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今年結成25周年を迎えるPANが、自身2枚目となるベストアルバム『ベスト盤°2』を1/22にリリースする。結成20周年を記念してリリースされたベストアルバム『ベスト盤°』から5年、今作は彼らの真骨頂を味わえる“ライブ”をテーマに選曲された22曲と、廃盤となっていた幻の2作品より10曲(初回限定盤)を収録。ライブハウスでの活動や盟友・SABOTENとの共催フェス“MASTER COLISEUM”はもちろんのこと、25年目を迎えてもキャリアに胡坐することなく常に新しいことにチャレンジし、汗まみれになってステージで鳴らす彼らは、2020年も全力疾走で駆け抜ける。新メンバー・タツヤのこと、ベスト盤のこと、そして25年と未来のことについて4人にインタビューを行った。
「メンバーとして見ても、3人のキャラクターがあって、それぞれの優しさがあって、ステージの後ろから見た3人もキラキラしている」(タツヤ)
●前ドラムのよこしんが脱退したのは2019年4月でしたが、タツヤくんのサポートはその直後から始まったんですよね?
はい。
●いつから正式メンバーになったんですか?
12/14の発表のタイミングから。12/26の八王子でのライブが、正式メンバーとしての初めてのライブだった。
●タツヤくんは前のバンドをやっていたときから知っているんですが、PANのサポートを始めた頃に「加入するんですか?」と聞いたら「いや、あくまでもサポートです」と言っていたのを覚えていて。
そうでしたね。
●でも発表時のコメントによると、タツヤくん自らが「正式メンバーにして下さい」と頼んだらしいですよね。どういう気持ちの変化があったんですか?
もともと他のバンドのサポートもやっていたので、なかなか難しかったんです。
●なかなか難しいというと?
ピークのときは6〜7バンドくらいサポートさせてもらっていたんですが、サポートドラマーとしては、1つのバンドに熱量を集中させることはできないんです。なので、熱量が偏らないように気持ちを抑えている部分があって。
●ああ、なるほど。
PANのサポートが始まった頃は、バンドマンではなくてドラマーとして生きていく道を模索していた時期だったんです。だからまたバンドマンになるとは決め切れていなかったし、悩んでいたんです。でも実際にサポートをさせてもらうと、PANに魅力的な部分がたくさんあったんですよ。初めてサポートしたのは5月なんですけど、その時点で楽しいし、未来が見える部分はありました。
●そうなんですね。
決め手となったのはやっぱり“MASTER COLISEUM'19”ですね。あのときに自分の中ではガラッと変わりました。
●なにが変わったんですか?
固まりきっていなかった気持ちが、“MASTER COLISEUM'19”でガチャンと固まった感じがしました。
●ん?
正確に言うと、“MASTER COLISEUM”よりも前にタツヤから話があったんです。“MASTER COLISEUM”の前にレコーディングがあって、そこで正式メンバーになることが決まった。
この1本前の取材のときからおかしいなとは思っていたけどな(笑)。
●別の取材でも同じような話をして、そのときは間違いを正さなかったのか(笑)。
8月末に北海道でライブがあって、そのときにタツヤと他のメンバーが個別で話した。だからちょっと事実を捻じ曲げてきてる(笑)。
●「“MASTER COLISEUM”で気持ちが固まった」と言ったほうが、美談になりますよね(笑)。
やべぇ! 記憶間違えてます!
一同:ハハハ(笑)
どうしよう…。僕ずっと“MASTER COLISEUM”の後に北海道でのライブがあって、その後にレコーディングがあったと思っていたんですよ…。
レコーディングの初日にタツヤが僕らに言ってきてくれたんです。
●「レコーディングするならサポートじゃなくて正式メンバーにさせてほしい」と?
はい(笑)。
やっぱり大きなイベントである“MASTER COLISEUM”の前にそういう話をした方がいいんじゃないかという事で、レコーディングの合間にメンバーで話した感じ。それが“MASTER COLISEUM”の1週間前かな? その前に北海道でタツヤから「来年のメンバーについてはどう考えているんですか? 3人でいこうと思っているんですか?」という話が俺にあって。「僕は入りたいんですけど」と最初は俺に言ってきてくれて。なので「個別でいいから他のメンバーにも伝えたほうがいいんじゃない?」と答えて、レコーディングのときにみんなで話すことになった。
●なるほど。時系列が整いましたね(笑)。
この話はカットでお願いします…。
●わかりました。
そういう話をして気持ちとしてはすっきりして、それで“MASTER COLISEUM”で叩いて「この決断は間違っていなかった!」と確信したんです。
だから「“MASTER COLISEUM”で気持ちが固まった」と言っても嘘ではない(笑)。
●そもそも気持ちは固まってたけど、“MASTER COLISEUM”でもっと固まったと(笑)。
さっき「バンドマンではなくてドラマーとして生きていく道を模索していた」と言いましたけど、今後どうするかと考えたときに、「PANだったらドラムをずっとやっていくという夢を叶えられるな」と思ったし「すごい景色を見ることができるんじゃないか」と思ったんです。どのバンドでも自分が正式メンバーになったときのことを想像するんですけど、PANはイメージにハマったんです。
●未来が見えたんですね。3人から見たタツヤくんはどういう人ですか?
歴代のドラマーもそれぞれいいところがあったんですけど、やっぱり性格がドラムに出るんですよ。だからタツヤのドラムは真面目ですね。あと、音がデカいです。
●なるほど。真面目でパワフル。
今までのPANにはパワフルなドラムが居なかったんです。4人目にしていちばん音がパワフルで、PANにはそういうドラムが合うなって。そこもすごく良かったですね。
●川さんはどうですか?
タツヤはすごく平和主義で、争い事を嫌がる。
●へぇ〜。
怒ったりもしないし、他人が怒ってるところも見たがらない。だから「もっとギラギラ行こうぜ」という話はする。
バンドとか、表現することって、譲り合いじゃなくて押し付け合いだと思う。「どうぞどうぞ」って言っててもおもしろいものはぜったいにできないし。
●だから「もっと個性出せよ」と。
そうそう。そういうことはずっと言ってるかな。でも特にドラムのことに関しては、タツヤが自分で考えているものがあって「そこは譲れません」という感じの芯を持っていて、そういうところはすごくいいなと思う。でもテレビのドッキリ番組は観られへん(笑)。
●ええっ? どういうこと?
なるべく観ないようにしてます(笑)。
●悲しいのが嫌なんですか?
そうですね。悲しいとか怒ってるところとか。ドラマや映画とかにも悲劇的なシーンがあるじゃないですか。
●でもドラマですから、だいたいハッピーエンドになりますよね?
ハッピーエンドになるのもわかっているんですけど、悲劇的なシーンで気持ちが下がっちゃって、そこでしんどくなっちゃうんですよ。警察24時とかで容疑者が怒っている場面とかも、自分がつられてイライラしちゃう。それが嫌なんです。だから犬とか猫の番組ばかり観ています(笑)。
●感情が引っ張られてしまうんですね。
良い感情も悪い感情も引っ張られてしまうんです。
●気持ちはわかるけど、そこまでなんですね。
僕、そういう部分はちょっと振り切れてると思います。おかしいです(笑)。
●感受性が豊かなんですね?
そう思うんですけど、今まで声を荒げているところも見たことがないです。
●なかなかですね。
溜め込むタイプなんですよ。5~6年は大阪に出てきたばかりの頃で、色々と溜め込んでいたものがガーッと爆発してしまったことがあって。それを反省して、なるべく溜め込まない生活をしようと思って、そういう番組を観ないようにして(笑)。そのおかげですごく穏やかに過ごせてます。
一同:ハハハ(笑)。
●そういえば僕は“MASTER COLISEUM '19”でオフィシャルInstagramの写真投稿を担当させてもらったんですが、タツヤくんはめちゃくちゃカメラ目線が多いんですよ。
多いですね(笑)。
●ライブ中もしかり、バックヤードのカットでも1人だけカメラ目線で。ドラマーにはそういう個性が必要だと個人的には思っているんですが、例えば10-FEETのKOUICHIくん、SiMのGODRi、GOOD4NOTHINGのSUNE…その3人はキャラクターが確立している印象があって。
そうですね。
●そういう雰囲気を“MASTER COLISEUM '19”のタツヤくんから感じたんですよね。カメラマンから写真が送られてきて「こいつサポートのくせにまたカメラ目線で…」とイラッときたんですけど。
一同:アハハハ(笑)。
そのときには内々では正式メンバーになることが決まってたしな(笑)。
はい。正式メンバーになることが決まっていたし、サポートの気持ちのまま“MASTER COLISEUM '19”に挑んだら、後々のことを考えるとダメだなと思って。
●“MASTER COLISEUM '19”は楽しかったですか?
めちゃくちゃ楽しかったですね。もっとプレッシャーを感じて、余裕がなくなって、周りが見えないまま終わると思っていたんです。でも2日間を通してSABOTENとPANのすごさもビシビシ感じたし、出ている他のバンドもすごかった。「PANにもっと関わりたい!」という想いが増しましたね。
●サポートをする以前は、PANとの絡みはあったんですか?
全然なかったんです。PANも出演した滋賀のフェスにTHE SKIPPERSとThe Chorizo Vibesのサポートドラマーとして2ステージ出たんですよ。そのときにダイスケさんとゴッチさんと話す機会があって。そのときはよこしんさんもまだ脱退が決まっていたわけじゃないし、別にPANに向けてというつもりもなかったんですけど、「ドラムの仕事とかあったら言ってくださいね」って何気なくアピールしていたんですよ。僕はそもそもガンガン積極的に話しかけるようなタイプでもないのに。
●ほう。
僕らは僕らでTHE SKIPPERSとThe Chorizo Vibesの2ステージで叩いているタツヤを観て“こいつすごいな”と思っていて。それで打ち上げで絡んできてくれたから、色々話して。その2~3週間後くらいによこしんの脱退が決まったんです。そこで真っ先にタツヤの顔が浮かんだ。
●タイミングがよかったんですね。
そうですね。でもLINEのIDとか連絡先も交換していないから、SNSのDMでメッセージ送ったんです。
ダイスケさんから「タツヤ、ちょっと話があるんだけど、LINEのID教えてもらっていい?」とDMが来て。僕はよこしんさんの脱退の件も知らないし、ブチ切れられるんじゃないかと思って(笑)。
●ハハハ(笑)。PANは外から見ていたイメージと違いますか?
いや、メンバーになる前から印象は同じですね。そこがすごいと思います。外から見たPANってキラキラしていて、それぞれのキャラクターがあって、かっこいいバンドという感じだったんです。それで実際にメンバーとして見ても、3人のキャラクターがあって、それぞれの優しさがあって、ステージの後ろから見た3人もキラキラしている。
●いいですね。ゴッチとタツヤくん、いまからお互いの腹が立つところを言い合って喧嘩してもらえますか?
なんでやねん(笑)。
あと僕、めっちゃ曲覚えたんですよ。今は70曲は覚えているんですけど、PANは130曲あるんです。覚えた70曲の中でも時代によってアレンジが違っていて、昔の曲はゆっくりだったりダークな感じが多いんですけど、最近の曲はめちゃくちゃ手数が多かったりして。ジャンル的にもすごく幅が広いので、単純にドラム叩くだけでも楽しいんです。
●25年もキャリアのあるバンドに入るというプレッシャーは感じなかったんですか?
色々なドラムを叩くということが好きなんです。PANだけでも色々な曲が叩けるのですごく楽しくて。
●はあ。
ドラマーとして色々な表現が出来るので、そこもPANに入りたいと思った要因の1つですね。
いろんな曲を覚えて幅広い表現をすることは難しいんですよ。でもそこをクリアしていくことが楽しいですね。なので難しいことが苦ではない。
●めちゃくちゃいいドラマーが入りましたね。
ありがとうございます(笑)。
更に、俺らは音源通りの表現はライブではしないから、「ここちょっと遅くなるんやけど」とか、「この場合はこうなる」とか、そういうことをずっとリクエストしている。
●あ、そうか。音源を覚えるだけではなく、最新型のPANのプレイをしないといけない。
曲を覚える手段は音源だけじゃないですか。だからがんばって覚えて来て、でもライブ直前のスタジオで「今はそうじゃないねん」とか「こっち覚えてもらっていい?」とかを口頭で言われる(笑)。
●大変ですね(笑)。
普通だったら「ふざけんな! こっちは覚えてきてるんだぞ!」と文句を言ってくれてもいいんですけど、タツヤは「わかりました」ってその場でプレイを変えて。
●いい人か!
俺らは当たり前になってるから「すぐできるだろう」という感覚で言ってしまうからね。
それによこしんが音源からアレンジしている部分もあって、俺らはそれで何年もやってきたから改めて音源と聴き比べるとなんか違ったりする。でも何が正解とかはないので、今の正解を作ろうとしてるところかな。
まあでも、ステージで結果を出さなきゃいけないから、最終的には真面目なところがいちばんありがたいかな。ドラムだから止まったり忘れてしまうことは許されないから。そこのプレッシャーはかなりあると思う。
●確かにドラムが止まったらライブが止まってしまう。
しかもライブ直前とかに、川さんはそんなつもりじゃないと思うんですけど、「ミスとか演奏止まったりするのは許されないからな」と言ってくるんです(笑)。そのプレッシャーも乗り越えたりしながらがんばってます(笑)。僕は冷静に「そうっすね」と答えてるんですけど(笑)。
「「人生の湯」は古い曲だけど全然ライブでも演るし、この曲には突き抜けた明るさとかノリやすさとか色々詰まっている」(川さん)
「「やってのけろ」は廃盤になった『たこやき』に入っていて、すごく古い曲なんですけど、リアレンジしたことによって勢いが増してるのですごくお気に入り」
「結成20年経った上で「ギョウザ食べチャイナ」や「想像だけで素晴らしいんだ」が生まれたんですよ。だいたいバンドって初期や中期に盛り上がっていくじゃないですか。でも僕らはかなり遅い」(ダイスケ)
「僕もずっと聴いてた曲ばかりなので、それを新しいものにしてどう思われるかとか考えていたんですけど、そこを乗り越えて「いいドラムで叩くぞ!」という気持ちになりました」(タツヤ)
●1/22に『ベスト盤°2』が発売になりますけど、今作は前作『ベスト盤°』からの5年間のベストという選曲ではないですよね? 再録もたくさんあるし、そもそもどういうコンセプトだったんですか?
5年前に『ベスト盤°』を出して以降、「想像だけで素晴らしいんだ」や「ギョウザ食べチャイナ」とかたくさん曲を出したし、前作の『ベスト盤°』に入れようか迷った曲もいっぱいあったので、そういう曲を入れたかった。この5年でPANを知ってくれた人にもベスト盤として聴いてもらいたいなと。あとは廃盤になった『たこやき』と『なにわともあれ』のベスト『廃盤ベスト』も初回限定盤には付けようと。『たこやき』と『なにわともあれ』は2枚合わせても15曲しかないので、『廃盤ベスト』は2/3入ってることになるけど。
●うんうん。
『廃盤ベスト』のレコーディングも結構楽しかった。
●久しぶりにやった曲とかもあるんですか?
めちゃくちゃある。『廃盤ベスト』収録曲は、ライブで演るとしても「がんばりまっせ」とか3曲くらいで、後は全然演っていなかった。それをレコーディングではアレンジも少し変えていて。昔の曲の良さも改めてわかったし、今では作らないような曲もある。昔の曲はやっぱり大胆だし、変にかっこつけたりもしてないし、それはそれでよかったなと思う。レコーディングもしたから、この4人でライブで演れるし。
●『ベスト盤°2』の選曲はどういう基準だったんですか?
今回はライブを想定したかな。前作の『ベスト盤°』は聴かせるような曲も散りばめながらやったけど、今回はライブをイメージした。だから『ベスト盤°2』に入っている22曲からどの曲でセットリストを組んでもライブができると思う。この間の“初期PANツアー2000~2009縛り!!!”の最後はリクエスト制でやっていたけど、そのときに「意外とどの曲でもライブできるんだな」と思ったし。
●それはキャリアがないとできないですよね?
うーん、そうかな。曲順の組み立て方とか、MCを入れるタイミングとかもあるし。ガーッとわかりやすく盛り上げるだけじゃなくて、曲を堂々と演奏するのも観ていて楽しいかなと思っていて。そういうことをずっとやっていれば、曲のよさも伝わるというか。そういうことを最近になってより理解してきた。
●『廃盤ベスト』は当然再録だと思うんですけど、『ベスト盤°2』にも再録がありますよね。これはどういう理由なんですか?
『ベスト盤°2』に入っている再録の曲は、要するによこしんかタツヤが叩いている。今回、ハジオが叩いている曲は1つもない。それも基準の1つ。だからドラムの表現を今のPANに近づけた感じ。「フリーダム」とか「レモンKISS」とか、その辺の曲はタツヤに叩いてもらった。
●なるほど。「今のPAN」を表現するために、よこしんかタツヤくんが叩いている曲を収録するという基準で、再録したと。タツヤくんは廃盤になっている昔の曲を叩いてどうでした?
「昔の音源の方がよかった」と言われるかもしれないというプレッシャーはありました。僕もずっと聴いてた曲ばかりなので、それを新しいものにしてどう思われるかとか考えていたんですけど、そこを乗り越えて「いいドラムで叩くぞ!」という気持ちになりましたね。
●せっかくの機会なのでメンバーそれぞれに訊きたいんですが、今回の『ベスト盤°2』に入っている曲で、想い入れがある曲はどれですか?
「人生の湯」は古い曲だけど全然ライブでも演るし、この曲には突き抜けた明るさとかノリやすさとか色々詰まっていると思う。曲が始まったときの爆発力もあるし、そういうのはライブですごくいいなと思っている。作ったときはそんなに深く考えていなかったけど、よく出来た曲だなと。
僕は『廃盤ベスト』に入っている曲なんですけど、「やってのけろ」ですね。この曲は廃盤になった『たこやき』に入っていて、すごく古い曲なんですけど、リアレンジしたことによって勢いが増してるのですごくお気に入りです。
●生まれ変わったんですね。
そもそもは18~19歳のときに作っていた曲で、その頃は歌詞を作るときにメンバー全員が同時に部屋に入って、それぞれ考えていて。
●あ、そうなんですか。
僕も歌詞を考えたんですけど、採用までには至りませんでした。
ゴッチが考えた「やってのけろ」の歌詞は、“めくりめくスピードで いかついGがボディにかかる”みたいな感じで。これをどうやってBメロにハメるんやろうと思った(笑)。
●譜割りもめちゃくちゃだったんですか?
自分の中ではそんなことなかったんですけどね。
一同:アハハハハハ(笑)。
●別に不思議ではないですけどね。ダイスケくんはどうですか?
想い入れという意味では、最近の曲がいいなと思うんです。それによって昔の曲も知ってもらえる機会が増えるし。「ギョウザ食べチャイナ」とか「想像だけで素晴らしいんだ」はここ5年くらいの間に作った曲ですけど、結成20年経った上でそういう曲が生まれたんですよ。だいたいバンドって初期や中期に盛り上がっていくじゃないですか。でも僕らはかなり遅い。そういう意味で、最近の曲のほうが想い入れが強いですね。
●タツヤくんは?
2019年の夏に“ヘイジツーマン”というツアーをまわったんです。ツアー初日になるまで「エアコンを消して灼熱の中でライブをする」という企画の内容を知らなくて。“本気灼熱スーパーめっちゃバトル!”というイベントサブタイトルも、ただの激アツなイベントという意味だと思っていたんです。
●PANはそういうふざけたことを真面目にやるバンドですからね(笑)。
ツーマンという尺も初めてですし、実際やってみると暑いし湿度も高いし、記憶が飛ぶくらいだったんです。そのときにやった「TシャツGパン」がすごく記憶に残っていますね。
●記憶が飛んだのに記憶に残ってるんですか?
一同:ハハハ(笑)。
いや(笑)、無意識だったんですけど、そのときの映像が残っていて。その映像を見たら半分白目で叩いていたんです。再録のレコーディングでは、そのライブの勢いを思い出して入れました。…この時系列は合ってます?
●その「TシャツGパン」に関連する話ですが、今回は初回限定盤にTシャツとGパンが付いたセット(受注販売限定)もあるんですよね?
Gパンにはバンドのロゴが入っていたり、オリジナルタグがちゃんと付いていて。
●めっちゃ豪華ですね。
このGパンは『JAPAN BLUE JEANS』とのコラボで作らせてもらった。
●もともと繋がりはあったんですか?
『JAPAN BLUE JEANS』は岡山のライブハウスに紹介してもらったんです。バンド系とのコラボは初めてらしいですね。
値段だけ見るとちょっと高いですけど、物がいいので充分元は取れる。サンプルができたので、最近のライブでは物販に置いていて、見てもらえれば良さがわかると思う。
●そしてコラボと言えば、『廃盤ベスト』には『たこ家道頓堀くくる』のたこ焼8個無料券が付いているんですよね? 情報量が多くて混乱するんですが(笑)、これはどういうことですか?
『廃盤ベスト』を作るときに、『たこやき』のジャケットみたいに今のメンバーでたこやきから顔を出したビジュアルにしようという発想になって。それが『たこ家道頓堀くくる』とのコラボに繋がった。
●アルバム『具GOODグー』では「ギョウザ食べチャイナ」のMVで『餃子の王将』とコラボして、タワーレコードの購入者特典として餃子6個無料券を配布しましたよね。あの頃はPANのライブが終わったらみんな『餃子の王将』に行っていて。
本当に行ってる人が多かった。前に関大前駅の『餃子の王将』がライブ後に満席になったことがあったらしくて。そのときはPANが考えた定食も限定メニューで出してもらっていたし。
●『たこ家道頓堀くくる』とのコラボもお客さんは嬉しいですね。
たこ焼8個無料券がついてこの値段やからめちゃめちゃお得。
「久しぶりの“PANマン”ですし、やっぱりソールドアウトさせたいですね。2020年は今まででいちばん勢力的な年にしたい」(ゴッチ)
●PANは今年25周年を迎えるわけですが、『ベスト盤°』以降の5年間は作品もいっぱい出しているし、映画もあったし、2週連続の“MASTER COLISEUM”もありましたよね。
すごく濃い5年だった。リリースめっちゃ多かったし。
●海外でのライブもあったし。20周年から25周年の5年間で、何か思い出に残っていることはありますか?
『想像だけで素晴らしいんだ-GO TO THE FUTURE-』の映画で大賞(※第22回 うえだ城下町映画祭で102作品の中から大賞を受賞した)を獲ることが出来て、本当にやってよかったと思った。ちゃんと映画として評価されてることが嬉しかったかな。
●あっ、そうだったんですか。
そう。授賞式に出席させてもらったんやけど、ついたらすごく大きな会場で、人がたくさん居て。そこでスピーチをしたんやけど、他の作品はみんな監督がスピーチをしていて、でもこっちは監督は居ないし、俺は主演でもないんやけど、5分くらいしゃべって。
●5分も?
大賞のスピーチはいちばん最初で、どうやったらいいかもわからへんし、誰かのスピーチを参考にしようと思ってもいちばん最初やから誰のスピーチも見られへんし。それでいろいろとしゃべらなきゃいけないのかと思ってがんばったけど、他のみんなは全然しゃべってなくて「ありがとうございました」くらいで(笑)
一同:アハハハハハ(笑)。
●ゴッチはどうですか?
“台日爆音BORDERLESS 2018”ですかね。僕は海外が苦手なんです。特に食べ物。
ゴッチは臭豆腐に対してめちゃくちゃキレてて(笑)。露店みたいなところで臭豆腐屋さんががあると「オラァ!」って所構わずキレるという。
ライブがとにかくよかったです。言葉は通じなくても、お客さんの目から「今日は楽しむぞ!」という雰囲気を感じた。実際やってみたら伝わっている感じもあったし、終わったときの手応えもあった。
●ダイスケくんは何が印象に残っていますか?
この5年の間に色々な人に出会ったんですよ。それが印象的かな。観てくれる人も多くなったし、ありがたいことですね。
●なるほど。タツヤくんは加入したばかりですが…。
『想像だけで素晴らしいんだ-GO TO THE FUTURE-』は僕、ちゃんと映画館に観に行ったんですよ。バンドが映画に出ているなんてすごいと思ったし、曲がここまでのストーリーになって映画になっているのも本当にすごかった。“このバンドのサポートをするのか”と気が引き締まりましがね。
●映画もそうですし、今作のコラボもそうですけど、PANは普通のバンドがやらないようなことをやっていますよね。
確かに。
そのときは“なんでこんなことやっているんだろう?”と思うこともたまにあったけど、思い返してみると、覚えていることってそういうことばかりで。『激安の殿堂ドン・キホーテ』でライブしているときなんて環境がすごかった。
●それはアルバム『PANJOY!!!』に収録されていた「たまごのうた」で、『激安の殿堂ドン・キホーテ』と『JA全農たまご』とコラボしたときですよね? 『激安の殿堂ドン・キホーテ』でのライブは何箇所くらいやったんですか?
めっちゃやった。10箇所くらい。
●店内ってめちゃくちゃ狭いですよね?
ステージとかあるわけじゃないから、売り場の一部でやったり。ギターは生で出すか、ちょっとアンプ使ったり。マイクもなかったら拡声器使って歌ってた。
ドンキのポロシャツを略して“ドンポロ”と言うらしいんやけど、「ドンポロ着てください」と当たり前のように言われた(笑)。
●ハハハハ(笑)。
北海道のときなんて、札幌市内の店舗は食品を扱っていなかったから車でちょっと離れた店舗でやって。ライブの前日で遠征組も居なくて、俺らの前に女の子が3人居るだけ(笑)。こっちはメンバー4人なのに(笑)。
●ハハハ(笑)。
終わってから卵売って(笑)。だからまあ記憶には残ってる(笑)。
●PANならではの活動ですね。これからタツヤくんはそういうことにもチャレンジしないといけないですね。
そういうのは全然大丈夫です。でも僕よく「スタッフ顔」と言われるんですよ。初めていったユニクロでトイレの場所聞かれたり。ライブの物販に立ってても「メンバーさんってまだ裏に居ますかね?」とか訊かれるんです。だからドンポロ着たら店員だと思われる恐れがありますけど。
●ハハハ(笑)。そして今年は毎月25日にライブをする“25祭やDAY!”という企画イベントもありますよね。
もう毎月25日は12月まで決まってます。
“25祭やDAY!”はただライブするというより、それぞれ特徴のあるイベントをやりたいなと思ってる。
●更に2/15は『ベスト盤°2』のレコ発として心斎橋BIGCATでの“PANマン”(ワンマン)。
久しぶりの“PANマン”ですし、やっぱりソールドアウトさせたいですね。僕ら、BIGCATでソールドアウトはしたことがないんですよ。だから2020年は今まででいちばん勢力的な年にしたいです。
タツヤが入って新体制での初めての“PANマン”なので、今のPANを全部見せることができたらいいなと。レコ発としては1本だけだから、『ベスト盤°2』の魅力も伝えたいし。
“PANマン”は必然的に尺も長いし、今までやってないこともやろうと思っていて。
●お。
会場に来て予想できる範囲のライブじゃおもしろくないから。衝撃を与えられることをしたいなと。でもやっぱりこの4人でやる初めてのワンマンだから、そこは大事にしていきたいな。そういう意味では、意志を感じられるライブにしたい。
●タツヤくんは“PANマン”についてどう考えていますか?
僕のことを知らない人が「どれどれ」という気持ちで観に来るだろうし、観てもらって「今の4人が最高だな」と思ってもらいたいですね。「タツヤが入ってよかった」と思ってもらえるようなライブをします。
●言い切った(笑)。
やるとしたら「やってのけろ」の僕の歌詞バージョンですね。
●そして“MASTER COLISEUM”は?
今年は15周年やな。やろうとは思っている。発表はまだだけど。
“MASTER COLISEUM”もあるし、“春のPAN祭り”という俺らが大事にしているイベントもあるし。
●2020年オリンピックイヤーにPANは金メダルを獲るということですね。
4人:そういうことです。
interview:Takeshi.Yamanaka
assistant:Yuina.Hiramoto