CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の
セルフRECはプロRECを越えられるか? 第71回
今回ご紹介するマスターレコーダーは「TASCAM CD-RW 901MKⅡ」です。
ハイエンドCDライターの部類にも入るこのマスターレコーダーは、リハスタによく常設されているCD-RW 900MKⅡの上位機種にあたり、アナログ、デジタル定番規格のインプットとアウトプットのほとんどをカバーしています。
名実共に「プロの使う機種」と呼べる高級機です。
書き込みは通常のCD-R(オレンジブック規格)のみですが、読み込みはCD-R、MP3に対応しています。
注目すべき点は「ISRCコード」の確認が出来るということ。
ISRCコードとは「International Standard Recording Code」の略称で、日本国内では「国際標準レコーディングコード」とも呼ばれています。
音楽業界におけるデータベースをつなぐ1つのキーとして利用されており、レコーディング及びミュージックビデオの制作識別に使われる唯一の国際標準コードです。
Steinberg Wavelab、PreSonus Studio One等のライティングソフトで入力されたISRCコードを、CD-RW 901MKⅡで確認することが出来ます。
そして当然ながら音質もピカイチであり、PC用CDドライブでは遠く及ばぬ実力があります。
【大学生バンドのセルフREC】
*「4つ打ちダンスロック」マスタリングまで進行
*「変拍子オルタナロック風」録りはすべて終了、ミックスマスタリングはこれから
今回は「アジカン風ギターロック」のコーラス録音に取り掛かる。
マイクSE Electronic SE2300
マイクケーブルWhirlwind アキューソニック+2
マイクプリアンプSPL Track One(EQ、コンプを含むチャンネルストリップ)
電源タップ Acoustic Revive YTP-6R
電源ケーブル Acoustic Revive POWER STANDARD TripleC-FM
ウインドスクリーン TASCAM TM-AG1(2枚重ねで使用、がなった時の音割れ対策)
キューボックスCONISIS 1805
コーラスのハモりは1パート、サビのみに入るオーソドックスなパターンだが、歌詞がすべて違うのでコピペが出来ない。
CONISISのキューボックスはステレオ×1、モノラル×6なので、モニター環境が数段アップしてコーラス入れもしやすくなることが期待できる。
【今月のMV】底なしの青「ホロウ」
https://www.youtube.com/watch?v=p3kSQQAgufw&feature=youtu.be
仙台在住のギターロックバンド渾身のリード曲。ボーカルの声質とバンドサウンドの相性が抜群で、聴き手を選ばない自然体の魅力に包まれている。当スタジオではマスタリングを担当。
【今月のちょいレア】CONISIS 1805
オリジナル音響機器を長年リリースしている、プロオーディオメーカーCONISISの代表機種と言えるキューボックス。
音質はもとよりアウトプット数が豊富であり、安価なキューボックスとは一線を画する。
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【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
ZERo 「 The Feeling Of Space Floating ~蒼天遊戯~ 」
ニューロマンティックや80‘s NewWaveあたりから90年代オルタナティブロックを通過し、2000年代エレクトロニカを巧みに昇華してようなサウンドが特徴の、アーティストユニット。一瞬差し込まれる一時転調が好印象だ。当スタジオでは歌録りを担当。
ギルバート慶 featuring コンドウサチオ 「 永日 」
武蔵野音大声楽科卒のアーティスト。EDMにクラシックの要素を本能的に取り込んでいる、オリジナリティーあふれるサウンドが魅力的だ。常識にとらわれない潔いアプローチをこれからも大切にしてほしい。当スタジオでは歌録り、ミックス、マスタリングを担当。
THE ECHO DEK 「 Her Space Holiday 」
曲タイトルからも影響を受けたアーティストが分かりそうだが、楽曲を聴いてみると半分以上オリジナリティーで固められている気がする。いわゆるサンフランシスコ系エレクトロニカとは一味も二味も違う、独自のダンスロックを積み上げている点を高く評価する。
美元智衣 「 Happiness 」
のっけから美元節全開のポップチューン。アレンジ、REC、MIXを担当するKAZ氏とのコンビネーションが、絶妙な音空間を演出している。何度聴いても疲れない、真のリラクゼーションポップスと呼べそうだ。 当スタジオではマスタリングを担当。
G.O.A.T. 「 FiGTER 」
80‘s USAハードロックをベースに、90年代ブリティッシュメタル的要素がパワフルに混在するロックバンドの1st音源。ストロングなサックスを前面フィーチャリングしている点にオリジナリティーを感じる。今後の活躍に期待大。