音楽メディア・フリーマガジン

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第48回

今回も当スタジオでアルバムを制作した、個性的かつ活動レベルの高い2つのバンドをご紹介します。

【than】

大阪を拠点に主に西日本で精力的な活動を行い、海外にも進出しているオルタナバンド。
世界最大のインディーズバンドコンテスト「エマージェンザジャパン2018」で優勝。
エマージェンザ日本代表としてドイツの大規模音楽フェスTaubertal Festival に出演、世界第7位入賞。逆輸入バンドとしての第一歩を踏み出した。
http://than-web.com/

【極悪いちご団】

国内でも稀にみる独自路線を探求し、他の追随を一切許さない展開を続けている「お江戸歌謡ファンクバンド」。
全国リリース作、メディア露出も多数。高い完成度の中にもユーモアたっぷりのMVは一見の価値あり。結成10周年を迎えワンマンライブ、全国ツアーも敢行。2019年に向けネクストブレイクの予感。
http://www.aj-group.co.jp/ichigo/info.html


【モニタースピーカーの重要性と、そのポイントについての考察】
今更ながら、レコーディング、MIX、マスタリングにおいて一番大切なものはなんでしょう?

多くの人が「DAWソフト、プラグイン」「パソコン」「オーディオインターフェース」「マイク」「アウトボード」などと答えるのではないでしょうか。
「モニタースピーカーと、それらを取り巻く部屋の環境」も、上記の最重要項目に是非入れていただきたい、と私は思います。
<写真↓YAMAHA MBS7 STUDIO>

健全なモニタースピーカー環境を構築することは、プロエンジニアでも一筋縄とはいきません。

バンドマン、ミュージシャンが自力でモニター環境を構築する時も、良い音・良いバランスで鳴っている「気がする」という状況に陥っていることが多いのです。
理由は「各部屋のモニター環境を聴き比べるプロセス経験」を積むことが少ない、加えて「プロスタジオのフラットなモニター環境を体験した経験がない」人たちが増えていることにもあると思います。

モニタースピーカー選びの基本は「部屋の大きさに合わせる」事から始まります。
初めての方は前回触れた「パワード(アクティブ)スピーカー」を最初の一台に選ぶと良いかと考えます。
プライベートスタジオの大きさは、大体6畳程度が平均のようです。スモールモニターが、大きさ、値段的にもちょうど良いのではないでしょうか。
一例を挙げますと
YAMAHA MSP5↓

FOSTEX DM0.4n↓

SONY SMS-1P↓

などが、クラス的に最初の一台としてお勧めです。

モニタースピーカーが決まったら、ある程度の部屋の吸音とセッティングする位置、そしてインシュレーター、スピーカースタンドなどのアクセサリーも重要になってきます。

<インシュレーターとは?>
スピーカーの下に敷いてスピーカー自体の共振を防ぎ、クリアーな音像を創り出すアイテム。
一般的には3点または4点、スピーカーの四隅やリアパネルの真ん中に設置する。
日本においては地震の影響もあるので4点設置することをお勧めします。

オーディオテクニカ↓

AET↓

ISO ACOUSTICS↓

<スピーカースタンド>
インシュレーター同様スピーカー自体の共振を緩和するアイテム、
ULTIMATE↓

ZOAR↓


【今月のちょいレア】TASCAM SX-1

2001年にリリースされたTASCAM製ハードウエアDAW。デジタルミキサー部はもとよりCDドライブの音質も極上で、パソコンのCDドライブとは次元が違う高品位な質感が楽しめる。


【今月のMV】 DEAD STOCK 「OVER AGAIN」
イギリスの初期パンクと、アメリカの90年代メロコアが合体したような「レトロフューチャーパンク」といった呼び名がぴったりな名曲。


 
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

極悪いちご団 「 十年鴉 」

バンド結成10周年、自前の江戸前歌謡ファンク路線をまい進する極悪いちご団の最新作。ヤンチャさの中にも、渋さや深みも自然とにじみ出ており、時代劇のテーマ曲にもなりそうな和の究極を突き詰めている。2019年1月全国発売。

than 「 see line -single- 」

世界最大のインディーズバンドコンテスト「エマージェンザジャパン2018」優勝の、大阪在住オルタナ・エモロックバンドの新譜。言葉の壁をぶち破る、端正かつダイナミクスな世界観が素晴らしい。2019年1月全国発売。

Yamashita Kazuki with five 「 Blessing of Snow 」


動と静の対極にあるエネルギーを巧みにコントロールし、1つの作品の中であらゆる局面を表現する山下一樹流ネオジャズの決定盤。前作より演奏、作編曲ともにスケールアップしている。JAZZ Vo.&ピアニスト星野由美子のフィーチャリングも話題。

the Barometz 「 Judgement EP 」

ジャズフュージョンギタリスト矢堀孝一氏のサポートベーシスト星野李奈をはじめ、スタジオミュージシャンで結成されたテクニシャンぞろいのバンドのアルバム。2000年頃のNYジャズを今風に昇華させたような、新しい試みが随所で堪能できる。

みならいモンスター 「 桜の花が咲く頃に 」

地元茨城県阿見町の観光大使を務め、年間平均100本のライブをこなす三姉妹ロックバンドのシングル。短いスパンでリリースしているが、作品の完成度、バリエーションなどどんどん進化している。アルバムの完成も楽しみだ。

          

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