音楽メディア・フリーマガジン

Nothing’s Carved In Stone Vo./G.村松拓 続・たっきゅんのキングコングニー Vol.31:3/27リリースのニューシングル『NEW HORIZON』についていろいろ訊きましたの巻

続・たっきゅんのキングコングニー Vol.31:3/27リリースのニューシングル『NEW HORIZON』についていろいろ訊きましたの巻

3/27にリリースされたNothing’s Carved In Stoneのデジタルシングル『NEW HORIZON』。ソリッドでダークな彼ららしさを内包しつつ、我々を未だ見ぬ地平へといざなう新しさに包まれた同曲は、今後のNothing’s Carved In Stoneを占う重要な道標。同曲はどのようにして生まれ、どのようにして形になったのか。SPECIAL ONE-MAN LIVE“BEGINNING 2020”や“Hand In Hand Tour 2020”が新型コロナウイルス感染拡大の影響によって延期となり、7都府県に緊急事態宣言が出される数日前の4月某日、たっきゅんにインタビューを行った。
 
 
 
 

 
 
3/27にデジタルシングル『NEW HORIZON』をリリースされましたが、今作はいつくらいから制作していたんですか?

 
 
今年の“By Your Side Tour 2019-20”のMCでも「曲を作っている」とは言っていて。それでメンバーでバーッと曲を詰めていったのは“By Your Side Tour 2019-20”のワンマンシリーズが終わった後、今年の2月に完成させた感じですね。

 
 
配信というリリース形態はもともと決めていたんですか?

 
 
そうですね。「今回は配信をやってみようか」って。今まで配信のみっていうのは無かったんですけど、試してみようと。“どういう反応があるんだろう?”と思っていたし、今の時代に盤を作るというのは半分自己満足というか(笑)、アーティスト側の今まで培ってきたもの…CDで育ったとか…そういう文化的な側面もあると思うんですよ。

 
 
そうですね。

 
 
だからそこに関してこれからもっと考えていこうかなっていう過程のデジタルシングルかなって俺は思ってます。…でもだいたい俺が思ってることとメンバーが思っていることは毎回違うみたいなんですけど(笑)。

 
 
ハハハ(笑)。「NEW HORIZON」は開けるような印象があるというか。言葉にすると“開いた”、“明るい”、“クリア”というような印象を受けたんです。それは特にサビからなんですけど。

 
 
そうですね。

 
 
この曲はNothing’s Carved In Stoneの中でもかなり稀なタイプなのかなと。

 
 
イントロからサビまでのニュアンスがそう思わせてるんじゃないかなって。曲としてはちょっとラウドじゃないですか。エッヂの効いたリフがあって、ドラムが炸裂して。これは今まで俺たちがやってきた「サビで開ける」っていう曲で、だから作りとしてはNothing’s Carved In Stoneらしいんですよ。

 
 
そうですね。

 
 
デモ自体はひなっち(日向)が作ったものなんですけど…。

 
 
お!

 
 
特にサビね。サビと、イントロのリズムとか。それはひなっちがデモで持ってきたものが形になっているんです。

 
 
最近ひなっちはフレーズだけじゃなくて、デモとして曲を持ってくるんですよね?

 
 
そう。独立して、チームとしてそれぞれの責任が増えたじゃないですか。だからひなっちはひなっちなりに仕事しようと思ってるみたいで。これは本人談です(笑)。

 
 
あ、「仕事しようと思ってる」と本人が言ってたんですね(笑)。

 
 
そう(笑)。自分の出来ることっていうのはこれだっていうのがあるんじゃないですか。

 
 
サビやイントロのリズムはデモの段階であったと。

 
 
ひなっちが作るメロディってすごくツボを突いてくるんですよ。洋楽…特にブラック・ミュージックとかR&BとかHIP HOPとかジャズとか…そういうルーツを持っている人なので、メロディセンスがあるし、音感が優れている。シンプルなんだけどちゃんとフックが効いてて、意図がちゃんと伝わるコード進行とメロディというか。

 
 
うんうん。

 
 
それが最近のNothing’s Carved In Stoneにはいい刺激になっているし、いい曲になっていくんです。それと現実的な話として、スタジオに入り浸って作ることはなかなか難しいので、真一(生形)がそれにAメロやBメロを付けてデモを完成させてくれたんですよ。

 
 
あ、ということは…。

 
 
メロディは2人の合作なんです。

 
 
だからAメロBメロとサビのギャップが大きいんですね。AメロBメロはすごくNothing’s Carved In Stoneぽいんですよね。黒い。

 
 
そうそう、黒い(笑)。しかも最近オニィ(大喜多)も俺もそうなんだけど、それにカウンターになるようなことをあまりしていなくて、寄り添うようなアプローチなんです。

 
 
うんうん。「NEW HORIZON」は4人が揃っている感じがある。

 
 
 
 

 
 
 
4人が同じ方向を見ていて。それが良かったんだと思います。今回も曲作りは楽しかったですね。

 
 
クラップはどういう経緯で入れたんですか?

 
 
ひなっちのアイディアだったかな。不良っぽさを出したかったというか。

 
 
不良っぽさ?

 
 
シンセの音も詰め込むし、デジタルでちょっと最近のニュアンスも入れたんですけど、そういうニュアンスとの対比として、クラップを入れるとちょっと悪くなるんですよね。俺たちが聴いてきた“不良の音楽”というか。自分たちに近くなる感覚。

 
 
ほう。

 
 
だからひなっちが「クラップ入れようぜ」って言って、入れてみて「悪いね!」ってみんなで(笑)。“不良っぽい”というのはクラップ自体のことじゃなくて、音像としてっていう意味なんですけど。

 
 
ああ〜、なるほど。この曲のメロディはうぶさんとひなっちの合作という話でしたけど、メロディはシンプルですけど、この曲は歌うのがめちゃくちゃ難しい気がして。

 
 
ほんと? サビ? Aメロ?

 
 
全体的に。言葉の区切りと譜割りが難しいというか。

 
 
ああ〜、なるほど。そこはね、かなり練りました。この曲、5〜6回歌詞を書き直したんですよ。

 
 
え! そんなに?

 
 
はい(笑)。

 
 
歌詞を書き直したら、当然音の配置も変わってきますよね?

 
 
そうそう。いつものように最初のデモはデタラメ英語で作ったんですけど、それをどういうニュアンスで歌おうかなと考えて。「日本語っぽさ」ってあると思うんですよ。言葉を詰め込んでいたり、“かきくけこ”が多いとか…そういうのがいろいろあるんですけど、まず最初に“日本語の歌にしよう”と決めたんです。今のNothing’s Carved In Stoneが出す曲だから。

 
 
うんうん。

 
 
歌詞によって曲がもっと良くなることってあるじゃないですか。最近はずっと“もっと歌詞を重視しよう”と思って取り組んできているんですけど、次のステージにバンドが進むためには、そこにトライしないといけないという責任が自分の中にあって。

 
 
ということは…ちょっと話が逸れますけど、「NEW HORIZON」は英語の歌詞を乗せようと思えば乗せることができる?

 
 
というか、そっちの方が簡単ですね。

 
 
あ、マジですか。おもしろい。

 
 
やっぱりオケが洋楽っぽいから、実を言うとメロディも洋楽っぽさがあるんですよ。だからさっき言われたように、言葉の区切りがちょっと独特になったんだと思います。

 
 
日本語の言葉の単位ではない区切りになっていますもんね。

 
 
そうでしょ? それもいろいろと試行錯誤して、歌詞を何度も書き直して、ようやく辿り着いたところなんですけど。最初はもっと言葉を詰めまくっていたんです。

 
 
へ〜。

 
 
“新宿 JRの改札抜け出せても”みたいな、情景がバーッと浮かぶような感じで、固有名詞もバンバン入れて作っていたんですけど、思っている方向とは違う方にいっちゃうなと。

 
 
それで5〜6回書き直したと。

 
 
マジでノイローゼになりそうだった(笑)。フハハハ(笑)。

 
 
トライアンドエラーを繰り返したと。

 
 
『By Your Side』で表現できた言葉たちがあるじゃないですか。その先にいきたいなっていう想いがあったんですよ。あくまでもそれは漠然としたイメージだったんですけど。

 
 
はい。

 
 
「自分を見つけよう」という歌詞とか、自分の中の葛藤についてとかは、ずーっと歌い続けてきたじゃないですか。それで『By Your Side』で「共にいこう」というような歌詞がようやく書けて。その次に何をやるんだろうな? と思ったんですけど、結局は自分に戻ってくるんだなって。だからもう1回自分を書こうと思った。

 
 
「NEW HORIZON」の歌詞の僕の解釈としては…すごく陳腐な言葉ですけど“真の自由”というか。

 
 
うんうん。

 
 
拓さんは“夢”と“自由”を同じような意味合いで使ってきたと思うんですけど、“真の自由”を掴むのはめちゃくちゃタフなことで。でも常にそこに向かっている…そういう歌詞なのかなって。

 
 
うん、そう言えるかもしれないな。

 
 
この曲には“地図”という言葉が出てきますけど、地図は探すこともできるし、自分で描くこともできると思うんです。どっちの地図を選ぶかは自分次第だし、地図を得られないまま終わっちゃうこともあるだろうし。

 
 
うん。“乗り越えたいな〜”みたいな気持ち(笑)。

 
 
めっちゃわかります(笑)。いつも“俺、地図描けるかな?”という不安がある。

 
 
ふふふ(笑)。遠くを見るわけじゃないですか。いつも。でも、最終地点は想像するけど、目印になるようなものってなかなか漠然としていて。

 
 
はい。

 
 
誰もやろうとしていないことじゃなかったとしても、誰も方法を教えてくれない。

 
 
誰も教えてくれません。

 
 
そこにやっぱり自由があるというか。

 
 
そうですよね。

 
 
だから自分で描いた地図は後から来る人に残すんだけど、後から来る人も最終的には自分の地図で歩いていく。そういうニュアンスですね。だからちょっと孤独なんです。孤独な部分をちゃんと表現したいという気持ちもあった。

 
 
そう。だから「NEW HORIZON」はすごく開けているんだけど、ちょっと寂しいというか寒いというか。

 
 
心境的にはそういう感じなんですよね。

 
 
歌詞でいちばん印象的だったのは、“手綱を持たれて意味を知る”という部分なんです。そこが“自由”に繋がっている。

 
 
誰に手綱を持たれているのか? っていうことを考えてほしい。

 
 
うんうん。あとサウンド面に関しては、相変わらずたくさん音が入っていますけど、ギターの音色の幅がめちゃくちゃ広いなと。

 
 
ああ〜、それは確かに感じる。各メンバーそうなんですけど、ここ数年のスキルアップが著しくて。

 
 
ほう。

 
 
楽器を新しく手に入れることもそうだし、視野が拡がっているのかどうなのかはわからないですけど、自分のイメージを合致させていくために、メンバーそれぞれがトライし続けているんです。

 
 
拓さんも歌詞についてトライしたという話がありましたけど、あの人たちいい加減トライはやめないんですか?

 
 
やめないっしょ(笑)。

 
 
ハハハ(笑)。

 
 
あと録り音が劇的に変わったから、それによって各々の個性が引き出されていて。それによって、自分の中で完結させて楽曲にビシッとハメていく…そういう部分は以前より更にシビアになっているのかなって。他のメンバーがどう考えているかはわからないですけど、俺の印象としてはそういう感じですね。

 
 
それと「NEW HORIZON」というタイトルは、この曲とすごく親和性が高い気がしたんですが、どういう経緯でこのタイトルになったんですか?

 
 
英語の教科書。

 
 
ハハハハ(笑)。この曲が見ているものの目印になるようなタイトルだなと。

 
 
タイトルで説明できたのはよかったですね。“HORIZON”という言葉は、今まで何度か使ってきたんです。今までずっと培ってきた中で、この言葉から受けるイメージってすごくウチのバンドにあるんですよね。俺たちのバンドのイメージみたいなものを含んでいる言葉だなって。

 
 
じゃあ「NEW HORIZON」というタイトルはパッと出てきたんですか?

 
 
最初は悩んでいたんですよ。歌詞も今とは違っていたから「茜色のなんとか」みたいな(笑)。

 
 
色シリーズ(笑)。

 
 
そうそう(笑)。でも“いやいやいやいや”と自分の中でなってて。新しい自分に出会いに行く、みたいな意味合いを持たせたかったんですよ。そういうイメージの中から出てきた言葉ですね。

 
 
すごくマッチしたいいタイトルですよね。先程「4人が同じ方向を見ていた」という話がありましたけど、この曲を聴くだけでそれが伝わってきて。きっとバンドの状態はすごくいいんですね。

 
 
バンドの状態はめちゃくちゃいいですね。だからこの新曲をもってツアーできないのが残念です。

 
 
そうですね〜。

 
 
でも制作はずっとやっていて。たぶん今は家に居る人が多いと思うんですけど、これからみんながワクワクするようなニュースがあるんじゃないかな。

 
 
お、いいですね。

 
 
“By Your Side Tour 2019-20”のときのMCでも言ってたんですけど、どこかに出かけてしゃべることとか、それぞれ意味があってやっていることで、今日インタビューしてもらっていることも大切にしていることだけど、俺たちは根本的にはステージに立って音を出して楽しませるとか、新曲を作って録音してみんなに聴いてもらうとか。そういう形でみんなを盛り上げたり楽しませたいってMC言ったんですけど…そういうことは予定としてこれからいっぱいある。

 
 
おお。

 
 
だから今はいろいろあるけど、楽しみにして待っててください!

 
 
わかりました!

 
 
 
 
 
 
 

Degital Single
『NEW HORIZONE』

Silver Sun Records
2020/3/27 Release
配信先URL
https://ssm.lnk.to/newhorizon

Nothing's Carved In Stone OFFICIAL HP
https://www.ncis.jp/

 
 
 
 
当連載へのメッセージや感想はyamanaka@junglelife.co.jpまで!!

 
 
 
 
 
 
 
 
 
『続・たっきゅんのキングコングニー』まとめページ
 
 
 
 
 
 
 
 
 

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj