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GALNERYUS

バンドとしての充実期を迎えて表現の幅と深さは更に進化した J-METALの旗手が完成させた新作は壮大な情景を描き出す超大作

J-METALを牽引するGALNERYUSが、“JOIN ALIVE”や“釜山国際ロックフェスティバル”で多くのオーディエンスを熱狂させた夏を経て、待望のアルバムを完成させた。『ANGEL OF SALVATION』と名付けられた今作は、豊かな表現力と卓抜したテクニック、そして唯一無二のヴォーカリスト・SHOの歌が見事に融合した、バンド史上最高到達点を記録する名盤。中でも14分を超えるタイトル曲「ANGEL OF SALVATION」は、バンドとして充実期を迎えた彼らでしか成し得ない超大作に仕上がっている。前回に続き、Masatoshi “SHO”Ono(以下、SHO)とSyuに訊いた。

「アルバムを作るにあたって、目玉となる大作の曲を入れようと当初から思っていたんです。最初から“長い曲を作ろう”と」

●7/18にリリースされたシングル『HUNTING FOR YOUR DREAM』の取材のとき、「前2作のアルバム…『RESURRECTION』(2010年6月)と『PHOENIX RISING』(2011年10月)がストライク、ストライクと満足のいく作品になったので、3球勝負で次のアルバムもいい作品になる手応えがある」という話がありましたが、今作の制作はどのように進んでいったんですか?

Syu:僕自身の作業としては、今年の3月頃からダダダッとデモを作っていく感じだったんです。今作は、M-3「TEMPTATION THROUGH THE NIGHT」以外は全部僕の作曲なんですが。

●シングル『HUNTING FOR YOUR DREAM』にも収録されている「TEMPTATION THROUGH THE NIGHT」(アルバムは別バージョンを収録)はKey.YUHKIさんによる作曲でしたよね。

Syu:はい。実はアルバムタイトルを先に決めていたんです。『PHOENIX RISING』のときも結構早めにタイトルを決めていたんですけど、僕はアルバムタイトルを早めに決めると曲作りがスムーズだということがなぜかあって。

●それは言葉としてのタイトルですか? それともイメージとして?

Syu:イメージですね。言葉の強さももちろんありますけど、その言葉から出てくる色だったりとか、イメージや雰囲気とかから曲のインスピレーションが出てくるというか。

●ということは、“ANGEL OF SALVATION”という言葉の持つイメージが最初にあったと。

Syu:そうですね。ジューダス・プリーストに『Angel of Retribution』というアルバムがあるんですけど、“Angel of 〜”っていうタイトルは結構メタルバンドの作品に多いんですよ。だからかっこいいと思ったのと、ベタでいいなと思って(笑)。

●Syuさん結構ベタなの好きですもんね(笑)。

Syu:好きです(笑)。わかりやすいじゃないですか。“Angel of 〜”というタイトルにしたいなと考えていて、“ANGEL OF SALVATION(救済の天使)”という言葉が出てきて、これはいいじゃないか! と。

●“ANGEL OF SALVATION”というタイトルには、今の世の中や時代に対する想いが込められているのかな? とも思ったんですが。

Syu:そうですね。日ごろ疲れたりした人の力になればいいなと。僕はいつも、そのときに思っていることを抽象的にして歌詞に書くことが多いんです。今回はそういうことを考えていた感じがありました。

●まずタイトル曲であるM-9「ANGEL OF SALVATION」にびっくりしたんです。曲の長さが15分弱という。

SHO:カップラーメンにお湯を入れて3分待って、食べ終わっているくらいの長さですよね(笑)。

●そうですよね(笑)。でも聴いたとき、これを表現するためには15分という長さは必要だったのかなと。音楽で表現できる最大限のものをこの曲で実現しているというか。率直な疑問なんですが、なぜこのような曲ができたんですか?

Syu:アルバムを作るにあたって、目玉となる大作の曲を入れようと当初から思っていたんです。最初から“長い曲を作ろう”と。3月頃からデモを作ったと言いましたけど、そのときに今回の曲はほぼフル尺に近い形で作っていって、「ANGEL OF SALVATION」もデモの段階では13分くらいの長さがあったんです。

●あ、そうだったんですね。

Syu:それでメンバー及び久武プロデューサーにデモを聴いてもらって、色々とアレンジや構成のやり取りがあり、結果的に14分を超える長さになったという。だから僕の感覚としては、最初から大作を作ろうを思って作ったので、長いですけど“まあこんなもんかな”という。

●普通の曲を作る感覚とは違いましたか?

Syu:違いましたね。普段の2曲分くらいの感じですね。レコーディングのときとか特に思いましたけど、“録っても録っても終わらへん”みたいな感じ。全然先に進んでいる気がしなかったですね。

●この曲はサビが4回出てきますけど、単なる繰り返しじゃないですよね。足して足して足した結果この長さになったというわけではなく、表現したいものがまず最初にあって、それを音楽に落とし込んだとき、結果的にこの長さが必要だったと想像したんですが。

Syu:そうですね。もちろんメンバーとプロデューサーの手腕もあるんですけど、長い曲というとどうしても自己満足に終わる可能性が高いと思うんですよ。でもそこで自己満足にするわけではなく、ダレる瞬間がないようにアレンジをしていくという作業が大変でした。サビも4回出てくるけど、単にペーストしていくだけではダメだと思ったし。

●うんうん。

Syu:3番目のサビでバックのサウンドが落ちる瞬間がありますけど、ああいう音楽的なフックはプロデューサーのアイディアなんです。そういうバランスも色々と考えて、みんなで作っていった感じですね。

●SHOさんは「ANGEL OF SALVATION」を初めて歌ったときどうでした?

SHO:歌っても…終わらない。

一同:アハハハハハハハハハハ(笑)。

SHO:歌いごたえのある曲というか、まさに大作ですよね。

Syu:どの曲もそうなんですけど、特にこの曲はSHOさんのヴォーカルあっての曲だと思います。英語詞の曲もそうなんですけど、日本語のプロフェッショナルですからね。SHOさんが歌ったら、例え“ラララ”だけでも説得力があるんですよ。言葉まわしがすごく伝わるというか。改めてすげぇなと思いました。

SHO:ひとつドキドキしたことがあったんですけど、「ANGEL OF SALVATION」はSyuくんが歌詞も書くということになったとき、内心“これ全部英語詞になったらどうしよう? 覚えきれないな”と思っていたんですよ(笑)。

●あ、なるほど(笑)。

SHO:だから日本語がメインになってよかったなと(笑)。それに結構伝えやすい歌詞だし。そういう意味では歌いやすい曲なんですけどね。

●SHOさんのヴォーカルは絶対的な存在感があるというか、もしSHOさんじゃなければ成立しない曲も多いんじゃないかと感じたんですが。

Syu:そうですね。SHOさんの歌はレンジがすごく広いのと、どの帯域もスコーンと抜けて聴こえるという特徴があると思うんですけど、これだけの広さでしっかりと伝わるように歌える人って居ないと思うんです。仮に僕が同じ音域が出たとしても、SHOさんと同じように歌うことはできない。

●音として出たとしても伝わるかどうかは別だと。

Syu:そうそう。改めてすごいヴォーカリストだと思いました。

SHO:いやいやいやいや(笑)。

●アレンジだけではなくメロディも含めての話なんですが、どの曲も陰と陽というか、ゴリゴリな部分があったとしても必ず対照的にキャッチーな要素やフックが入っていますよね。それは逆もしかりで、例えばM-4「LONELY AS A STRANGER」はメロディがキャッチーで、アルバムの中でもストレートな部類に入ると思うんです。でも、サビ終わりで急にメロディがマイナー調になる瞬間があって、聴いている側としては「ザワッ」となる。

SHO:ああ〜、はいはい。

●選択肢としては、ストレートなままメロディを進行させても全然成立すると思うんですけど、でもこういうフックが入ることによって曲が活きるというか。

Syu:言われて気づきましたけど、確かにストレートなままでも全然成立しますね。でも最初からこんな感じのメロディ展開でした。フックという意識すらなかったかも。

●他にも、例えばM-5「STAND UP FOR THE RIGHT」は曲の前半に入る大きなブレイクが印象的で。色んな所に聴きどころがあるというか、聴く側を飽きさせないアイディアがおもしろいし、何よりそういうポイントはライブで威力を発揮すると思うんです。

Syu:みんなでアレンジを詰めているときに「ここでハッとさせよう」みたいな感じでブレイクやキメを入れたりして。そういうところは毎回考えますね。曲を作る段階からライブで演奏することは当然意識するんですよ。でも今回、なかなか難しいこともあって。

●難しいというと?

Syu:ライブで弾けないこともあるというか。

●え? GALNERYUSは高いテクニックを持つメンバーが集まっていますけど、それでもライブでの再現が難しいことなんてあるんですか?

Syu:いや〜、ありますよ(笑)。自分で作ったのに“明らかにこれ難しくて無理だ”って。

SHO:歌も難しかった。

●歌もですか? というか、GALNERYUSでもそんなことがあるんですか?

Syu:全然あります。

●テクニック前提で作曲しないというか、作曲の段階で自由にイメージを膨らませるからこそ、演奏するときや歌うときに問題が生じるということでしょうか?

Syu:そうなんですよ。「テクニカルなバンドだ」と言ってくれる人も多いんですけど、自分の中では「もうちょっとできるのにな」っていうことも多くて。

SHO:僕はいつもブレスの位置とか気にせずに自然に任せて歌うんですけど、今回は事前にブレスの位置をしっかり決めておかないと大変なことになる曲がたくさんあって。「LONELY AS A STRANGER」やM-7「LAMENT」とか特にそうなんですけど。

Syu:「息、いつ吸うねん!」っていうね(笑)。

●なるほど。その2曲ってアルバムの中でも特にキャッチーな部類の曲という印象があったから、歌うのが難しいというのはすごく意外です。

SHO:そう思わせないのがメロディを作ったSyuくんのすごいところなんですよ(笑)。

Syu:いやいや〜、それを簡単に聴かせちゃうのがSHOさんのすごいところなんですよ(笑)。

●ハハハ(笑)。

Syu:だからツアーに向けて色々と試行錯誤していかないといけない楽曲ばかりなんです。リハの段階から万全にしておかないといけない。

SHO:うーん、そうだね(笑)。

●それは前に進もうという意志の現れというか、今までにないものを作ろうという意識が強いからこそ、自らに課すハードルが高くなっているということですよね。バンドとしてはすごくいいことだと思うんですが。

SHO:そうですね。歌に関しては…数日前に、僕が加入してからの作品である『RESURRECTION』と『PHOENIX RISING』を久しぶりに聴いてみたんです。そこで思ったんですけど、歌に関して迷いがなくなってきたなという実感があって。今聴くと『RESURRECTION』の頃は“普通に歌ったらGALNERYUSではなく小野正利になっちゃわないかな?”という不安みたいなものがあったように若干思うんですよね。それが『PHOENIX RISING』では“こういう感じで大丈夫なんだ”みたいな変化がありつつ、今回については…言葉は適切じゃないかもしれないけど…開き直りみたいな心境があって。僕はどう転んでも小野正利でしかないというか。だから歌に関しては迷いのないところで乗っけられたというか、満足感が高いです。

Syu:SHOさんは気を遣ってくれ過ぎなんですよね(笑)。こっちはもともと小野正利を誘っているわけですから、その小野正利に「小野正利になっちゃわないかな?」と言われても「だって小野正利でしょ!」っていう。

一同:ハハハハハハハ(笑)。

Syu:そういう気遣いはありがたいことなんですけど、でもそのままでいいっていう。ね?

SHO:そういう空気感に助けられつつ、満足のいく作品になりました。

●ツアーが楽しみですね。

2人:楽しみです。

Syu:10/20の東京からツアーが始まります。アルバムリリース直後ですが気合入れてツアー開始しますんで、ツアー前半の地域の方は…なるべく徹夜でアルバムを何回も聴いてからツアーに来て欲しいです(笑)。

interview:Takeshi.Yamanaka

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