[Champagne] / Czecho No Republic / TOTALFAT / WHITE ASH / グッドモーニングアメリカ / さめざめ / ズボンズ
暦の上ではまさに梅雨まっさかりの6/2。この日、野外イベントの始まりを告げる“あの”恒例イベントが開催された。そう、“RUSH BALL☆R”だ。心配された天気もなんとか持ちこたえソールドアウトで迎えた当日。入り口で渡されたフライヤーには本編“RUSH BALL 2012”出演の第3弾発表アーティスト、10-FEETとサカナクションの名が記されており、もう夏が来たのではと錯覚するほどの熱気に包まれていた。
まず先陣を切ったのはグッドモーニングアメリカ。阪神タイガースのユニフォームを着たBa.たなしんが客席後方の塔に現れたかと思うと、「六甲おろし」 を熱唱しながらステージへと向かって練り歩く。たなしんがステージに到着する前に演奏がはじまった(笑)1曲目は、代表曲「空ばかり見ていた」だ! これには会場も大興奮、サビでは全員で“wow wow”とシンガロング。随一のアッパーチューン「言葉にならない」でテンションが振り切れたところで、「輝く方へ」「花」という沁み入るような曲を聴か せるあたり、彼らの懐の深さを感じる。最後は「ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ」で会場を沸かせたのち、次のWHITE ASHに繋いだ。
お次はVo./G.のび太率いるWHITE ASH。のび太の妖艶なボーカルと独特な陣形で鳴らす攻撃的なサウンドは、脳天を貫くような衝撃と高揚感を与えてくれる。特に「Thunderous」の イントロでドラム、ベース、ギターと順々にパートが加わっていく時の感覚は鳥肌モノだ。かと思えば、MCでは礼儀正しい丁寧な口調で、演奏中の毅然とした 姿とのギャップに驚かされる。「And Gypsy」でステージを終えた姿を観た時には、まだまだ底の知れない才能を見せつけられたような気がした。きっと彼らは、今後さらなる成長を遂げる事だ ろう。
この日は自身初の野外ライブというさめざめ。まるで情景が浮かんできそうなほどに、女の子の本音を赤裸々に綴った歌詞は、一度聴いたら頭から離れなくな る。時にバラードで、時にダンサブルなアレンジで唄い上げる彼女の歌声が響き渡り、普段はモッシュの渦に飛び込むキッズ達もしみじみと聴き入っていた。ラ ストはさめざめを始めるキッカケとなった「愛とか夢とか恋とかSEXとか」でフィニッシュ。どこまでも等身大な楽曲達を聴き終えた時、彼女の歩んで来た人 生の一角を感じられた気がした。
明るいSEと共に登場したCzecho No Republic。彼らの奏でるポップで美しいメロディに釣られて、自然と笑顔になる。“心が温まるような曲”とはよく言うが、サウンドだけで本当に胸の あたりから暖かさが込み上げて来たのは生まれて初めてだ。だが、彼らの魅力はそれだけではない。駆け出したくなるようなリズムの中にも切なさを感じる 「Don't Cry, Forest Boy」や、どこかアンニュイでノスタルジックな「DANCE」など、相反する要素さえも取り入れて自分のものにしているのだ。ハイセンスかつハピネスな 楽曲で会場を魅了し、彼らは去っていった。
TOTALFATがリハの時点からガッツリと音を鳴らせば、早くもフリーエリアではキッズ達が暴れ出し砂塵が巻き起こる。そして1曲目はキャッチーなサ ビから始まる「Livin' for The Future」、さらに2曲目は定番のブチアゲナンバー「Summer Frequence」と来たものだから、今にも爆発しそうなほどに熱気が。そんなタイミングでVo./Ba.Shunが 「9/2(RUSH BALL)出演決定しました!」と宣言すれば、会場にキッズ達の雄叫びが飛び交った。「Place to Try」や「Overdrive」など、爽快感溢れるアッパーチューンで最後まで駆け抜けた彼ら。本日のライブで、本編への期待感がよりいっそう高まった ことは間違いない。
ズボンズのライブはまさに圧巻だった。Vo./G./Conductor.ドン・マツオがギターを高く放り投げキャッチしたり、しゃがみ込んで唄った り、いきなりドラムを叩き出したりとにかくハチャメチャなのだが、それがどうしようもなくカッコ良い。まるでジャムセッションのような演奏なのに、その 実、息をするのもためらわれるほどタイトで寸分の隙もない完璧な演奏。それは、歴戦のミュージシャンだからこそできる究極のパフォーマンスだ。最初から楽 しむ心づもりで来ている観客はもちろん、屋台の兄ちゃんまでもが踊っていた姿が印象的だった。
[Champagne]が登場した瞬間に起きた、歓声の凄まじさは今でも忘れられない。「Kill Me If You Can」や「Rocknrolla!」など、ヘヴィなリフを多用しつつもメロディアスなフレーズが光る曲の後は、どこかセンチメンタルな旋律が耳に残る 「city」。4人の動きや音が絶妙に絡み合い、見事な調律を生み出した。かと思うと、サビの開放感が気持ちいい「Kids」では、Dr.庄村がひとり セットリストを間違えてからかわれるなど、ちょっとしたところで見える人間性もまた魅力的だった。最後は「Waitress, Waitress!」で終了。
この日新たに発表された4バンドに加えて、今年もATMCステージが登場! 計13組の出演が明らかとなった本編“RUSH BALL 2012”。現時点でも十分にアツい面子だが、さらにこれから誰の出演が決まるのだろうか…9/2が今から楽しみでならない。
TEXT:森下恭子