CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の
セルフRECはプロRECを越えられるか? 第80回
今回からOKUTSU DENKO(奥津電工)の電源ケーブルをご紹介します。
OKUTSU DENKOは2008年に、絶縁体に独自の「空気絶縁構造」を採用したOFC導体を使用し、プラグ部には独自の固定機構を備えた電源ケーブルAir Cableを開発し、高い評価を得ているメーカーです。
【Strike AIR3-ST-1.5】
エントリーモデルであるこの電源ケーブルの一番の長所は、デジタルハードウエアとの相性です。
例えばオーディオインターフェース、マスターレコーダー、デジタルシンセ、ワードクロックジェネレーター、PCなどに使用すると、デジタルのギスギスした質感が和らぎ、ナチュラルかつプレーンな雰囲気を楽しむことが出来ます。
デジタル系に強いだけでなく、アナログ系機材でもディスクリート式のマイクプリ、EQ、コンプなどと相性ばっちりです。
発売当時4万円前後でしたが、現在中古市場で2万円前後で見かけることもあります。興味ある方はチェックしてみてください。
【大学生バンドのセルフREC】
【Aメロ上ハモコーラス録り】
Aメロは基本「上ハモと上ハモダブリングのみ」だが、楽器の音数が少なく1つ1つのパートが目立つので、全くごまかしが効かない。
コーラス録りの前に、メインVo.のピッチ、リズムをより丁寧かつ音楽的に直すことにした。
メインVo.のAメロ、2Aメロのピッチを、全直しに近いくらいに修正、リズムも多少修正。不自然にならないように修正することを心掛ける。
Aメロ上ハモコーラスの練習を開始、モニターバランスを下図のように調整。
マイクは前回と同じくCAD E300S
モニターバランスをリアルタイムで調整しながら数回録り、3回目がドンピシャにはまってOK。
2A上ハモコーラス録りは、1回目は惜しくも歌詞の間違いがあり2回目でOK。
Aメロ上ハモのダブリングを軽く録ってみたが、一聴して暑苦しいとの感想が多く、無しになった。
次はBメロ上ハモから。
【今月のちょいレア】 TASCAM VL-S5
前回紹介したVL-A5よりサイズは一回り小さいものの、パワー感はほぼ変わりない。全音域がバランス良く前に張り出し、加えて奥行きもよく見える真の実力機。ハイエンドブランドの同程度スピーカーを比較しても、勝るとも劣らないクオリティーはさすがである。生産完了品。
【今月のMV】 武田 愛 「So many stars - Japanese version」
ノラ・ジョーンズやシャーデーに代表される、セピア色のような空気感が漂う楽曲。映像と合わさると、オーセンティックでソフィスティケーションされた、肩の力を抜いた作品にブラッシュアップされている。当スタジオではミックス、マスタリングを担当。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!
GLOCK406 「白いカーテン」
楽曲、音色、リズムパターンなどオーソドックスなギターロックに、Vo.が加わったとたん世界観ががらりと変わる点を大いに評価したい「GLOCK406」の配信シングル。細かいニュアンス、ディテールにとことんこだわったVo.を味わってほしい。
LeoLoop 「明日を描いて」
Vo.wataru、 Rap.ku-taによる男性ボーカルユニットのシングル。真っ向からJ-POPの王道を貫く楽曲に、独自の声質が絡むことにより彼らの個性がより前面に打ち出されている。
TALK NEVER TALK 「TALK NEVER TALK」
オーストラリア、カナダ、日本、とそれぞれ国籍の違う3人からなるボーダレスロックバンドのデジタルシングル。ポストロックと、最近のトラップが融合したニューエイジロックとでもいうべき特徴をそなえたサウンド。どこからどう聴いても洋楽ど真ん中です。
ZERo 「Missing Paradise」
明るさと暗さが同居する、独自の個性が発揮された楽曲を創り出すZERoのデジタルシングル。モダンポップサウンドに乗せて、癒しを与える歌声がより輝きを増している。
BErgamot velmail sole 「BErgamot velmail sole」
「民族音楽とブリットポップの結合」という点ではクーラシェイカーのようでもあり、「斜めからえぐるようなエスニック要素」という点ではバンド独自の個性を大いに感じる。視点を変えれば様々な音楽の融合が見えてくる作品。