2/27、日本武道館ワンマン公演“10th Anniversary Live at BUDOKAN”のライブ映像を収録したDVD/Blu-ray『Nothing’s Carved In Stone 10th Anniversary Live at BUDOKAN』をリリースし、豊洲PITでのワンマンライブ“BEGINNING”を大成功させたNothing’s Carved In Stone。同バンドのヴォーカリスト村松拓(たっきゅん)が日本一の漢を目指す当連載『続・たっきゅんのキングコングニー』の今月号では、チャーハンが世界一うまい(と編集長が勝手に思っている)中華料理店でランチを食べながら、最近思うこと、これからやりたいこと、シナプスのこと、とりとめのないことを色々しゃべりました。
そうです。2/27に豊洲PITでワンマンライブ“BEGINNING”があって、宮城県名取市にどうしても会いたい人が居たから2/28の昼くらいに東京を出て、名取市にあるcafé the EACH TIMEというカフェをやっているご家族に会いに行って。
で、名取に住んでる中村マサトシさんっていうミュージシャンが居て、そのご家族とも仲がいいので、向こうに行くと2泊とか気軽に泊まらせてくれるんです。
はい(笑)。だからついつい「今日も泊まるわ」みたいな感じになっちゃうんだけど、結局3/2まで滞在させてもらって、南三陸にある仮設商店街の2周年のお祝いで歌うこともできたし、名取市閖上のさいかい市場にも行くことができたし。会いたい人に会えたし、充実した日を過ごせたんです。
で、3/2の夜に東京に帰ってきて、3/3にまた東北に行く(“イシノマキデヒナマツリ 2019”)という(笑)。3/3もすごく良くて、みんな優しいし温かいし、だから俺も温かくなれるし。すごく良かった。豊洲PITまでは自分の中にあるものを燃やして燃やして…っていう日々だったけど、その後にすごくいいタイミングで補充できたんです…もぐもぐ、これ(チャーハン)うまい!
うん、もぐもぐ…うまい。それとね、最近ちょっと思うんですけど…。
僕らのバンドは独立しましたけど、最近まわりに自分の足元を見つめるタイミングに立っているというか、同じタイミングで同じように考えているなっていう人が多くて。
ですよね。それはきっとこれから先、形はどうであれ一緒にやっていく人たちなんですよ。例えば山中さんが何か新しいことを始めました、例えそれがだめになったとしても、また別の形で同じようなことを考えながら一緒に成長していく仲間、みたいな。そういうことなのかなっていうのを、バンド単位というより、社会の仕組みとしてちょっと思っていて。
そういうことを考えている人は前から居たのかな? とか考えると、世の中楽しい! ってなる。
そういう視点になって考えてみたら、世の中はすごく自由だし、怖いけど、楽しいですよね。
あと、最近はYouTuberとか…YouTuberってバンドマンみたいなもんだと思うんですよ。それが子供が将来なりたい職業で上位に入るとか、逆にテレビ業界の人が入ってきたりとか、全然ならされてない土壌だったのが、どんどん一流のものを生んでいく土壌に成長していく過程を、俺たちは間近で見れていますよね。
また欧米を追っている感じだなとも思うんだけど、“個”の価値を世の中がわかりやすく受け入れられる状態になってきていると思うんです。俺がバンドを始めた頃はできなかったことを、今の若い人たちはいっぱいしてるもん。
俺たちの上の世代も、世の中のいろんな動きの影響があるから、若い人たちの影響を受けていると思うんですよね。だから希望がある。
選択肢がものすごく増えて、フラットで。だから考え方次第というか、自分次第というか。それはバンドだけの話ではなくて。
そうなんですよ。例えば俺の友達でダンサーのやつが居るんですけど、ダンサーで、ダンス教室もやってて、料理研究家もやってて農家もやってて、いくつも顔を持っているんです。
昔からみんなに「また色んなことやってるよ」って言われながら、最終的には全部成功してますもんね。
だからわかってたやつは、早い段階からわかってたんですよね。そういうことができる世の中になるってことを。そいつ、昔はすげぇ馬鹿にされてたんですよ。「またあいつ中途半端なことやってるよ」って。
あ、その話で思い出したんですけど、前から何度かこの連載で話題にしたりテーマにしたりしてることですけど、やっぱりカレー屋やりたいなって。
良い! 一緒にカレー作ってから、不定期でいいからカレー屋さん的なことをやりたいと話してましたもんね。
うん。ちょうどこないだ名取で10人前くらいのキーマカレーを作って、なんとなくわかり始めてきたんです。限定100食とか、1日限定とか。
場所探しから始めた方がいいですかね。じゃあ都内でどこかいい場所知ってる人は、この連載までメールください。「ぜひウチでやってくれ」という人とか。
そうそう。もし評判が良ければ、月1とは言わずできるかもしれないし、そうでもなかったら自己満でワンシーズンに1回くらいやればいいし。
おもしろそうですね。それはある意味、すごい挑戦だと思うんです。どうやったら正解なのか、僕らノウハウを一切知らないじゃないですか。
知らない。とりあえずの目的は、俺がおいしいと思ったカレーを作る。今まで趣味だったものを、少し多くの人に喜んでもらえるレベルにする。だからコストのことを気にして味のレベルを下げるんじゃなくて、とりあえずはトントンでいいかなって。
こだわってみたいと。ところで、カレーって何が正解なんですかね?
僕は素人なので全然わからないですけど、カレーってラーメンに近い印象があって、特別感というよりは「月1回食べたい」と思ってもらうのが正解のような気がするんですが。
ああ〜、そうかもしれないですね。でも俺は、自分がうまいと思うカレーを作りたい。また俺が作ったカレー食ってみてくださいよ。
こないだ名取で作ったカレー、みんな褒めてくれたんですよ。相当うまかった。
やっぱり俺はカルダモンなんだけど、それに加えてコリアンダーだね。コリアンダーがどれだけ入っているかで、自分が旨味を感じているのかというのが変わってくる。
さっき「月1回食べたい」と思ってもらえるカレーが正解かもという話をしましたけど、拓さんがここまで熱く語るというのは、そこに価値があると思うんです。そういう熱が入っているものを世に出すべきかなと。
そうしたい。原宿に有名なキーマカレー屋さんがあるんだけど、あそこよりもうまいと思ったもん。当面はお金儲けとか考えず、どうなんだろう? っていうところを確かめたい。
うん。初ライブみたいなもんです。新曲を初めてライブでやる、みたいな(笑)。そういうことをしたい。
おもしろそう! それってカレーのことだけじゃなくて、プロモーションや集客をどうするかっていう部分に興味がある。
こないだとある先輩と話していたんですけど、その先輩に「拓ちゃんが本当は賢いのか、本当にバカなのか、まだわかんないんだよね」と言われて(笑)。
「バカ」っていい意味で言ってくださっているんですけど、「バカに見せている賢いやつなのか、賢く見せたいバカなのか、どっちなのかわかんない」って。俺自身は、自分はバカなんだろうなと思ってるんですけど。
先輩にそう言われたのは色々と理由があって、先輩曰く「バカは言われたことの2割しか返してこない」と。で、その先輩は俺に内緒で2割の球を投げてきてたんだって(笑)。
そうすると、だいたい俺は8割か10割くらいで返してくると。「だから拓ちゃんは賢いのかもしれないと思ってるんだよね、今」と言われて。でもその話は途中で終わってちゃって、その先輩の結論をまだ聞けてないんですよ。どっちかにジャッジするとしたら、俺はバカだと自分で思ってるんだけど、本当はどうなのかな? って自分でもよくわからなくて。
なるほど。「賢い」と「バカ」の基準って、いちばんわかりやすい例だと勉強ができるか/できないかだと思うんです。
でもその先輩が言っているのはそこじゃないと思うんです。頭の回転とか、機転とか、視点とか、そういう“賢さ”だと思うんです。拓さんは脊髄反射的に返すところがあって、想像するに、きっとその先輩が「あれ? バカなのかな?」と感じた場面があったと思うんです。
でも一方で、拓さんはいくつもの思考を積み重ねないと出てこない発言もするから、「あれ? さっき直球で投げてきたのに、今度は変化球投げてきた!」と混乱したのかなと。
これは僕の個人的な持論なんですけど、脳味噌は筋肉だと思っていて。脳の中にはいろんな思考の筋道があって、何度も何度も使っているAという思考方法はムキムキのマッチョになるけど、全然使ってないBという思考方法はヒョロヒョロのままというか。
そうそう。その持論に当てはめて考えてみると、拓さんは一部の思考の筋肉が異常に発達していると思うんです。
いや、全体で言うと半分かもしれないけど(笑)、日々考えてることとか、今まで悩んできたことの思考はムキムキだけど、興味がなかったりどうでもいいところの思考は結構ヒョロヒョロだと感じる。インタビューとかで、拓さんは思考をかなり積み重ねた上での発言をしていると感じることがよくありますもん。
具体的に言うと…これは全然悪い意味じゃなくて…他人がどう感じてるかとか、他人がどう思っているかとかを考える思考が、拓さんはムキムキだと思います。だから「バカに見せている賢いやつなのか、賢く見せたいバカなのか」の答えとしては、どちらでもないというか。
ないですよね。でもその場の空気を和ますための突拍子もないボールを持っている気がする。
右手で投げるかと思ったら左手で投げるくらいの魔球持ってる(笑)。
フフフ(笑)。
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