雲間から青空も見える清々しい朝、京都パルスプラザには朝早くから多くの観客がつめかけていた。“ポルノ超特急2018” 2日目。昨日は全バンドが気持ちを前面に出したステージで魅了させてくれたが、今日はどのような1日になるだろうか。MC やべきょうすけとROTTENGRAFFTYメンバーによる挨拶&出発進行の合図で、いよいよ開演となった。
coldrain
2日目、金閣のトップバッターはcoldrain。Masato(Vo.)が「Are you ready?」と告げて「TO BE ALIVE」から狂宴がスタートした。
とにかくダイバーが止まらない。我先にとステージ方向へグッと身を乗り出した観客は、叫びながらラウドかつヘヴィな音の中に飛び込んでいく。重いビートとオーディエンスのコールで幕を開けた「Adrenaline」では、駆け抜けるようなサビでダイバーが乱発。Masato、RxYxO(Ba./Cho.)、Sugi(G./Cho.)、Y.K.C(G.)のフロント4人は広い金閣のステージを動き回り、聴覚的にも視覚的にもオーディエンスの興奮を刺激し続ける。
MCでは、昨日名古屋で開催された“MERRY ROCK PARADE 2018”でトリだったcoldrainに今日のトップバッターを任せたROTTENGRAFFTYはドSな先輩であること、ROTTENGRAFFTYが居なかったら今のcoldrainは無いとわかっていることを告げ、Masatoが「ROTTENGRAFFTYへの愛も怒りも今からの20分間で全部お前たちにぶつけていいですか?」という言葉から「24-7」、そして「ENVY」へという怒涛の流れ。ライブの勢い、そして客席の熱はどんどん強くなる一方で、肩車からのダイヴが数えきれない。汗が輝く笑顔でMasatoは「ヤバすぎだな今日」と笑い、「トップバッターで出演するときは歌モノを演らないって決めてる。なぜなら、後から出てくるバンドを困らせたいから。ROTTENGRAFFTYのときにお前たちを棒立ちさせてやる」と牙をむく。新曲「REVOLUTION」、そして最後は「The Revelation」。金閣を狂乱の渦に落とし込み、彼らは笑顔でステージを去った。
ハルカミライ
銀閣のトップを担うハルカミライ。橋本 学(Vo.)が「元気かい? 始めるぜ!」といきなり「君にしか」から客席エリアの柵上に乗って叫ぶ。「入場規制なんかしたくないから、もっとお前ら前に来いよ!」と客を煽り、関 大地(G./Cho.)に対しても「行けよお前!」と煽りに煽って関がギターを演奏しながら客席へ。こっちもいきなりえぐい盛り上がりだ。
橋本はおそらくこの瞬間、京都パルスプラザでいちばんテンションが高い人間だったに違いない。ステージを降りて客席はもちろん、柵外のエリア(ダイバーが客席に戻る通路)で転げ回って歌う。そんな姿を見せられたらオーディエンスもぶち上がらずにはいられない。
最後の「アストロビスタ」までハルカミライは全速力で駆け抜ける。「はじまりが絶好調だったら、1日が絶好調だぜ!」という宣言の通り、“ポルノ超特急2018” 2日目、絶好調な1日になる予感しかしない。
打首獄門同好会
昨年の銀閣から今年金閣に昇格した打首獄門同好会。その喜びと感謝の気持ちを告げ、1曲目は「島国DNA」。客席エリアにはビニール製の魚が投げ込まれ、魚と魚料理のコールでオーディエンスがひとつになる。続いて大澤敦史(G./Vo.)が「ROTTENGRAFFTYのメンバーが大好きと言ってくれた曲を演ります」と「きのこたけのこ戦争」。ヘヴィネスとポップネスを併せ持つ打首獄門同好会、客席エリアの盛り上がりは超絶で、歌いながら拳を振り上げる者、ダイヴやモッシュで暴れる者、河本あす香(Dr./Vo.)&junko(Ba./Vo.)と一緒に歌う者など、金閣はライブハウス状態に。
「はたらきたくない」「布団の中からでたくない」と年末&季節にちなんだ曲で楽しませた後、時刻は12時33分ということで大澤が「ここからは食べ物ソングでやります」と宣言。
最近新曲のMVを発表したのだが、その直後に打首獄門同好会に関する別の話題でバズったので全然MVの話題が注目されないという話で爆笑をとり(笑)、エースコックから依頼されて作ったという「YES MAX」を披露。ヘヴィなリズムと駆け抜けるような掛け合いのヴォーカル、インパクト大のサビでオーディエンスを熱狂させた後、「私を二郎に連れてって」「日本の米は世界一」の流れで大団円。ライブ後、観客たちはフードブースに殺到した。
Northern19
銀閣の2番手はNorthern19。“ポルノ超特急” 初出演の彼らは、1曲目「BELIEVER」から銀閣の客席を熱く盛り上げ、ダイバーとモッシュを何度も何度も作り出す。彼らのとてつもなく爽快なメロディと極上のリズムは、オーディエンスの気持ちをどんどんアゲていき、「MESSAGE」「RED FLOWER」と曲を重ねるに従って会場の温度と湿度があがっていく。熱気に包まれた中で繰り出した「TRUTH」では、笑顔で拳を振り上げてシンガロングする客の上を笑顔のダイバーが流れていくという、美しきライブハウスの景色が見てとれる。肩車の数が多すぎてステージ前に黒い大きな人の塊ができた「STAY YOUTH FOREVER」で終演。全力で歌いながらライブを思い切り楽しんだ。
SUPER BEAVER
たくさんの観客が詰めかけている金閣にて「正攻法」でライブを始めたSUPER BEAVER。1人たりとも客を置いてけぼりにしない渋谷龍太(Vo.)は、曲の途中で「後ろ見えてるよ」と声をかける。まるで啖呵を切るように、初めて観る人に知ってもらうように、「SUPER BERVERです」と自己紹介し、「閃光」と続けて自分たちにしか作れない空気をどんどんと濃くしていく。
渋谷は「京都MUSEで初めてNOBUYAさんにライブを観てもらったあと、“俺はお前とは絶対に合わないと思う”と言われました」と笑いを誘った後、「ROTTENGRAFFTYにはとても愛してもらっているんです。もし仮に愛されてなかったとしても、俺たちは一方的にROTTENGRAFFTYを愛してます。そんな愛してる先輩が大事にしている1年に1回のお祭りです…どうか力を貸してくれませんか?」と頭を下げて「青い春」。柳沢亮太(G.)が客席を煽って盛り上げた後、「京都だから歌いたい歌がある」と「東京流星群」で大きなシンガロングを誘発し、最後は「大好きな先輩が作り上げたフェスで、あなたたちの前でライブ出来ることを嬉しく思います」と気持ちを込めて「ありがとう」。音と言葉に込めた気持ちがダイレクトに届いて響くSUPER BEAVERのライブ、今日もとてつもなく素晴らしかった。
Survive Said The Prophet
銀閣のステージに登場したSurvive Said The Prophet。5人が気合い一閃、破壊力抜群のチューン「T R A N S l a t e d」でヘドバン、クラップ、ジャンプを巻き起こす。オーディエンスのツボを刺激しまくるダイナミックなサウンド&アレンジに観ている側はじっとしていられないのだろう、多くの観客がステージ方向へと殺到していく。前2バンドで温められた銀閣の空気は更に上昇し、壁や床がじっとりと湿度を増していく。
そしてヘヴィサウンドで暴れさせるだけではなく、「Follow」ではYosh(Vo.)の突き抜けるような歌とメロディでオーディエンスの心を震わせ、最後はギターのひずみの中から放たれた「Network System」でライブキッズをとことん暴れさせた。
HYDE
昨日のSADSや芸人もそうだし、HYDEもそうなのだが、キャリアや普段活動するシーンが違うアーティストの競演を観ることができるのは“ポルノ超特急”の醍醐味の1つだし、そして初見だったとしても全力で楽しむ観客がいるということも醍醐味の1つだ。
頭からフードをかぶり、顔半分を隠した白いマスクをつけたHYDEが金閣のステージに登場した瞬間、割れんばかりの歓声が沸き起こり、「FAKE DIVINE」が始まって更に大きな歓声が起こる。一聴しただけで惹き込まれる彼の“歌”の力。激しくヘヴィな演奏の中でも絶対的な存在感を放つ歌に、オーディエンスはもちろんのこと、関係者エリアで観ていた他の出演者たちも歓喜の声を上げた。「京都!」と叫んで「AFTER LIGHT」がスタートした途端にHYDEはフードとマスクを取り、更に会場の興奮が増す。眼の前で繰り広げられるカリスマ性を帯びたパフォーマンスに、観客は腕を振り上げて酔いしれる。
そして地響きのごとく大歓声が起きたのは「HONEY」。ダイバーがひっきりなしに舞い、悲鳴に近い歓喜の声が充満する。そんな彼らの最高の反応に「誘ってくれてありがとうございます。やったぜ!」とHYDE。
まだバンドで合わせたことがないという新曲「MAD QUALIA」、客席エリアをカオスに近い興奮状態にした「GLAMOROUS SKY」と続け、会場の興奮はこの日何度目かのピークに到達。また1つ、“ポルノ超特急”で伝説が生まれた瞬間を目撃することができた。
韻シスト
極上のサウンドに、BASI(MC)とサッコン(MC)の繰り出すラップを乗せて最高の空間を作り出す韻シスト。銀閣に登場したかと思えば、「On&On」で瞬時にオーディエンスの身体を揺らし始め、「みなさんパーティーは好きですか?」と「PARTY SIX」でとことん楽しませる。
そしてその場で2人のMCが様々なレコードをかける(という設置で楽器隊が演奏する)というセクションに入り、「天国にいるあいつの曲を」と盟友・tickのレコードをかける。tickの「Rain」が始まり、袖から登場したのはROTTENGRAFFTYのN∀OKI。突然のサプライズに客席からは大きな歓声が上がり、最高のコラボに胸を熱くする。
その後、彼らは「Double Clutch~Old school lovin」、「Don't worry」などで銀閣に集まった人たちを思う存分楽しませ、ヒップホップと生バンドの化学反応が秘める魅力を存分に見せつけた。興奮が抑えきれなくなって腕を振り上げたり、声を上げる観客たちの楽しそうな笑顔が印象的だった。
The BONEZ
HYDEを観た興奮が冷めやらぬ中、ふと金閣の次以降のラインナップを改めて眺めてみると…The BONEZ、Dragon Ash、10−FEET、ROTTENGRAFFTY…これはとんでもないことが起こりそうだ。
The BONEZに対する期待が充満している金閣、観客が見守る中で4人が拳を合わせて気合いを入れる。JESSE(Vo./G.)が「京都! 遊ぼうぜ!」と叫んで高らかに曲名を叫ぶ。「SUNTOWN」でライブが始まった。
凄まじい勢いで楽器を鳴らし始めたThe BONEZに対し、巨大なOiコールで応えるオーディエンス。シンガロングしながら観客全体がうねり始め、JESSEが「俺らは仲間というものをどれだけ大切にしているか…そいつらのために歌います」と告げて歌った同曲は、とてつもなく胸に突き刺さる。
「Rude Boy」のイントロが始まった途端にダイバーが続出し、なにかとてつもなくすごいことがこの会場で起きているような、ヒリヒリとした、今までライブハウスやフェスで数回経験したことのある不思議な感覚に包まれる。
「俺らは理由があってバンドしてて、その理由が何だったか思い出せないんですよ、昔すぎて。曲を作ってるときとか…思い出せそうになるけど思い出せない、だから辞められないんです」とJESSEは続ける。バンドって本当に素晴らしいし、だからこそこんなにすごい景色を作り出すことができるのだろう。「Thread & Needle」をオーディエンスの大合唱と共に走り抜き、最後は「See you again」で終演。一瞬一瞬が記憶に刻まれる衝撃的なライブだった。
OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND
KAKUEI(Per.)とRONZI(Dr.)、そしてTOSHI-LOW(Vo./Ag.)も小さめのパーカッションで加わってリズムセッションでライブを始めたOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND。心地よいリズムセッションに酔いしれていたところ、ROTTENGRAFFTYのN∀OKIがマイクを持って登場し、なんとフリースタイル・ラップでセッションに参加。次から次へと言葉を繰り出すN∀OKIに歓声が沸き起こり、何よりステージのメンバー自身がスペシャルコラボを思う存分楽しんでいるのが観ていてよくわかる。
メンバーが全員揃って「Making Time」。心地よいサウンドに身を任せ、MARTIN(Vo./Vl./Ag.)の歌声に酔いしれる。N∀OKIからのリクエスト「Pilgrimage」で楽しませ、最後は「朝焼けの歌」で大満足。音楽の魅力を存分に味わえるライブだった。
Dragon Ash
押し寄せるサウンドと畳み掛けるヴォーカルの「Mix it Up」で幕を開けたDragon Ashのライブは、「Headbang」「Revolater」と超攻撃型仕様。1曲目からダイバーの数が尋常ではなく、客席エリアは肩車、ダイバー、モッシュ、ヘドバンとカオス状態に。全員が凄まじい勢いでミクスチャーロックの海に飛び込んでいく。
Kj (Vo./G.)が「京都が世界に誇るスーパーベーシスト!」と紹介したKenKen(Ba.)の硬質なベースが広い空間に鳴り響き、「The Live」に突入してオーディエンスの興奮は「まだ上があったのか?」と驚くほどグングン高まっていく。“ポルノ超特急2018”、昨日を含めて各出演者が積み上げてきたものが、ここに来て各出演者のライブとオーディエンスの気持ちに加算されているようだ。
そして「Fantasista」が始まり、KenKenがIKÜZÖNE(Ba.)のシャツを掛けたスタンドをベース位置に置き、全員で暴れ、全員で歌い、この日いちばん多くのダイバーが宙を舞う。更に曲中でKjが「この曲で最後です。ROTTENGRAFFTYが出す最後の一音までみんなぐちゃぐちゃになって楽しんでくれよ!」とROTTENGRAFFTYの「THIS WORLD」を鳴らし始め、最後はROTTENGRAFFTYのメンバーも加わって大団円で終了。
ライブ中にKjが「不思議なもんでさ。友達のバンドのためだったら、バンドマンはがんばれるんだよね」と言っていたのだが、まさに我々はその“不思議なもん”の力で素晴らしくて凄まじくなったDragon Ashのライブを思う存分味わえた。
SIX LOUNGE
強く響くヤマグチユウモリ(G./Vo.)の歌で始まる「くだらない」でライブの幕を開けたSIX LOUNGE。観客はグッとステージを食い入るように見つめ、ヤマグチの歌、そしてイワオリク(Ba.)とナガマツシンタロウ(Dr.)の演奏に集中する。
軽快なサウンドに乗せてヤマグチが叫び、「僕を撃て」がスタート。髪を振り乱してベースを鳴らすイワオ。Dragon Ashと10-FEETの間という大役を堂々と勤め上げる彼らを、観客は腕を振り上げて讃える。「タイムテーブル見て笑っちゃってさ。でも…やるときゃやるんだぜ!」とヤマグチは吠え、「LULU」「トラッシュ」など様々な形のロックンロールを鳴らし、最後の「ラストシーン」まで見事に闘い抜いた。
10-FEET
いよいよトリ前、ROTTENGRAFFTYの盟友・10-FEETが登場。客席エリアは前から後ろまでびっしりと人が埋め尽くしていて、残った時間を全身全霊で楽しむぞという気迫が伝わってくる。
TAKUMA(Vo./G.)がおもむろに「昨日から何度かこの会場の最後方に行って、ライブ観てて、最後方の雰囲気がどんな感じかわかった」と言った。「わかったで、あの辺の感じ」と。「あそこまで、そこまで届けるのが今日の俺の目標や!」と叫び、「蜃気楼」でライブスタート。coldrainのMasatoやDragon AshのKjがステージで言ったことを思い出し、やっぱりバンドは最高だなと痛感する。おそらくTAKUMAは、自分たちが考える“いいライブ”をすることがROTTENGRAFFTYのためになると考えていたのだろう。
大きな大きなシンガロングで会場を埋め尽くし、「1sec.」でオーディエンスの勢いを誰も止められなくなるまで加速させる。立て続けにソリッドな「1 size FITS ALL」で観客を更に暴れさせ、「ポルノ超特急にご乗車のみなさま、しっかりおつかまり下さい」と車内アナウンスで笑わせる。
そして京都で聴く「RIVER」が最高なことは、会場に居合わせた誰もがよく知っている。暴れないわけにはいかない、歌わないわけにはいかない。ダイバーの波が一切弱まらないし、ダイヴした後、客席エリアに戻る柵の入り口で行列ができている。
おそらく残り時間を確認したのだろう、急遽時計を指差しながら3人で相談し、「DO YOU LIKE...?」「その向こうへ」でオーディエンスの理性を決壊させ、「ヒトリセカイ」と「時間がないときのRIVER」(10-FEETの「RIVER」をカヴァー&アレンジした四星球の「時間がないときのRIVER」のカヴァー)で終演。ステージの上も下もえぐいほどの気合いと盛り上がり。京都の底力、しかと見た。
Hawaiian6
“ポルノ超特急”初出演のHawaiian6は「THE LIGHTNING」でライブを開始。YUTA(G./Vo.)のヴォーカルに合わせて客席から拳が突き上げられ、熱気渦巻く銀閣に大歓声が起きる。「Haze」「TINY SOUL」と気合い充分。ステージを大きく使って動き回るGURE(Ba.)が「かかって来いよ!」と客を更に挑発する。
かと思えば、アッパーなリズムとコーラスワークが印象的な「RAINBOW, RAINBOW」で会場を暖かく包み込むのがたまらない。
MCではHATANO(Dr.)が「ROTTENGRAFFTYとは同期で、あいつらが誇りに思ってるイベントに出たいから“出してくれない?”と言ったら、すぐ連絡きて“出てもらえませんか”って」と経緯を説明した後、客席に向かって「お前らがROTTENGRAFFTYと作り上げてきたんだろ? よそ者が来てんだよ。見せてくれよ、地元の遊びを!」と叫んでライブ再開。ラストの「I BELIEVE」までオーディエンスと共に全力で走り抜き、金閣のROTTENGRAFFTYに熱い気持ちを繋いで締め括った。
ROTTENGRAFFTY
“ポルノ超特急2018”、最後の出演者。1日目のキュウソネコカミから繋いできたバトンは、各出演者が想いを込め続け、2日間でだんだん目に見えるようになってROTTENGRAFFTYに無事渡された。後はもう、体力が燃え尽きるまで楽しむだけ。金閣の客席エリアは壮観だ。誰もが汗まみれで、笑顔で、輝いていた。
N∀OKI(Vo.)が名乗りを上げてライブスタート。1曲目は「THIS WORLD」。当然のことながら、こんなライブチューンを最初から出されて客は黙っていられない。客席エリア前方の肩車はどんどん増えていき、無数のダイバーが人波を泳いでいく。
NOBUYAとオーディエンスとのコール&レスポンスはどんどんボリュームが大きくなり、N∀OKIとオーディエンスとのコール&レスポンスが更にそれを上回る。客席にNOBUYAとKAZUOMIが身を投じ、KAZUOMIが「遊ぼうぜ!」と叫ぶ。なんだこの最高の光景は。
赤い照明がフロアを照らして警報が鳴り響く。KAZUOMIが「今からここに居る全員音で殺す!」と牙をむいてライブフリーク垂涎の「零戦SOUNDSYSTEM」。限界まで暴れまくっていると思っていたオーディエンスは更に勢いを増し、サビとか関係なくダイヴが起こる。会場全体がいわゆる“ゾーン”に入ったような状態だ。5人が全員、今にも殴りかかってきそうな形相で「ありがとう」と感謝の気持ちを告げる。カオスだ。
N∀OKIが「2018年これが総括。刻んでくれ! 踊ってくれ! 騒いでくれ! 汗かいてくれ! 遊んでくれ! 歌ってくれ! 巻き戻してくれ!」と叫んで「PLAYBACK」。巨大なジャンプ&コールで会場を揺らし、更にN∀OKIが「瞬間を生き延びろ!」と「世界の終わり」へ。魂を燃焼させるような凄まじいステージに、観客も全力で応え、その観客の全力がまた5人の魂に火を点けると、ライブハウスでしか起こりえない素晴らしいコミュニケーションに胸が熱くなる。
「D.A.N.C.E.」で踊り狂った後、KAZUOMIが更に「もうすぐ終わるぞ? こんなんでいいんか?」と更に挑発する。楽しむことにこれほど貪欲だからこそ、ライブがここまで熱くなるのだろう。
そしてNOBUYAが「特別な日に特別な曲を演りたいと思います」と「悪巧み~Merry Christmas Mr.Lawrence」。バンドの特別な想いが詰まった同曲にオーディエンスは陶酔する。
いよいよライブは佳境に突入。KAZUOMIとNOBUYAがステージ左右ビジョンの下まで行って披露した「STAY REAL」、数えきれない肩車とダイヴ、巨大サークルを作り出した「金色グラフティー」では、ステージ上のメンバーが恐怖感を覚えるほどの気合いで暴れ、アンコールではN∀OKIが「この5人で19年、今年はほんまに激しい1年やった。でも思うねん。今の俺らがいちばんええねん!」と叫び、バンドにとってもファンにとっても大切な曲「マンダーラ」、そして最後は「切り札」で終幕。
すべての曲が終わり、クロージングSEとして「響く都」が流れ始めても観客は退場せず、「響く都」に合わせてクラップしながらステージの5人を見守っていた。侑威地は深く頭を下げ、HIROSHI は涙を潤ませながら「ありがとう」と感謝の気持ちを告げる。5人で手を取り合って万歳5回、“ポルノ超特急2018”は5人の最高の笑顔で幕を閉じた。
TEXT:Takeshi.Yamanaka
PHOTO:HayachiN / Yukihide”JON…”Takimoto / OOMO / かわどう