indigo la Endが10月7日に「ナツヨノマジック vol.3」を河口湖ステラシアターにて開催した。
このライブはコロナ禍の2020年に無観客配信ライブとしてスタートしたもので、
今回、その無観客ライブが開催された思い出の地である河口湖ステラシアターで行われた。
ロースモークによる幻想的な空間演出とともに川谷絵音のスポークン・ワードが披露された後、3年前と同じく「夜汽車は走る」。佐藤栄太郎(Dr)のシンバル・カウントから、夏夜の口火が聞かれた。定番曲「想いきり」に続いては、スラップも交えた後鳥亮介(Ba)のベースが印象的な初期曲、「ワンダーテンダー」、バイラルヒット曲「名前は片想い」と立て続けに披露。肌寒さも感じるような気候だったが、indigoらしく、ゆっくりと観客も熱を帯びていく。「見せかけのラブソング」「雫に恋して」「チューリップ」「フラれてみたんだよ」と続け、10月25日に発売となる待望のアルバム『哀愁演劇』から「忘れっぽいんだ」、ミディアム・バラード「幸せが溢れたら」と披露すると、一度メンバーはステージを後に。
モノローグが流れる中、新たな衣装を纏ったメンバーが、楽屋からリアルタイムで移動する姿が投影される小粋な演出で、二部がスタート。
長田カーティス(Gt)のカッティングが小気味いい「秋雨の降り方がいじらしい」、久々の披露となった「夢で逢えたら」と「楽園」、indigo流のファンクネス「夜風とハヤブサ」、歪んだサウンドと流麗な川谷絵音(Vo, Gt)のハイトーンの対比が美しい「大停電の夜に」と披露。コロナ渦で無観客で開催された初回のナツヨノマジックを回想するMCを挟み「夜の恋は」、インディーズ時代の名バラード「抱きしめて」と続け、音楽やバンドへの謝辞を伝えるMCを挟んだのちに「1988」で、本編は終了。
アンコールは、恒例の「長田カーティス物販紹介」のコーナーで会場の笑いを誘い、この日誕生日を迎えた後鳥のバースデーを祝ったのち、ここで新曲を初披露。ミドルテンポの美しいメロディの楽曲で今月リリースとなるアルバムへの期待が高まる一幕となった。
ラストはライブのタイトルになっている「夏夜のマジック」。長田のギターソロが終わると空には花火が。ロマンティックな演出に歓声が上がり大団円。indigo la Endの夏夜が終わりを告げた。
定番曲が続く夏フェスとは異なり、13年に渡るバンドの歴史を振り返るような多様なセットリストで、バンドのキャリアとその懐の深さを存分に見せつけた。川谷自ら“過去最高傑作”と称した2年8か月振りのフル・アルバム『哀愁演劇』への期待値がより高まるようなライブだった。