2019年5月にリリースしたダブルA面シングル『FLARE/Fire』のリリースツアー“FLARE/Fire” TOUR 2019。同年6/9から始まった長い長いツアーのファイナルを目にしようと、O-EASTはパンパンの超満員。期待に胸を膨らませた観客がフロアにひしめく中、会場が暗転して大歓声が沸き起こる。
いつものように楽器陣が先に登場。G.原田、Ba.吉橋、Dr.渡部、Key.多畠(サポート)が「大地の勇者たち」を鳴らしてオーディエンスはクラップを始め、会場の空気を濃密に凝縮する。徐々に演奏の熱が高まっていき、原田は髪を振り乱し、吉橋は頭を前後に強く振り、渡部が繰り出すリズムは強くなっていく。頭からフラッグをかぶったVo.茂木がゆっくりとステージに出てきた頃には会場の興奮がピークに達しており、ステージに大歓声が降り注ぐ。「よく来たな」と茂木が叫んでライブスタート。
「SOMATO」「REAL SIGN」と超攻撃型チューンを連発し、コール&レスポンスが沸き起こり、ダイバーが途切れない。茂木はそのダイバー1人1人と拳を合わせるのだが、それは演奏を披露するだけではなく、曲を聴かせるだけではなく、ステージの上と下で想いをぶつけ合っているからこそ。その場に居る全員でこの日のライブを作り上げていく。
「日はまだ高く」は最高の一体感を生み出し、コール&レスポンスを経てフロアには大きなサークルが2つ発生。とにかく客席から沸き起こる歓声のボリュームが大きすぎる。ステージ上だけではなく、フロアも全力なのだ。
「今日もかっこよくてすみません」と茂木が笑い、「2020年どんなことが起きてくるのか。2021年、また新しいものが起きてくるのか。その都度人間は振り回される。振り回されたまま、いずれ死んでしまう。でも最近気づいたんです。それでいいんじゃないか。だから俺たちはライブやってます」と続ける。その言葉の通り、彼らはステージで命を燃やすように「Fire」「Unscramble」と凄まじい勢いで音を重ねていく。茂木は早々と客席に突入し、客に支えられて歌い、ダイバーと拳を合わせる。生きた音と生きた言葉。生々しい光景が目の前で繰り広げられる。
「正しいか間違ってるか、誰かが決めればいい。でもかっこいいか、かっこよくないかは自分で決めるべき。その想いでここまで走ってきた」と言って始めた「らしくあれと」。“いつもここにいるから 隠れないで帰ってこいよ”という同曲の歌詞が、とてつもなく突き刺さる。
茂木がマイクを通さずに「宣伝に来たんではありません。俺はライブしに来たんです!」と叫び、「FOUNDATION」で後半ブロックへ突入。フロアが大きくうねり、無数の拳と観客の歓声で埋め尽くした「FLARE」で興奮が加速。吉橋が奏でるベースに原田と渡部の音が絡んで幕を開けた「Too oLD To KNoW」で会場の熱は更に上り、茂木は再び客の上で歌い、オーディエンスと一緒にライブする。
茂木が客の上に立ったままで続けた「ダディ・ダーリン」ではOAUのMARTINがバイオリンゲストとして登場し、オーディエンスが歓喜の声をあげる。更に曲の途中でTOSHI-LOWも登場し、会場は大興奮。TOSHI-LOWの「ここまでこいつらを連れて来たみなさん、ありがとう!」という言葉にひときわ大きな歓声が響き渡る。
豪華なサプライズコラボの興奮が冷めやらぬ中、次に始まった曲のイントロでハッ! とする。「島生民」だ。前半のMCで茂木は「G-FREAK FACTORYのライブを観るコツは、ちゃんと観ないこと」と冗談っぽく言ったが、「島生民」を演る彼らからは一切目が離せない。張り詰めた空気の中、淡々と、しかし徐々に熱を強くしていく楽器陣、その上に茂木が投げつける怒涛の言葉。2003年に作り、年に1〜2回しか演らないと決めたという同曲について、茂木は「今日ここで演ることが出来た。ありがとう」と告げる。彼らがこの曲をどれだけ大切にしてきたかを間近で見てきた我々は、その言葉に胸が熱くなる。
本編を「GOOD OLD SHINY DAYS」で終え、アンコールではO-EASTの大きなビジョンで“山人音楽祭2020”の開催と6月にニューアルバムをリリースすることを発表し、Tp.イイカワケン(HEY-SMITH)をゲストに迎えて「風」と「SUNNY ISLAND STORY」で大団円。「2020年2月2日、渋谷O-EAST。もちつもたれつ、いつまでも、やれるだけ。サンキュー!」という言葉でワンマンを締め括った。
今までの経験で積み上げてきたものと、この日にしか生まれないもの。それぞれを全員が持ち寄って、全力でぶつけ合って完成したワンマンライブ。すごいものを観た。
TEXT:Takeshi.Yamanaka
PHOTO:HayachiN