日本のアーティストのライヴを世界に配信する世界最大のライヴ・エンターテイメント事業・Live Nationが手がける配信プログラム「TOKYO SESSIONS」。その第一弾アーティストに選ばれたのは我らがCrossfaith。そう、彼らにとって初の配信ライヴ“SPECIES VIRTUAL WORLD TOUR 'OPEN THE DIMENSIONS'”が開催された。これは世界各国で配信時間をずらし、ベストなタイミングで視聴できる最先端の配信プログラム。まさにワールドワイドに活躍しているCrossfaithにはピッタリのアプローチと言えるだろう。
21時、Koie(Vo.)、Kazuki(G.)、Hiroki(Ba.)、Teru(Vision./Program./Vo.)、Tatsuya(Dr.)の姿を天上カメラが捉え、気分を高めてくれると、シンボリックな名曲「Monolith」で戦闘開始。当時MVも衝撃的だったナンバーで鮮やかなスタート・ダッシュを決め、視聴者の心を一気に鷲掴みにする。ふと見るとステージ中央にはバンドロゴがあり、メンバー5人が輪になってプレイするアングルも配信ライヴならではのレアな光景であった。
次はどの曲で来るかと思いきや、今年5月に出た『SPECIES EP』収録の「Digital Parasite」をプレイ。Koieの野獣ヴォーカルに圧倒されつつ、そこに追い打ちをかけるアグレッシヴな演奏も強烈無比。とはいえ、一本調子に陥らずエレクトロ・パートを経てブレイクダウンに移りと、メリハリの効いた曲展開でも惹き付ける。さらにTeruがシャウトで援護射撃すれば、Tatsuyaはタイトなビートを叩き出し、早くも自宅で暴れたい衝動に襲われた人も多かったではないか。そこに畳み掛けるように最新EP収録の「Endorphin」を投下。メンバーの姿はモノクロ映像に切り替わり、またステージ中央には仮面を被った女性ダンサーが妖しげに踊る。こうした凝った演出も楽曲にマッチしており、「DVD化してくれ!」という視聴者のコメントも見受けられたほどだ。
ブラック・メタル風の凶悪なリフを刻みつける「Hounds Of The Apocalypse」を終えると、Koieが英語でMC(※画面には日本語訳が流れる)を入れるくだりもあり、その後に「Jägerbomb」に突入。無類のパーティー・チューンにテンションは上がり、Hirokiはステージ中央で弾いたりと、メンバーの動きも活発になっていった。
そして、最新EPから「None of Your Business(feat. Jin Dogg)」を披露。ゲストにJin Doggも交えて音源通りのコラボが実現! 過去にKCHC(柏シティハードコア)のヌンチャクの名曲「都部ふぶく」をカヴァーして話題を呼んだJin Doggだけに、Koieとがっぷり四つでシャウト合戦を繰り広げる場面はハイライトの一つであった。
中盤、インダストリアル・ロック調の「Madness」も抜群に映えていたし、Tatsuyaによる壮絶なドラム・ソロも見応え十分。しかし、まだまだこんなものでは終わらない。「Freedom(feat. Rou Reynolds from Enter Shikari)」ではRouがテレビ画面に姿を現して共演が果たすサプライズもあり、途轍もないダイナミズムを叩き付けてくれた。
「K」を経て、Koieは世界中で多くの人が新型コロナウイルスで苦しんでいることに触れ、共に闘おう!と熱く呼びかける。その流れで披露されたのは「Tears Fall」だった。「泣いてもいいかな」と視聴者コメントもあったが、これはKazukiが脳内出血でバンドを一時離脱していた際、これまで感じたことがない負の感情に襲われた体験をもとに作り上げた楽曲だ。こうしたバラードが今の時代にリスナーを慰撫する曲調として響いたのは言うまでもないだろう。思わず涙腺が緩むほど感動してしまった。
後半も僅かとなり、「System X」〜「Xeno」と続き、ラストはお約束の「Countdown To Hell」で締め括る。Kazukiが不敵に中指びを立てた後、画面からハミ出さんばかりの極悪サウンドを大放出。本来ならばライヴでも観客がぐちゃぐちゃになって暴れる楽曲だが、その狂気とエナジーは画面越しでも十分過ぎるほど伝わってきた。今回の配信ライヴを観て、1日も早くCrossfaithの生パフォーマンスを体感したいと思った人がほとんどだろう。そんな気持ちを察してか、11月28日に東京・新木場STUDIO COAST、12月6日に大阪・なんばHATCHでライヴを行うことを発表。来年は海外フェス出演もたくさん決まっているようなので、ますますCrossfaithの動向から目が離せない。