CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の
セルフRECはプロRECを越えられるか? 第76回
今回から取り上げるのは、リクエストの多かった電源ケーブルです。
まずは、ピュアオーディオ、プロオーディオ業界をリードする「Acoustic Revive」の製品をご紹介します。
Acoustic Reviveは電源ケーブル、電源タップはもとより、ラインケーブル、モニタースタンド、インシュレーターなど、どれもハイエンドな製品ばかりを開発している国内屈指のメーカーです。
【AC-2.0Triple C】(写真↑)
エントリーモデルにもかかわらず、他社ブランドのフラッグシップモデルと同等、またはそれ以上の実力があるパワーケーブルです。一万円台後半という価格ながら高品位なフラットさが魅力的で、メイン機材にうってつけの逸品です。
【大学生バンドのセルフREC】
「サビ1上ハモ」のコーラス録りが終わったので、先程までの音程感が脳裏に焼き付いているうちに「サビ2上ハモ」のコーラスにチャレンジする。
【楽曲構成】
【マイク】
【モニターバランス】
「サビ2上ハモ」
*1stテイク
ピッチ、リズムは悪くないが歌詞を間違う
*2ndテイク
特に問題なさそうだが、もう少し精度を上げられそうなので保留
*3rdテイク
最後の部分が非常に良い出来だったので、3rdテイクの最後部分のみ採用
「2ndテイク+最後部分のみ3rdテイク」でOKとする
「サビ3上ハモ」
*1stテイク
音程に慣れてきて、1stテイクながら出来が良い、保留
*2ndテイク
雰囲気は良かったが、粗が目立つ
保留にしていた1stテイクのピッチを一部直してOKとする
サビの上ハモは、これで全部仕上がった。
【今月のちょいレア】 DRAWMER MX PRO 60
DRAWMERのアウトボードといえば「1960」があまりにも有名だ。この「MX PRO 60」は「1960」の1chバージョンかと思いきや少々違う。マイクプリは1960よりドライブ気味で、コンプはパキッとした印象。EQは3バンドながらガッツリ系で使いやすい。値段も手ごろでおすすめ。
【今月のMV】 REM(レム)「ハル」
https://www.youtube.com/watch?v=vL1PhIMeSTQ
USオルタナバンドを彷彿とさせる、邦楽ロックバンドのMV。ギターロックのストロングポイントをふんだんに取り入れることに成功した佳曲。幅広いリスナーから受け入れられそうだ。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!
SDL 「CALL UP」
初期パンク黄金期を思わせる、硬派なバンドSDLのシングル。伝説のパンク雑誌「DOLL」に掲載されている曲のような雰囲気が漂う。
叶鏡敦士「いつの世にも」
1960~80年代のグループサウンズ、ムード歌謡をベースにしている叶鏡敦士のフルアルバム。「すべてのザ・ベストテン世代に送る」をキャッチフレーズに、邦楽の本質に問いかける極めつけの一枚。当スタジオではボーカルREC、ミックス、マスタリングを担当。
Cuicks 「midi glide」
Cuicksの新局面を見せるネオ・フューチャー・ポップ。ネオアコ、モンド、トロピカルハウス、ディスコパンクなどのバックグラウンドを小出しにしながら、独自のポップ路線を打ち出している。3か月連続配信のラストを飾る秀作。
THE ECHO DEK「EASY」
ここ一年ほどの彼らはHipHop、ネオソウル、トロピカルハウスなどのブラックミュージックに傾倒した作品が多いイメージがあった。しかし今作「EASY」は、原点であるNYパンク、USオルタナ色を前面に出している。5か月連続配信の締めくくりにふさわしい作品となった。
Nikiie 「YOLO」
DADALAYのメンバーとしても活動しているnikiie。この楽曲は最小限の音数のみで構成されたニューエイジ・オルタナポップとでも表現すべきか。作品に漂う澄んだ空気感が北欧を連想させる、ソフィストケイトされたポップスとも解釈できる。