのだろうか。センスとユーモアで日本でしか生まれ得ないかっこいい音楽を作ってほしい。そんな楽しみが増すような一夜だった。
また、12月1日にクリスマスソング新曲「Lights」をデジタルリリースされたことも発表されたので楽しみにしてほしい
(文=宮崎敬太)
『tofubeatsメジャー・デビュー10周年記念ライブ』
2023年11月26日(日)
恵比寿 The Garden Hall
1. ふめつのこころ(INTRO)
2.Don’t Stop The Music(Drone)
3. PEAK TIME
4. Let Me Be
5. STAKEHOLDER
6. One (STUTS feat.tofubeats)
7. don't like u (feat. Neibiss)
8. Keep On Lovin' You
9. SMILE
10. SHOPPINGMALL (remix)
11. VIBRATION (feat.Kotetsu Shoichiro)
12. WHAT YOU GOT
13. マジ勉NOW! (dancinthruthenights feat.新井ひとみ)
14.Come On Honey!(新井ひとみ)
15.POSITIVE
16. RUN (REMIX feat.VaVa)
17. TAXI (NOA feat.tofubeats) *サプライズ出演、終演後まで未解禁
18. LONELY NIGHTS (feat.KEIJU)
19. 衣替え (feat.BONIIE PINK)
20. RIVER
21. ふめつのこころ (SLOWDOWN)
22. クラブ
23. CITY2CITY
24. SOMEBODY TORE MY P
25. I BELIEVE IN YOU
26. I CAN FEEL IT
27. 朝が来るまで終わる事の無いダンスを
28. REFLECTION (feat.中村佳穂)
29. 自由
En1. Don't Stop The Music
En2. 水星 (feat.オノマトペ大臣)
【リリース情報】
「Lights」12/1配信
好評配信中
・メロディ feat.蒔田彩珠&高石あかり
・「わたしの一番最悪なともだち オリジナル・サウンドトラック」 アルバム
【収録曲】
1 tofubeats ほんとの私
2 tofubeats 人生が迷子
3 tofubeats 人生が迷子(Piano Ver.)
4 ratiff 迷子Breakbeats
5 tofubeats ズレた人生のテンポ
6 in the blue shirt 一番最悪なともだち
7 in the blue shirt 近づくふたり
8 UG Noodle 慎吾のテーマ
9 tofubeats 聡美のテーマ
10 tofubeats 木下のテーマ
11 The Hair Kid 社会人の日常
12 tofubeats 就活ゲーム
13 tofubeats 役作り定期報告会
14 tofubeats 脳内トリップ
15 tofubeats 脳内迷宮
16 in the blue shirt & tofubeats スイッチオン
17 64controll 東京の街
18 64controll 初めての東京
19 tofubeats あの頃の自分
20 tofubeats 好きだったかもしれない
21 tofubeats 一番ズルいのは、わたし
22 tofubeats 置いてけぼりのわたし
23 tofubeats こんな自分だったらいいのに…
24 tofubeats ノーアウト満塁!
25 tofubeats 変わりはじめた
26 The Hair Kid いいんだよねこれで
27 in the blue shirt 再び、近づくふたり
28 in the blue shirt 美晴のこころ
29 in the blue shirt 本心
30 tofubeats 動き出す人生
31 tofubeats メロディfeat. 蒔田彩珠・�眄个△㎠� (short ver.)
【関連リンク】